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+TWINS[双子]
1-8.剣士と幽霊の話
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「でもぉ」
いつの間にか戻ってきていたアリトラが、珈琲をテーブルに置いた。
「十三剣士がなんで幽霊話なんか気にするんですか? ただの噂なのに」
「おう、ありがとう。いや、ただの噂ならいいんだけどな。この前その路地で人が一人死んでるんだよ」
リコリーが「あ」と声を出した。
「靴職人が殺された事件?」
「あぁ。その靴職人は新しい靴底を試すために、よくその路地を使っていたらしい。幽霊話も鼻で笑っていて、「いざとなったらこの靴で素晴らしい走りを見せてやるよ」なんて言っていたようだが、物の見事に殺された」
カレードは珈琲を飲んで、やはりいつものように眉間に皺を寄せた。
整った派手な顔立ちがその仕草をすると完全に怒りをこらえているようにしか見えない。
「マリッカの奴、父親があの一帯の商会組合のだいひょー? とかで、どうにかしてくれって言われたらしいんだよ」
「じゃあマリッカさんがすればいいんじゃないの?」
「幽霊怖いとか言って押し付けてきた」
双子は同時に顔を見合わせ、そして同時にカレードを見返した。
「はい?」
「え?」
「だよな。そういう反応になるよな。あの曲芸女、どの面下げて「幽霊こわーい」だよ。危うく叩き切るところだった」
「十三剣士でも怖いものってあるんですか」
リコリーが素直な驚きを口にすると、カレードは肩を竦めた。
「幽霊嫌いな剣士は多いぜ? 何しろ斬れないからな」
「な、なんで斬ろうとするんですか」
「リコリー、それは愚問。剣士の生き方は剣にある」
アリトラがしたり顔で頷くのにカレードは嬉しそうな顔をした。
「妹のほうはわかってるな。そうなんだよ。俺達は剣しか取り柄がないから、それを全否定する存在は怖いわけだ」
「カレードさんも幽霊苦手?」
「俺が怖いのは何が書いてあるかさっぱり読めない契約書だけだ。まぁそんな次第でな、幽霊退治を頼まれたんだが……」
それ、とカレードが新聞紙を指さした。
「死んだ靴職人が握りしめていた」
「ヒィッ!」
リコリーが思わず手放したのをアリトラが平然と受け止める。
「……物の複製だ」
「驚かせないでください!」
「馬鹿だな。本物の遺留品持ってくるわけねぇだろ。その黄色い文字は靴職人が持っていたペンで、革を……えーっと」
「裁つ?」
アリトラが助言すると、カレードは頷いた。
「そう。それをする時に愛用していた品で、死体が発見された時に右手に一緒に握りしめていた」
「この新聞紙は?」
「靴を包むのに使っているものらしい。切れ端が一致するものが店の中にあった」
「じゃあ息絶える直前に書いたってこと? ……ねぇカレードさんはその死体見たの?」
「見た。というか早朝から曲剣に呼び出されて見せられた」
「死因は?」
「なんだそりゃ」
「えーっと、どうやって死んでたんですか?」
「背中を八か所刺されていた。そのうち一つが心臓の血管を貫いていた。刃物じゃなくて、鋭利な金属片で力任せに貫いたって感じだったな」
痛そう、と刺されたわけでもないのにリコリーは自分の背中に手を回す。
アリトラはその様子を横目に何か考え込んでいたが、口を開こうとする前にカウンターの方から名前を呼ばれて振り返る。
「何ー、マスター?」
「そろそろ三時だから、外に看板出してくれ」
「はーい」
店の中に置かれていた二つ折りの看板をアリトラは抱えて外に出ていく。カレードはその様子を見て、眉を下げた。
「あ、悪い……休憩中だったのか」
「気にするなよ。お前さんが来ると珍しく珈琲が売れる」
姿は見えないが、明るい声で返されると、カレードはますます困った顔をした。
「またやっちまった……。いい加減文字とか覚えようかな」
「カレードさん、全然書けないんですか?」
「自分の名前だけはなんとか書けるけど、それも文字の形で覚えてるだけだ。軍隊って結構書類が多いから、名前ぐらいは書けないと困るんだよな」
リコリーが持ち歩いているノートとペンを差し出すと、カレードはそこに意外と綺麗な文字で名前を書いた。
「人が書いたのまるっと真似してるだけだから、どこからどこまでが名前で、どこからが苗字なのかさっぱりだ」
「……カレードさんの家名ってラミオンですよね?」
ノートを眺めながらリコリーが疑問符を上げる。
「これ、綴り違うと思いますよ」
「そうか」
「これだとラミオンじゃなくて……」
「看板出しましたー。リコリー、三時だよ? 戻らなくていいの?」
扉を開け放ったアリトラにそう言われて、リコリーは慌てて立ち上がった。
「早く言ってよ」
「時計見ない方が悪い。いってらっしゃい」
早足で出て行ったリコリーを軽く手を振って見送った後、アリトラは中に戻ってきた。
「ねぇ、カレードさん。話の続き」
「え? あぁ、幽霊の話か?」
「そう。背中を八か所って言ってたけど、具体的に何処刺されてたの?」
「んー、背中と言っても少し違う場所もあってな。まず右の肩甲骨と背骨の間に一つ。左肩甲骨と背骨の間に一つ。肋骨の上から二本目ほどの高さに左右一つずつ。肋骨下から二本目の高さに左右一つずつ。最後に骨盤から指二本分上の高さに左右一つずつだ」
「左右対称ってこと?」
「そうだな。右側のほうが左側より全体的に指一本分上だったけど」
教養も知識もないカレードが、十七歳から始めた剣術で最強と成りえた要因は、その記憶力にある。
瞬間的に見たことを、まるで転写紙に写すかのように覚える才能があり、寸分の狂いもない。
しかしカレード自身はそれを全て一つの映像だとして捉えてしまうために、座学に対してその才能が貢献したことはない。
他の十三剣士がこの喫茶店に来ることはあるが、彼らはカレードのその才能を宝の持ち腐れだと言っている。
「左の一番上の傷が致命傷?」
「違う、二番目だ。心臓の位置は大体そのあたりになる。まぁさっきも言った通り、力任せに押し込んだような傷口だったから、正確にはもう少し位置がずれるんだろうけど……」
カレードは黙り込んで考えているアリトラに気付くと肩を竦めた。
「七番目の野郎と同じこと聞くんだな」
いつの間にか戻ってきていたアリトラが、珈琲をテーブルに置いた。
「十三剣士がなんで幽霊話なんか気にするんですか? ただの噂なのに」
「おう、ありがとう。いや、ただの噂ならいいんだけどな。この前その路地で人が一人死んでるんだよ」
リコリーが「あ」と声を出した。
「靴職人が殺された事件?」
「あぁ。その靴職人は新しい靴底を試すために、よくその路地を使っていたらしい。幽霊話も鼻で笑っていて、「いざとなったらこの靴で素晴らしい走りを見せてやるよ」なんて言っていたようだが、物の見事に殺された」
カレードは珈琲を飲んで、やはりいつものように眉間に皺を寄せた。
整った派手な顔立ちがその仕草をすると完全に怒りをこらえているようにしか見えない。
「マリッカの奴、父親があの一帯の商会組合のだいひょー? とかで、どうにかしてくれって言われたらしいんだよ」
「じゃあマリッカさんがすればいいんじゃないの?」
「幽霊怖いとか言って押し付けてきた」
双子は同時に顔を見合わせ、そして同時にカレードを見返した。
「はい?」
「え?」
「だよな。そういう反応になるよな。あの曲芸女、どの面下げて「幽霊こわーい」だよ。危うく叩き切るところだった」
「十三剣士でも怖いものってあるんですか」
リコリーが素直な驚きを口にすると、カレードは肩を竦めた。
「幽霊嫌いな剣士は多いぜ? 何しろ斬れないからな」
「な、なんで斬ろうとするんですか」
「リコリー、それは愚問。剣士の生き方は剣にある」
アリトラがしたり顔で頷くのにカレードは嬉しそうな顔をした。
「妹のほうはわかってるな。そうなんだよ。俺達は剣しか取り柄がないから、それを全否定する存在は怖いわけだ」
「カレードさんも幽霊苦手?」
「俺が怖いのは何が書いてあるかさっぱり読めない契約書だけだ。まぁそんな次第でな、幽霊退治を頼まれたんだが……」
それ、とカレードが新聞紙を指さした。
「死んだ靴職人が握りしめていた」
「ヒィッ!」
リコリーが思わず手放したのをアリトラが平然と受け止める。
「……物の複製だ」
「驚かせないでください!」
「馬鹿だな。本物の遺留品持ってくるわけねぇだろ。その黄色い文字は靴職人が持っていたペンで、革を……えーっと」
「裁つ?」
アリトラが助言すると、カレードは頷いた。
「そう。それをする時に愛用していた品で、死体が発見された時に右手に一緒に握りしめていた」
「この新聞紙は?」
「靴を包むのに使っているものらしい。切れ端が一致するものが店の中にあった」
「じゃあ息絶える直前に書いたってこと? ……ねぇカレードさんはその死体見たの?」
「見た。というか早朝から曲剣に呼び出されて見せられた」
「死因は?」
「なんだそりゃ」
「えーっと、どうやって死んでたんですか?」
「背中を八か所刺されていた。そのうち一つが心臓の血管を貫いていた。刃物じゃなくて、鋭利な金属片で力任せに貫いたって感じだったな」
痛そう、と刺されたわけでもないのにリコリーは自分の背中に手を回す。
アリトラはその様子を横目に何か考え込んでいたが、口を開こうとする前にカウンターの方から名前を呼ばれて振り返る。
「何ー、マスター?」
「そろそろ三時だから、外に看板出してくれ」
「はーい」
店の中に置かれていた二つ折りの看板をアリトラは抱えて外に出ていく。カレードはその様子を見て、眉を下げた。
「あ、悪い……休憩中だったのか」
「気にするなよ。お前さんが来ると珍しく珈琲が売れる」
姿は見えないが、明るい声で返されると、カレードはますます困った顔をした。
「またやっちまった……。いい加減文字とか覚えようかな」
「カレードさん、全然書けないんですか?」
「自分の名前だけはなんとか書けるけど、それも文字の形で覚えてるだけだ。軍隊って結構書類が多いから、名前ぐらいは書けないと困るんだよな」
リコリーが持ち歩いているノートとペンを差し出すと、カレードはそこに意外と綺麗な文字で名前を書いた。
「人が書いたのまるっと真似してるだけだから、どこからどこまでが名前で、どこからが苗字なのかさっぱりだ」
「……カレードさんの家名ってラミオンですよね?」
ノートを眺めながらリコリーが疑問符を上げる。
「これ、綴り違うと思いますよ」
「そうか」
「これだとラミオンじゃなくて……」
「看板出しましたー。リコリー、三時だよ? 戻らなくていいの?」
扉を開け放ったアリトラにそう言われて、リコリーは慌てて立ち上がった。
「早く言ってよ」
「時計見ない方が悪い。いってらっしゃい」
早足で出て行ったリコリーを軽く手を振って見送った後、アリトラは中に戻ってきた。
「ねぇ、カレードさん。話の続き」
「え? あぁ、幽霊の話か?」
「そう。背中を八か所って言ってたけど、具体的に何処刺されてたの?」
「んー、背中と言っても少し違う場所もあってな。まず右の肩甲骨と背骨の間に一つ。左肩甲骨と背骨の間に一つ。肋骨の上から二本目ほどの高さに左右一つずつ。肋骨下から二本目の高さに左右一つずつ。最後に骨盤から指二本分上の高さに左右一つずつだ」
「左右対称ってこと?」
「そうだな。右側のほうが左側より全体的に指一本分上だったけど」
教養も知識もないカレードが、十七歳から始めた剣術で最強と成りえた要因は、その記憶力にある。
瞬間的に見たことを、まるで転写紙に写すかのように覚える才能があり、寸分の狂いもない。
しかしカレード自身はそれを全て一つの映像だとして捉えてしまうために、座学に対してその才能が貢献したことはない。
他の十三剣士がこの喫茶店に来ることはあるが、彼らはカレードのその才能を宝の持ち腐れだと言っている。
「左の一番上の傷が致命傷?」
「違う、二番目だ。心臓の位置は大体そのあたりになる。まぁさっきも言った通り、力任せに押し込んだような傷口だったから、正確にはもう少し位置がずれるんだろうけど……」
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