神と鬼の物語

鶴野オト

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一の国

違う

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悲鳴が来たのは城の方からだった。
大きな地響きののち、城から腕が生えたかのように青く透明がかったものが飛び出した。
それは城を破壊しながら飲み込むと、体積を増してその周囲の人々をも飲み込み始めていた。
国中パニックになった。
何十年もかけてできた国は、たった一つの謎の青い物体によって崩壊の危機を迎えていた。
俺は愕然とその光景を眺めていたが、ふと我に帰った。
親は、城近くに住む俺の親は大丈夫か?
俺は再び城の方へと走り出した。
青いモノから逃げ惑う人たちに逆らって城に近づくのは容易ではなかった。
俺は家に着くと愕然とした。
いや、正確には家に着くことはできなかった。
家は青いモノに飲み込まれて跡形もなかったからである。
それから、どうやって逃げたのかは覚えていない。
とりあえず避難民に紛れて一の国を出て二の国へと歩を進めていた。
結局あの青いモノは何だったのだろうか。
いわゆる、化け物のように見えた。
何故城なんてセキュリティが高いところに化け物がいた?
いや、まあ心当たりはある。
俺が置いたあの箱に小さな化け物が入っていたのかもしれない。
それが外に出て国を蹂躙していたのかも知れない。
つまり、間接的に俺が多くの人を殺した?
俺は親を殺したのか?

いや、そんなはずがない。

そんなはずがない、違う

違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う


その日、一の国は完全に崩壊した。
青い化け物しか動くものの居なくなった国を眺めて、虚無僧はニヤリと笑っていた。
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