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第一章 魔王の誕生と、旅立ちまでのそれぞれ
ゲームとヒロイン
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リィカが魔物と戦うのは初めてではない。
王都郊外には森があり、そこには魔物が生息している。定期的に倒していかないと、魔物はすぐ数を増やしてしまうから、魔物退治は推奨されている。
魔物を倒し、その証拠を冒険者ギルドへ提出するとお金をもらえる。実践練習にもなるしどうだろうかと、クラスメイトたちに誘われてリィカも一緒に行ったのだ。
しかし魔物を見たリィカは、動けなくなった。クレールム村で大量の魔物に囲まれたときの恐怖が、リィカの中に残っていた。
再びの魔力暴走などという事態にはならなかったものの、リィカは何もできなかった。そんなリィカを守りつつ魔物を倒しきってくれたのは、クラスメイトだ。
「迷惑かけてごめんなさい」
頭を下げて謝った。もう誘われることはないだろうと思った。仲良くなれたクラスメイトたちに嫌われたかもしれないと思った。けれど。
「せっかくの魔法がもったいないよ。行ってみよう。あと一回だけでいいからさ」
そう誘ってくれたのは、クラスのリーダー格の男の子。その手に引っ張られるように、リィカは再び魔物と対峙した。けれど、やはり怖くて駄目だと思ったとき、その男の子が魔物の攻撃を受けてしまいそうになった。
「――危ないっ!」
リィカは叫んで、咄嗟に魔法を放っていた。そして、その一撃で魔物を倒した。
「ほらやっぱり。リィカはすごいよ」
男の子はそう言って笑った。他のクラスメイトたちも褒めてくれた。リィカが魔物と戦えるようになったのはそれからだ。
あのときのことを思い出して、リィカは笑みを浮かべる。
(みんな、ありがとう)
ここでこうして女の人を守って大量の魔物と向き合っていながらも、怯まずに戦おうとしているのは、クラスメイトの皆のおかげだ。
※ ※ ※
「《狂乱の風》!」
リィカは魔法を唱えた。風の上級魔法。狂ったように吹き荒れる風が、魔物を切り裂き遠くへと吹き飛ばす。それを確認しながら、さらに唱える。
「《濁流》!」
水の上級魔法だ。荒れ狂う濁流が魔物を呑み込み、押し流していく。リィカはフウッと息をついた。魔物との距離が開いた。
「《氷の剣林》!」
これも水の上級魔法。連なる尖った氷の柱が、リィカと魔物達を遮るように出現した。多すぎる魔物が一度に押し寄せてこないようにするための、大きな氷の壁だ。
上級魔法は広範囲に効果のある魔法だ。強力だが、その分魔力の消費も多い。魔物の数が膨大である以上、魔力の消耗は可能な限り避けたかったのだ。
そのリィカの目論見は成功した。今向かってきているのは氷の柱を飛び越えられる、空を飛ぶ魔物と跳躍力のある魔物だけ。
「《風の千本矢》!」
風の中級魔法だが、広範囲に効果がある魔法だ。上級魔法に比べれば範囲は狭く威力も弱いが、それでも魔物を倒すには十分だ。
(これなら、いける!)
これで倒せるなら、戦える。そう判断してリィカは魔法を使い続ける。だが、ドンッという大きな音が聞こえて、それを見たリィカは顔を引き攣らせた。《氷の剣林》の一部に、大きな罅が入っているのが見えた。
「っっっ!」
壊されたらマズいとは思ったものの、魔物は次から次へと襲いかかってくる。その対処はできても、それ以外にまで手は回らない。
――ドォンッ!
何も出来ないまま、氷の柱に大きな穴が開いた。そこから魔物が這い出してきて、さらにその穴が広げられていく。
『無理だと思えば逃げること』
ダスティンは授業の中でそう言っていた。クラスメイトたちも言われた。リィカもそれは分かる。けれど、自らの背後に視線を向ける。そこにいるのは、リィカ自身が《防御》で守っている人だ。
この人を置いて逃げられるのか。――否だ。
この人を連れて、守りながら逃げられるのか。――無理だ。
(だったらこの場で戦うしかない!)
まだ魔力は残っている。戦いきって生き残る。リィカは、その覚悟を決めたのだった。
※ ※ ※
「あ……」
レーナニアは《防御》の中でへたり込みそうになった。助かった、と何のひねりもなく思った。これで自分は死ななくて済むと、ただそう安堵した。
ゲームの中でのレーナニアは、魔王誕生と同時に死んでしまう可能性があった。魔物に取り囲まれたまま、魔物の餌となっていたかもしれなかった。それが回避される手段はたった一つ。ヒロインが、レーナニアを助ける選択肢を選んでくれること。
だからこれで大丈夫だと思った。自分は助かる。ヒロインだって死んでしまうことはない。良かったと、ただ安堵した。
実際にリィカは強かった。強力な魔法をいとも簡単に使っていた。何度目かで、詠唱していないことにも気付いた。そんなことが可能なのかと驚いたが、この場ではただただ頼もしい。
けれど、ドンッという音とリィカの引き攣った顔に、レーナニアの視線もそちらへ向かう。《氷の剣林》が壊れ、そこに大きな穴があいた。その先に見えたのは、大量の魔物。
(あんなに多くの魔物が……。本当に大丈夫なのでしょうか?)
不安に駆られてリィカを見ると、決死の覚悟を決めた顔をしていた。
「まっ……!」
「《地割れ》!」
レーナニアの止めようとした声は、リィカの魔法を唱える声にかき消された。
土の中級魔法。地面が割れて、魔物達が吸い込まれるように消えていく。上げかけた声をどうしていいか迷った瞬間、レーナニアの視界に自分に向かってくる魔物の姿が見えた。
――ドォン!
「きゃあっ!」
魔物が《防御》にぶつかった勢いに、レーナニアは悲鳴を上げた。なおも体当たりをしようとする魔物に、リィカの放った魔法が命中して倒れる。そのことにホッとしたのも一瞬、今度はリィカ自身が魔物に体当たりされていた。
「いっ……」
痛みからか、その顔が歪む。けれど同時に前に出した右手から生まれた炎が、魔物に命中して倒す。だが今度は、その右腕に魔物が噛み付いた。
「――!」
レーナニアは何かを叫ぼうとして、しかし何も声が出てこない。同時に、自分の方へ再び体当たりしようとする魔物が見えた。せめてリィカの気を散らさないよう、悲鳴だけは抑えようと思って口を手で押さえる。
――ドォン!
「きゃぁっっ!」
結局、押さえた手は何の意味もなさなかった。上げた悲鳴にリィカが反応して、放たれた魔法が魔物を倒す。だがその隙に、再びリィカは魔物の攻撃を受けていた。爪がリィカの制服を切り裂いて、そこから出血しているのが見えた。
(分かっていた、はずなのに……!)
十歳のとき、この乙女ゲームの記憶が突然頭の中に入ってきた。その内容は、現実とひどく酷似していた。ゲームと同じ事件が起こったし、その記憶があったおかげで助かったこともある。
この場面もゲームと同じだ。ゲーム通りであれば、ヒロインも助かる。けれど今、リィカは魔物に攻撃されて傷を負い、血を流している。レーナニアは《防御》に守られて、かすり傷一つないのに。
「《狂乱の風》!」
リィカが再び風の上級魔法を唱えた。けれど、それはレーナニアが見ても分かるくらいに、威力が落ちていた。
理由は簡単だ。魔法を使うときは呼吸を整えることが大切だが、今のリィカの呼吸は、ひどく荒れている。そんな状態で魔法を使っても、威力が落ちるのは当然だ。そんなことはリィカの方がよく分かっているだろうが、呼吸を整える余裕もないのだ。
上級魔法とはいえ、威力の落ちた魔法。当然耐えきる魔物も出てくる。そんな魔物の一体が、リィカへと一直線に襲いかかった。そして、先ほど魔物に噛み付かれていた右腕に、再び噛み付かれる。
「ぐっ……!」
傷のあるところへ更なる攻撃を受け、リィカが呻いた。その表情を見たレーナニアは耐えきれずに叫んだ。
「もういいです! わたくしのことなんか、放置していいですから! お願いですから逃げて下さい!」
いくら酷似していても、この世界はゲームではないと、レーナニアは知っていたはずだ。レーナニアは自分自身で考えて行動してきた。ゲームの知識に助けられた面はあっても、全部自分で選び、努力してきた。その結果が今に繋がっている。それが現実ではなくて、なんだというのか。
分かっていたはずなのに、現実とゲームを混ぜ込んで勘違いした。その結果、リィカ一人に自らの命まで背負わせてしまった。そんな自分を、これ以上守らなくていい。彼女一人ならば逃げられるはずだ。
レーナニア自身にも分かるくらいに、悲痛な叫び。けれど返事はなかった。彼女は黙って、ただ口の端を上げただけだった。
王都郊外には森があり、そこには魔物が生息している。定期的に倒していかないと、魔物はすぐ数を増やしてしまうから、魔物退治は推奨されている。
魔物を倒し、その証拠を冒険者ギルドへ提出するとお金をもらえる。実践練習にもなるしどうだろうかと、クラスメイトたちに誘われてリィカも一緒に行ったのだ。
しかし魔物を見たリィカは、動けなくなった。クレールム村で大量の魔物に囲まれたときの恐怖が、リィカの中に残っていた。
再びの魔力暴走などという事態にはならなかったものの、リィカは何もできなかった。そんなリィカを守りつつ魔物を倒しきってくれたのは、クラスメイトだ。
「迷惑かけてごめんなさい」
頭を下げて謝った。もう誘われることはないだろうと思った。仲良くなれたクラスメイトたちに嫌われたかもしれないと思った。けれど。
「せっかくの魔法がもったいないよ。行ってみよう。あと一回だけでいいからさ」
そう誘ってくれたのは、クラスのリーダー格の男の子。その手に引っ張られるように、リィカは再び魔物と対峙した。けれど、やはり怖くて駄目だと思ったとき、その男の子が魔物の攻撃を受けてしまいそうになった。
「――危ないっ!」
リィカは叫んで、咄嗟に魔法を放っていた。そして、その一撃で魔物を倒した。
「ほらやっぱり。リィカはすごいよ」
男の子はそう言って笑った。他のクラスメイトたちも褒めてくれた。リィカが魔物と戦えるようになったのはそれからだ。
あのときのことを思い出して、リィカは笑みを浮かべる。
(みんな、ありがとう)
ここでこうして女の人を守って大量の魔物と向き合っていながらも、怯まずに戦おうとしているのは、クラスメイトの皆のおかげだ。
※ ※ ※
「《狂乱の風》!」
リィカは魔法を唱えた。風の上級魔法。狂ったように吹き荒れる風が、魔物を切り裂き遠くへと吹き飛ばす。それを確認しながら、さらに唱える。
「《濁流》!」
水の上級魔法だ。荒れ狂う濁流が魔物を呑み込み、押し流していく。リィカはフウッと息をついた。魔物との距離が開いた。
「《氷の剣林》!」
これも水の上級魔法。連なる尖った氷の柱が、リィカと魔物達を遮るように出現した。多すぎる魔物が一度に押し寄せてこないようにするための、大きな氷の壁だ。
上級魔法は広範囲に効果のある魔法だ。強力だが、その分魔力の消費も多い。魔物の数が膨大である以上、魔力の消耗は可能な限り避けたかったのだ。
そのリィカの目論見は成功した。今向かってきているのは氷の柱を飛び越えられる、空を飛ぶ魔物と跳躍力のある魔物だけ。
「《風の千本矢》!」
風の中級魔法だが、広範囲に効果がある魔法だ。上級魔法に比べれば範囲は狭く威力も弱いが、それでも魔物を倒すには十分だ。
(これなら、いける!)
これで倒せるなら、戦える。そう判断してリィカは魔法を使い続ける。だが、ドンッという大きな音が聞こえて、それを見たリィカは顔を引き攣らせた。《氷の剣林》の一部に、大きな罅が入っているのが見えた。
「っっっ!」
壊されたらマズいとは思ったものの、魔物は次から次へと襲いかかってくる。その対処はできても、それ以外にまで手は回らない。
――ドォンッ!
何も出来ないまま、氷の柱に大きな穴が開いた。そこから魔物が這い出してきて、さらにその穴が広げられていく。
『無理だと思えば逃げること』
ダスティンは授業の中でそう言っていた。クラスメイトたちも言われた。リィカもそれは分かる。けれど、自らの背後に視線を向ける。そこにいるのは、リィカ自身が《防御》で守っている人だ。
この人を置いて逃げられるのか。――否だ。
この人を連れて、守りながら逃げられるのか。――無理だ。
(だったらこの場で戦うしかない!)
まだ魔力は残っている。戦いきって生き残る。リィカは、その覚悟を決めたのだった。
※ ※ ※
「あ……」
レーナニアは《防御》の中でへたり込みそうになった。助かった、と何のひねりもなく思った。これで自分は死ななくて済むと、ただそう安堵した。
ゲームの中でのレーナニアは、魔王誕生と同時に死んでしまう可能性があった。魔物に取り囲まれたまま、魔物の餌となっていたかもしれなかった。それが回避される手段はたった一つ。ヒロインが、レーナニアを助ける選択肢を選んでくれること。
だからこれで大丈夫だと思った。自分は助かる。ヒロインだって死んでしまうことはない。良かったと、ただ安堵した。
実際にリィカは強かった。強力な魔法をいとも簡単に使っていた。何度目かで、詠唱していないことにも気付いた。そんなことが可能なのかと驚いたが、この場ではただただ頼もしい。
けれど、ドンッという音とリィカの引き攣った顔に、レーナニアの視線もそちらへ向かう。《氷の剣林》が壊れ、そこに大きな穴があいた。その先に見えたのは、大量の魔物。
(あんなに多くの魔物が……。本当に大丈夫なのでしょうか?)
不安に駆られてリィカを見ると、決死の覚悟を決めた顔をしていた。
「まっ……!」
「《地割れ》!」
レーナニアの止めようとした声は、リィカの魔法を唱える声にかき消された。
土の中級魔法。地面が割れて、魔物達が吸い込まれるように消えていく。上げかけた声をどうしていいか迷った瞬間、レーナニアの視界に自分に向かってくる魔物の姿が見えた。
――ドォン!
「きゃあっ!」
魔物が《防御》にぶつかった勢いに、レーナニアは悲鳴を上げた。なおも体当たりをしようとする魔物に、リィカの放った魔法が命中して倒れる。そのことにホッとしたのも一瞬、今度はリィカ自身が魔物に体当たりされていた。
「いっ……」
痛みからか、その顔が歪む。けれど同時に前に出した右手から生まれた炎が、魔物に命中して倒す。だが今度は、その右腕に魔物が噛み付いた。
「――!」
レーナニアは何かを叫ぼうとして、しかし何も声が出てこない。同時に、自分の方へ再び体当たりしようとする魔物が見えた。せめてリィカの気を散らさないよう、悲鳴だけは抑えようと思って口を手で押さえる。
――ドォン!
「きゃぁっっ!」
結局、押さえた手は何の意味もなさなかった。上げた悲鳴にリィカが反応して、放たれた魔法が魔物を倒す。だがその隙に、再びリィカは魔物の攻撃を受けていた。爪がリィカの制服を切り裂いて、そこから出血しているのが見えた。
(分かっていた、はずなのに……!)
十歳のとき、この乙女ゲームの記憶が突然頭の中に入ってきた。その内容は、現実とひどく酷似していた。ゲームと同じ事件が起こったし、その記憶があったおかげで助かったこともある。
この場面もゲームと同じだ。ゲーム通りであれば、ヒロインも助かる。けれど今、リィカは魔物に攻撃されて傷を負い、血を流している。レーナニアは《防御》に守られて、かすり傷一つないのに。
「《狂乱の風》!」
リィカが再び風の上級魔法を唱えた。けれど、それはレーナニアが見ても分かるくらいに、威力が落ちていた。
理由は簡単だ。魔法を使うときは呼吸を整えることが大切だが、今のリィカの呼吸は、ひどく荒れている。そんな状態で魔法を使っても、威力が落ちるのは当然だ。そんなことはリィカの方がよく分かっているだろうが、呼吸を整える余裕もないのだ。
上級魔法とはいえ、威力の落ちた魔法。当然耐えきる魔物も出てくる。そんな魔物の一体が、リィカへと一直線に襲いかかった。そして、先ほど魔物に噛み付かれていた右腕に、再び噛み付かれる。
「ぐっ……!」
傷のあるところへ更なる攻撃を受け、リィカが呻いた。その表情を見たレーナニアは耐えきれずに叫んだ。
「もういいです! わたくしのことなんか、放置していいですから! お願いですから逃げて下さい!」
いくら酷似していても、この世界はゲームではないと、レーナニアは知っていたはずだ。レーナニアは自分自身で考えて行動してきた。ゲームの知識に助けられた面はあっても、全部自分で選び、努力してきた。その結果が今に繋がっている。それが現実ではなくて、なんだというのか。
分かっていたはずなのに、現実とゲームを混ぜ込んで勘違いした。その結果、リィカ一人に自らの命まで背負わせてしまった。そんな自分を、これ以上守らなくていい。彼女一人ならば逃げられるはずだ。
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