ショタ魔王と第三皇子

梅雨

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デートの準備

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右手に俺の手を、左手は噴水につけてキュロが目配せしてきた。準備はいいか、と問いかける視線に小さく頷いて答える。

「いくよ」

キュロが水からゆっくり手を引いた。離れていく手を惜しむように、惹かれるように浮かび上がっていく水を見て思わず声が出た。
今まで上に、と伝えていた俺とは違って、キュロはついてくる、元の水源とは分かれる。手から一定位置で停滞、ここまでをしっかり想像して魔法を使っていた。工程が細かい。多分俺が大雑把すぎたんだろう。呪文一つも発さないまま、その水を地面に叩きつけたキュロが、俺の手を離す。

「想像の共有はニオ様の少しの魔力でも出来るから。次はニオ様がやってみて」
「う、ん。よし。やる」
「......あんま深く考えないようにね。想像力は大事だけど、魔力を安定させるのも大事なんだから」
「ん‼︎」
「聞いてる...?」

さっきキュロが見せてくれた手本みたいに、水に触れて、引き上げて、ついてくるイメージで。遠くからやった時より簡単にポコンと分かれた水塊を自分より高い位置まで上げる。
いち、に、さん。十秒すぎても形は崩れることなく、安定した浮遊に振り返ってキュロを見る。思っていたより爛々としていた目だったらしく、面白そうに笑いながらもグッと親指を立ててくれた。

「魔法を使うだけの方法なら多分いくらでもあるけど、これがきっとニオ様に合ってると思う」
「こんなに長く魔法使えたの初めてだ」
「身に合わないこととかやってたんじゃないの?まぁ共有中は思いっきり渋い顔してたから、そんなに考え込まないことが課題かな」
「なるほど、で、これどうすればいい?」

まだ浮いたままの水塊を少しだけ横に動かしたり上下させてみたりする。やっぱり安定感があるおかげで全然形が崩れない。

「もう解いてもいいけど......せっかくなら別のも試したいよね」

少し考えた末に、キュロは人差し指を立てた。

「試しに魔法の複数発動やってみようか」

思いつきにしては難易度が跳ね上がりすぎていないだろうか。この成功した一つを大事にしていく、これから育てていくのがいいんじゃないのか。そう口にしようとしたが、いけるいけると軽く手を叩くキュロに言葉が出なかった。
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