【第一章改稿中】転生したヒロインと、人と魔の物語 ~召喚された勇者は前世の夫と息子でした~

田尾風香

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第十一章 四天王ジャダーカ

連絡する?

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リィカは大きく息を吐いて、気持ちを落ち着かせる。
ジャダーカとの戦いの事をずっと考えていたが、意識が現実に戻ると、気になるのが馬車の揺れだ。

「転移の魔石、作るべきかなぁ……」

そうすれば、こんなに揺れる馬車の中で十日も移動する必要はない。
一瞬で行きたい場所へ行けるのだ。

作ろうと思えば、作れるはずだ。
アイテムボックスの空間魔法と原理は変わらない、とは、ユグドラシルから聞いた事だったか。

「問題は、転移先の設定だな」

泰基の言葉に、頷いた。
その問題があるから、これまで作ろうとは思わなかった。

リィカの頭にある転移は……というよりも凪沙のイメージなのだが、過去に行った場所に行くことができる、というものだ。

魔国へ向けて進んでいる現状、その転移は必要ない。戻ることしか出来ないからだ。
必要なのは、行った事がない場所へ移動するための転移だ。

「…………………ムリ……」
「……だな。魔族は、どうやっているんだろうな」

一言漏らしたリィカに、泰基が同調する。
あちこちを転移しているのだろう魔族は、どうやっているのか、気になるところだ。

「……そもそも、カストル、よく転移なんて思い付いたなぁ」

その言葉に泰基と暁斗が視線を交わしていたが、リィカは気付かなかった。

「リィカ、行った事がある場所へ移動する魔道具なら、作れるのか?」
「……かもしれない、ってだけだけど、なんで?」

アレクに聞かれ、首を傾げる。
本当に作れるかどうかは、作ってみなければ分からないから、断定はできない。

「いや……、それが出来るなら、サルマたちを連れて来られるのかと思っただけだ」
「…………………その話題、まだ続いてたの?」

昨日、トラヴィスたちが訪れたとき、その話があるかと思ったが、第三防衛線の陥落とジャダーカの話で終わった。

その後リィカはすぐに休んでしまったので、とっくにその話題は終わったと思っていた。

「……改めて聞かれて、言えることは話した。旅の途中で会ったこととか、魔道具の作り方を教えてもらった事、今はモントルビアにいる事とかな。……リィカが連絡を取れることも、話してしまった。……悪い」

そしてそれを聞いたトラヴィスが、リィカの天幕に引き返そうとしたのを、アレクたちは必死に止めた。
連絡を取ったところでここまで来られない、と説明して、何とか納得してもらったのだ。

「………………そうなんだ」

他にコメントのしようがない。
自分が休んだ後、そんなやり取りがされていたとは。

ちなみに、この馬車はバスティアンが御者をしており、トラヴィスは馬に乗っている。
他に、本来であれば帝都ルベニアまで護衛として同行する予定だった五名も、馬に乗って、馬車に合わせて進んでいる。

馬車の中にいるのは仲間たちだけだから、こういう話も遠慮無く出来るのだ。

「……サルマさんたちに、ルバドールの人たち待ってるよ、ってだけでも、言っとくべきかなぁ」

そんな事を考えてしまうくらいには、トラヴィスたちの熱心さが伺える。
今すぐ来い、とは言えないけれど、伝えておけば、安全になったらすぐに向かってくれるだろう。

「それを言ってしまうと、また怒られるんじゃないんですか? なんでルバドールまで行ってるんだって」
「…………………うっ……」

ユーリのツッコみに、リィカは呻いた。

あり得そうだ。
サルマたちには、自分たちが勇者一行であることは伝えていないのだ。

最後に連絡を取ったのは、トルバゴ共和国にいるときだ。
あの時でさえ、北へ向かっている事を怒られた。
魔族との戦いの最前線である、ルバドールにまで来ていることを知られたら、また怒られることは目に見えている。

「……やっぱり、連絡は止めとこう」

連絡をするなら、怒られるのを回避しようと思えば、勇者一行であることを明かす必要が出てきそうだ。
別に駄目じゃないのだけれど、勇者伝説好きのオリーがどういう反応を示すかを考えると怖い。……というか、面倒だ。

「……あ、でも……デウスの事、伝えるべき?」

きっとサルマたちも気にしているのだろう。
だから、自分たちがトルバゴ共和国にいるとき、魔法を使うなという忠告をくれた。

それを言ってしまえば、自分たちが何となくでもサルマたちの過去を知ってしまったことを、教える事と同意になるが。

「あの三人が来たときに、噂という手段でそれとなく伝えるとケルー少将が言っていた。だから、俺たちから何か言う必要は無いそうだ」

「そっか……………」

アレクの言葉に、リィカは頷いた。
やってくれるというのなら、任せた方がきっと間違いないだろう。

しかしそうすると、ますます怒られると分かっている連絡を、したくなくなる。
連絡いらないよね、というリィカの言葉に、反対する人は誰もいなかった。

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