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第十七章 キャンプ
帰還
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「アルールだ。戻ってきたね」
「ああ、そうだな。とんだキャンプだったな」
リィカの言葉に、後ろにいるアレクが返す。
今、二人は馬に同乗している。かつてラクダに乗ったときと同じように、リィカが前に座り、アレクが手綱を操作する。そうやって、軍と一緒に王都に戻ってきた。
脱出した生徒や教師たちとその護衛たちは、先に進んでいたから、きっともう戻ってきているだろう。そして、自分たちの帰りを待っていてくれるはずだ。
ちなみに、道中でナイジェルのことを話した。アレクもバルもユーリも、ついでに話を聞いていた騎士団長も目が据わっていた。
「あの野郎の自信が木っ端微塵に砕かれたのは、面白ぇが」
「砕かれてるといいんですけどね。あれは何かの間違いだ、とか思い込んでませんかね」
バルとユーリがそう言葉を交わし、アレクはリィカを安心させるように言った。
「レンデルがいたなら、兄上に話をしているだろう。問題にならないようにしてくれているさ」
「……うん」
一瞬ためらって頷く。あの時は、魔物が押し寄せている真っ最中だったこともあって、思考が大分好戦的になっていた気がする。今思うと、あれで良かったのか心配になるのだ。
「心配すんな、嬢ちゃん。ナイジェルが悪い。ついでに言えば、ほったらかしにしたヒューズも悪いけどな。ま、ヒューズにはガツンと一発俺がくれとくから。ガルズ侯爵家にも抗議が行くだろう。さすがに先方も申し開きできねぇだろうさ」
ガルズ侯爵家とは、ナイジェルの家のことだ。
騎士団長にも言われてリィカは頷いた。心配がないわけではないが、少なくとも理解は得られそうでホッとした。
そんなことを思い返していたリィカは、周囲のザワつきに気付いた。
軍が外から戻ってくると、王都に入ろうと待っている人たちより先に優先して入るので、ある程度のザワつきはいつものことだ。だが今回は、その人たちの視線が、後方の荷台に集中している。
「……目立ってるよね?」
「そりゃそうだろう。目立たないはずがない」
リィカの言葉に、アレクが苦笑して返した。後ろの荷台に、最後に戦ったドラゴンが氷付けになって載っているのだ。
そのまま持って帰ると騎士団長に聞いた時、リィカは「なんで」と思って、次いで「どうやって」と思った。だが、兵士たちが見事にドラゴンが載るような荷台を作り上げたのを見て、「すごい」と素直に思った。
持ち帰る理由は、どんな魔物なのか研究するかららしい。リィカの脳裏に、マンティコアを研究していた人たちのことがよぎったが、すぐ頭から追い払った。あまり思い出したい人たちでもない。
だが、季節は夏だ。帰るまでに数日は掛かるのに大丈夫なのかと思ったら、実際にあまり大丈夫ではないらしい。氷の魔法で冷やして対応するのだと聞いて、リィカがもし良かったら、と名乗り出た。
「《氷柱の棺》」
水と土の混成魔法で、ドラゴンの巨体を閉じ込める。それを騎士団長はマジマジと眺めて、一言「助かる」と言ったのだった。
屋根もないただの荷台の上の氷は溶ける様子もない。ただ、大きいし氷付けだし、とにかく目立つ。ザワついて視線が集中する中を移動して、無事王都に帰還を果たしたのだった。
※ ※ ※
「俺らは研究所に寄って、こいつを預けていく。お前らは先に王城に行ってろ」
王都に入ってすぐ、騎士団長に言われた言葉に、リィカが首を傾げた。
騎士団長を始めとする軍が、研究所に寄っていくことは聞いていた。わざわざ騎士団長が行くものなのか、と不思議に思ったものだ。
研究員たちの癖が強すぎるから、ある程度ガツンと言える人じゃないと話が通じないと説明を受けて、心の底から納得してしまった。
「あの、氷を溶かさなくていいんですか?」
《氷柱の棺》の氷は、ちょっとやそっとじゃ溶けないし、砕けない。前は《火防御》を使って溶かしたのだ。だから、溶かすまではリィカがやらなければならない。
「……あーそうか」
騎士団長もそれに思い当たったのか、頭をガシガシとかくが、すぐに考えがまとまったのか、顔を上げた。
「いや、とりあえずいい。研究所の状況も分からんから、それを確認してから頼む。その時は研究所に行ってもらうことになるが、構わんか?」
「……あ、はい、分かりました。大丈夫です」
微妙にリィカの表情が引き攣った。つまりは、またあの研究員たちに会うことになる。騎士団長もそれが分かるから、少しだけ申し訳なさそうな顔だ。
「んじゃまた連絡する。アレク、陛下への報告は頼んだ」
「ああ」
最後はアレクに言って、騎士団長率いる軍は、目立つドラゴンを引っ張りながら、研究所へと向かった。
同時に、神官たちも別方向へと歩き出す。
「ではユーリ、また後で」
神官長がユーリに声をかけて去っていく。
基本的に神官たちに報告の義務はないらしい。報告するべき事があれば、王宮へ赴くらしいが、今回は軍からの報告のみで問題ないので、そのまま教会へ戻るらしい。
それらを見送りながら、アレクがリィカを見て、バルとユーリを見る。
「じゃあ、俺たちは王城へ行くか」
「う、うん」
明らかに緊張した声で返事をしたリィカに、アレクはその頭をポンと一撫でしたのだった。
※ ※ ※
「アレク! よく戻った!」
「リィカさんもご無事で良かったです」
「バルムート様、生きてたぁ……」
「ユーリ様も無事だったぁ……」
王城に到着すると、その門のところに笑顔のアークバルトとレーナニア、そして半泣き状態のフランティアとエレーナが待ち構えていた。
「ただいま戻りました、兄上」
「レーナニア様も。ただいま戻りました」
アレクとリィカが笑顔で返事をする。バルとユーリは困った顔をした。
「そりゃ生きてるだろ。泣くことじゃねぇって」
「そうですよ。なんで泣くんですか」
何とかなだめようとするが、半泣きが号泣に変わってきそうになっている。それに気付いて、アークバルトが近寄った。
「フランティア嬢、エレーナ嬢、気持ちは分かるが、すぐ父上の元に行かなければならない。終わったらそれぞれ邸宅に行くように言うから、今は我慢してくれ」
本格的に涙腺が決壊する前だったからか、フランティアもエレーナも一応冷静を取り戻して頷く。「家に行かなきゃ駄目なんですね」とやや面倒そうにユーリがつぶやき、エレーナが睨んだ。
レーナニアともそこで別れ、四人はアークバルトに連れられて、国王の下へと向かう。その背中を見ながら、アレクが問いかけた。
「兄上方は問題なく帰って来られたんですか?」
「ああ、まあね。当日とその次の日くらいは皆怯えていたけれど、その後は平然として今までと変わらない様子の生徒が多かったかな。みんなそろって、意外と図太いんだなと思ったよ」
その言い様にアレクは笑う。図太いのはアークバルトも同じだろうと思ってしまった。
そんな話をしながら向かった場所は執務室だ。そこに入る前に、アークバルトがふり返って見たのはリィカだった。
「実は、リィカ嬢に客が来ている」
「え?」
リィカが疑問を漏らす。だが、アークバルトはそれ以上は言わずに執務室のドアをノックして、開けていた。
――客? 王宮に、自分に?
全く検討もつかないまま、促されて執務室に入る。そこにいたのは、アークバルトとアレクの父親である、国王。そして、もう一人。
「ジェラード殿?」
そう言ったのは、アレクだった。リィカも知っている人物だ。
隣国モントルビア王国の、国王の王弟であり公爵でもあるルイス公爵の息子だ。王都モルタナ滞在中に何かと世話になった人物だから、忘れるはずもない。
「お久しぶりだ、アレクシス殿。そして、バルムート殿とユーリッヒ殿、リィカ嬢も」
アレクに答えて、ジェラードも挨拶を返す。そして最後に名前を呼んだリィカをジッと見た。
「君に話があって来たんだ、リィカ嬢。……君の、父親のことで」
リィカの目が、大きく見開いた。
「ああ、そうだな。とんだキャンプだったな」
リィカの言葉に、後ろにいるアレクが返す。
今、二人は馬に同乗している。かつてラクダに乗ったときと同じように、リィカが前に座り、アレクが手綱を操作する。そうやって、軍と一緒に王都に戻ってきた。
脱出した生徒や教師たちとその護衛たちは、先に進んでいたから、きっともう戻ってきているだろう。そして、自分たちの帰りを待っていてくれるはずだ。
ちなみに、道中でナイジェルのことを話した。アレクもバルもユーリも、ついでに話を聞いていた騎士団長も目が据わっていた。
「あの野郎の自信が木っ端微塵に砕かれたのは、面白ぇが」
「砕かれてるといいんですけどね。あれは何かの間違いだ、とか思い込んでませんかね」
バルとユーリがそう言葉を交わし、アレクはリィカを安心させるように言った。
「レンデルがいたなら、兄上に話をしているだろう。問題にならないようにしてくれているさ」
「……うん」
一瞬ためらって頷く。あの時は、魔物が押し寄せている真っ最中だったこともあって、思考が大分好戦的になっていた気がする。今思うと、あれで良かったのか心配になるのだ。
「心配すんな、嬢ちゃん。ナイジェルが悪い。ついでに言えば、ほったらかしにしたヒューズも悪いけどな。ま、ヒューズにはガツンと一発俺がくれとくから。ガルズ侯爵家にも抗議が行くだろう。さすがに先方も申し開きできねぇだろうさ」
ガルズ侯爵家とは、ナイジェルの家のことだ。
騎士団長にも言われてリィカは頷いた。心配がないわけではないが、少なくとも理解は得られそうでホッとした。
そんなことを思い返していたリィカは、周囲のザワつきに気付いた。
軍が外から戻ってくると、王都に入ろうと待っている人たちより先に優先して入るので、ある程度のザワつきはいつものことだ。だが今回は、その人たちの視線が、後方の荷台に集中している。
「……目立ってるよね?」
「そりゃそうだろう。目立たないはずがない」
リィカの言葉に、アレクが苦笑して返した。後ろの荷台に、最後に戦ったドラゴンが氷付けになって載っているのだ。
そのまま持って帰ると騎士団長に聞いた時、リィカは「なんで」と思って、次いで「どうやって」と思った。だが、兵士たちが見事にドラゴンが載るような荷台を作り上げたのを見て、「すごい」と素直に思った。
持ち帰る理由は、どんな魔物なのか研究するかららしい。リィカの脳裏に、マンティコアを研究していた人たちのことがよぎったが、すぐ頭から追い払った。あまり思い出したい人たちでもない。
だが、季節は夏だ。帰るまでに数日は掛かるのに大丈夫なのかと思ったら、実際にあまり大丈夫ではないらしい。氷の魔法で冷やして対応するのだと聞いて、リィカがもし良かったら、と名乗り出た。
「《氷柱の棺》」
水と土の混成魔法で、ドラゴンの巨体を閉じ込める。それを騎士団長はマジマジと眺めて、一言「助かる」と言ったのだった。
屋根もないただの荷台の上の氷は溶ける様子もない。ただ、大きいし氷付けだし、とにかく目立つ。ザワついて視線が集中する中を移動して、無事王都に帰還を果たしたのだった。
※ ※ ※
「俺らは研究所に寄って、こいつを預けていく。お前らは先に王城に行ってろ」
王都に入ってすぐ、騎士団長に言われた言葉に、リィカが首を傾げた。
騎士団長を始めとする軍が、研究所に寄っていくことは聞いていた。わざわざ騎士団長が行くものなのか、と不思議に思ったものだ。
研究員たちの癖が強すぎるから、ある程度ガツンと言える人じゃないと話が通じないと説明を受けて、心の底から納得してしまった。
「あの、氷を溶かさなくていいんですか?」
《氷柱の棺》の氷は、ちょっとやそっとじゃ溶けないし、砕けない。前は《火防御》を使って溶かしたのだ。だから、溶かすまではリィカがやらなければならない。
「……あーそうか」
騎士団長もそれに思い当たったのか、頭をガシガシとかくが、すぐに考えがまとまったのか、顔を上げた。
「いや、とりあえずいい。研究所の状況も分からんから、それを確認してから頼む。その時は研究所に行ってもらうことになるが、構わんか?」
「……あ、はい、分かりました。大丈夫です」
微妙にリィカの表情が引き攣った。つまりは、またあの研究員たちに会うことになる。騎士団長もそれが分かるから、少しだけ申し訳なさそうな顔だ。
「んじゃまた連絡する。アレク、陛下への報告は頼んだ」
「ああ」
最後はアレクに言って、騎士団長率いる軍は、目立つドラゴンを引っ張りながら、研究所へと向かった。
同時に、神官たちも別方向へと歩き出す。
「ではユーリ、また後で」
神官長がユーリに声をかけて去っていく。
基本的に神官たちに報告の義務はないらしい。報告するべき事があれば、王宮へ赴くらしいが、今回は軍からの報告のみで問題ないので、そのまま教会へ戻るらしい。
それらを見送りながら、アレクがリィカを見て、バルとユーリを見る。
「じゃあ、俺たちは王城へ行くか」
「う、うん」
明らかに緊張した声で返事をしたリィカに、アレクはその頭をポンと一撫でしたのだった。
※ ※ ※
「アレク! よく戻った!」
「リィカさんもご無事で良かったです」
「バルムート様、生きてたぁ……」
「ユーリ様も無事だったぁ……」
王城に到着すると、その門のところに笑顔のアークバルトとレーナニア、そして半泣き状態のフランティアとエレーナが待ち構えていた。
「ただいま戻りました、兄上」
「レーナニア様も。ただいま戻りました」
アレクとリィカが笑顔で返事をする。バルとユーリは困った顔をした。
「そりゃ生きてるだろ。泣くことじゃねぇって」
「そうですよ。なんで泣くんですか」
何とかなだめようとするが、半泣きが号泣に変わってきそうになっている。それに気付いて、アークバルトが近寄った。
「フランティア嬢、エレーナ嬢、気持ちは分かるが、すぐ父上の元に行かなければならない。終わったらそれぞれ邸宅に行くように言うから、今は我慢してくれ」
本格的に涙腺が決壊する前だったからか、フランティアもエレーナも一応冷静を取り戻して頷く。「家に行かなきゃ駄目なんですね」とやや面倒そうにユーリがつぶやき、エレーナが睨んだ。
レーナニアともそこで別れ、四人はアークバルトに連れられて、国王の下へと向かう。その背中を見ながら、アレクが問いかけた。
「兄上方は問題なく帰って来られたんですか?」
「ああ、まあね。当日とその次の日くらいは皆怯えていたけれど、その後は平然として今までと変わらない様子の生徒が多かったかな。みんなそろって、意外と図太いんだなと思ったよ」
その言い様にアレクは笑う。図太いのはアークバルトも同じだろうと思ってしまった。
そんな話をしながら向かった場所は執務室だ。そこに入る前に、アークバルトがふり返って見たのはリィカだった。
「実は、リィカ嬢に客が来ている」
「え?」
リィカが疑問を漏らす。だが、アークバルトはそれ以上は言わずに執務室のドアをノックして、開けていた。
――客? 王宮に、自分に?
全く検討もつかないまま、促されて執務室に入る。そこにいたのは、アークバルトとアレクの父親である、国王。そして、もう一人。
「ジェラード殿?」
そう言ったのは、アレクだった。リィカも知っている人物だ。
隣国モントルビア王国の、国王の王弟であり公爵でもあるルイス公爵の息子だ。王都モルタナ滞在中に何かと世話になった人物だから、忘れるはずもない。
「お久しぶりだ、アレクシス殿。そして、バルムート殿とユーリッヒ殿、リィカ嬢も」
アレクに答えて、ジェラードも挨拶を返す。そして最後に名前を呼んだリィカをジッと見た。
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リィカの目が、大きく見開いた。
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