【本編完結】異世界再建に召喚されたはずなのになぜか溺愛ルートに入りそうです⁉︎【コミカライズ化決定】

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第十一章 働かざる者食うべからず

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「いやあ、まさかレジナスの旦那があの髪飾りを
贈った相手がリリちゃんだったとはなあ。」

イーゴリさんが白々しいことを笑いながら言う。

「コワモテの旦那に付き合ってくれるなら悪い子じゃ
ないとは思っていたけど、リリちゃんなら納得だ!」

その言葉にレジナスさんが固まった。付き合って
くれる子、と言われて意識してしまったらしい。

そんなレジナスさんに構わずイーゴリさんは続ける。

「でも旦那、せっかくのデートがこんな鍛冶屋だ
なんて、オレが言うのもなんだがちょっと雰囲気が
無さすぎやしませんかい?もうちょっとこう、
女の子の好きそうな所に連れてってやった方が。」

「いっ、いいんですよ!ここは私が希望して連れて
来てもらったんです‼︎」

まずい。付き合っている子という言葉に更に重ねて
デートと言われたのでますますレジナスさんが
固まってしまった。話を変えないとイーゴリさんの
詮索が止まらなくてレジナスさんがかわいそうだ。

「・・・リリ様がレジナスと付き合っている?」

あっ、シェラさんが余計なことを・・・!

「ええ、そうらしいですよ。レジナスの旦那は
大事な人にあげるものだと言ってオレに髪飾りを
注文されたし、リリちゃんもその事を嬉しそうに
さっき話してくれましたからなあ。」

イッ、イーゴリさん‼︎私のアイコンタクトが全然
伝わってない‼︎

ちらりとレジナスさんを見上げれば、思った通り
目尻のあたりがうっすらと赤くなってきている。

シェラさんはふうん・・・と思案顔だ。

「先を越されましたか・・・でも殿下の事もあり
ますし、考えようによってはこれでリリ様が王宮を
出てどこかへ嫁ぐ確率が更に低くなったと思えば
幸いなのか・・・」

何か小声で独り言を呟いている。何の話だろうか。

「シェラさん?」

「はい、何でもありませんよ?この先のオレの
身の振り方について少し考えていただけですから。」

若干圧のある笑顔でにっこり笑ってそう言われれば、
あーこれはそれ以上私に何も教えるつもりはない
んだなと分かる。

「とにかく!私のことはどうでも良くて、今日は
ブローチを作りたくて来たんです。レジナスさんに
聞いたんですけどイーゴリさんは鍛冶屋さんで、
こういうブローチも作れるそうですね?」

いつまでも私とレジナスさんの事を話題にされて
いてはたまらないのでなかば強引に話題を変えた。

レジナスさんに縦抱っこされたまま、自分の
ポシェットからマルクさんのお店でもらってきた
ブローチのデザイン画をイーゴリさんに手渡す。

「リンゴと矢の意匠か。なかなか面白いな。
色は決めてあるのかな?魔法石とか何か付け足す
ものも考えているのかい?」

これくらいならお安い御用だ、と頷きながら
イーゴリさんは私に色々聞いてきた。

「色はできれば金色がよくて、数は20個欲しい
です!魔法石とかは何も付けなくて大丈夫ですよ。
・・・金貨5枚までなら出せますが足りますか?」

「充分だよ、それだけあれば質の良い金箔を張れる。
期日はあるかい?」

ちょっと考えて、マルクさんのところからハンカチが
出来上がってくるのと同じ頃で指定する。

ハンカチとブローチのセットにして奥の院の
みんなに手渡したい。届け先はハンカチと同じく
騎士団だ。するとそこでイーゴリさんが首を捻った。

「それはいいが・・・リリちゃんて一体何者だい?
魔法が使えるっていうから魔導士見習いで食堂では
生活費を稼いでいるのかと思えばそんなにたくさんの
金貨を持っていてレジナスの旦那やシェラさんが
護衛についているし。しかも品物の納品先は騎士団と
きた。ひょっとしてどこかのお姫様なのかな?」

その気持ちは良く分かるので、マルクさんのお店で
話したウソの身分を語ってみる。

「騎士団長のマディウスさんはご存知ですか?
私はマディウスさんの親戚で、田舎から王都へ
遊びに来ているんです。この二人は私を心配した
マディウスさんがつけてくれた護衛ですよ。」

なるほどなあと一度納得しかけたイーゴリさんだけど
それにしてはやけに働き慣れていて、誰も食べない
ような魚の卵の旨い食べ方も知っているしなんだか
いろいろ謎だなあ?と言われた。

うーん、やっぱりちょっと無理があるかな?

そう思っていたら、シェラさんがイーゴリさんに
聞こえないよう私にこっそりと言う。

「ユーリ様、今日は市民街の者達にレジナスと一緒の
ところをだいぶ見られているはずです。であれば、
この先ユーリ様とレジナスの関係を国民に公表した
時に、レジナスはリリという少女とユーリ様を二股に
かけた挙句リリを捨ててユーリ様を選んだ不埒な
男だと皆に思われるのではありませんか?」

まあオレはレジナスの評判がどうなろうとも知った
ことではないのですが。シェラさんの言葉に私を
抱えているレジナスさんの体がびくりと動いた。

あれ?確かにそうかも知れない。それはあんまり
よろしくない。

イーゴリさんも、レジナスさんはリリという少女と
付き合っていると思っているしなあ・・・。

「え?じゃあ私がユーリっていう癒し子だって
教えた方がいいですよね?」

何しろレジナスさんが二股男かどうかの評判に
関わってくるのだ。

「イーゴリは仕事柄口が固いのでユーリ様のことを
話しても大丈夫だと思います。それに市民街の者達に
顔がきくので、もし他の者にリリがユーリ様だと
知られても騒ぎにならないよう、うまく取り計らって
くれるかもしれません。」

「なるほど。分かりました、じゃあタイミングを見て
イーゴリさんには私のことを教えてみます!」

シェラさんのアドバイスに相槌を打ってレジナスさん
にもいいですか?と聞けばぎこちなく頷いてくれた。

「どうした、何か問題でもあったかい?」

そんな私達にイーゴリさんは不思議そうに声を
かけてくる。

「いえっ、何でもないです!それよりえーと・・・
お店の中、もう少し見てもいいですか?」

「いいけど、リリちゃんが見て面白いものなんか
あるかなあ。」

イーゴリさんはそう言うけど、丸い鉄球にギザギザが
ついたいわゆるモーニングスターみたいな武器や
半月刀、仕込み杖などまるで映画かドラマの小道具
みたいな物がところ狭しと並ぶ店内はかなり面白い。

レジナスさんも私の分からないものについては
教えてくれるので、その説明を聞いているだけでも
飽きずに時間を忘れて見入ってしまう。

その時ふと棚に飾ってある卵型の置物に気付いた。

粉薬を仕込める指輪やブレスレットなどの装飾品と
一緒のスペースに飾ってあるそれは、木型の台座の
上に鎮座している。

乳白色のつるりとした楕円形で、飾りも何もない
本当にただの卵型の置物だ。

「レジナスさん、これは何ですか?」

「小物入れだな。継ぎ目もなくただの置物に見えるが
中に毒薬などを入れられるようになっているんだ。
ここには無加工で置いてあるが、希望すれば華やかな
装飾も施してくれるぞ。貴族の邸宅の飾り棚の中に
違和感なく紛れ込ませておいて、いざという時は
すぐに使えるようにも出来るものだ。」

意外と物騒なものだった。近付いて手にとってみれば
案外ずっしりと重い。

ペーパーウェイトにもなりそうだなと思いながら
レジナスさんに尋ねる。

「これ、装飾するっていうか簡単な動物の形にも
加工できますか?私の今持ってるお金で足りるかな
・・・」

「そこまで固い石ではないからイーゴリなら加工も
できると思うが・・・。金額もそう高くはないから
買えるだろう。欲しいのか?」

「はい。リオン様へのお土産にしたいです!中には
この間私が泣いた時に出来た、あの真珠みたいなもの
をいくつか入れてリオン様の側に置いてもらえれば、
万が一の時にもすぐ使えるでしょう?形はフクロウの
姿にしてもらえれば嬉しいですけど・・・。」

あの真珠みたいな物は貴重だから厳重に保管すると
言っていたけど、もし何かに役立つのなら本当は
いつでも使えるように手元に置いて欲しい。

ましてやリオン様はルーシャ国の王子様だから
いつ何があるか分からないのだ。私が側にいない時も
私の代わりにリオン様を護るものの一つとして側に
置いて欲しいなと思った。

レジナスさんにそんなことを話せば、

「それを聞けばとても喜ぶだろう。シグウェルに
頼めば、執務室など他人の目がある場所にあっても
人の意識がそこに向きにくい魔法をかけてくれるから
誰かに盗まれる心配もしなくていいと思うしな。」

微笑んでそう言ってくれた。

さっそくそれをイーゴリさんに渡せば、

「それ位の加工なら簡単だ。リリちゃんの髪飾りを
彫刻したのに比べればあっという間に出来るよ。
あれを作ってオレの腕もだいぶ上がったからな。」

笑って快く応じてくれた。

っていうか、私の髪飾りってそんなに加工が難しい
ものだったんだ・・・。確かにすごく細かい作りだと
思ってはいたけど。

今更ながら、レジナスさんがどれだけ私を想って
それを贈ってくれたのかが分かり嬉しい反面、
恥ずかしさも増してしまった。

「どうしたリリ、顔が赤いぞ?暑いか?」

「いえ・・・なんでもないです。髪飾り、大事に
しますね。」

改めてそう言った私にレジナスさんは訳が分からない
と不思議そうにしていたけど、それでいいと思った。







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