【本編完結】異世界再建に召喚されたはずなのになぜか溺愛ルートに入りそうです⁉︎【コミカライズ化決定】

sutera

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第十七章 その鐘を鳴らすのはわたし

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エル君が連れて来てくれた二人はただ眠っている
だけという話だったけど、念のため癒しの力を使って
みた。

目が覚めたら何か詳しい話は聞けるかな?

一応ファレルの神官さんや王都から私達と一緒に
来た魔導士さんが側について経過を見守ってくれる
ことになった。

その間にトマス様には壊れかけたという祭具も見せて
もらう。

それは水晶みたいに透明に透き通っている魔石を
木の枝の形に加工してある物で、ところどころに
ナナカマドみたいに小さな実のようなものも水晶で
加工して形どった物がいくつか付けられていた。

それを柔らかな布の上に乗せたままそっと持ち上げて
見せてくれたんだけど、水晶で出来た小さな木の実は
持ち上げた振動で互いにぶつかり合ってキーンという
見た目と同じように透き通った綺麗な音が周りに
小さく響く。

「音も見た目も、すごく綺麗ですねぇ・・・」

まじまじと見つめれば、トマス様はにっこりと微笑み

「祭事や季節折々の儀式、子供の名付け式など様々な
行事がある度に使われる物です。この清らかな水晶の
響きで魔を祓いイリューディア神様へ私達の祈りを
届けるのです。」

教えてくれながら水晶で出来たその枝の一部分を
指し示した。

「この枝の一部にヒビが入ってしまっているのです。
儀式でこれを使う際は丁寧に扱っていたので平気
でしたが、神殿に押し入った賊どもはどうも乱暴に
扱ったらしく・・・」

確かにそこには小さな亀裂が入っている。

持ち上げて音を鳴らそうと振れば今にも折れて
しまいそうだ。

「これがあのヨナスの力を抑えていたんですか?」

「ええ。月に一度、満月の日に夜通しあのヨナス神の
神殿で祈りを捧げ、魔石の前でこの祭具を打ち振るう
のが昔からの習わしでした。祭具の響きが結界の威力
を高め、その音に宿るイリューディア神様の力が
ヨナス神を慰め抑えるのだと伝わっております。」

なるほど。だけどこれから先もこんなにヒビが入った
物を夜通し儀式で振って使うなんてきっと無理だ。

夜通しどころかほんの数回振り鳴らしただけでも
今にも折れて壊れてしまいそうなんだから。

そこでユリウスさんがトマス様に説明する。

「修復は難しいってことだったんで、王都から
カティヤ様が加護を付けた新しい祭具を持って来て
るっすよ。今までのそれから新しい祭具に取り替える
際に、一時的にあの集落全体に張ってある結界が
消失するはずなんで代わりにユーリ様に結界をお願い
する事にしてますんで。」

今までの祭具に付けてあるナナカマドみたいな
水晶の実は新しい方に付け替えるらしい。

その時に結界が消えちゃうってことなのかな。

計画では私が加護を付けた結界石を同行してきた
騎士さんや魔導士さんに持たせて集落を取り囲む
ように地面に刺してもらうらしい。

そしてタイミングを見計らって、古い祭具から水晶の
木の実を引き抜くのと同時に地面に手を付いた私が
土に刺してある結界石に力を流して結界を発動させる
予定だとユリウスさんは言う。

そうすれば消えた結界をすぐに補うことが出来る
だろうという話だった。

「後は新しい祭具に水晶の木の実が嵌ればユーリ様が
いつ結界を解除しても大丈夫っすから。」

ユリウスさんは簡単そうに言うけどそのタイミングを
合わせるっていうのが難しそうで緊張する。

「どうやってタイミングを合わせるんですか?」

「それはほら・・・」

ユリウスさんが話しかけた時、ちょうど神殿に併設
されている大鐘楼の鐘の音が鳴り響いてきた。

「これっすよ。例えば四時なら、最後の4回目の
鐘が鳴るのと同時に動くとかそんな感じっす!」

「それなら分かりやすいかも。」

ちょっと運動音痴な私でもそれならタイミングを
合わせられる。

それを実行する詳しい時間はまた後で相談して、
それまではニセモノの祭具で水晶の実をスムーズに
新しい方に移す練習も神官さん達にしてもらう。

集落を囲む結界石は何個あれば良くてその場所は、
などこまごました打ち合わせをしていたら鏡の間を
準備出来たと神官さんが呼びに来てくれた。

さっき話していたシグウェルさんとの通信だ。

エル君はシェラさんと一緒にさっき偵察してきた
内容を元にそれを地図に書き込んだり救出の計画を
練っていたりと忙しそうだったので私とユリウスさん
だけで神殿が用意してくれた部屋へ向かう。

『ー・・・なるほど、面白い。試してみる価値は
あるな』

私達の話を聞いたシグウェルさんはそう言って、
機嫌の良い猫みたいに目を細めた。

『氷瀑竜の鱗にユーリの加護の力が付きやすいような
加工をしてそちらに送ればいいんだな?ユリウス、
記録を取るのは忘れないようにしろよ。それがうまく
いけば鱗を加工して作る盾もこれから先の魔物討伐で
役立つに違いない。』

とんとんとペンで机を叩きながらシグウェルさんは
さっそくその加工にどれくらい時間がかかりそうか
計算しているみたいだ。

『そうだな、とりあえず半日半ほどもらおうか。
明日の昼にもう一度連絡を取ろう。それまでには
そちらにそれを送る目処がつくはずだ。その他にも
今の話から興味深いことが推測されるから、それに
ついてもまた明日話そう。ーああ、それからユーリ』

それまでユリウスさんと話していたシグウェルさんが
ふいに私に向き直った。

「はい、何でしょう?」

『氷瀑竜の鱗は魔法を弾きやすいからそれへの加工は
なかなかに骨が折れる。』

「そうなんですか?すみませんけどお願いします!」

シグウェルさんがそんな風に言うとは本当にそう
なんだろう。

「でも出来れば早めに欲しいんです・・・」

私のお願いにそれはそうだろうなとシグウェルさんは
頷いた。そして

『こちらとしても力は尽くすが、やりがいが
欲しい。』

何の話だろう。

「何かお土産でも欲しいんですか?」

シグウェルさんが欲しがるような珍しいものって
ここにあるのかな。そう思っていたら、

『なに、君にとっては簡単な事だ。シェラザード隊長
のチョーカーに魔法をかけた時と同じ謝礼を君から
もらおう。』

そう言ってシグウェルさんは意味あり気に自分の
唇を指でとんとついて見せた。
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