【本編完結】異世界再建に召喚されたはずなのになぜか溺愛ルートに入りそうです⁉︎【コミカライズ化決定】

sutera

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第十四章 手のひらを太陽に

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・・・ポタポタと、自分の頬に何か冷たいものが数滴
滴り落ちている。

その感覚にハッとして私は目を開けた。

シェラさんを待ちながらいつの間にか寝入っていた
らしい。

と言ってもあのサークルベッドには自力で入れない
ので私が眠り込んでいたのは普通に部屋に備え付けの
ベッドの上だ。

そうだ、確か満腹過ぎてシェラさんがいなくなって
からすぐ睡魔に襲われたんだった。

シェラさんが戻ったら起こしてもらってあのベッドに
運んでもらえばいいやとこっちのベッドにダイブした
のを思い出す。

パチパチ瞬きをして自分の頬に一体何が落ちて来た
のかとベッドに仰向けのまま見上げれば、私の顔の
すぐ真上にシェラさんの顔が陰を落としていた。

「シェラさん⁉︎」

びっくりして声を上げれば、また一滴私の顔に水滴が
滴り落ちてくる。

どうやらお風呂上がりで濡れ髪のまま、眠り込んで
いた私を見ていたらしい。

それも私の体の上に覆い被さるようにして。

何も知らない人が見れば、私の体の上に両手をついて
見つめているその姿はまるで私が押し倒されている
ようなシチュエーションに見えなくもない。

しかも湯上がりでほんのり上気した顔に濡れた髪で
いつものようにうっとりとした金色の瞳で見つめられ
ていると、いつも以上の色気を醸し出している。

目を開けた時にすぐ近くに文字通り水も滴る色男の
顔があれば、いくら見慣れたシェラさんの顔でも
さすがに面食らう。

だってそもそもイケメンに弱いから。

シェラさんとは出会い方がアレなだけで充分
イケメン枠なのだ。

だから不意打ちのような至近距離にさすがにサッと
顔が赤くなった。

「何してるんです⁉︎」

「おや、ユーリ様がオレを見て赤くなるのは初めて
ですね。魔導士団長の顔だけでなく、オレの顔も
好ましいと思っていただけたのでしょうか。」

私の疑問を一切無視してシェラさんは嬉しそうに
艶やかに微笑んだ。

「びっくりしたんですよ!どうしてそんなところに
いるんですか⁉︎」

「ユーリ様の美しい寝顔を見ておりました。あと
1時間はこうしていられます。」

そう言いながらも体をどけて、起き上がった私の髪を
整えてくれている。

「おいしいものを食べている夢でも見ておられました
か?かすかに微笑みながら眠っていましたよ」

「そんなの覚えてないですけど、言わないで下さい!
恥ずかしい・・・」

ダーヴィゼルドヘの馬上でつい眠ってしまった時と
いい、シェラさんに寝顔を観察されるのはこれで
二度目だ。

「そんなことよりも、あの青紫の髪の人が誰か
分かったんですか?」

こういう時は話題を変えるに限る。そう思って聞けば

「ああ・・・分かりましたよ。ユーリ様が出会った
のはバロイ国の第二王子で、継承順でお呼びするなら
第五殿下だそうです。」

「えっ、王子様ですか⁉︎」

予想外の人物だ。濡れ髪を拭きながらシェラさんは
頷いた。

「はい。バロイ国は男女問わず生まれた順に継承権を
持ち一番上が第一王子で皇太子殿下、その下に三人の
姫君が続いて今モリー公国に来ているのが五番目の
殿下にして第二王子、もしくは第五殿下と呼ばれて
いる方でお名前はミリアムだそうです。」

「そんな人がどうしてここに・・・?」

良かった、そんな人に私が癒し子だとバレなくて。

ほっとしながらも不思議に思えば、

「何でも亡くなったモリー公国の第二王子と親友の
間柄であったとか。そのため、後に残された病弱な
第三王子を心配して兄代わりに度々こちらを訪れて
いるそうです。」

ミオ宰相はまさかそのミリアム殿下が私と遭遇する
とは思っていなくて、シェラさんから話を聞いて
とても驚いていたという。

「できればモリー公国を支配下に置きたいと考えて
いるのは主にバロイの現国王とその側近達であり、
皇太子殿下や今こちらを訪れているミリアム殿下には
そのつもりはないそうですよ。今夜の歓迎会にも
ミリアム殿下へ出席を打診したそうですがモリー公国
の王子が出ないのに出るわけにはいかないと断った
とか。」

「その割には柱の陰でコソコソしてましたね・・・」

「歓迎会に出られない病弱な第三王子にルーシャ国
からの客人を見聞きした話を教えてあげようとした
のかもしれません。こちらに滞在中は第三王子の
毒味役まで進んで買って出ているそうですから、
本当に弟のように思っているのかも知れないです。」

へえ、あのいきなり剣を突きつけて人の上着をめくり
上げるような人が。

庭園で出会った時の様子を思い出してもちょっと
偉そうだったことと失礼な事をされた記憶しかない。

バロイの使者はリオン様にモリー公国は兄弟国の
ようなものだと言っていたらしいけど、こうして
本当の兄弟のように気遣ってくれる人がいるんだ。

「そのミリアム殿下にもなるべく癒し子だって
バレない方が?」

「どんな人物なのか分からないので、状況次第ですが
まだ隠しておいた方がいいでしょう。幸いにも明日は
大公閣下と会った後は薬花の視察ですから、その
ミリアム殿下とかち合うことはないでしょうしご安心
ください。」

そう言ったシェラさんにひょいと抱き上げられると
サークルベッドの中へと移動させられた。

「薬花は乾燥した山や崖にしか生えないとのことです
から、明日は街中から離れたところへ少し長めの移動
をすることになります。今夜はよくお休み下さいね」

おやすみなさいませ、と髪の毛を一房取られてそこに
口付けられる。

そういう仕草が本当に様になる人だなあと思う。

「おやすみなさい。リオン様が到着するまで何事も
なく滞在したいですね。」



・・・何気なくそう言ったのに。翌日エーリク様に
謁見して、ミオ宰相さん以外は人払いがされていた
のでお疲れ気味のエーリク様に癒しの力を使った。

その後は薬花が生えているという山をシェラさんに
くっ付いて見に行って帰ってきたら、昨日庭園で
会ったミリアム殿下にまた遭遇した。

しかもシェラさんが他の騎士さん達と打ち合わせを
するために部屋を離れた時に、庭園から部屋の中へと
ずかずか入り込んで来たのだ。

その時私はシェラさんに視察でお疲れでしょうから
少しお休み下さい、と例のサークルベッドの中へ
入れられていた。

そのおかげで逃げ場もないため、またベールを無理に
取られそうになっては敵わないと慌ててベールの上
から更に布団を被った。

「なんだその格好。そんなに警戒することないだろ」

ミリアム殿下はそう言って呆れた顔をしたけど、
無理やりベールを取ろうとしたりいきなり上着を
めくりあげる人だ、用心するに越したことはない。

ていうか、やっぱり防犯面をどうにかした方がいい
んじゃないかな⁉︎

「あの黄色い果実ならテーブルの上に置いてます、
持ってって下さい!」

「いや、お前に用があるんだよ。・・・しっかし
何だこの部屋。お前のものばっかりじゃねえか。
あの商人、歓迎会の時もそうだったけどお前のこと
甘やかし過ぎだろ。」

部屋の中をぐるりと見渡してそう言われる。

確かに部屋の中はシェラさんがこの道中で買い集めた
私のドレスや小物でいっぱいだけど。

なんなら気のせいか昨日はなかった見たことのない
髪飾りやネックレスがまた増えているような気もする
けども。

ミリアム殿下に返す言葉もない。

うぐ、と一瞬詰まってしまったけどそもそもこの人は
ここに何をしに来たんだろう。私に用があるって
言ってた。

「何の用ですか⁉︎」

「あの商人に交渉するから猫娘、お前俺のペットに
ならないか?」

「へ?」

「歓迎会の時にも見ていたが案外マナーもちゃんと
してたし、食い物も・・・雑食か?甘いのも辛いのも
なんでも食ってただろ。得体の知れない生き物の割に
飼いやすそうだからな。」

「な・・・なんだか失礼ですね⁉︎」

意味が分からない。珍獣だから欲しくなったとでも
言うんだろうか。

この王子殿下は一体なぜそんな突拍子もないことを
言い出したのかと、呆気に取られてしまった。




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※いつも私の拙い小説を読んでいただきありがとう
ございます。いよいよ話のストックが切れました!

ここから先はもしかすると毎日更新が途切れる事が
あるかも知れません。

朝8時に更新されていない時は、ついに書くのが
間に合わなかったんだな、と思って下さい。
これからは年末繁忙期と私の執筆速度の戦いに
なります^^;

それでも出来れば二日に一度更新を目指したいと
思っておりますので、どうかこれからもよろしく
お願いいたします!



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