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番外編
癒やしこの夜 2
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「とりあえずエル君はそのシェラさんを縛り付けている武器をしまって下さい!シェラさんもそのまま大人しくベッドにいて下さいね?」
私の言葉に二人が素直に従ってくれたので、やれやれと私も腰を下ろす。
そこで改めて部屋の中を見回せば随分と殺風景・・・というか良く言えば簡素だ。
奥の院の一室なので天井は高く備え付けの家具類も立派だし、絨毯も厚く部屋自体は豪奢な作りなんだけどなんだか生活感がない。
何だろう?何が足りないのかな?
私の部屋と違ってテーブルの上に果物の乗った籠がなかったり花も飾られていないからだろうか。
唯一目立つのはローテーブルの上に数枚置いてある書類らしきものといくつかの布見本みたいなものだけだ。
やけに目に付いたので
「あれは何ですか?」
そう聞けば、エル君に渡された二種類の粉薬をさらさらとお湯の中に混ぜ入れているシェラさんに
「ユーリ様のドレスの布見本ですよ」
とこともなげに言われた。
「いや、シェラさんの部屋なのに唯一目立つものが私に関係するものって・・・。他に何かないんですか?」
「と言われても、オレにとってユーリ様のことを考えている時が一番楽しいですし、生きがいみたいなものですからねぇ。」
こほっ、とまた一つ咳をしてそう微笑まれて気付いた。
そうか、シェラさんの部屋なのにシェラさん個人を表しそうな物がこの部屋には何にもないんだ。
だから生活感がなくて私のドレスの布見本がなければ誰がここに住んでいるのか分からない。
私に対する執着は強過ぎるくらいなのにその他のことに対して無関心というか無頓着が過ぎる。
もし仮に私が奥の院からいなくなったらいつでもふらりとどこかに行ってしまいそうな雰囲気だ。
いやいや、それはいくらなんでも淋しすぎるでしょう!
「ダメですよシェラさん、ちゃんとここにいないと!」
思わずそんな事を言ったら不思議そうな顔をしたシェラさんが薬湯をごくりと飲んだ。二種類の粉薬が混ざって土色になったそれはまるで泥水を飲んでいるみたいですごく不味そうだ。
「はい、おりますよ?突然どうされました?」
「えっと、あ、そうだ!私の毛布、あげますから‼︎それにえーと、テーブルが殺風景なので、果物がなくならない加護を付けたバスケットも今度持って来るのでそれをテーブルに置きましょう!好きな果物を教えて下さいね?お見舞いに持って来たお花も枯れにくい加護を付けますけど、しおれてきたら言ってください!新しいお花に変えます‼︎」
ひと息にそんな事を言った私にシェラさんだけでなくエル君までぽかんとしている。
シェラさんのベッドには上掛け布団の上に私が持って来た深緑色の毛布がかけてある。
それに触れながらシェラさんが
「あげるとはこれのことですか?しかしこれはナジムート前陛下からユーリ様が賜ったものでは?」
さすがに少しためらった。
「いいんですよ、私が貰った物なんで自分の私物をどうしようが私の自由です!」
なんだったらまたお願いして新しい毛布を貰えばいい。なんか前陛下、そういうおねだり好きそうだし。
とりあえず私の物でもなんでもいいから置いてこの殺風景な部屋をどうにか生活感あるものにしたい。
前に読み取ったシェラさんの子供の頃の物寂しい光景の記憶を思い出してしまったせいか、あんな風な部屋にだけはしたくないと思ってしまった。
「この部屋も奥の院の一室だけあって日当たりがいいですね!私の部屋から見るのとはまた違った風景が見えて面白いです!」
休もうとして部屋を暗くするために引いていたカーテンをちょっとだけ開けて外の景色を見る。
こっち側は私の部屋から見える景色と違って花よりも緑の木々が多い中庭に面しているけれど、それはそれでいい景色だ。
部屋からは外へと続くテラスもあって、そこから中庭に出られるようになっているし、中庭の先には噴水も見えている。
「天気のいい日にこのテラスに椅子を出して噴水の水音を聞きながら読書をしたら気持ちよさそうですね!」
振り返ってシェラさんに笑いかければ、
「では今度、いつもの庭園のあの木陰ではなくてこの部屋のテラスでおやつを取りながら読書をしてみますか?」
そう聞かれた。
「いいですね!」
「それではそこにユーリ様専用の椅子とテーブルを備え付けましょう。膝掛けもご用意しますからいつでもオレの部屋へどうぞ。」
話しながらその光景を想像したのか、いつもよりも柔らかな笑顔でシェラさんが微笑んだ。
あんまり自分の私物にこだわらない人なら仕方ない、代わりに執着している私の私物や私が持ち込む物でこの部屋をもっと明るくしよう。
あの昏い子供の頃の記憶がそれで少しでも薄れてくれればいい。
と、その時薬湯を飲んでいたシェラさんが何か食べているのに気付いた。
「シェラさん、何を食べてるんですか?」
「乾燥させた果物をハチミツと砂糖に漬けて歯が痛くなるほど甘くした糖蜜漬けです。これで薬湯の苦味を誤魔化しているんですよ。」
手にした濃いオレンジ色のそれを見せてくれた。
「・・・おいしそうですね?」
「食べますか?」
思わずごくりと唾を飲み込んだ私にシェラさんはまた笑い、エル君は呆れて
「ユーリ様、病人の食べ物まで横取りしようとするのはやめて下さい。そもそもこれは薬の苦味を和らげるためのものですから普通に食べると甘すぎます。」
とかぶりを振った。
「べ、別においしそうって言っただけじゃないですか、横取りとか人聞きが悪い・・・」
だけどシェラさんが、
「まあいいじゃないですか。エル、いつもより濃いめの紅茶をユーリ様に淹れてくれますか?その濃さであればこの糖蜜漬けをお茶請けにしても良い感じになると思いますよ。」
と言ってくれた。やった。
いそいそとシェラさんのベッドのすぐ側に座る。
エル君も諦めたように紅茶を淹れてくれて私の座る側にサイドテーブルを寄せてくれた。
「あっまーい!けどおいしいです、甘過ぎて量はそんなに食べられないけどこれはこれでおいしいですね!」
分けてもらったそれに声を上げたらシェラさんが
「では部屋のテーブルの上にもいつでもユーリ様が食べられるように糖蜜漬けを入れた小さな容れ物も置いておきましょう。」
と提案したので
「ぜひ!」
と頷いた。よしよし、いいぞ。着々と色んなものがシェラさんの部屋に増えていく。
「夕食もここで食べてもいいですか?リオン様にも伝えておきます。シェラさんは何か食べられそうですか?」
一応夜まではずっとここにいるつもりだからそう聞けば、熱にうかされて潤んでいるあの金色の瞳が輝いた。
「殿下とではなくオレとこの部屋で夕食もご一緒していただけるんですか?あいにくとオレはまだ消化に良いスープや野菜の柔らかく煮たものぐらいしか食べられませんが、ユーリ様の分はそれにパンや肉料理を追加したものを準備させましょうか。」
シェラさんのその言葉にエル君も厨房に伝えて来ます、と頷いてくれた。
その後シェラさんには、今飲んだ薬湯は体温を上げてくれて病を早く治すものだけど眠くなるものだから少し眠ると説明された。
「ひと眠りして起きればもう少し体調も良くなっているはずですので、ユーリ様との夕食を楽しみにしております。」
私のかけた毛布に大人しくくるまってそう話しながらシェラさんは目をつぶる。
「じゃあ私はその間、シェラさんの本棚の本を見ていてもいいですか?それから、シェラさんが眠っている間も額のタオルはちゃんと変えますから安心して下さいね!」
長めの前髪を掻き分けて熱を持つ額に乗せたタオルの向きを直しながら言えば、微かに微笑みながら頷いたようだった。
やがてすうすうと言う小さな寝息が聞こえてきたので、起こさないようにそっと椅子から立ち上がり、読書をしようと部屋の中ほどへと移動する。
「・・・ユーリ様の持ち込む物がこの部屋に増えたら部屋の雰囲気が色々と変わりそうですね。」
部屋の中をぐるりと見渡したエル君がぽつりとそう言った。さっきの私の言動でエル君も思うところがあったらしい。
「やっぱりそう思います?あ、でも今のままの方がシェラさんぽいですかね?」
あんまり私の物ばっかり増えるのもどうだろう。変かな?
念のため第三者であるエル君の意見も聞こうとしたら、
「いいと思います。明るくなって、ユーリ様がこの部屋にいない時もここにユーリ様が感じられてシェラザード様の精神安定上もいい影響があると思います。」
珍しく同意された。だけどそんな、まるでシェラさんが精神不安定な人みたいな。
そう思ったのが顔に出ていたのか、
「ユーリ様がいなかったらこの人、今はいいですけど将来的には人格破綻してそうですからね。」
と酷いことを言い放った。
「ホントエル君て誰に対しても容赦ないですよね⁉︎」
「事実から推測される未来予想です。・・・だからユーリ様がいてくれて良かった、って言ったつもりでしたけど伝わらなかったですか?」
こてんと首を傾げて白い髪を揺らし僕、また何か言い方を間違えましたか?と聞かれてしまった。
ごめん全然分からなかった。
「分かりにくんですよ!私を褒めるならもっとこう、さすがですとか凄いですとか、一生尊敬しますって分かりやすく言ってください⁉︎」
「すみません、そこまでは思ってないので・・・ていうか、すぐ調子に乗る・・・」
エル君がふうとため息をついてまたかぶりを振った。
「辛辣‼︎」
まあそのハッキリしてるところも嫌いじゃないけど。
「いいから静かにして下さい。シェラザード様が休めません。」
そう言ったエル君に本棚の前に追いやられる。
中断したおやつの時間に食べていたものも少し持って来てくれるというから素直にエル君に従って本を選んでテーブルにつく。
そうして読書をしながらおやつをつまみ、時折りシェラさんの額に乗せているタオルを取り替えたりして午後の時間は過ぎていった。
薬湯の効果なのか、やがて眠るシェラさんの顔や首筋にうっすらと浮かび始めた汗を拭いてあげたりもしていたらあっという間に夕食の時間を迎えて、シェラさんもその目を覚ましたのだった。
私の言葉に二人が素直に従ってくれたので、やれやれと私も腰を下ろす。
そこで改めて部屋の中を見回せば随分と殺風景・・・というか良く言えば簡素だ。
奥の院の一室なので天井は高く備え付けの家具類も立派だし、絨毯も厚く部屋自体は豪奢な作りなんだけどなんだか生活感がない。
何だろう?何が足りないのかな?
私の部屋と違ってテーブルの上に果物の乗った籠がなかったり花も飾られていないからだろうか。
唯一目立つのはローテーブルの上に数枚置いてある書類らしきものといくつかの布見本みたいなものだけだ。
やけに目に付いたので
「あれは何ですか?」
そう聞けば、エル君に渡された二種類の粉薬をさらさらとお湯の中に混ぜ入れているシェラさんに
「ユーリ様のドレスの布見本ですよ」
とこともなげに言われた。
「いや、シェラさんの部屋なのに唯一目立つものが私に関係するものって・・・。他に何かないんですか?」
「と言われても、オレにとってユーリ様のことを考えている時が一番楽しいですし、生きがいみたいなものですからねぇ。」
こほっ、とまた一つ咳をしてそう微笑まれて気付いた。
そうか、シェラさんの部屋なのにシェラさん個人を表しそうな物がこの部屋には何にもないんだ。
だから生活感がなくて私のドレスの布見本がなければ誰がここに住んでいるのか分からない。
私に対する執着は強過ぎるくらいなのにその他のことに対して無関心というか無頓着が過ぎる。
もし仮に私が奥の院からいなくなったらいつでもふらりとどこかに行ってしまいそうな雰囲気だ。
いやいや、それはいくらなんでも淋しすぎるでしょう!
「ダメですよシェラさん、ちゃんとここにいないと!」
思わずそんな事を言ったら不思議そうな顔をしたシェラさんが薬湯をごくりと飲んだ。二種類の粉薬が混ざって土色になったそれはまるで泥水を飲んでいるみたいですごく不味そうだ。
「はい、おりますよ?突然どうされました?」
「えっと、あ、そうだ!私の毛布、あげますから‼︎それにえーと、テーブルが殺風景なので、果物がなくならない加護を付けたバスケットも今度持って来るのでそれをテーブルに置きましょう!好きな果物を教えて下さいね?お見舞いに持って来たお花も枯れにくい加護を付けますけど、しおれてきたら言ってください!新しいお花に変えます‼︎」
ひと息にそんな事を言った私にシェラさんだけでなくエル君までぽかんとしている。
シェラさんのベッドには上掛け布団の上に私が持って来た深緑色の毛布がかけてある。
それに触れながらシェラさんが
「あげるとはこれのことですか?しかしこれはナジムート前陛下からユーリ様が賜ったものでは?」
さすがに少しためらった。
「いいんですよ、私が貰った物なんで自分の私物をどうしようが私の自由です!」
なんだったらまたお願いして新しい毛布を貰えばいい。なんか前陛下、そういうおねだり好きそうだし。
とりあえず私の物でもなんでもいいから置いてこの殺風景な部屋をどうにか生活感あるものにしたい。
前に読み取ったシェラさんの子供の頃の物寂しい光景の記憶を思い出してしまったせいか、あんな風な部屋にだけはしたくないと思ってしまった。
「この部屋も奥の院の一室だけあって日当たりがいいですね!私の部屋から見るのとはまた違った風景が見えて面白いです!」
休もうとして部屋を暗くするために引いていたカーテンをちょっとだけ開けて外の景色を見る。
こっち側は私の部屋から見える景色と違って花よりも緑の木々が多い中庭に面しているけれど、それはそれでいい景色だ。
部屋からは外へと続くテラスもあって、そこから中庭に出られるようになっているし、中庭の先には噴水も見えている。
「天気のいい日にこのテラスに椅子を出して噴水の水音を聞きながら読書をしたら気持ちよさそうですね!」
振り返ってシェラさんに笑いかければ、
「では今度、いつもの庭園のあの木陰ではなくてこの部屋のテラスでおやつを取りながら読書をしてみますか?」
そう聞かれた。
「いいですね!」
「それではそこにユーリ様専用の椅子とテーブルを備え付けましょう。膝掛けもご用意しますからいつでもオレの部屋へどうぞ。」
話しながらその光景を想像したのか、いつもよりも柔らかな笑顔でシェラさんが微笑んだ。
あんまり自分の私物にこだわらない人なら仕方ない、代わりに執着している私の私物や私が持ち込む物でこの部屋をもっと明るくしよう。
あの昏い子供の頃の記憶がそれで少しでも薄れてくれればいい。
と、その時薬湯を飲んでいたシェラさんが何か食べているのに気付いた。
「シェラさん、何を食べてるんですか?」
「乾燥させた果物をハチミツと砂糖に漬けて歯が痛くなるほど甘くした糖蜜漬けです。これで薬湯の苦味を誤魔化しているんですよ。」
手にした濃いオレンジ色のそれを見せてくれた。
「・・・おいしそうですね?」
「食べますか?」
思わずごくりと唾を飲み込んだ私にシェラさんはまた笑い、エル君は呆れて
「ユーリ様、病人の食べ物まで横取りしようとするのはやめて下さい。そもそもこれは薬の苦味を和らげるためのものですから普通に食べると甘すぎます。」
とかぶりを振った。
「べ、別においしそうって言っただけじゃないですか、横取りとか人聞きが悪い・・・」
だけどシェラさんが、
「まあいいじゃないですか。エル、いつもより濃いめの紅茶をユーリ様に淹れてくれますか?その濃さであればこの糖蜜漬けをお茶請けにしても良い感じになると思いますよ。」
と言ってくれた。やった。
いそいそとシェラさんのベッドのすぐ側に座る。
エル君も諦めたように紅茶を淹れてくれて私の座る側にサイドテーブルを寄せてくれた。
「あっまーい!けどおいしいです、甘過ぎて量はそんなに食べられないけどこれはこれでおいしいですね!」
分けてもらったそれに声を上げたらシェラさんが
「では部屋のテーブルの上にもいつでもユーリ様が食べられるように糖蜜漬けを入れた小さな容れ物も置いておきましょう。」
と提案したので
「ぜひ!」
と頷いた。よしよし、いいぞ。着々と色んなものがシェラさんの部屋に増えていく。
「夕食もここで食べてもいいですか?リオン様にも伝えておきます。シェラさんは何か食べられそうですか?」
一応夜まではずっとここにいるつもりだからそう聞けば、熱にうかされて潤んでいるあの金色の瞳が輝いた。
「殿下とではなくオレとこの部屋で夕食もご一緒していただけるんですか?あいにくとオレはまだ消化に良いスープや野菜の柔らかく煮たものぐらいしか食べられませんが、ユーリ様の分はそれにパンや肉料理を追加したものを準備させましょうか。」
シェラさんのその言葉にエル君も厨房に伝えて来ます、と頷いてくれた。
その後シェラさんには、今飲んだ薬湯は体温を上げてくれて病を早く治すものだけど眠くなるものだから少し眠ると説明された。
「ひと眠りして起きればもう少し体調も良くなっているはずですので、ユーリ様との夕食を楽しみにしております。」
私のかけた毛布に大人しくくるまってそう話しながらシェラさんは目をつぶる。
「じゃあ私はその間、シェラさんの本棚の本を見ていてもいいですか?それから、シェラさんが眠っている間も額のタオルはちゃんと変えますから安心して下さいね!」
長めの前髪を掻き分けて熱を持つ額に乗せたタオルの向きを直しながら言えば、微かに微笑みながら頷いたようだった。
やがてすうすうと言う小さな寝息が聞こえてきたので、起こさないようにそっと椅子から立ち上がり、読書をしようと部屋の中ほどへと移動する。
「・・・ユーリ様の持ち込む物がこの部屋に増えたら部屋の雰囲気が色々と変わりそうですね。」
部屋の中をぐるりと見渡したエル君がぽつりとそう言った。さっきの私の言動でエル君も思うところがあったらしい。
「やっぱりそう思います?あ、でも今のままの方がシェラさんぽいですかね?」
あんまり私の物ばっかり増えるのもどうだろう。変かな?
念のため第三者であるエル君の意見も聞こうとしたら、
「いいと思います。明るくなって、ユーリ様がこの部屋にいない時もここにユーリ様が感じられてシェラザード様の精神安定上もいい影響があると思います。」
珍しく同意された。だけどそんな、まるでシェラさんが精神不安定な人みたいな。
そう思ったのが顔に出ていたのか、
「ユーリ様がいなかったらこの人、今はいいですけど将来的には人格破綻してそうですからね。」
と酷いことを言い放った。
「ホントエル君て誰に対しても容赦ないですよね⁉︎」
「事実から推測される未来予想です。・・・だからユーリ様がいてくれて良かった、って言ったつもりでしたけど伝わらなかったですか?」
こてんと首を傾げて白い髪を揺らし僕、また何か言い方を間違えましたか?と聞かれてしまった。
ごめん全然分からなかった。
「分かりにくんですよ!私を褒めるならもっとこう、さすがですとか凄いですとか、一生尊敬しますって分かりやすく言ってください⁉︎」
「すみません、そこまでは思ってないので・・・ていうか、すぐ調子に乗る・・・」
エル君がふうとため息をついてまたかぶりを振った。
「辛辣‼︎」
まあそのハッキリしてるところも嫌いじゃないけど。
「いいから静かにして下さい。シェラザード様が休めません。」
そう言ったエル君に本棚の前に追いやられる。
中断したおやつの時間に食べていたものも少し持って来てくれるというから素直にエル君に従って本を選んでテーブルにつく。
そうして読書をしながらおやつをつまみ、時折りシェラさんの額に乗せているタオルを取り替えたりして午後の時間は過ぎていった。
薬湯の効果なのか、やがて眠るシェラさんの顔や首筋にうっすらと浮かび始めた汗を拭いてあげたりもしていたらあっという間に夕食の時間を迎えて、シェラさんもその目を覚ましたのだった。
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