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第七章 ユーリと氷の女王
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「ユーリ様・・・そろそろ起きて下さい」
囁く声と共に、体がそっと揺すられた。
ん・・・あれ・・?
ぼんやりとしたまま目をこする。
「お休みのところ申し訳ありません。
もうそろそろダーヴィゼルド領内の
公爵直轄地・・・城下と言われている
所へ入りますので。」
シェラさんの声だ。そう思ってハッとする。
そうだ。そういえばお昼休憩の後に
眠くなったら寝ていいって言われて、
まさかそんなドライブ中に運転手を
差し置いて助手席でぐーすか眠りこける
人のような無神経な真似は、と
啖呵を切ったんだった。
『私、起きてられますよ⁉︎』
言った。確かにそう言ったのに完全に
寝てた。恥ずかし過ぎる・・・‼︎
「おっ、おはようございます!」
慌て過ぎて挨拶も間違えた。
最悪だ、恥の上塗りだよ。
しかしそんな私に動じることなく、
シェラさんは相変わらず
色気垂れ流しな笑顔を見せた。
「はい、おはようございます。
ユーリ様の寝顔は長く震えるようなまつげも、
かわいらしい吐息をもらす唇も、
その全てが美しいですね。この世の美しさの
全てを詰め込んだようなそのお姿を間近で
見つめることが出来るオレは幸せ者です。」
ま、また‼︎またおかしな事を
言ってるよこの人は‼︎
オレの女神とか言い出さないだけ
まだマシなのかな⁉︎
そう思う自分の感覚は麻痺してきてるのか。
しかもその言いっぷりは絶対に
人の寝顔を観察してたやつ!
馬を操って走りながら器用にも程がある。
とりあえずもう二度とシェラさんの
前では居眠りをしない。
そう心に誓って周りを見渡した。
うっすらと暗くなりかけている。
いつの間にか、山の中は抜けていて
平地が広がっていた。
ここはもうダーヴィゼルド領内なんだ。
ビュウ、と冷たくて強い風が吹くと
白く舞うものを視界に捉える。雪だ。
「もうしばらく行きますと、
城下へ入るための門があります。
殿下から話は通っていますし、
先行したデレクもユーリ様の事を
知らせていますから、通行証を
見せればすぐに公爵城へと
入れるでしょう。」
そう言われてそのまま進めば、
大きな門が目の前に現れて
がっしりした門番さんが2人いた。
シェラさんが通行証を見せると
慌てて番兵所から騎士さんらしい人達を
数人呼んできて私達と引き合わせる。
「お待ちしておりました!
長期演習が終わり王都へ
戻られたばかりだと言うのに
申し訳ありません・・・‼︎」
騎士さん達はみんな深々と頭を下げている。
「ヒルダ様のたっての希望ですからね。
癒し子ユーリ様も早急に向かいたいと
申されましたので。それでは我々は
このまま真っ直ぐ公爵城へ行きますよ。
馬で乗り入れますが緊急事態と
いうことでお許しください。」
そう言ったシェラさんは馬の腹を蹴り
進もうとした。
「シェラさん、私は挨拶しなくても?」
このまま黙って行っちゃうのは
なんだか感じが悪くないだろうか。
そう思って聞いたんだけど、
「ユーリ様はお優しい方ですね。
皆に挨拶していてはいつまで経っても
城へは辿り着けませんよ?」
そんな事をシェラさんは言う。
でも会釈だけでも、と思って
外套のフードを脱いで騎士さんや
門番さん達に顔を見せる。
顔も見せない相手に公爵様の
大事な旦那様は任せられないでしょ。
そう思いながらぺこりと頭を下げた。
「ユーリです。どこまでお役に
立てるかは分かりませんが、
頑張りますのでよろしくお願いします。」
「謙遜が過ぎますよ、ユーリ様。
あなたはただそこにおられるだけで
美しく尊いと言うのに。
何しろあなたはオレのめが」
「わ、わあっ!挨拶はこれくらいで
いいですかっ⁉︎急ぐんでしたよね、
ごめんなさい早く行きましょう‼︎」
慌ててシェラさんの言葉を遮った。
危ない。まさかここでまた女神発言を
するとは思わなかった。
油断も隙もない。
目を丸くしている騎士さん達に
ぺこぺこ頭を下げながら
シェラさんを促して前へと進む。
山中を2人で移動していた時は
落ち着いたしっかりしていた人だったのに
一体何がスイッチになって
癒し子原理主義者っぷりが
発動されるのかが分からない。謎だ。
門を通り過ぎたその後は、住宅や商店が
並ぶ街の中をしばらく移動すると
やがて真っ白で大きなお城が
突然目の前に現れた。
だけど様子が変だ。人がせわしなく
行き交って、数人の騎士らしき人達が
馬に乗って慌ただしくどこかへと
駆けて行く。
「何かあったんですかね?」
嫌な予感がしてそう言った時だった。
「ユーリ様!隊長‼︎」
デレクさんが城の中から走ってきた。
「デレクさん!何かありましたか?」
「それが・・・」
物言いたげなデレクさんにちらりと
見られたシェラさんが頷いて馬を降りた。
「すぐにヒルダ様に会いましょう。
カイゼル殿に何か起きましたね。」
その言葉にデレクさんも
「はい、すぐにご案内します!
騎士団長のバルドル殿も一緒ですので。」
そう言って他の人を呼び止めて
馬を預ける。
私はといえば、失礼いたします。と
いう断りと共にシェラさんにさっと
縦抱っこされて移動だ。
ちょっと大きくなったんだけどな。
不本意だけど仕方がない。
この方が移動は早い。
入り組んだ廊下をスタスタと
シェラさん達は進んで、
ちょっとした広間みたいな所へ出た。
そこには4、5人の騎士さん達に指示を出す
深緑色の長髪をポニーテールに纏めた
男の人と、白いブラウスに黒パンツ姿で
腰に剣を差した女の人がいた。
「ヒルダ様、バルドル殿。」
シェラさんがその2人に声を掛けると、
顔に手を当てて俯いていた女の人が
その声にパッと顔を上げてこちらを見る。
その姿に驚いた。湖に張った氷のように
綺麗な薄い水色の髪の毛が、
なんだかざんばらな前下がりボブみたいな
おかっぱ頭でぼさぼさだったのだ。
私達を見て、真っ青な瞳を見開き
少しよろめくと隣に立つポニーテールの
人の腕に掴まった。
隣に立つその人は、そんな彼女の手を
しっかりと握ってあげている。
「キリウ小隊隊長、
シェラザード・イル・ザハリが
癒し子ユーリ様と共にただいま
到着致しました。ダーヴィゼルドの
勇猛なる領主、ヒルデガルド様に
ご挨拶申し上げます。」
こんな時でも片手に私を抱いたまま、
シェラさんは優雅な礼を欠かさない。
「あ、ああ。すまないな、あなた達の
手を借りることになって。
癒し子ユーリ様、初めてお目にかかります。
国王陛下よりこのダーヴィゼルドを
預かり守護を任ぜられております、
ヒルデガルド・ダーヴィゼルドと
申します。どうぞヒルダとお呼び下さい。
まさか、こんなにも早く
駆け付けて下さるとは・・・」
そういう顔色は真っ青だ。
「一体何がありましたか。
あなたがそのように取り乱しているのは
初めて見ました。それに、その髪も。」
シェラさんの言葉にヒルダ様は
唇を噛むと事情を話し始めた。
「さきほど、私の結界を破って
カイ・・・カイゼルが城を出て行って
しまったのです。その際、私も首を
切られかけてこのザマです。
今は城内の者が総出でカイを探しています」
運良く助かったのは、北方風のあの髪型、
首に巻き付けていた長い三つ編みの
おかげだという。
「すんでのところで剣を避けて
髪を切られただけで済み、命拾いをして
無様にもかような姿を晒しております。
見苦しい姿をユーリ様に
お見せする事をお許しください。」
そう話したヒルダ様の隣で、
手を取ったままそれまでじっと
その隣に立っていた男の人も
私に向かって頭を下げた。
「癒し子様にお会い出来て光栄の至りです。
私はダーヴィゼルド騎士団団長で
ヒルダ様の第二夫、バルドルと申します。
この度はこのような遥か北方の地まで
来ていただきありがとうございます。
カイゼルは必ず探し出しますので、
どうかユーリ様のお力でぜひとも
助けていただきたく・・・」
お願いします。そう言って、
バルドルさんという人はまた頭を下げた。
「ヒルダ様に剣を向けたのですか?
あのカイゼル殿が?それも、ヒルダ様が
躱すのがやっとな程の剣技で?」
あの方はそこまでの腕前ではなかったはず。
シェラさんが信じられないと
言った風に口にすると、
そうだとヒルダ様が頷いた。
「あれはカイではない。
あの心優しいカイが私に剣を向け、
躊躇なくこの首を獲ろうとするなど
あり得ない。ましてや、私の結界を
破るほどの魔力をカイは持っていない。
きっと、魔物のせいなのだ。
カイの中に、何かが入り込んで
操っているに違いない。」
ダーヴィゼルドに着いて早々、
大変なことになった。
治さなきゃいけない人が行方不明だなんて。
私に何が出来るだろうか。
シェラさんに掴まる手に力が入る。
そんな私に気付いたシェラさんが
大丈夫ですよ、と微笑んだ。
「ダーヴィゼルドの騎士達は優秀です。
きっとすぐにカイゼル殿は
見つけられるでしょう。
それまでの間に、ユーリ様はしっかりと
休息を取っていつでもそのお力を
使えるように備えていて下さい。
それに、ここに着いたらまずは
殿下に到着の報告でしょう?
ヒルダ様、鏡の間を貸していただけますか?
ユーリ様が無事到着したことと、
現状の報告をしたいと思います。」
憔悴した様子のヒルダ様にそう告げて、
デレクさんにも私の部屋の確認と
荷物の搬入、今後の方針について
バルドルさん達との打ち合わせを
どうするかなどテキパキと
シェラさんは物事を進めて行った。
いや、本当にこの人は突然私に向かって
オレの女神とか言い出さなければ
優秀な人なんだけどなあ・・・。
囁く声と共に、体がそっと揺すられた。
ん・・・あれ・・?
ぼんやりとしたまま目をこする。
「お休みのところ申し訳ありません。
もうそろそろダーヴィゼルド領内の
公爵直轄地・・・城下と言われている
所へ入りますので。」
シェラさんの声だ。そう思ってハッとする。
そうだ。そういえばお昼休憩の後に
眠くなったら寝ていいって言われて、
まさかそんなドライブ中に運転手を
差し置いて助手席でぐーすか眠りこける
人のような無神経な真似は、と
啖呵を切ったんだった。
『私、起きてられますよ⁉︎』
言った。確かにそう言ったのに完全に
寝てた。恥ずかし過ぎる・・・‼︎
「おっ、おはようございます!」
慌て過ぎて挨拶も間違えた。
最悪だ、恥の上塗りだよ。
しかしそんな私に動じることなく、
シェラさんは相変わらず
色気垂れ流しな笑顔を見せた。
「はい、おはようございます。
ユーリ様の寝顔は長く震えるようなまつげも、
かわいらしい吐息をもらす唇も、
その全てが美しいですね。この世の美しさの
全てを詰め込んだようなそのお姿を間近で
見つめることが出来るオレは幸せ者です。」
ま、また‼︎またおかしな事を
言ってるよこの人は‼︎
オレの女神とか言い出さないだけ
まだマシなのかな⁉︎
そう思う自分の感覚は麻痺してきてるのか。
しかもその言いっぷりは絶対に
人の寝顔を観察してたやつ!
馬を操って走りながら器用にも程がある。
とりあえずもう二度とシェラさんの
前では居眠りをしない。
そう心に誓って周りを見渡した。
うっすらと暗くなりかけている。
いつの間にか、山の中は抜けていて
平地が広がっていた。
ここはもうダーヴィゼルド領内なんだ。
ビュウ、と冷たくて強い風が吹くと
白く舞うものを視界に捉える。雪だ。
「もうしばらく行きますと、
城下へ入るための門があります。
殿下から話は通っていますし、
先行したデレクもユーリ様の事を
知らせていますから、通行証を
見せればすぐに公爵城へと
入れるでしょう。」
そう言われてそのまま進めば、
大きな門が目の前に現れて
がっしりした門番さんが2人いた。
シェラさんが通行証を見せると
慌てて番兵所から騎士さんらしい人達を
数人呼んできて私達と引き合わせる。
「お待ちしておりました!
長期演習が終わり王都へ
戻られたばかりだと言うのに
申し訳ありません・・・‼︎」
騎士さん達はみんな深々と頭を下げている。
「ヒルダ様のたっての希望ですからね。
癒し子ユーリ様も早急に向かいたいと
申されましたので。それでは我々は
このまま真っ直ぐ公爵城へ行きますよ。
馬で乗り入れますが緊急事態と
いうことでお許しください。」
そう言ったシェラさんは馬の腹を蹴り
進もうとした。
「シェラさん、私は挨拶しなくても?」
このまま黙って行っちゃうのは
なんだか感じが悪くないだろうか。
そう思って聞いたんだけど、
「ユーリ様はお優しい方ですね。
皆に挨拶していてはいつまで経っても
城へは辿り着けませんよ?」
そんな事をシェラさんは言う。
でも会釈だけでも、と思って
外套のフードを脱いで騎士さんや
門番さん達に顔を見せる。
顔も見せない相手に公爵様の
大事な旦那様は任せられないでしょ。
そう思いながらぺこりと頭を下げた。
「ユーリです。どこまでお役に
立てるかは分かりませんが、
頑張りますのでよろしくお願いします。」
「謙遜が過ぎますよ、ユーリ様。
あなたはただそこにおられるだけで
美しく尊いと言うのに。
何しろあなたはオレのめが」
「わ、わあっ!挨拶はこれくらいで
いいですかっ⁉︎急ぐんでしたよね、
ごめんなさい早く行きましょう‼︎」
慌ててシェラさんの言葉を遮った。
危ない。まさかここでまた女神発言を
するとは思わなかった。
油断も隙もない。
目を丸くしている騎士さん達に
ぺこぺこ頭を下げながら
シェラさんを促して前へと進む。
山中を2人で移動していた時は
落ち着いたしっかりしていた人だったのに
一体何がスイッチになって
癒し子原理主義者っぷりが
発動されるのかが分からない。謎だ。
門を通り過ぎたその後は、住宅や商店が
並ぶ街の中をしばらく移動すると
やがて真っ白で大きなお城が
突然目の前に現れた。
だけど様子が変だ。人がせわしなく
行き交って、数人の騎士らしき人達が
馬に乗って慌ただしくどこかへと
駆けて行く。
「何かあったんですかね?」
嫌な予感がしてそう言った時だった。
「ユーリ様!隊長‼︎」
デレクさんが城の中から走ってきた。
「デレクさん!何かありましたか?」
「それが・・・」
物言いたげなデレクさんにちらりと
見られたシェラさんが頷いて馬を降りた。
「すぐにヒルダ様に会いましょう。
カイゼル殿に何か起きましたね。」
その言葉にデレクさんも
「はい、すぐにご案内します!
騎士団長のバルドル殿も一緒ですので。」
そう言って他の人を呼び止めて
馬を預ける。
私はといえば、失礼いたします。と
いう断りと共にシェラさんにさっと
縦抱っこされて移動だ。
ちょっと大きくなったんだけどな。
不本意だけど仕方がない。
この方が移動は早い。
入り組んだ廊下をスタスタと
シェラさん達は進んで、
ちょっとした広間みたいな所へ出た。
そこには4、5人の騎士さん達に指示を出す
深緑色の長髪をポニーテールに纏めた
男の人と、白いブラウスに黒パンツ姿で
腰に剣を差した女の人がいた。
「ヒルダ様、バルドル殿。」
シェラさんがその2人に声を掛けると、
顔に手を当てて俯いていた女の人が
その声にパッと顔を上げてこちらを見る。
その姿に驚いた。湖に張った氷のように
綺麗な薄い水色の髪の毛が、
なんだかざんばらな前下がりボブみたいな
おかっぱ頭でぼさぼさだったのだ。
私達を見て、真っ青な瞳を見開き
少しよろめくと隣に立つポニーテールの
人の腕に掴まった。
隣に立つその人は、そんな彼女の手を
しっかりと握ってあげている。
「キリウ小隊隊長、
シェラザード・イル・ザハリが
癒し子ユーリ様と共にただいま
到着致しました。ダーヴィゼルドの
勇猛なる領主、ヒルデガルド様に
ご挨拶申し上げます。」
こんな時でも片手に私を抱いたまま、
シェラさんは優雅な礼を欠かさない。
「あ、ああ。すまないな、あなた達の
手を借りることになって。
癒し子ユーリ様、初めてお目にかかります。
国王陛下よりこのダーヴィゼルドを
預かり守護を任ぜられております、
ヒルデガルド・ダーヴィゼルドと
申します。どうぞヒルダとお呼び下さい。
まさか、こんなにも早く
駆け付けて下さるとは・・・」
そういう顔色は真っ青だ。
「一体何がありましたか。
あなたがそのように取り乱しているのは
初めて見ました。それに、その髪も。」
シェラさんの言葉にヒルダ様は
唇を噛むと事情を話し始めた。
「さきほど、私の結界を破って
カイ・・・カイゼルが城を出て行って
しまったのです。その際、私も首を
切られかけてこのザマです。
今は城内の者が総出でカイを探しています」
運良く助かったのは、北方風のあの髪型、
首に巻き付けていた長い三つ編みの
おかげだという。
「すんでのところで剣を避けて
髪を切られただけで済み、命拾いをして
無様にもかような姿を晒しております。
見苦しい姿をユーリ様に
お見せする事をお許しください。」
そう話したヒルダ様の隣で、
手を取ったままそれまでじっと
その隣に立っていた男の人も
私に向かって頭を下げた。
「癒し子様にお会い出来て光栄の至りです。
私はダーヴィゼルド騎士団団長で
ヒルダ様の第二夫、バルドルと申します。
この度はこのような遥か北方の地まで
来ていただきありがとうございます。
カイゼルは必ず探し出しますので、
どうかユーリ様のお力でぜひとも
助けていただきたく・・・」
お願いします。そう言って、
バルドルさんという人はまた頭を下げた。
「ヒルダ様に剣を向けたのですか?
あのカイゼル殿が?それも、ヒルダ様が
躱すのがやっとな程の剣技で?」
あの方はそこまでの腕前ではなかったはず。
シェラさんが信じられないと
言った風に口にすると、
そうだとヒルダ様が頷いた。
「あれはカイではない。
あの心優しいカイが私に剣を向け、
躊躇なくこの首を獲ろうとするなど
あり得ない。ましてや、私の結界を
破るほどの魔力をカイは持っていない。
きっと、魔物のせいなのだ。
カイの中に、何かが入り込んで
操っているに違いない。」
ダーヴィゼルドに着いて早々、
大変なことになった。
治さなきゃいけない人が行方不明だなんて。
私に何が出来るだろうか。
シェラさんに掴まる手に力が入る。
そんな私に気付いたシェラさんが
大丈夫ですよ、と微笑んだ。
「ダーヴィゼルドの騎士達は優秀です。
きっとすぐにカイゼル殿は
見つけられるでしょう。
それまでの間に、ユーリ様はしっかりと
休息を取っていつでもそのお力を
使えるように備えていて下さい。
それに、ここに着いたらまずは
殿下に到着の報告でしょう?
ヒルダ様、鏡の間を貸していただけますか?
ユーリ様が無事到着したことと、
現状の報告をしたいと思います。」
憔悴した様子のヒルダ様にそう告げて、
デレクさんにも私の部屋の確認と
荷物の搬入、今後の方針について
バルドルさん達との打ち合わせを
どうするかなどテキパキと
シェラさんは物事を進めて行った。
いや、本当にこの人は突然私に向かって
オレの女神とか言い出さなければ
優秀な人なんだけどなあ・・・。
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