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二の国(前編)
暗い国
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神国を囲むようにある七つの国の端にはそれぞれ高い壁が建っている。
別の国へ行くには壁の扉から出て隣の国の壁まで五キロメートルほどの道を歩く必要がある。
今、一の国の扉の外は避難してきた人でごった返していた。
とりあえず、二の国へ行こう。
一の国崩壊から二時間後、俺はようやく方針を定めた。
両親は行方不明だが、別に亡くなっていると決まったわけでは無い。
隣国である二の国に避難している可能性もゼロでは無い。
それに、姉を拐ったものが使っていた探偵が二の国に居ると虚無僧は言っていた。
進もう。
二の国に入って真っ先に感じた感覚は『この国は暗い』と言うことだった。
客商売が盛んな一の国に比べて活気がないのは想像通りなのだが、何故かこの国の人の多くはどんよりとしていた。
俺は避難民の群れに流されないように裏路地へと入った。
後ろからドンとぶつかられた。
視線を向けると異様に痩せた男が目ばかり爛々とさせて俺を抜かしていった。
まるでぶつかった事に気がついていないようだった。
何故か彼の目が気になって追いかけてみる事にした。
そして俺の目に飛び込んだ光景は異様だった。
先程の男のような痩せぎすな人が数人、一人の人物を囲むようにいた。
正確には囲むほどの力もなく縋り付くようにしていたのだが。
中心の人物は般若の面を付けていて、顔は一歳見えなかったが、紫のマントで覆うように体を隠している中からちらつく腕の筋肉さから男では無いかと思われた。
般若はマントから手を出し、縋り付く男たちに白い紙袋を渡していた。
その手も異形で異様に長く灰色の爪で摘むようにして紙袋を持っていた。
簡単に言えば、君が悪い人物だった。
般若が俺に気づいたかのようにこちらを振り向く。
目があった気がした。
それと同時に俺は恐ろしく感じ、逃げ出した。
恐らくあいつは薬物の売人だ。
後ろから足音が聞こえる。
振り向くと般若では無いが、俺を確実に捉えているあたり、あいつの部下か何かだろう。
捕まると確信した。
その瞬間どこかから矢が飛んできた。
矢が刺さったところからは電気がほとばしっているのが見てとれた。
その矢を追うように人影が降りてきた。
般若の仲間か?
俺は必死にそちらを振り向く。
そこに立っていたのは、この世界の女王、女神様だった。
別の国へ行くには壁の扉から出て隣の国の壁まで五キロメートルほどの道を歩く必要がある。
今、一の国の扉の外は避難してきた人でごった返していた。
とりあえず、二の国へ行こう。
一の国崩壊から二時間後、俺はようやく方針を定めた。
両親は行方不明だが、別に亡くなっていると決まったわけでは無い。
隣国である二の国に避難している可能性もゼロでは無い。
それに、姉を拐ったものが使っていた探偵が二の国に居ると虚無僧は言っていた。
進もう。
二の国に入って真っ先に感じた感覚は『この国は暗い』と言うことだった。
客商売が盛んな一の国に比べて活気がないのは想像通りなのだが、何故かこの国の人の多くはどんよりとしていた。
俺は避難民の群れに流されないように裏路地へと入った。
後ろからドンとぶつかられた。
視線を向けると異様に痩せた男が目ばかり爛々とさせて俺を抜かしていった。
まるでぶつかった事に気がついていないようだった。
何故か彼の目が気になって追いかけてみる事にした。
そして俺の目に飛び込んだ光景は異様だった。
先程の男のような痩せぎすな人が数人、一人の人物を囲むようにいた。
正確には囲むほどの力もなく縋り付くようにしていたのだが。
中心の人物は般若の面を付けていて、顔は一歳見えなかったが、紫のマントで覆うように体を隠している中からちらつく腕の筋肉さから男では無いかと思われた。
般若はマントから手を出し、縋り付く男たちに白い紙袋を渡していた。
その手も異形で異様に長く灰色の爪で摘むようにして紙袋を持っていた。
簡単に言えば、君が悪い人物だった。
般若が俺に気づいたかのようにこちらを振り向く。
目があった気がした。
それと同時に俺は恐ろしく感じ、逃げ出した。
恐らくあいつは薬物の売人だ。
後ろから足音が聞こえる。
振り向くと般若では無いが、俺を確実に捉えているあたり、あいつの部下か何かだろう。
捕まると確信した。
その瞬間どこかから矢が飛んできた。
矢が刺さったところからは電気がほとばしっているのが見てとれた。
その矢を追うように人影が降りてきた。
般若の仲間か?
俺は必死にそちらを振り向く。
そこに立っていたのは、この世界の女王、女神様だった。
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