25 / 31
25
しおりを挟む目が覚めたら自室だった。あれから2日寝ていたみたい。見慣れた景色にホッとする。
「おはよう、フィ」
横に顔を向けると兄二人がいた。自然と笑顔になる。
「にぃ」
腰が抜けたみたいに力が入らなかった身体が今は動かせる。ベッドに手をついて起きると、ルーにぃに手を広げて抱き締めて貰った。
「おはよう、ルーにぃ、クーにぃ」
へにゃと笑いかけて二人の頬にキスをした。兄二人がいて嬉しくてニコニコしていたらクゥ~とお腹が鳴る。
「朝食にしよう」
元気に返事をしてクーにぃに抱っこをねだったら、いつもより長く抱擁された。
「クーにぃ?」
お腹ペコペコより兄の様子が違うのが気になる。いつも自分がされているようにクーにぃの耳を撫でた。白くてふわふわしている。
「クーにぃ、大好き、僕の名前呼んで」
「フィーリィー」
嬉しくてふにゃと笑う。尻尾をパタパタさせながらスリスリする。
クーにぃが顔を上げるまで甘えまくった。我が家はやっぱり気が抜ける。暫くするとハッと気付く。
「ルーにぃ!プリン!」
クーにぃの首にしがみついたまま、後ろで見守っていたルーにぃに訊いた。
「美味しかったよ。フィ」
朝食の間も今もクーにぃに抱き締められたままでいる。特に問題ないからそのまま膝の上で抱っこされていた。
「父上と母上がフィのお菓子を食べたいと言ってる。作ってくれる?フィ」
「作っていいの!? プリン以外も作っていいー?」
キラキラ期待した目で見ると兄は頷いてくれた。用意して欲しい材料を伝えて明日の昼食後に作ることになった。
「フィが考えたゲーム、祭り後に商品化する事にしたんだ。それで試作品ができたらフィにも確認して欲しい」
「僕もお部屋で遊べるね!あっ、ルーにぃ、オモチャ作った時に角は丸めて欲しいの! 角をぶつけて血がでたら大変!」
ギュッとしてくれているクーにぃに顔を向ける。
「カイとカリンやみんなも喜ぶね。クーにぃ」
「そうだねー。また遊びの約束もしたし、新しいオモチャ驚くよー」
頷いてついでに、ブランコ、砂場、鉄棒の遊具もお願いした。
遊び道具、オセロ、パズル、すごろく、積み木、トランプ、ジェンガ、折り紙、竹トンボ、シャボン玉、なわとび、フラフープ、ヨーヨー、けん玉。
勉強に役立つ、あいうえお表、カルタ、お買い物ごっこも頼んだ。
絵に書きながら楽しく説明した。
翌日昼食が済み、調理室で手を綺麗に洗う。兄二人も手伝ってくれる。
カラメルプリン、バナナプリン、イチゴプリン、紅茶プリン、抹茶プリン。
パウンドケーキ、バナナ、ほうれん草、バター、くるみ抹茶、紅茶味。
ふくらし粉があって良かった。
バター、ジャム、紅茶、抹茶クッキー。豆腐、おから、たまごドーナッツ。
生クリームを使ってキャラメルも作った。大量に作らなかったのと、煮る混ぜる揚げる蒸す焼く冷やすの兄たちの手際が良く3時のおやつ前に終わった。
美味しくできてなかったらプロの料理人にレシピ改良を頼もう。
用意された踏み台での立ち作業に疲れて片付けが出来なかった。
「ごめんなさい」
侍女のリズが首を横に振った。
「任せて下さい!これも私共の仕事です」
片付けまでが料理、前世の調理実習を思い出して、へにょと尻尾が垂れる。
パウンドケーキなら余ると思う。
「リズ……甘いの……好き?」
「? はい。大好きです」
ルーにぃに耳打ちして片付けをしてくれた人達にパウンドケーキをお礼に渡して貰った。
食べれなかった使用人たちが、暫く耳と尻尾を垂らしてヘコんでいたのを知らない。
1
あなたにおすすめの小説
たとえば、俺が幸せになってもいいのなら
夜月るな
BL
全てを1人で抱え込む高校生の少年が、誰かに頼り甘えることを覚えていくまでの物語―――
父を目の前で亡くし、母に突き放され、たった一人寄り添ってくれた兄もいなくなっていまった。
弟を守り、罪悪感も自責の念もたった1人で抱える新谷 律の心が、少しずつほぐれていく。
助けてほしいと言葉にする権利すらないと笑う少年が、救われるまでのお話。
怒られるのが怖くて体調不良を言えない大人
こじらせた処女
BL
幼少期、風邪を引いて学校を休むと母親に怒られていた経験から、体調不良を誰かに伝えることが苦手になってしまった佐倉憂(さくらうい)。
しんどいことを訴えると仕事に行けないとヒステリックを起こされ怒られていたため、次第に我慢して学校に行くようになった。
「風邪をひくことは悪いこと」
社会人になって1人暮らしを始めてもその認識は治らないまま。多少の熱や頭痛があっても怒られることを危惧して出勤している。
とある日、いつものように会社に行って業務をこなしていた時。午前では無視できていただるけが無視できないものになっていた。
それでも、自己管理がなっていない、日頃ちゃんと体調管理が出来てない、そう怒られるのが怖くて、言えずにいると…?
陰キャ系腐男子はキラキラ王子様とイケメン幼馴染に溺愛されています!
はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。
まったり書いていきます。
2024.05.14
閲覧ありがとうございます。
午後4時に更新します。
よろしくお願いします。
栞、お気に入り嬉しいです。
いつもありがとうございます。
2024.05.29
閲覧ありがとうございます。
m(_ _)m
明日のおまけで完結します。
反応ありがとうございます。
とても嬉しいです。
明後日より新作が始まります。
良かったら覗いてみてください。
(^O^)
ある少年の体調不良について
雨水林檎
BL
皆に好かれるいつもにこやかな少年新島陽(にいじまはる)と幼馴染で親友の薬師寺優巳(やくしじまさみ)。高校に入学してしばらく陽は風邪をひいたことをきっかけにひどく体調を崩して行く……。
BLもしくはブロマンス小説。
体調不良描写があります。
男子高校に入学したらハーレムでした!
はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。
ゆっくり書いていきます。
毎日19時更新です。
よろしくお願い致します。
2022.04.28
お気に入り、栞ありがとうございます。
とても励みになります。
引き続き宜しくお願いします。
2022.05.01
近々番外編SSをあげます。
よければ覗いてみてください。
2022.05.10
お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。
精一杯書いていきます。
2022.05.15
閲覧、お気に入り、ありがとうございます。
読んでいただけてとても嬉しいです。
近々番外編をあげます。
良ければ覗いてみてください。
2022.05.28
今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。
次作も頑張って書きます。
よろしくおねがいします。
公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜
上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。
体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。
両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。
せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない?
しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……?
どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに?
偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも?
……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない??
―――
病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。
※別名義で連載していた作品になります。
(名義を統合しこちらに移動することになりました)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる