【本編完結】異世界再建に召喚されたはずなのになぜか溺愛ルートに入りそうです⁉︎【コミカライズ化決定】

sutera

文字の大きさ
446 / 788
第十八章 ふしぎの海のユーリ

28(あるいはおまけの後日談)

「すまない、ユーリ。俺にもよく分からないがいつの間にかこういう事になってしまった」

・・・今、私の前にはレジナスさんがあの大きな体を縮こまらせるようにして正座している。

それも奥の院の私の部屋のベッドの上で。

目の前で膝の上にこぶしを握った両手をきちんと揃えて、まるで叱られた子どものように神妙な顔つきで下を向き正座で座っているレジナスさん。

あの広くて大人がゆうに6人は寝られそうなベッドの上に大柄なレジナスさんが座っているとそれだけでそのベッドがとたんに普通サイズの物に見えてくるから不思議だ。

羊のぬいぐるみを抱きしめながらレジナスさんを眺めつつぼんやりと私はそんなどうでもいい事を考えていた。現実逃避かな?

どうしてこうなった。

それは多分、私とレジナスさん二人が今思っていることだ。

確かきっかけはシェラさんの言葉だったと思う。

リオネルから帰って来て魔物討伐の事後処理報告だなんだと数日はバタバタしていた。

まあ私は今回最後にオマケ程度に加護の力を使っただけだったので、最初の予定通りわりとのんびり過ごせたと思う。

・・・多少はシェラさんに振り回されたような気がしないでもないけど、本人は満足しているようだしシグウェルさんも同様だ。

私の休暇としても、伴侶としての家族サービス的な休暇としても合格点じゃないのかな。

だけどその帰って来てからの慌ただしさがひと段落ついた頃だ。

シェラさんが、

「今回の休暇ではシグウェル魔導士団長もユーリ様と同衾・・・といかないまでも昼寝にて共寝を楽しまれましたし、これで後は一緒に寝ていないのはレジナスだけですね。」

と言い出した。

「一体なんの話です?」

シェラさんの淹れてくれた紅茶を飲む手が思わず止まってしまった。

そんな私を気にするふうでもなくシェラさんは楽しげにひょいひょいと私の目の前のお皿にスコーンを積み上げながら続ける。

「リオン殿下はユーリ様の体調が優れない時期に同衾されましたし、オレはモリー公国でユーリ様と同じ部屋で寝泊まりをし、その愛らしいお顔を毎朝毎晩堪能させていただきました。
シグウェル魔導士団長も先日のリオネルではユーリ様を抱きしめての昼寝を楽しんだ。となれば残るはレジナスです。」

丁寧に説明されたけど、言われるほどにこっちは恥ずかしくなってくる。

「だっ、だから私にレジナスさんとも一緒に寝ろって言うんですか⁉︎でも私、レジナスさんの膝の上で結構何回もお昼寝をしてますよ⁉︎」

それで充分じゃないだろうか。

そう言ったら、分かってませんねとシェラさんはエル君ばりにやれやれとかぶりを振った。

「あんな座椅子のような格好で身動き一つせず、ユーリ様のつむじしか見えない状態で共にいるのは一緒に寝たとか昼寝を楽しんだなどとは言いません。そういう点ではユーリ様の伴侶という立場の中でレジナスだけが一歩遅れているのです。これでは公平性にかけます。」

何かといえばいつもレジナスさんに意地悪をする人が何を言っているんだろう。

伴侶の公平性がどうとか、そんな事を気にする人だとは思わなかった。

何かウラでもあるのかな?と目を丸くしてその意図を汲み取ろうとシェラさんをじっと見つめてしまった。

そんな私にシェラさんは微笑む。

「オレも晴れてユーリ様の伴侶となったのですからその公平性や平等性はきっちりと守りますよ。同じ伴侶として先に認められているレジナスに対して順序を違えたり出し抜いたりすることはありません。それは全くもって美しくない行為ですからね。」

なるほど理解した。

変なところで美しさにこだわるシェラさんのポリシーが出たというわけだ。

「そういうことですか」

「そうですよ?だからオレがここに越すのに合わせてレジナスの部屋もユーリ様の向かいに移しましたでしょう?おかげで今までよりもずっとユーリ様のお部屋に通いやすくなるはずです。」

「あれもそういう事だったんですか⁉︎」

リオネルから帰って来たらなぜか私の向かいの空いていた部屋がレジナスさんの寝室になっていた。

その時は単純に、その方がリオン様の寝室にも近くて何かあったら駆けつけやすいからかな?

なんて思って私のことは一切勘定に入れてなかったんだけど。

そういえば、

『お部屋が近くなったからリオン様だけでなく私とも今までよりもたくさん会えますね!』

となんとなく言ったらそうだな、と返してくれたレジナスさんはどことなく落ち着きがなかった。

目が泳いでいて視線が合わなかったから何でだろうと思っていた。

まさかあれが私の部屋に通いやすくするためだったなんて。

・・・か、通いやすく。

それの意味するところが分からないわけじゃない。

それなのに私はのん気にも

「たくさん会えますね!=夜でもいつでも好きな時に私の部屋へどうぞ!」

的なことをレジナスさんに言ったということだ。

バカ。私のバカ。なんて恥ずかしいことを言ってしまったんだろう。

今からでもあれは変な意味じゃなくて、とか言ってもいいのかな。

でもそんな事を言って、逆に私がそういうことを変に意識していると思われるのもなんだかなぁ、とグルグル考えだした時だった。

「つきましては二日後あたり、さっそく一度レジナスと一緒に寝てみるのはどうでしょう?」

シェラさんが爆弾をさらりと投げ込んで来た。

「⁉︎」

「確か二日後はリオン殿下が戴冠式の件で打ち合わせも兼ねてイリヤ殿下と夕食を取ることになっていたはずです。
ですのでレジナスも午後からは殿下の護衛の任務をイリヤ殿下の護衛騎士達に引き継いで定時で帰ってくるかと。
二人で夕食でも取って、ゆっくりしながら一晩過ごしてみればよいのでは?」

まさかシェラさんがそんな事を提案してくるなんて。

「え?ど、どうしちゃったんですか?いつもだったらそんな事になったら邪魔して来るのがシェラさんじゃないですか⁉︎」

「そうしたいのは山々ですが、レジナスにも一歩進んでもらわなければ、オレも先には進めませんので・・・。
それともオレが先行して口付けよりも先に進んでもよろしいので?ユーリ様さえお許しくださり、望んでいただけるのであればオレはいつでもその準備はでき」

「そこまでです!」

シェラさんがおかしな事を言い出したのでたまらずストップをかけた。

そういうことか。

つまりシェラさんは、私との関係を今よりも深めたいけどそれと同時に自分の信条として伴侶としての順番や公平性は守りたい。

そうすると現状レジナスさんだけがあの四人の中で私との仲が遅れているように見えるので置いてけぼりにならないように調整したいってことだ。

結局、一見レジナスさんのための提案に見えて実は自分自身のための話というだ。

「ちょっと考えさせてもらえませんか⁉︎」

突然あさってレジナスさんと一緒に寝てね!と言われても。

私も困るけどレジナスさんも困るだろう。

しかもシェラさんが自分のために勝手にコトを進めようとしているんだから。

「レジナスにはもう話してありますよ。あさってユーリ様が着られる夜着もいくつか候補を見せたので当日までには選んでおくはずです。」

「へ?」

空気の抜けたみたいな間抜けな声が自分から出た。

「は、はな、話した⁉︎」

「はい。あ、もちろんただ隣で一緒に寝るだけですからね?それ以上のことはどうか何もなさらないでください。
そうなったら、彼以外のオレ達三人も同じ段階まで進ませていただきます。何しろ伴侶は平等なのですから。」

まああの男がユーリ様といきなり同衾することになってすぐにどうこう出来るとは思いませんけどね。

シェラさんはそう薄く笑っていた。






感想 191

あなたにおすすめの小説

気がつけば異世界

蝋梅
恋愛
 芹沢 ゆら(27)は、いつものように事務仕事を終え帰宅してみれば、母に小さい段ボールの箱を渡される。  それは、つい最近亡くなった骨董屋を営んでいた叔父からの品だった。  その段ボールから最後に取り出した小さなオルゴールの箱の中には指輪が1つ。やっと合う小指にはめてみたら、部屋にいたはずが円柱のてっぺんにいた。 これは現実なのだろうか?  私は、まだ事の重大さに気づいていなかった。

王宮地味女官、只者じゃねぇ

宵森みなと
恋愛
地味で目立たず、ただ真面目に働く王宮の女官・エミリア。 しかし彼女の正体は――剣術・魔法・語学すべてに長けた首席卒業の才女にして、実はとんでもない美貌と魔性を秘めた、“自覚なしギャップ系”最強女官だった!? 王女付き女官に任命されたその日から、運命が少しずつ動き出す。 訛りだらけのマーレン語で王女に爆笑を起こし、夜会では仮面を外した瞬間、貴族たちを騒然とさせ―― さらには北方マーレン国から訪れた黒髪の第二王子をも、一瞬で虜にしてしまう。 「おら、案内させてもらいますけんの」 その一言が、国を揺らすとは、誰が想像しただろうか。 王女リリアは言う。「エミリアがいなければ、私は生きていけぬ」 副長カイルは焦る。「このまま、他国に連れて行かれてたまるか」 ジークは葛藤する。「自分だけを見てほしいのに、届かない」 そしてレオンハルト王子は心を決める。「妻に望むなら、彼女以外はいない」 けれど――当の本人は今日も地味眼鏡で事務作業中。 王族たちの心を翻弄するのは、無自覚最強の“訛り女官”。 訛って笑いを取り、仮面で魅了し、剣で守る―― これは、彼女の“本当の顔”が王宮を変えていく、壮麗な恋と成長の物語。 ★この物語は、「枯れ専モブ令嬢」の5年前のお話です。クラリスが活躍する前で、少し若いイザークとライナルトがちょっと出ます。

世継ぎは他の妃が産めばいい——子を産めない私ですが、帝の寵愛を独占して皇后になりました

由香
恋愛
後宮に入る女の価値は、ただ一つ。 ——皇子を産めるかどうか。 けれど私は、産めない。 ならば—— 「世継ぎは他の妃に任せます。私は、陛下に愛される女になります」 そう言い放ったその日から、すべてが狂い始めた。 毒を盛られても、捨てられず。 皇子が生まれても、選ばれたのは私だった。 「お前は、ここにいろ」 これは、子を産めない女が ただ一つの武器“寵愛”だけで頂点に立つ物語。 そして—— その寵愛は、やがて狂気に変わる。

異世界に逃げたシングルマザー経理は、定時退勤だけは譲れない

木風
恋愛
DV夫から一歳の娘を抱えて逃げた鈴木優子は、光に飲まれて異世界の王宮へ転移してしまう。 生きるために差し出した武器は簿記と経理経験――崩壊寸前の王宮会計を『複式簿記』で立て直すことに。 ただし譲れない条件はひとつ、「午後五時の定時退勤」。娘の迎えが最優先だからだ。 その姿勢に、なぜか若き国王ヴィクトルが毎日経理室へ通い始めて――仕事と子育ての先に、家族の形が芽吹いていく。

【完結】転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました

桜あずみ
恋愛
異世界に転移して二年。 言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。 しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。 ──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。 その一行が、彼の目に留まった。 「この文字を書いたのは、あなたですか?」 美しく、完璧で、どこか現実離れした男。 日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。 最初はただの好奇心だと思っていた。 けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。 彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。

王宮の万能メイド、偏屈魔術師を餌付けする

葉山あおい
恋愛
王宮で働く勤続八年のメイド、エレナ・フォスター。仕事は完璧だが愛想がない彼女は、いつしか「鉄の女」と呼ばれ恐れられていた。 そんな彼女に下された辞令は、王宮の敷地内にありながら「魔窟」と呼ばれる『北の塔』の専属メイドになること。そこの主である宮廷魔術師団長・シルヴィス・クローデルは、稀代の天才ながら極度の人嫌い&生活能力ゼロの偏屈男だった! ゴミ屋敷と化した塔をピカピカに掃除し、栄養失調寸前の彼に絶品の手料理を振る舞うエレナ。黄金色のオムレツ、とろける煮込みハンバーグ、特製カツサンド……。美味しいご飯で餌付けされた魔術師様は、次第にエレナへの独占欲を露わにし始めて――? 意地悪な聖女や侯爵夫人のいびりも、完璧なスキルで華麗に返り討ち。平民出身のメイドが、身分差を乗り越えて幸せな花嫁になるまでの、美味しくて甘いシンデレラストーリー。

魔法師団長の家政婦辞めたら溺愛されました【完結】

iru
恋愛
第19回 恋愛小説大賞エントリーしています。ぜひ1票お願いします。 小説家になろうですでに完結済みの作品です。よければお気に入りブックマークなどお願いします。 両親と旅をしている途中、魔物に襲われているところを、魔法師団に助けられたティナ。 両親は亡くなってしまったが、両親が命をかけて守ってくれた自分の命を無駄にせず強く生きていこうと決めた。 しかし、肉親も家もないティナが途方に暮れていると、魔物から助けてくれ、怪我の入院まで面倒を見てくれた魔法師団の団長レオニスから彼の家政婦として住み込みで働かないと誘われた。 魔物から助けられた時から、ひどく憧れていたレオニスの誘いを、ティナはありがたく受ける事にした。 自分はただの家政婦だと強く言い聞かせて、日に日に膨らむ恋心を抑え込むティナだった。 一方、レオニスもティナにどんどん惹かれていっていた。 初めはなくなった妹のようで放っては置けないと家政婦として雇ったが、その健気な様子に強く惹かれていった。 恋人になりたいが、年上で雇い主。 もしティナも同じ気持ちでないなら仕事まで奪ってしまうのではないか。 そんな思いで一歩踏み出せないレオニスだった。 そんな中ある噂から、ティナはレオニスの家政婦を辞めて家を出る決意をする。 レオニスは思いを伝えてティナを引き止めることができるのか? 両片思いのすれ違いのお話です。

転生貧乏令嬢メイドは見なかった!

seo
恋愛
 血筋だけ特殊なファニー・イエッセル・クリスタラーは、名前や身元を偽りメイド業に勤しんでいた。何もないただ広いだけの領地はそれだけでお金がかかり、古い屋敷も修繕費がいくらあっても足りない。  いつものようにお茶会の給仕に携わった彼女は、令息たちの会話に耳を疑う。ある女性を誰が口説き落とせるかの賭けをしていた。その対象は彼女だった。絶対こいつらに関わらない。そんな決意は虚しく、親しくなれるように手筈を整えろと脅され断りきれなかった。抵抗はしたものの身分の壁は高く、メイドとしても令嬢としても賭けの舞台に上がることに。  これは前世の記憶を持つ貧乏な令嬢が、見なかったことにしたかったのに巻き込まれ、自分の存在を見なかったことにしない人たちと出会った物語。 #逆ハー風なところあり #他サイトさまでも掲載しています(作者名2文字違いもあり)