【第一章改稿中】転生したヒロインと、人と魔の物語 ~召喚された勇者は前世の夫と息子でした~

田尾風香

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第十一章 四天王ジャダーカ

カタクリズム

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「勝負だよ、ジャダーカ! ――《天変地異カタクリズム》!!」
「なっ!?」

ジャダーカは、驚きの声を上げた。
リィカが、《天変地異カタクリズム》を使った。
自分が何ヶ月もかかって、やっと使えるようになった魔法を。

「マジで、すごいな」

リィカは、この魔法を使えなかった。
知っている様子さえなかったのだから、当然使えなかったはずだ。
それを、今、使ってみせるとは。

「ダランの言った通りだったな。見せようなんて、考えるべきじゃなかったか」

こんなにもあっさり真似されるなど、誰が想像できただろうか。

だが、見せていなければ、こんな光景は見られなかった。
究極の混成魔法と究極の混成魔法が、ぶつかり合う光景など。

「だがダラン。一つ訂正だ。リィカのは才能じゃない。努力した結果だ」

風の魔道具を通して、きっとカストルからダランに伝わるだろう。
才能もあるのかもしれない。
けれど、才能だけでは、この光景にはならないだろうから。

ニッと笑う。
声を張り上げた。

「ああ、勝負だ、リィカ!!」

リィカの言葉に応じたのだった。


※ ※ ※


天変地異カタクリズム》と《天変地異カタクリズム》がぶつかった。

「うあっ!」

ぶつかっただけでその衝撃は凄まじく、リィカは僅かに吹き飛ばされる。
だが、堪えた。
それ以上後退させられないように、足を踏ん張る。

ぶつかり合った二つの巨大なエネルギー球は、消滅することなく、押し合いを続けている。
お互いがお互いを、飲み込もうとするかのようだ。

リィカは右手を真っ直ぐ前に出したまま、《天変地異カタクリズム》にさらに魔力を込めていく。

「……今のところは、互角」

多少なりとも、威力を減衰させたのが良かったのか。

けれど、相手はジャダーカだ。
ここまで一度も、混成魔法のぶつかり合いでは勝てていない。
ここで手を抜くことなど、できるはずもなかった。

さらに激しく魔法がぶつかる。
それに伴う衝撃も、ますます激しくなる。

足に力を入れて衝撃に耐えるリィカに、ジャダーカの声が届いた。

「最高だ! リィカ、こんなに楽しいのは初めてだ!!」

興奮しているらしいジャダーカに、リィカも笑みが浮かぶ。

「わたしもだよ! わたしも、楽しい!!」

魔法が激しくぶつかって、衝撃をまき散らしている中でも、リィカの声はジャダーカに届いたのだろう。
得意げに笑うのが見えた。

「行くぞ、リィカ!」
「…………!」

ジャダーカの声と共に、魔法の威力が増した。
互角にくすぶっていたエネルギー球が、リィカの方が押され始める。

「ほんと、つよい……」

悔しいけれど、称賛するしかない。
さらに魔力を込めるけれど、届かない。押されっぱなしだ。

(もうほんとに、これ以上は無理かな)

アレクの、暁斗の、みんなの顔がよぎる。
死んでしまうのか、奴隷になってしまうのか、分からないけれど、多分自分はここまでだ。

(――ごめんね)

心の中だけで、つぶやいた。
そして、正面を見る。
例え勝てなくても、最後の最後まで抵抗するために。

――ビシビシッ!

その音が聞こえてきたのは、このときだった。
何かが壊れるような音。
先ほどの土のエンチャントが壊れる音と似ているようで違う。

何よりも、その音が聞こえるのは周囲からだ。

――ビシビシッッ!!

音がさらに大きくなった。
周囲に視線を巡らせて……驚いた。

自分たちを取り囲む、魔族の結界。
それが大きく膨れ上がっている。
まるで、究極の混成魔法同士のぶつかり合いに、押されるように。

結界の一部に、ヒビが見えた。
それが大きな音を立てながら、さらに広がっていく。

「まさか、壊れるの……?」

壊せない、と言われた魔族の結界。
リィカ自身も、壊すのは無理だと判断した結界。

――バアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァン!!!

その結界が、大きな音を立てて壊れた。
同時に、ぶつかり合っていた巨大なエネルギー球が大きく弾ける。

リィカは、ハッとする。
結界に気を取られて、見ていなかった。

けれど、それはジャダーカも同様だっただろう。
むしろ、結界を作ったジャダーカの方が、驚愕していたかもしれない。

双方共に使い手の注意が逸れた魔法は、ぶつかり合ったその威力のままに大爆発を起こし、周囲に凄まじい衝撃をまき散らしたのだった。

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