悪役令嬢?なら、トコトンやってあげましょう

七海のうえ

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ヒロインは思っていたよりヤバいらしい

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そのお兄様から受け取った花と手紙はお兄様の言う通り

それに、何か鉄臭い匂いもするのだ……
ここまでこればもう分かるだろう。

そう、コレは

「お兄様……これってアレですよね」

「……そうだ。言いたくはないが、正真正銘、血だろうな」

手紙の文字も血、花の赤も全部血だ。
今触って気が付いたのだが、元々花の色は全部白だったのだろう。だが、それを全部血で染められている。
絵の具だと思いたかった、そうあって欲しかったがどう考えてもコレは血としか思えない。
ドロッと絵の具にしてはベタベタで
やはり鉄臭くて仕方ない。
それにしてもこの量……全部ヒロインのものなのかしら?あのイベントの日から四日から五日が経った。それで送られた花の数は八本。手紙が十五通。
花の大きさは薔薇一輪と同じくらい。
手紙も中身は一枚だけとはいえ、紙全体にビッシリ文字が並んでるし、それが十五通……
もう、その時点でおかしい。


その全てがヒロインの血だったとしよう。ヒロイン、アリスの適正魔法は聖属性。回復魔法が最も適した属性であり、あの子は神憑き。それに多分転生者なら私のいた時代の人間だった事はほぼ確定。

なら、その行為が自分にどんな影響を及ぼすかぐらいは分かるはずだろう?見た所、ヒロインは普通に元気そうだったし回復魔法でという訳でも無さそうだった。あの花と手紙を作るのに血を使っているのであれば、精神的にもっとヤンデレみたいになってるだろうし、そもそもあの子に憑いてる神様が流石に止めてくれていた。

だって、何度も何度もえげつない量の血を抜きその行為から来る貧血の症状を毎回、無理矢理治すなんて正気の沙汰じゃない。

「……お兄様。最悪な展開に気付いてしまったんですが。」

「あぁ、ソレが真実じゃない事を願うよ」

それは、この血の持ち主の事だ。

私が今、考えていたのはヒロインの血液だった場合。でも、可能性としてはそれだけではないだろう?
多分、コレは

【……最悪ですね。アレン様】

「本当に最悪よ…ヴォルク、申し訳ないんだけどコレってあの子の血?」

【……違う。あの子だけじゃない】

はい、確定ですね。鼻のきく狼のヴォルクが言ってるんだから間違いない。

「……一応、その子の調査頼んどきましょうか」

「そうだな…」

てかさぁー、この赤眼の聖女って緩めな乙ゲーじゃなかったの?明らかにヒロインの様子がおかしいし、色々歪んでる。
そもそも、私が転生者という事もおかしいし全属性に使い魔、神憑きってどう考えてもイレギュラーすぎる。
ヒロインも転生者っていうのもまぁ、有り得ることではあったがヤンデレは駄目だろぉい。こんなんじゃヒロインもろくに攻略出来ないって。

……まぁ、そこは世界の強制力とやらが働くだろうけどさ。でも、これは気ままにしている場合じゃなくなってきたぞ。

「とりあえず、今日は僕もアレンと一緒に居ていいか?」

「……えぇ、流石にお兄様の身に何かあってからでは遅いですしね。何か対策が出来るまでそうしましょう。」

【……アレン、もう大丈夫?】

「えぇ、もう大丈夫よ。貴方達三人も注意の方はしといてね。」

お兄様がこんな目にあってるなら、マトリックス殿下も無事かしらね。一応、攻略対象だしヒロインとの接触はあったようだし。あと、残りの攻略対象の様子も見とかないといけないわ。ヒロインが転生者でヤンデレだと分かった以上他の攻略対象も無事とは限らないしね。

「ハイタカ、貴方鷹になれるそうね。鷹の方の姿である人達の安否確認の方を頼めるかしら?鷹の姿ならあちらも接触は不可能でしょ」

【確かに、それなら大丈夫ですね。その方というのは?】

「この人達もお兄様やマトリックス殿下と同じでアリスが接触している可能性が高い人達よ。一人はブルーラン=ベアトリス。隣国の王子よ。アルフレッド=サラザールは公爵家のご令息ね。ロゼ=カタールはマトリックス殿下付きの専属執事。あとマトリックス殿下の様子の方も見て来て欲しい。」

【分かりました行ってきます。】

「怪我しないようにね。」

「……アレン。その人達…」

あら?お兄様ちょっと安心したのかしら。言動が元のお兄様に戻っているわ。

「えぇ、この人達はアリスさんと会っている可能性が高い人達です。お兄様も初めてアリスさんと会ったのは入学式ですよね?この人達はその日、アリスさんと接触があった人達です。一応、念の為でお兄様と同じ被害に遭われてないかの確認です。」

「……何で知ってるの?」

「……まぁ、それは秘密ですよ」

際どい所突いてきたわね、お兄様。私が素直にゲームの事を話した所で信じる事は無いだろうし、今は誤魔化すしかない。

ハイタカが情報を持ってくるまで下手に動けない今、後はハイタカに任せるしかないわね

(ハイタカ…無事でいいんだけど)
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