21 / 31
21
しおりを挟む「待って、にぃ」
今にも帰ろうとする兄をひき止める。離れた所に院長先生と多分さっき声をかけられた男の人がいる。
「お菓子、食べるの」
迷惑かけてお菓子って思われるだろうけど大事なことをまだ言ってない。
クーにぃは顔を険しくさせている。綺麗な顔なのにと暢気に思ってしまう。
「……すぐ帰らなくて大丈夫ー?」
「クーにぃも一緒。大丈夫」
カイとカリンとみんなの方に顔を向ける。
「また、遊んでね」
「あぁ!またな!」
「またいらして下さい」
他の子達にも手を振り別れた。遠巻きにしていた院長先生と応接室に向かう。
「あのっ」
「フィが作ったお菓子。レイラにも食べて欲しいってー」
目の前にはすでに用意されているプリン。まずは作った自分が味見。
「にぃ、食べさせて」
スプーンですくうとプルッとしていた。見掛けは成功。口元に運ばれパクッと食べる。
「美味しい」
プリンだ。味も成功だと喜ぶ。
「にぃと院長先生も食べて」
二人にススメると食べてくれた。
「甘くて美味しい。今まで食べたことないよー。フィーリィーすごい!」
褒められて嬉しい。院長先生も感動してくれた。
「院長先生……このお菓子を……お祭りで売りませんか?」
「これを?」
院長先生の戸惑った声。
「孤児院を出る子達のために……少しでも多く……資金を持たせてあげて欲しいの。13歳以上の子達と大人一人で出来ると……思います」
16歳までの3年間で結構、貯めれると思う。院長先生はオロオロしながらクーにぃを見ている。
「クーにぃ……ダメ?」
兄の眉間にシワが寄っている。撫でて伸ばしたいけど身体がまだ動かせない。
「……父上はフィーリィーが望むなら許すと思う。でも……どうかなー」
曖昧な返事に顔がうつ向く。大人の事情がきっと絡んでいるんだと思う。
「孤児院だけで売るとやっかまれる可能性があるよねー。売るのは子供たちだしー。危険とかー」
成る程。営業妨害されたりとか。
「とうさまが孤児院に販売の依頼して一部の売り上げ貰ってもダメ?」
領主様の後ろ楯があれば手を出す人も少ないと思う。多分。
「あぁ、それだと大丈夫かなー。んーでももうちょっと詰めて考えなきゃいけないかなー」
クーにぃもプリンを一つ食べきった。口どけなめらかでフィーリィーで作るのは初めてだったけど合格点だと思う。
11
あなたにおすすめの小説
たとえば、俺が幸せになってもいいのなら
夜月るな
BL
全てを1人で抱え込む高校生の少年が、誰かに頼り甘えることを覚えていくまでの物語―――
父を目の前で亡くし、母に突き放され、たった一人寄り添ってくれた兄もいなくなっていまった。
弟を守り、罪悪感も自責の念もたった1人で抱える新谷 律の心が、少しずつほぐれていく。
助けてほしいと言葉にする権利すらないと笑う少年が、救われるまでのお話。
怒られるのが怖くて体調不良を言えない大人
こじらせた処女
BL
幼少期、風邪を引いて学校を休むと母親に怒られていた経験から、体調不良を誰かに伝えることが苦手になってしまった佐倉憂(さくらうい)。
しんどいことを訴えると仕事に行けないとヒステリックを起こされ怒られていたため、次第に我慢して学校に行くようになった。
「風邪をひくことは悪いこと」
社会人になって1人暮らしを始めてもその認識は治らないまま。多少の熱や頭痛があっても怒られることを危惧して出勤している。
とある日、いつものように会社に行って業務をこなしていた時。午前では無視できていただるけが無視できないものになっていた。
それでも、自己管理がなっていない、日頃ちゃんと体調管理が出来てない、そう怒られるのが怖くて、言えずにいると…?
陰キャ系腐男子はキラキラ王子様とイケメン幼馴染に溺愛されています!
はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。
まったり書いていきます。
2024.05.14
閲覧ありがとうございます。
午後4時に更新します。
よろしくお願いします。
栞、お気に入り嬉しいです。
いつもありがとうございます。
2024.05.29
閲覧ありがとうございます。
m(_ _)m
明日のおまけで完結します。
反応ありがとうございます。
とても嬉しいです。
明後日より新作が始まります。
良かったら覗いてみてください。
(^O^)
ある少年の体調不良について
雨水林檎
BL
皆に好かれるいつもにこやかな少年新島陽(にいじまはる)と幼馴染で親友の薬師寺優巳(やくしじまさみ)。高校に入学してしばらく陽は風邪をひいたことをきっかけにひどく体調を崩して行く……。
BLもしくはブロマンス小説。
体調不良描写があります。
男子高校に入学したらハーレムでした!
はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。
ゆっくり書いていきます。
毎日19時更新です。
よろしくお願い致します。
2022.04.28
お気に入り、栞ありがとうございます。
とても励みになります。
引き続き宜しくお願いします。
2022.05.01
近々番外編SSをあげます。
よければ覗いてみてください。
2022.05.10
お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。
精一杯書いていきます。
2022.05.15
閲覧、お気に入り、ありがとうございます。
読んでいただけてとても嬉しいです。
近々番外編をあげます。
良ければ覗いてみてください。
2022.05.28
今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。
次作も頑張って書きます。
よろしくおねがいします。
公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜
上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。
体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。
両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。
せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない?
しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……?
どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに?
偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも?
……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない??
―――
病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。
※別名義で連載していた作品になります。
(名義を統合しこちらに移動することになりました)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる