【本編完結】異世界再建に召喚されたはずなのになぜか溺愛ルートに入りそうです⁉︎【コミカライズ化決定】

sutera

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第十九章 聖女が街にやって来た

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「・・・少し肌が出過ぎじゃないか?」

晩餐会のための準備をしている私に、腰掛けて眺めているレジナスさんはそんな事を言った。

それに対してシェラさんは、

「何を言ってるんですか、この程度普通ですよ。むしろ他のご婦人方やご令嬢はもっとドレスを締め付けてその細腰や胸の豊かさを強調する位ですからね。」

と言いながら私のドレスの裾を整えながら全体を眺めては生花をそのあちこちに飾っていく。

気分はまるで生花の花瓶になったみたいだけど、お花の入った籠を手にその様子を見ているリース君とアンリ君の目は輝いている。

「ユーリ様、まるでお花の妖精みたいですよ!」

なんて言いながらシェラさんにお花を手渡しているのだ。

白から淡いピンク、そして濃いピンク色へとグラデーションがかったドレスは可愛いながらも肩は出ていて胸元もいつもより出ている。

「これから先、ユーリ様はどんどん大人びていかれますからね。このように可憐で愛らしい色味のドレスを纏われる機会も減ってくるでしょうから、本日はその愛らしさと清楚さが目立つドレスにしてみました。」

そんな説明をしながらまた一つドレスに花を足す。

「・・・とはいえ、愛らしいだけでは物足りませんからね。華奢な白い鎖骨や女性らしいしなやかで美しい柔らかさもその肌を見せることでしっかりと主張しているのですよ」

シェラさんの話ぶりにレジナスさんの眉間の皺が深まった。

「だが背中も出過ぎだと思うんだが」

そういえば背中がスースーする。

「シェラさん、このドレス半分くらい背中が見えてませんか?背中にもお花を飾るんですか?」

そんなことをしたら椅子に座った時にお花が潰れて勿体無いのでは・・・と思っていたらシンシアさんがシェラさんにすっ、と毛皮のローブを渡した。

「最後にこちらを羽織っていただきますから大丈夫。先日、獣討伐の最後にダーヴィゼルドに立ち寄ったと言ったでしょう?その際ヒルダ様より賜りました。時知らずの雪熊の毛皮です。」

その言葉にレジナスさんが目を見開いた。

「・・・でかいな。その毛皮、一枚ものだろう?普通の雪熊のゆうに三倍はあるぞ。まさかヒルダ様自らが狩ったのか?」

「ええ。本当は竜でもまた献上したかったようですがそう都合良く出てくれるものでもないですからね。代わりに騎士達の雪上訓練で山へ入った時に見つけて狩った獲物をいただいてまいりました。」

時知らずとか雪熊ってなんだろう?

真っ白でフカフカの毛皮だからシロクマみたいなものなのかな?とエル君を見れば教えてくれた。

雪熊はその名の通り雪の降る寒い地方にだけいる凶暴な白い熊。

時知らずはその体と本能に異変が生じて、本当なら冬眠するべきところを冬の間もずっと活動し続けているクマの事を言うのだという。

元々凶暴な雪熊がさらに冬眠も忘れて活動することで他のクマよりも体が大きくなる上に凶暴性も増すらしいけど・・・。

「そんなおっかない熊をヒルダ様は捕まえちゃったんですか?」

マントのように私の背中に付けてくれようとして触れる毛皮は柔らかくて暖かい。

「氷瀑竜も倒せるお方ですからね。それに、ユールヴァルト家がユーリ様へ銀毛魔狐の毛皮を贈られていますのでそれ以上のものをと張り切られたようです。」

な、なるほど。なんていうかヒルダ様らしい。

そんな事を思っていたら、さあ出来ましたよとシェラさんがにっこり微笑んだ。

「エスコートはレジナスに任せて、オレはおとなしくその後ろを歩きますからね。」

その言葉に今まで普通に座っていたレジナスさんの体がぎしっ、と固まった。

・・・レジナスさんが王都周辺の警備から戻って来たのは晩餐会当日の今朝だった。

それでも私の伴侶としての正装姿に着替えるには基本的に騎士の格好だから間に合うらしい。

ヘイデス国の人達を迎えた歓迎式典の時のような飾りや飾緒で飾られた護衛騎士の隊服姿はやっぱりカッコいい。

シェラさんも同じようにキリウ小隊の隊服だ。

だけど元々が特殊な立ち位置の部隊だからかレジナスさんほど目立つ勲章のような物やブローチなどはついていない。

隊服の色と同じ黒曜石の飾りが控えめについているくらいだ。

・・・まあそれでもシェラさんの場合は存在自体が派手というか目立つから、ちょっと控えめな格好くらいが丁度いいのかも知れない。

「殿下とシグウェル魔導士団長は先に会場に入られておりますから、オレ達が後から合流するような感じですね」

シェラさんの言葉にそこでまだ私の席がどうなっているのか聞いていなかったことに気付く。

「そういえば私って結局どこに座るんですか?やっぱり上座で、リオン様達がこうずらっと・・・?」

横一列に並んだリオン様達が私の伴侶でござい、とお披露目的な・・・というのを想像するとそれだけでいたたまれない。

「いけませんよ、今からそんなにも瞳を潤ませてオレを見られるとせっかく塗った口紅を落としてしまいそうです」

想像しただけで恥ずかしくて泣きそうになった私の口元をすりすりとすって顔を近づけたシェラさんの首根っこを慌てて立ち上がったレジナスさんが引っ掴んだ。

「やめろ!」

「ですがこのように美しいユーリ様から口付けを誘われてはオレに抗う術はありません」

「誰も誘っていないだろうが!」

「目は口ほどに物を言うんですよ?」

久しぶりに顔を合わせてもすぐこれだ。

相変わらずの二人を見ていたらさっきまでの恥ずかしさがなんだかどこかへ行ってしまったみたいだ。

外を見れば陽が少し傾いて来ている。晩餐会の時間まであと少し。

「この大きさになってからレジナスさんにエスコートされて歩くのって初めてですね。ちょっと練習しましょうか!」

二人を諌めるために明るく声を掛ける。

「ああ、いいですね。レジナス、あなたきちんとユーリ様の歩幅に合わせてあげるんですよ?」

せっかくのきちんとした服装をレジナスさんに首根っこを掴まれたまま気にもせずにシェラさんはにっこりと笑う。

対してレジナスさんは私の言葉が思いがけなかったのか、また固まってしまったけど。

仕方ないので私の方から近付いて、レジナスさんと腕を組んで立てばそんな私を見てシンシアさんがまたドレスの裾や飾りで付けたお花の位置を調整する。

シェラさんからは優雅に見えるお辞儀の角度やら何やらを教わり、ちらりと鏡を見ればうっすらと耳まで赤いレジナスさんと二人で立つ私の姿が目に入った。

・・・前に二人で王都を歩いた時はまだ私が小さくて、並んで腕を組んでいても兄弟みたいに見えていたけど。

鏡越しに見える今の私達はそれなりに恋人らしく見える。

私だけがわかるそんな些細な変化が嬉しくて、自然と口元に笑みが浮かんだ。



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