7 / 7
7.宰相の息子の場合
しおりを挟む
「ああああぁぁぁぁぁ……」
「父上、まだ終わっていません。落ち込むのは後にして、仕事に戻って下さい」
「……なぜだ。小さい頃は、お父様のお嫁さんになると、言ってくれていたのに」
「世の女性たちは、大体同じことを言うそうですよ」
落ち込んで愚痴る宰相に、宰相の息子であり婚約者の弟は、冷静に突っ込みを返す。大体、父の作戦が無茶苦茶過ぎるのだ。
姉に感情を出すなというなら、それを家でも実戦させればいいものを、そんなことをされたら父が悲しいという理由で、家ではごく普通だった姉である。きっと、姉自身も色々父に対して思うところがあったに違いない。
「お前は姉が別の男に盗られてもいいというのかっ!」
「幸せになってくれればいいな、とは思いますが」
「それはつまり私の側だろうっ!」
「はいはい、いい加減諦めて下さいよ。そろそろ愚痴は止めて、仕事して下さい」
「……お前も、小さい頃は父上みたいになると言ってくれていたのに、味方をしてくれないのか」
「今でも僕の目標は父上ですけどね」
目標であることと味方をすることは、全くの別物だと含みを持たせる。だが、息子の言葉に宰相はほんのわずか、口元に笑みを浮かべた。
そして一瞬の後には、父は仕事の顔に戻った。
そうでなくちゃいけない。自分が"婚約破棄の日"に参加するのを放棄して、父の側にいる意味がなくなってしまうから。息子も笑みを浮かべて、仕事に集中したのだった。
ーーーーー
これで完結になります。
ありがとうございました。
「父上、まだ終わっていません。落ち込むのは後にして、仕事に戻って下さい」
「……なぜだ。小さい頃は、お父様のお嫁さんになると、言ってくれていたのに」
「世の女性たちは、大体同じことを言うそうですよ」
落ち込んで愚痴る宰相に、宰相の息子であり婚約者の弟は、冷静に突っ込みを返す。大体、父の作戦が無茶苦茶過ぎるのだ。
姉に感情を出すなというなら、それを家でも実戦させればいいものを、そんなことをされたら父が悲しいという理由で、家ではごく普通だった姉である。きっと、姉自身も色々父に対して思うところがあったに違いない。
「お前は姉が別の男に盗られてもいいというのかっ!」
「幸せになってくれればいいな、とは思いますが」
「それはつまり私の側だろうっ!」
「はいはい、いい加減諦めて下さいよ。そろそろ愚痴は止めて、仕事して下さい」
「……お前も、小さい頃は父上みたいになると言ってくれていたのに、味方をしてくれないのか」
「今でも僕の目標は父上ですけどね」
目標であることと味方をすることは、全くの別物だと含みを持たせる。だが、息子の言葉に宰相はほんのわずか、口元に笑みを浮かべた。
そして一瞬の後には、父は仕事の顔に戻った。
そうでなくちゃいけない。自分が"婚約破棄の日"に参加するのを放棄して、父の側にいる意味がなくなってしまうから。息子も笑みを浮かべて、仕事に集中したのだった。
ーーーーー
これで完結になります。
ありがとうございました。
12
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
無能妃候補は辞退したい
水綴(ミツヅリ)
ファンタジー
貴族の嗜み・教養がとにかく身に付かず、社交会にも出してもらえない無能侯爵令嬢メイヴィス・ラングラーは、死んだ姉の代わりに15歳で王太子妃候補として王宮へ迎え入れられる。
しかし王太子サイラスには周囲から正妃最有力候補と囁かれる公爵令嬢クリスタがおり、王太子妃候補とは名ばかりの茶番レース。
帰る場所のないメイヴィスは、サイラスとクリスタが正式に婚約を発表する3年後までひっそりと王宮で過ごすことに。
誰もが不出来な自分を見下す中、誰とも関わりたくないメイヴィスはサイラスとも他の王太子妃候補たちとも距離を取るが……。
果たしてメイヴィスは王宮を出られるのか?
誰にも愛されないひとりぼっちの無気力令嬢が愛を得るまでの話。
この作品は「小説家になろう」「カクヨム」にも掲載しています。
王女と2人の誘拐犯~囚われのセリーナ~
Masa&G
ファンタジー
王女セリーナが連れ去られた。犯人は、貧しい村出身の二人の男。だが、彼らの瞳にあったのは憎しみではなく――痛みだった。
閉ざされた小屋で、セリーナは知る。彼らが抱える“事情”と、王国が見落としてきた現実に。
恐怖、怒り、そして理解。交わるはずのなかった三人の心が、やがて静かに溶け合っていく。
「助けてあげて」。母の残した言葉を胸に、セリーナは自らの“選択”を迫られる。
――これは、王女として生きる前に、人としての答えを、彼女は見つけにいく。
聖女は聞いてしまった
夕景あき
ファンタジー
「道具に心は不要だ」
父である国王に、そう言われて育った聖女。
彼女の周囲には、彼女を心を持つ人間として扱う人は、ほとんどいなくなっていた。
聖女自身も、自分の心の動きを無視して、聖女という治癒道具になりきり何も考えず、言われた事をただやり、ただ生きているだけの日々を過ごしていた。
そんな日々が10年過ぎた後、勇者と賢者と魔法使いと共に聖女は魔王討伐の旅に出ることになる。
旅の中で心をとり戻し、勇者に恋をする聖女。
しかし、勇者の本音を聞いてしまった聖女は絶望するのだった·····。
ネガティブ思考系聖女の恋愛ストーリー!
※ハッピーエンドなので、安心してお読みください!
私の初恋の男性が、婚約者に今にも捨てられてしまいそうです
結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
【私の好きな人が婚約者に捨てられそうなので全力で阻止させて頂きます】
入学式で困っている私を助けてくれた学生に恋をしてしまった私。けれど彼には子供の頃から決められていた婚約者がいる人だった。彼は婚約者の事を一途に思っているのに、相手の女性は別の男性に恋している。好きな人が婚約者に捨てられそうなので、全力で阻止する事を心に決めたー。
※ 他サイトでも投稿中
デネブが死んだ
毛蟹
恋愛
弟との思い出の土地で、ゆっくりと死を迎えるつもりのアデラインの隣の屋敷に、美しい夫婦がやってきた。
夫のアルビレオに強く惹かれるアデライン。
嫉妬心を抑えながら、妻のデネブと親友として接する。
アデラインは病弱のデネブを元気付けた。
原因となる病も完治した。それなのに。
ある日、デネブが死んだ。
ふわっとしてます
当然だったのかもしれない~問わず語り~
章槻雅希
ファンタジー
学院でダニエーレ第一王子は平民の下働きの少女アンジェリカと運命の出会いをし、恋に落ちた。真実の愛を主張し、二人は結ばれた。そして、数年後、二人は毒をあおり心中した。
そんな二人を見てきた第二王子妃ベアトリーチェの回想録というか、問わず語り。ほぼ地の文で細かなエピソード描写などはなし。ベアトリーチェはあくまで語り部で、かといってアンジェリカやダニエーレが主人公というほど描写されてるわけでもないので、群像劇?
『小説家になろう』(以下、敬称略)・『アルファポリス』・『Pixiv』・自サイトに重複投稿。
赤の魔剣士と銀の雪姫
田尾風香
ファンタジー
俺が初めてエイシアに会ったのは、雪の降る日に一人で剣を振っていたときだった。その翌日、彼女は兄である王太子の婚約者になったと知った。それから、俺とエイシアは交流を重ねて、大変だけど楽しい日々が続いた。けれど、それも次第に形を変えていって……やがて、エイシアが兄に婚約を破棄されたとき、大きく事態が動くことになる。
**24話+おまけ1話。おまけにはイラストが入ります。タイトル回収は話の半ば程。最後まで書き終わっていますが、見直しつつの投稿となるため、週に2~3回ほど更新になると思います。
**5/5、続きの投稿を始めました!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる