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しおりを挟む竜舎には色とりどりのドラゴンがいた。絵本の中でしか知らなかったドラゴンが目の前にいる。テンションが上がった。
「ルーにぃ! 竜さん!竜さんがたくさんいるの!」
大興奮で自分の尻尾がものすごく揺れている。寝てる竜もいた。
「そうだね。側にいく?」
コクコク笑顔で頷くと竜の一匹に近付いてくれた。クーにぃと同じ桃色の竜が首を伸ばして間近に来てくれた。
鼻先を恐る恐る触るとキューと可愛く鳴いて手にスリスリされた。
「可愛い!」
口をパクっと開けられたら簡単に食べられそうなのに敵意が全くない。つぶらな瞳が可愛い。
興奮して身体を乗り出しすぎて抱っこから落ちそうになった。
「ルーにぃ、僕、竜さんと仲良しになったの!」
顔をペロッと舐められスリスリされて翼もパタパタとハタめいて喜んでいるように見えた。
「良かったね。フィーリィー」
「はい!」
暫し竜さんたちに触れて竜舎を出た後に、ウトウトと眠くなって瞼が重くなった。
「寝ていいよ、フィ」
頭を撫でられ心地よさにすぐに眠りに落ちた。
完全に寝入った後に、ルーにぃが竜に舐められた顔をぬぐっていたなんて知らなかった。
寝入っていたら兵舎の視察はすんだ見たいだった。ホッとした。
「フィ、起きた?」
「はい、ルーにぃ、ずっと寝ててごめんなさい」
電池がきれたみたいに竜さんに会った後は疲れてしまった。
「構わない。特に問題なかったよ」
寝てる弟を抱っこしながら見回りされている警備の皆さんはどう思ったか。ルーにぃの印象も悪くなってたらどうしよう。
「ごめんなさい」
「フィは気にしすぎ。私とアレクには゛ごめんなさい゛より笑顔で゛ありがとう゛って言って欲しいな」
ヨシヨシと慰められ、兄を見上げると優しい笑顔だった。安心してつられて笑顔になる。
「ルーにぃ、ありがとう、大好き」
ギュッと抱き締められ、嬉しくて尻尾が揺れた。馬車に乗って宿屋につくまでドラゴンの話を興奮しながら聞いてもらった。
「大きくてパクって食べられそうで可愛くてスリスリされても痛くなくて」
「竜は基本的に草食だから大丈夫。たまに果実を食べる」
だからテレビの肉食動物見たいに怖くなかったのかと納得。
「フィはまた会いたい?」
「はい! でも、にぃ達の邪魔になるから我儘は…」
これ以上は言えないと、しょぼんと耳と尻尾を垂らす。
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