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第四章 モントルビアの王宮

魔法師団の見学

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そろそろ戻れと言われて、王宮へ戻る。
連絡するまで、くれぐれも大人しくするように、と繰り返し言われた。

戻ればベネット公爵がいて、本当に魔法師団の見学を勧められた。
面倒だが、断る方がさらに面倒なので、一行は見学に向かうことになった。


一言で言えば、面白くない。
それが暁斗の感想だった。
朗々と、長々と、詠唱して上級魔法を使っている。
その間、攻撃し放題じゃないかと思う。というか、実際に言った。

「そのために、騎士団がいるのです」
と返事をされた。わずかに、バルが顔をしかめていた。

「つまり、魔法師団がメインで、騎士団は補助って事?」
さらに暁斗が質問を重ねれば、ベネット公爵は笑顔になる。
興味を持ってもらえた、とでも思ったのだろうか。

「ええ、そうです。上級魔法は、多くの敵を一度に葬る事のできるもの。剣ではそんな事はできません。ですから、いかに上級魔法を使うか、ということが大切なのです」
得意げに説明をするが、暁斗はふーん、と返事をしただけだった。

一通り見回って、師団長の部屋に通されて、暁斗はベネット公爵に如何でしたか、と聞かれた。
が、その質問の意味が分からず、首をかしげる。

「いえ、ですから、我が魔法師団の実力は、見て取って頂けたかと思います。勇者様の旅に同行させて頂ければ、この上なく光栄なのですが」
やや慌てたようにベネット公爵が、言葉を加える。
暁斗は、泰基を見る。それに泰基は笑う。

「お前の好きに返事していいぞ」
「分かった。――今のメンバーにすごく満足してるから、新しい人はいりません」
いともあっさりと言われて、ベネット公爵は固まっている。
ポカンと口をあけた顔は、なかなかに面白い。

「見学、もう終わりでいいよね? 帰るよ?」
さらに、もう興味ないとばかりに言い放って立ち上がった暁斗と一行に、ベネット公爵が慌てた。

「……あ、い、いえ、その勇者様。――と、そうでした。今晩ですが、我が屋敷にて晩餐を開くこととなりました。その後はそのまま、我が家にお泊まり頂ければと……」

途中で言葉を切ったのは、明らかに暁斗が嫌そうな表情を見せたからだ。
代わりに泰基が返事をする。

「昨日のような女性たちがいなければ、お受けします。この世界ではどうか知りませんが、俺たちのいた所では、あんなのは持て成しでも何でもありませんよ」
言いながら、泰基は思う。
自分の言葉が随分きつい。リィカの件が想像以上に苛立たせているらしい。

「――かしこまりました。では、そのようにさせて頂きます」
一礼したベネット公爵を、アレクは横から見る。

口元が、動いたのが見えた。
女を連れてるくせに。そう言ったように見えた。
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