神と鬼の物語

鶴野オト

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二の国(前編)

邂逅

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女神様は非常に美しかった。
真白な和服を身にまとい、露出した腕、脚、頭も同じくらい白かった。
髪は短く、美しいブロンドであった。
何故か裸足でいるのも彼女の神々しさを掻き立てているようだった。
女神様はその作り物のような腕を高く上げてスッと下ろす。
衝撃波のようなものが俺を追いかけてきた奴らに当たった。
その次の瞬間、『奴ら』はただの『塵』となってしまった。
俺が女神様へ目を向けると女神様もふわりと俺を見ているようだった。
意識の存在するかさえ分からない女神様の視線はすぐに俺から離れた。
彼女が地面を蹴った、そう思った次の瞬間には女神様は消えていた。

俺はしばし呆然としていたが、ここへ来た目的、『探偵の捜索』のために大通りへと戻った。
人畜無害そうなおじさんに声をかける。
おじさんはつまらなそうな顔をしていたが、この国には知られている探偵は二人いることと、その二人の住むところを教えてくれた。

俺はとりあえず現在地から近い探偵の住処を訪れた。
中指で二回、軽くノックをする。

「すみません、探偵さんのお宅はこちらでよろしかったでしょうか?」

「ういー、合ってんよ」

気怠げな声が室内から聞こえて来る。
どうやら女性らしい。
俺はここの主人が出て来る気がないことを悟ると、スッと扉を開いた。
中にいた人物を見て俺はギョッとした。
虚無僧や般若を見て変な人は見慣れていたと思っていたが、探偵はまた違った「変な」見た目をしていた。

「あ?なんだガキじゃねえか
『何でも屋』やって長いが、迷子の案内は初めてだな」

探偵は下着姿だった。
燃えるように赤いブラジャーとパンツが彼女の豊満な体を軽く隠していた。
しかし、それ以上に目を引くのは彼女の四肢である。
彼女の右腕、左腕、右脚、左脚、その全ては鉄でできていた。
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