【本編完結】異世界再建に召喚されたはずなのになぜか溺愛ルートに入りそうです⁉︎【コミカライズ化決定】

sutera

文字の大きさ
312 / 777
第十五章 レニとユーリの神隠し

13

しおりを挟む
「すごいとは思いますけど結婚はしませんよ?」

そもそもまだハーピーを倒しただけで勇者様が炎狼と
格闘中なのに私を口説いてる場合じゃないと思う。

そう思ったのはレニ様もだったみたいで、

「勇者様を助けに行かないのかよ⁉︎」

と声を上げた。

「必要があればレンの方から声をかけてくるから
大丈夫。オレは君達を守ってるよ」

ヒマだから倒したハーピーの羽根でもむしろうか?
綺麗な装飾品が出来るよ?とキリウさんは提案して
きて、レニ様は何を呑気に・・・とポカンとした。

「虹色に光るように加工して、装飾品の材料にして
あげるからレニ君も向こうに帰ったらそれでブローチ
やコサージュを作ればいいよ。イスラハーンには
ハーピーがいないんでしょ?きっとみんなに羨まし
がられるよ~。」

言いながらさっそくキリウさんは私達の近くに墜落
していたハーピーの羽根をぶちぶちとむしっている。

「はい、とりあえずのブローチ代わりね」

キリウさんがそう言って、一枚の羽根を手に取り
くるりと回せばそれはうっすらと銀色の光を放った。

それをレニ様の胸元に挿せば、光の当たる角度に
よってキラキラと虹色に輝いている。

「あ、ありがとう・・・」

意外と素直にレニ様はそれを見てお礼を言った。

「どういたしまして!」

ふふー、とまた嬉しそうにキリウさんは微笑む。

そこへ突然、レンさんの大声がした。

「キリウさん、ヘルプ!補助をお願いします‼︎」

その声に私とレニ様ははっとして慌ててレンさんの
方を確かめたのにキリウさんは

「ええ~」

と、せっかくほのぼのしてたんだけどなあ、と面倒
そうにそちらを見た。

「俺だけの炎魔法じゃ倒せないんで、上乗せお願い
します‼︎」

周りを炎狼に囲まれながら自分の拳にも炎を纏って
戦っているレンさんが言う。

「炎の上乗せって、炎狼は普通、水や氷魔法で倒す
んじゃないのか⁉︎」

胸に挿すハーピーの羽根のブローチを大切そうに
握りしめて聞いたレニ様に、うん。とキリウさんが
説明する。

「まあ普通はね。レンの面白いのはオレ達と考え方が
全然違うっていうか常識はずれなところなんだよ。
炎狼の纏う炎よりも高温の炎で焼き切る方が早い、
もし炎狼の炎の方が氷の最低温度を上回ってたら
魔力の無駄じゃん?って言ってね。その時はなるほど
なあって思ったなあ。」

あ・・・いわゆる絶対零度VS最高温度か。

絶対零度は確か約マイナス270度だけど、それを
ものともしないくらい炎狼が自分の炎を魔力で高温に
出来るなら、氷魔法でどんなに頑張って凍らせよう
としても実質無意味だ。

確かにそれなら最初から炎狼の炎以上の高温を
ぶつける方が効率的だけど。

「氷魔法が効かないくらい高温の炎を纏った魔物って
います・・・?」

つい口にすれば、キリウさんは背に背負っていた
長剣を抜いて笑った。

「まあねえ、滅多にはいないかな。過去にもそんな
魔物は炎竜を入れて数匹だし。でも無駄に魔力を
使わないですむから、最近は火炎系魔物には最初から
高温の火魔法をぶつけるようにしてるよ。」

ということで。と抜いた剣を大きく振ればそれは
ゴウ、と音を立てて炎を纏った。

そのままくるりと大きく剣を振って

「レン、行ったぞ!」

と声をかければ、振った剣から炎は物凄い熱量を
持ってレンさんの方へ放たれる。

間違ってレンさんを攻撃したのかと思うくらいの
威力と速度を持って放たれた炎の勢いに、熱には
強いはずの炎狼が思わず飛びすさって避けていた。

そのあいた隙間にレンさんは飛び込んでしっかりと
キリウさんの放った魔法を受け取る。

「ありがとうございます‼︎」

離れていてその表情までは見えないはずなのに、
なぜかレンさんの瞳がひときわ青く輝いたような
気がした。

レンさんの両手・・・どころか両腕の肩の近くまでが
燃え盛る炎に包まれている。

「えっ、大丈夫ですか⁉︎勇者様燃えてません⁉︎」

思わず馬に乗ったまますぐそばに立つキリウさんを
掴めば、

「大丈夫大丈夫、こっちまでちょっと衝撃が来て
揺れるかも知れないけど結界を張ってるから。」

ぽんぽんと頭を撫でられた。

レンさんは青い瞳を煌めかせたまま、

「ブラストバーニングぅ‼︎」

気合い一発、燃える腕で地面を殴り付けた。

ビシ、と地面に亀裂が入り噴火をするようにそこから
炎狼達に向かって炎の柱が立ち上がり、爆発する
ような火が噴き上がった。

同時に、地震みたいに地面は大きく揺れると全ての
炎狼達が一瞬で炎に包まれてしまい、黒いシルエット
になる。

揺れる地面に、私とレニ様がそれぞれ乗っている馬は
驚いていなないたけど暴れ出さないようにしっかりと
キリウさんが手綱を握っていてくれた。

「ブ、ブラストバーニングって・・・!」

なんか似た名前の技名を聞いたことがあるぞ。

そう思っていたらキリウさんが

「レンが考えた技名だよ?リザなんとかの最強技が
どうのとか言っててそれをイメージしたとか何とか」

え、もしかして。本家の技名のバーンをもじって
バーニングかな?

そう思っていたら、消し炭みたいになった炎狼の黒く
焼け焦げた体をいつの間にかごそごそ探っていた
レンさんが、嬉しそうに声を上げて赤い石を掲げた。

「やった!魔石、ゲットだぜ‼︎」

あ、やっぱり。思わず近くにピカピカ言う黄色い
電気ネズミの幻を見た。

ルーシャ国に召喚されたばかりの頃、勇者様の技名や
戦った記録に私が癒しの力を使うためのヒントが
ないかと文献やら何やら相当調べまくったけど、
その中にこれもあったかな?

何ヶ月も前のことだったのでもう覚えていない。

でも炎狼が消し炭になるなんてすごく強力な技だ。

魔法はイメージって言うけど、アニメやゲームで先に
その技のビジュアルを見てイメージできているだけに
実際繰り出す技もかなり強力になるんだろうか。

「ヨナス神の影響を受けていたせいか、普通の炎狼
よりも耐火性能が上がっていて手こずりましたけど
おかげで助かりましたよ、ありがとうございます
キリウさん!」

手にした小袋がいっぱいになり、じゃらじゃらいう
位の量の魔石を持ってレンさんが私達のところへと
戻ってきた。

その魔石を確かめたキリウさんも、おーこれはいい
ヤツ!魔道具作りが捗るわーと喜んでいる。

「ユーリちゃん達もびっくりしたでしょ。大丈夫?
怖くなかった?」

私達をそう気遣ってくれたレンさんは腕が火傷を
したように赤くなっている。

グノーデルさんの加護がついた丈夫な体で、さらに
キリウさんがさっきかけてくれた防御魔法で耐性も
ついているはずなのに、炎狼が燃え尽きるほどの
高温にはさすがに無傷でいられないらしい。

「レンさん、ケガをしてますよ。私が治してもいい
ですか?」

手を伸ばしたらキリウさんが、

「ユーリちゃん、オレも!オレもここ切ったよ‼︎」

さっと手のひらを見せてきた。微妙に薄汚れている。

いや、それ戦ったからじゃなくてさっきハーピーの
羽根をむしった時に汚れただけ・・・。

そう思ったけど本人がレンの後でいいから治して!と
騒ぐしレンさんにも申し訳なさそうに

「ごめんユーリちゃん、キリウさんの気の済むように
してあげて・・・。じゃないとこの人、ずっと騒いで
るから・・・」

と頼まれてしまった。

魔法を使って戦ったりレンさんの補助をしている時は
頼もしく見えたのに女の子の前での通常運転がこれ
とか・・・。

とてもじゃないけどキリウ小隊という小隊名に誇りを
持っているデレクさんや、キリウさんの事を勇者様の
右腕で親友だとユールヴァルト家の来歴を嬉しそうに
自慢していたセディさんには見せられない姿だなあと
思いながら、まずはレンさんを治すために私は手を
かざしたのだった。

しおりを挟む
感想 191

あなたにおすすめの小説

魔法師団長の家政婦辞めたら溺愛されました

iru
恋愛
小説家になろうですでに完結済みの作品です。よければお気に入りブックマークなどお願いします。 両親と旅をしている途中、魔物に襲われているところを、魔法師団に助けられたティナ。 両親は亡くなってしまったが、両親が命をかけて守ってくれた自分の命を無駄にせず強く生きていこうと決めた。 しかし、肉親も家もないティナが途方に暮れていると、魔物から助けてくれ、怪我の入院まで面倒を見てくれた魔法師団の団長レオニスから彼の家政婦として住み込みで働かないと誘われた。 魔物から助けられた時から、ひどく憧れていたレオニスの誘いを、ティナはありがたく受ける事にした。 自分はただの家政婦だと強く言い聞かせて、日に日に膨らむ恋心を抑え込むティナだった。 一方、レオニスもティナにどんどん惹かれていっていた。 初めはなくなった妹のようで放っては置けないと家政婦として雇ったが、その健気な様子に強く惹かれていった。 恋人になりたいが、年上で雇い主。 もしティナも同じ気持ちでないなら仕事まで奪ってしまうのではないか。 そんな思いで一歩踏み出せないレオニスだった。 そんな中ある噂から、ティナはレオニスの家政婦を辞めて家を出る決意をする。 レオニスは思いを伝えてティナを引き止めることができるのか? 両片思いのすれ違いのお話です。

結婚後、訳もわからないまま閉じ込められていました。

しゃーりん
恋愛
結婚して二年、別邸に閉じ込められていたハリエット。 友人の助けにより外に出ることができ、久しぶりに見た夫アルバートは騎士に連行されるところだった。 『お前のせいだ!』と言われても訳がわからなかった。 取り調べにより判明したのは、ハリエットには恋人がいるのだとアルバートが信じていたこと。 彼にその嘘を吹き込んだのは、二人いたというお話です。

喪女なのに狼さんたちに溺愛されています

和泉
恋愛
もふもふの狼がイケメンなんて反則です! 聖女召喚の儀で異世界に呼ばれたのはOL・大学生・高校生の3人。 ズボンを履いていた大学生のヒナは男だと勘違いされ、説明もないまま城を追い出された。 森で怪我をした子供の狼と出会ったヒナは狼族の国へ。私は喪女なのに狼族の王太子、No.1ホストのような武官、真面目な文官が近づいてくるのはなぜ? ヒナとつがいになりたい狼達の恋愛の行方は?聖女の力で国同士の争いは無くすことができるのか。

英雄魔術師様とのシークレットベビーが天才で隠し通すのが大変です

氷雨そら
恋愛
――この魔石の意味がわからないほど子どもじゃない。 英雄魔術師カナンが遠征する直前、フィアーナと交わした一夜で授かった愛娘シェリア。フィアーナは、シェリアがカナンの娘であることを隠し、守るために王都を離れ遠い北の地で魔石を鑑定しながら暮らしていた。けれど、シェリアが三歳を迎えた日、彼女を取り囲む全ての属性の魔石が光る。彼女は父と同じ、全属性の魔力持ちだったのだ。これは、シークレットベビーを育てながら、健気に逞しく生きてきたヒロインが、天才魔術師様と天才愛娘に翻弄されながらも溺愛される幸せいっぱいハートフルストーリー。小説家になろうにも投稿しています。

処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜

放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!? 「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」 不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。

婚約破棄されたのでファンシーショップ始めました。 ― 元婚約者が、お人形さんを側室にしようとして大恥をかきました ―

鷹 綾
恋愛
隣国の王子から「政略的にも個人的にも魅力を感じない」と婚約破棄された、ファンタジア王国第三女王タナー。 泣きも怒りもせず、彼女が考えたのは――「いつか王宮の庇護がなくなっても困らない生き方」だった。 まだ八歳。 それでも先を見据え、タナーは王都の片隅で小さなファンシーショップを開くことを決意する。 並ぶのは、かわいい雑貨。 そして、かわいい魔法の雑貨。 お茶を淹れてくれるクマのぬいぐるみ店員《テイデイ・バトラー》、 冷めないティーカップ、 時間になると小鳥が飛び出すアンティーク時計――。 静かに広がる評判の裏で、 かつての元婚約者は「お人形さんを側室にしようとして」赤っ恥をかくことに。 ざまぁは控えめ、日常はやさしく。 かわいいものに囲まれながら、女王は今日も穏やかにお店を開けています。 --- この文面は ✔ アルファポリス向け文字数 ✔ 女子読者に刺さるワード配置 ✔ ネタバレしすぎない ✔ ほのぼの感キープ を全部満たしています。 次は 👉 タグ案 👉 ランキング用超短縮あらすじ(100字) どちらにしますか?

異世界で目覚めたら、もふもふ騎士団に保護されてました ~ちびっ子だけど、獣人たちの平穏のためお世話係がんばります!!~

ありぽん
ファンタジー
神のミスで命を落とした芽依は、お詫びとして大好きな異世界へ転生させてもらえることに。だが転生の際、またしても神のミスで、森の奥地に幼女の姿で送られてしまい。転生の反動で眠っていた瞳は、気づかないうちに魔獣たちに囲まれてしまう。 しかしそんな危機的状況の中、森を巡回していた、獣人だけで構成された獣騎士団が駆け付けてくれ、芽依はどうにかこの窮地を切り抜けることができたのだった。 やがて目を覚ました芽依は、初めは混乱したものの、すぐに現状を受け入れ。またその後、同じ種族の人間側で保護する案も出たが、ある事情により、芽依はそのまま獣騎士団の宿舎で暮らすことに。 そこで芽依は、助けてくれた獣騎士たちに恩を返すため、そして日々厳しい任務に向かう獣人たちが少しでも平穏に過ごせるようにと、お世話係を買って出る。 そんな芽依に、当初は不安だった獣人たちだったが、元気で明るい瞳の存在は、次第に獣人たちの力となっていくのだった。 これはちびっ子転生者の芽依が、獣人や魔獣たちのために奮闘し、癒しとなっていく。そんな、ほっこりまったり? な物語。

転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました

桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。 言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。 しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。 ──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。 その一行が、彼の目に留まった。 「この文字を書いたのは、あなたですか?」 美しく、完璧で、どこか現実離れした男。 日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。 最初はただの好奇心だと思っていた。 けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。 彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。 毎日19時に更新予定です。

処理中です...