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異世界人9

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「それにしても、プロフェッサーとかいう女、一体何者だったんだ?」
 ケイジはずっとその疑問を自らに投げかけ続けている
 彼女はその体を肉片や細胞に至るまで、一切残さず消滅していたが、これは光の勇者の力によるものではない
 彼女の体は元々すでに相当劣化しており、腐り始めていた
 そこに多大な異世界人たちの力が流れ込んだことで、細胞がかなり崩壊していたようだ
 そして光の勇者による攻撃
 彼女は細胞すら完全に消し飛んでしまったのだった
 だが彼女自体、恐らく死体であったはずの彼女の身元は分かっている
 元々身寄りのない孤児で、教会のシスターだった女性
 名前はマージュ
 孤児院も兼ねている協会では子供達に慕われていた優しい女性だった
 歳はまだ若く、十八歳
 プロフェッサーの実験体となって死んだのであろう一人
「マージュ自体はただの市民。治癒魔法に優れていたが、それ自体は教会勤めの人間にとって珍しいものじゃない。彼女の体を乗っ取っていたモノは一体何なんだ」
 何かが彼女の死体を操っていたというのは、十二覇人の証言によると間違いない
 その何かは突如帝国に現れ、死体を乗り換えてはおかしくなった帝国で暗躍していたのだ
「考えてても仕方ない、か。奴はもう滅んだんだ。気にするのはやめよう」
 この世には自分達の理解の及ばないものは確かに存在する。そしてそれらが悪意を持ってこちらを襲って来た時こそ、自分達の対処が試される
 そう考え、ケイジは他の報告書に目を通し始めた
「・・・精霊国で、精霊の勇者が行方不明・・・。これはフィオナちゃんが解決してくれたのか。こっちも訳が分からない化け物に襲われただって!? 一体何が起こってるんだよもう!」
 理解ができないことが多すぎてさすがに一人でキレてしまう
「ケイジ、うるさいよ」
「ごめんデュース。ちょっと理解の範疇が許容範囲を越えちゃってね」
「あんま根詰めるなよ? 俺も報告書の整理手伝うからさ」
「ありがとう」
 二人は山積みになった帝国からの報告書と、各国の調査員による報告書に再び目を通し始めた
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