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思ったよりヤバいらしい*お兄様視点
しおりを挟む「お兄様?」
僕はアレンを強く強く抱き締めさせて、その体温を彼女を感じる。
最近、やたらとしつこく付けてくる女がいた。そいつは入学式の後、何故か生徒会室で突っ立ていて何処と無く不気味なやつだった。初めてそいつの瞳を見てしまった時、体に電気が走るようなゾクリとした感覚が走ったのを僕は覚えている。
……でも、それは決して【恋】なんて美しく、綺麗なものではなかった。
それは、獲物を見定めた猛獣のような威圧的で欲望に満ち、醜く恐ろしい瞳であった。
(……気持ち悪い)
僕は幼い頃から貴族として生きてきて、その分女性との交流も避けて通れないものであった。
貴族の女性というのは本当に恐ろしい。
僕が見てきた女性の殆どは僕と婚約者になりたいが為に擦り寄ってきて、媚を売ってきた。
女性の本性が見えたようで怖かった。気持ち悪かった。
最近、付けてきた女も全く同じ眼をしていた。気持ち悪くて仕方なかった。
でも、あの女は手紙まで送り付けてきやがった。それも文字の色は赤黒く、ベタベタしていた。「愛してる」「大好き」「なんであの女なの?」
みたいな言葉が紙一面ビッシリ書かれていた。
あの女は僕の行動を監視してるようで、僕がアレンに構う度、「なんでアイツなの?」「なんで私じゃないの?」
なんて文を送り付けてきた。
なんでって言われても、僕が愛してるのはアレンだけなんだから当たり前じゃない?僕が愛するのはこれからずっと、アレンのみ。
狂おしいぐらい愛してる。その白くて柔らかい肌も僕と同じ赤い瞳も闇より深いその黒髪も頭のてっぺんから足の先までぜーんぶ僕がアイシテアゲル。
本当に今すぐにでも監禁してボクのものにしたいのに、アレンってば色んな男を虜にしちゃうんだから僕も始末が大変で仕方ないよ。
まぁ、最近アレンのペットが手伝ってくれるから僕の負担も軽くなったんだけど……
どうやらアイツらもアレンに気があるようなんだよね。一応、アレンの従者だから手は出さないと思うし契約とかもしとくものはしといたから大丈夫だと思うだけど。
あぁ、でもホントにあの女邪魔だなぁ
あんまりにもしつこく色々とやってくるものだから(物理的に)焼いてしまおうと思ったんだけど、アレンが言うには危険だから今は手を出さないという。
アレンは僕のストーカーの件だけで僕の他にも約四人の人間が関わっている事を言い当てた。アレンはなんで知ってるか教えてくれなかった。アレンは学園に入ってからそうやって誤魔化す事が多くなった。アレンは学園に入ってから少し昔と変わった。
学園に入るまでずっと静かでいっつも胸を張って完璧な令嬢に見せていたアレンは学園に入った瞬間まるで別人になったかのように変わった。
とても喋るようになった。
アレンは今まで兄弟の僕でさえも言葉を交わすことを最低限に抑え、本当に喋る事がなかった。夜会に誘われ参加しても本当に最低限の挨拶だけで終わらせ、全く笑わない事から彼女は【氷の姫】と呼ばれていた程。
その氷の姫と呼ばれた彼女が入学式でなんと笑顔で挨拶をしている。それ見た周りのご令嬢は固まって手にしていたものを次々と落とすわ、ご令息はアレンの笑顔の釘付けになり狼の瞳をしていた。
それも、現場が入学式終了直後だったという事で目撃者も多数おり、
そんな訳でそのアレンの笑顔事件は瞬く間に貴族内で広がってしまった。
……僕のアレンが
で、その噂が広がってしまった事でアレンに近づく輩が増える。それにプラスしてアレンはこの前の魔力適性の時、全属性に神々の主という称号が発覚した事で魔法界の方でも目をつけられる。
それにだっ!アレンはその神様とやらを既に二体従えており、その上神話に出てくるレベルの狼の使い魔も増えてた。
それに顔がイケメン。三人共顔が整っているものだからそれを狙う輩も出てきてお兄様大変のなんの。事故処理が大変だよ。
もう、僕はねどこぞの女のストーカーの件よりもアレンが本当に攫われないかというのが心配で眠れなかったんだよぉ。
あぁ、早くアレンを僕のモノに出来ないかなぁ?そうしたら、誰かにアレンの美しさを晒す事も無くなるしアレンが誰かに奪われる心配もなくなる。
アレンにはマトリックス殿下という婚約者がいるけどアイツはアレンには相応しくないし、そもそも相応しかったとしても僕が断固して認めません。
だって、あの男。僕の事をストーカーしてる女にデレデレしてるんだよ?貴族の中での噂ではもう、恋仲に発展してるとか。確かにそう見られても仕方ないよね殿下。あんなに鼻の下伸ばして欲望塗れの瞳であの女のこと見てるんだから疑われても仕方ないね。
その内殿下が婚約破棄だぁ!とかなんとか騒いできそうな予感もしなくないし、どうせその理由もあの女に惚れたからぁーとか晒すんだろうなぁ。
僕は約二年の間、殿下と共に生徒代表としてやってきてるが、本当に殿下、いやアイツならやりかねないと僕は知ってる。だって、アイツは女癖がクソがつく程悪い。本当に勉強が出来て、運動も出来て顔もいいけどアイツは女が絡んでくると知能数が一気に低下する。こんなやつが国を支えていけるのかと時々不安になる事もあった位。
今まで僕が何回アイツの恋路に巻き込まれ対処に追われたか…
毎回、その噂とかは陛下が全部抹消してるようなので残っておりませんが僕は全部知ってます。だって、当事者ですから。
本当にアイツならその内アレンに婚約破棄だぁーとかイキナリきそうだからもう、色々準備し始めようかな?
今僕が口を出したとしても、僕が逆に叩かれる羽目になりかねない。不敬罪だとかなんとか言ってきそう。
そんな時は僕の知ってるアイツの女癖を晒して、徹底的に殺りますけど。アレンには被害がいかないようにしたいな。
なんて、恐ろしい未来計画を立てながら僕は愛しい愛しい彼女の体を抱き締める。本当に愛しい私の妹。
君の事を弄ぶ殿下は徹底的に潰すからね安心してね。あの女もだよ?
だから、今は僕の事を見ていて欲しいな。僕はあんな女の馬鹿な遊びなんて気にしてないから今は僕を見て?
僕をアイシテ
_________あとがき
どんどんお兄様が黒くなってきます。
お兄様の中の殿下はもう、敵確定ですね
報告ー
テスト二週間前に入ったので空いた時間にちまちま投稿します。相変わらずのスロー投稿、低クオリティーですが楽しんで貰えると嬉しいです。
ここまでご視聴ありがとうございます⸜(*ˊᵕˋ*)⸝💕✨
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