【完結・番外編更新】魔法書の創り手 〜無属性で落ちこぼれの烙印を押された僕が魔法書を創ったら、なぜか最強たちの中心にいた件〜

はぴねこ

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 オスカーの言葉に、魔法書を作ることが急に怖くなった。

「世界が注目するなんて……大袈裟だよ」
「注目するだろう? こんなにすごいものを作ったんだから。エノクはもっと自覚するべきだ。君は、この世界でたった一人の魔法書の創り手なのだから」

 魔法書は作りたい。
 でも、注目なんてされたくはない。

「おにぃちゃんをいじめるな!」
「やっぱりこんなやつ追い出そう!」

 僕の前に立ってネルがオスカーを睨みつけた。
 そして、ミラが小屋の方へ走っていく。
 おそらく、火の魔法書を取りに向かうのだろう。

「ミラ待って! 僕は大丈夫だから、二人とも落ち着いて」
「二人ともごめん。私はエノクをいじめたいわけじゃないんだ」

 オスカーが二人を不安にさせたことを謝る。
 けれど、オスカーは僕に謝ることはせずに、「考えておいてほしい」とだけ言った。

 魔法書に注目が集まれば、当然、制作者を探すだろう。

 旅商人さんはきっと僕のことは話せないと思う。
 旅商人になったとはいえど、別に精霊の森が嫌いで外に出たわけではない。
 僕のことを話せば、当然、精霊の森のことを話すことになってしまうだろうが、精霊の森を守りたい旅商人さんは話せずに、権力に追い込まれることになってしまうかもしれない。

 旅商人さんにも、森の民にも迷惑をかけずに魔法書を作るためには、オスカーの言う通り、僕が精霊の森から出る必要がある。

 だけど、本当に、僕はただ平穏に生活していきたいだけで、注目されることなんて望んでいない。
 注目されることなく、ただ魔法書を密かに作っていくことができたら一番いいのに……



 そんな風に願っていたのに……

「私のパーティーメンバーを連れてきたわ!」

 ゼノビアが自分の仲間だという人々を3人も連れてきた。

 オスカーはゼノビアの冒険者ランクはS級だと言っていた。
 S級と言えば、冒険者みんなの憧れだ。
 そんな人たちが僕の魔法書を持っていたら、どうやっても目立ってしまう。
 頭が痛い……

「みんな精霊の森に入れてよかったわ! 誰か一人でも入れなかったらパーティーを解散する覚悟で連れてきたのよ!」
「どうして、そんな覚悟までしてわざわざ……」
「だって、エノクを紹介したかったんだもの!」

 ゼノビアが当然だというように言うけれど、僕は誰かに紹介して楽しい人間ではないと思う。

 人見知りだし、捻くれてるし、生意気だし、精霊となら話せるけど、人間相手だと上手くいかないし、捻くれてるし、捻くれてるし。
 うん。これは事実だからね。
 自分でもちゃんと認識しないといけないよね。

 そんな僕に紹介しても楽しいことなんてないわけで、むしろ嫌な思いをさせるかもしれない。
 というか、その前に、精霊の森にそんなにポンポン人が入ってきちゃダメなんじゃないの?

 そっとネルとミラを見ると、固まっていた。
 こんなに大勢の外の人に会ったことがないからだ。
 僕の後ろに隠れて、服を掴んでくる。

 ゼノビアの冒険者パーティーは多種族だった。
 エルフにドワーフに獣人。そして、人間のゼノビアだ。

 エルフは女性で回復と遠距離攻撃を担うシーラ。
 ドワーフは背は低いがしっかりした体躯の防御役のダニアン。
 獣人は背が高く大柄で大剣使いのガルフレッドだ。

「エノク、この森から出て行っちゃうの?」
「いや、そんなつもりはない……」

 そんなつもりはないけど、ずっとここにいたら、こうやっていろんな人が来てしまうのだろうか?
 そうしたら、やはり精霊たちにも森の民にも迷惑がかかるだろう。
 精霊が精霊の森に入れているのだから彼らは悪い人ではないのだろうけれど、精霊の森のことを知る人が増えれば、精霊の森の情報が外部に広まる可能性は高くなるだろう。

「もし、エノクが森から出るなら、私も一緒に行く!」
「ミラ!?」
「私も外の世界を見てみたい!」

 ミラは好奇心旺盛な子だから、いつかはそう言い出すかもしれないとは思っていたけれど、まさか僕をきっかけにそんなことを言い出すなんて。
 ミラのお父さんに叱られるかもしれない。
 ただでさえ、こうしていろんな人が来ることをよく思っていないだろうに。

「ミ、ミラが行くなら僕も行くよ!」

 ネルまでそんなことを言い出した。
 これは絶対に族長に叱られるな。
 僕が族長の立場なら僕みたいなのを子供達に近づけたいとは思わないだろう。


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