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19 養子にしたい人々
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「明日には街に出て、宿を取るよ!」
「街を見るのは賛成だけど、宿はいらないだろう」
「僕は独り立ちするためにここに来たんだから!」
「何も婚約者が暗殺者に狙われている物騒な領地で独り立ちしなくてもいいだろう」
はっはっはっとオスカーが爽やかに笑う。
「それ、オスカーが言っていいことじゃないと思うけど!?」
「いや、ホント、それな?」
僕が叫んだのと同時に客間の扉が開いて、造形が綺麗なのに糸目で少し残念な男性が部屋に入ってきた。
綺麗な金髪で、顔の輪郭も華奢で肌も白くて綺麗だ。
耳の形や唇の形などどこを見ても整っていると感じるのに、糸目が彼を美形とは違うものにしている。
でも、これって……
「あら、兄さん。帰ってきたのね」
「妹よ、相変わらず愛想がないな。お前が自慢していた天才少年が我が家に来ると聞いては帰ってこないわけにはいかないだろう」
「エノク、この人はルキウス。私の兄よ」
僕は慌ててソファーから立ち上がり挨拶をした。
ルキウスは気さくな様子でまた僕に座るように勧めてくれた。
そして、どういうわけか僕の隣に座った。
「えっと……あの……」
ソファー席はまだ余裕がある。
初対面の人間の隣にピッタリ座る必要はないと思うのだが?
「ああ、ごめん。僕、人との距離感バグってて」
ごめんごめんと笑いながら、ルキウスは少しだけ離れてくれた。
というか、そのセリフ、普通は自分では言わないんじゃないだろうか?
自覚があるバグはバグではないような?
「それで、エノクはいつ僕の弟になってくれるって?」
「いや、兄さんの弟にするくらいなら私の弟にするから?」
「だって、こんなに可愛いんだから、やっぱり弟にするべきでしょ?」
「ルキウス、可愛いは禁句だ。エノクは15歳だから」
「「え!?」」
え? ニーナにまでびっくりされた。
というか、ルキウスの弟になったらゼノビアの弟でもあるわけだが?
この二人は何を争っているのだろう?
というか、ルキウスの弟になるとかいう話はどこから出てきたのだろうか?
この兄妹、どちらも弟が欲しかったのか?
ゼノビアは確か三女だって言っていたな。
それで、ルキウスも弟を欲しがるということは、長男の下が全て女性だったのか。
「もうエノクくんが到着していると聞いたが」
そう言いながら部屋に入ってきたのはまるで戦士かのような体格の男性だった。
背が高く、がっしりとした肩幅、精悍な顔。
ルキウスの父親としては違和感はあるが、ゼノビアの父親というとすごく納得できる。
ゼノビアと同じ赤毛に堂々たる体格と態度だ。
「あら、その子がエノクくん?」
その男性の後ろから現れた女性はルキウスに似ていた。
糸目ではなく、美人なのだが、美しい金髪や輪郭、肌の色合いなどはよく似ていた。
ルキウスの方が母親似のようだ。
「紹介するわ」と、ゼノビアがご両親を紹介してくれた。
そして、なぜか、ルキウスとは反対側にピッタリくっついて座る伯爵夫人。
ルキウスと夫人は見た目だけじゃなく、性格も似たもの親子だったようだ。
「それで、エノクくんはいつわたくしの養子になるのかしら?」
「そうだな。今日中に書類を作ってしまおうか?」
「ちょっと、待ってください! 僕、養子になる予定はないのですが!?」
「弟が欲しい」くらいの話なら冗談で流せるが、一領主とその夫人の養子の手続きは冗談で流すには危険だろう。
めちゃくちゃ怖いよ。怖すぎる。
なんだってそんな話になっているのか!?
「「え?」」とパルミラ領の領主と夫人がキョトンッとその目を瞬いている。
「お父様、お母様、ごめんなさい。エノクがあまりにも可愛い見た目をしていたから、我が家で保護しなきゃって思ったんだけど、エノクは15歳なんですって」
「「10歳じゃないの!?」」
「さすがにそんなに小さくないです!!」
え!? 小さくないよね!?
確かに、学園の同い年の子達よりも背は低いし、痩せてはいたけど、10歳に見えるほどじゃないはずだ!
「そうか、あと一年も経たずに成人するのか……」
「そんな年齢の子を養子にするのはエノクくんに失礼になるわね……」
独り立ちできる年齢の人を養子にするというのはだいぶおかしな話だよね。
どういうわけかパルミラ領の領主と夫人がものすごくがっかりしている。
ついでにルキウスも。
少し……いや、すごく変わった人たちだけど、お人好しで、こんな人たちが家族だったら幸せだっただろうななんて思ってしまった。
僕にはとても勿体無い家族だけど。
「いや、別に、15歳だからって諦める必要はないんじゃないだろうか?」
ルキウスが何か言い出した。
「長男の僕がポンコツだから優秀な跡取りとして養子にするということなら、エノクの矜持を傷つけることもなく、世間的にも納得される理由じゃないか!?」
「「「それだ!!!」」」
「それだ! じゃないですよ!!」
思わず、初対面の領主一族に全力でツッコんでしまった。
しかし、これは仕方ないと思う。
オスカーとニーナも笑うだけでツッコミ役が不在だったのだから。
「街を見るのは賛成だけど、宿はいらないだろう」
「僕は独り立ちするためにここに来たんだから!」
「何も婚約者が暗殺者に狙われている物騒な領地で独り立ちしなくてもいいだろう」
はっはっはっとオスカーが爽やかに笑う。
「それ、オスカーが言っていいことじゃないと思うけど!?」
「いや、ホント、それな?」
僕が叫んだのと同時に客間の扉が開いて、造形が綺麗なのに糸目で少し残念な男性が部屋に入ってきた。
綺麗な金髪で、顔の輪郭も華奢で肌も白くて綺麗だ。
耳の形や唇の形などどこを見ても整っていると感じるのに、糸目が彼を美形とは違うものにしている。
でも、これって……
「あら、兄さん。帰ってきたのね」
「妹よ、相変わらず愛想がないな。お前が自慢していた天才少年が我が家に来ると聞いては帰ってこないわけにはいかないだろう」
「エノク、この人はルキウス。私の兄よ」
僕は慌ててソファーから立ち上がり挨拶をした。
ルキウスは気さくな様子でまた僕に座るように勧めてくれた。
そして、どういうわけか僕の隣に座った。
「えっと……あの……」
ソファー席はまだ余裕がある。
初対面の人間の隣にピッタリ座る必要はないと思うのだが?
「ああ、ごめん。僕、人との距離感バグってて」
ごめんごめんと笑いながら、ルキウスは少しだけ離れてくれた。
というか、そのセリフ、普通は自分では言わないんじゃないだろうか?
自覚があるバグはバグではないような?
「それで、エノクはいつ僕の弟になってくれるって?」
「いや、兄さんの弟にするくらいなら私の弟にするから?」
「だって、こんなに可愛いんだから、やっぱり弟にするべきでしょ?」
「ルキウス、可愛いは禁句だ。エノクは15歳だから」
「「え!?」」
え? ニーナにまでびっくりされた。
というか、ルキウスの弟になったらゼノビアの弟でもあるわけだが?
この二人は何を争っているのだろう?
というか、ルキウスの弟になるとかいう話はどこから出てきたのだろうか?
この兄妹、どちらも弟が欲しかったのか?
ゼノビアは確か三女だって言っていたな。
それで、ルキウスも弟を欲しがるということは、長男の下が全て女性だったのか。
「もうエノクくんが到着していると聞いたが」
そう言いながら部屋に入ってきたのはまるで戦士かのような体格の男性だった。
背が高く、がっしりとした肩幅、精悍な顔。
ルキウスの父親としては違和感はあるが、ゼノビアの父親というとすごく納得できる。
ゼノビアと同じ赤毛に堂々たる体格と態度だ。
「あら、その子がエノクくん?」
その男性の後ろから現れた女性はルキウスに似ていた。
糸目ではなく、美人なのだが、美しい金髪や輪郭、肌の色合いなどはよく似ていた。
ルキウスの方が母親似のようだ。
「紹介するわ」と、ゼノビアがご両親を紹介してくれた。
そして、なぜか、ルキウスとは反対側にピッタリくっついて座る伯爵夫人。
ルキウスと夫人は見た目だけじゃなく、性格も似たもの親子だったようだ。
「それで、エノクくんはいつわたくしの養子になるのかしら?」
「そうだな。今日中に書類を作ってしまおうか?」
「ちょっと、待ってください! 僕、養子になる予定はないのですが!?」
「弟が欲しい」くらいの話なら冗談で流せるが、一領主とその夫人の養子の手続きは冗談で流すには危険だろう。
めちゃくちゃ怖いよ。怖すぎる。
なんだってそんな話になっているのか!?
「「え?」」とパルミラ領の領主と夫人がキョトンッとその目を瞬いている。
「お父様、お母様、ごめんなさい。エノクがあまりにも可愛い見た目をしていたから、我が家で保護しなきゃって思ったんだけど、エノクは15歳なんですって」
「「10歳じゃないの!?」」
「さすがにそんなに小さくないです!!」
え!? 小さくないよね!?
確かに、学園の同い年の子達よりも背は低いし、痩せてはいたけど、10歳に見えるほどじゃないはずだ!
「そうか、あと一年も経たずに成人するのか……」
「そんな年齢の子を養子にするのはエノクくんに失礼になるわね……」
独り立ちできる年齢の人を養子にするというのはだいぶおかしな話だよね。
どういうわけかパルミラ領の領主と夫人がものすごくがっかりしている。
ついでにルキウスも。
少し……いや、すごく変わった人たちだけど、お人好しで、こんな人たちが家族だったら幸せだっただろうななんて思ってしまった。
僕にはとても勿体無い家族だけど。
「いや、別に、15歳だからって諦める必要はないんじゃないだろうか?」
ルキウスが何か言い出した。
「長男の僕がポンコツだから優秀な跡取りとして養子にするということなら、エノクの矜持を傷つけることもなく、世間的にも納得される理由じゃないか!?」
「「「それだ!!!」」」
「それだ! じゃないですよ!!」
思わず、初対面の領主一族に全力でツッコんでしまった。
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