【本編完結】異世界再建に召喚されたはずなのになぜか溺愛ルートに入りそうです⁉︎【コミカライズ化決定】

sutera

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番外編

夢で会えたら 11

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シャル君へプレゼントするブローチの形や大きさを確かめ、私が加護をつけた魔石を受け取ったシグウェルさんは

「では後日、ノイエ領で会おう」

とユリウスさんと連れ立って魔導士院へと帰って行った。

その帰り際、シグウェルさんが王都を離れるために団長代理としてノイエ領に同行せずに王都へ残ると私達に話したユリウスさんは、

「リシャル様とお会い出来るのは今日が最後っすねぇ、会ったばかりなのに残念っす。」

と名残惜しそうにしていた。

「ユリウス、おうまさんになる?」

「いえ、それは勘弁っす!あと元の時間に戻ったらもっと俺に優しくしてあげて⁉︎」

ユリウスさんがもっと自分と遊びたくて残念そうにしているのかと思ったシャル君が小首を傾げて聞いていたけど、ユリウスさんは慌ててそれを断った。

「前回はユリウスさんもノイエ領に同行したのに今回は来ないんですか?」

「あの時はほら、俺の仕切りでユーリ様の保養をしましたから!本来は俺と団長のどっちかは残るもんなんすよ。仕事じゃなくて、団長の個人的な身の回りの世話をするのに駆り出される方がおかしいって気付いて欲しいっす‼︎」

あ、そうだったんだ・・・。

「なんかユリウスさんて仕事じゃなくても常にシグウェルさんの側にいるからいない方に違和感を覚えますけど。」

「その結果が将来的に、望んだわけでもない独身貴族でリシャル様のお馬さんごっこに付き合う親戚のおじさん的な遊び相手のポジションになってるんすよね?なんか色々おかしいと思うんすよねぇ・・・」

腑に落ちない、と言った風にユリウスさんは首を傾げていたけどシグウェルさんに

「王弟殿下と召喚者の間に生まれた貴重な御子の遊び相手をさせてもらえるのだから光栄に思え、いつまでもくだらない愚痴をこぼしていないでさっさと戻って作業をするぞ」

と引きずられて帰っていった。

そんな二人を見送った後はノイエ領に向かう数日を引き続き別邸で過ごし、シャル君と湖でボートに乗ったりレジナスさんに野営料理を作ってもらってキャンプごっこのような事をしたりした。

そしてリオン様が王宮に仕事に行き、レジナスさんとシェラさんがシャル君の相手をしているのを見守っていた時のことだ。

なぜかシェラさんが簡単な剣術をシャル君に教えていて、レジナスさんはそれをただ側で見ていた。

「あれ?剣ならレジナスさんが教える方がいいんじゃないですか?」

シェラさんは勿論剣も一流だけど、どっちかっていうと特殊な魔道具や暗器を使うイメージだ。

ふと聞いてみたら、レジナスさん本人が渋い顔をして首を振った。

「俺は人に教えるのには不向きだ。相手の急所なら教えられるがその倒し方まではうまく説明できない。マディウス団長にもよく、書類仕事は出来るんだからそれと同じ要領で理屈を口で説明するだけだろうと言われるんだが・・・」

その言葉に、小さな木剣をシャル君にもたせて剣を教えていたシェラさんが頷く。

「ユーリ様、レジナスの剣技や体術は習って出来るものではないのです。生まれつきのしなやかな筋肉に力の強さという恵まれた体格に、優れた直感が組み合わさりそこに日々の鍛錬がさらに重なった成果ですのでなかなか他人が真似る事は・・・」

え、シェラさんがレジナスさんを褒めてる?珍しい。目を丸くしたら

「ですから、レジナスの人間離れした剣技や動きは言うなれば人を超えた野生の獣のそれなのです。獣に人間の言葉で説明しろと言っても無理でしょう?」

そう言ってにっこりと良い笑顔を見せた。褒めたんじゃないのか・・・。結局いつも通りの皮肉だったらしくレジナスさんも渋い顔のままだ。

すると二人の間に漂う不穏な空気を感じ取ったらしいシャル君がでも、と声を上げた。

「ラーズはレジーとうさまにちょっとずつ剣をおしえてもらってますよ!」

「え?」

そうなんですかと聞けばこくりと頷く。

「すじがいいってレジーとうさまがほめてました!ボクには魔法のさいのうもあるからレジーとうさまに教えてもらうよりも魔法剣を使えるとうさまや、シェラとうさまのおじいさまに教えてもらう方がいいって言うのでそうしてますけど」

「さすが、獣の子は獣というべきでしょうかねぇ・・・この男の意味不明な剣技の教えを理解できるとは。しかし、オレの祖父ですか?オレにそんな身内はおりませんが?」

シャル君の言葉にレジナスさんはまだ見ぬ自分の息子、ラーズ君に思いを馳せたのか「そうか」と満足そうに頷いてシェラさんは不思議そうな顔をした。

「あ、えっと、ボクからみたらおじいさまなの。シェラとうさまのおとうさまのことです!」

シェラさんのお父さんというと、養父のベルゲン・ザハリ様だ。

「ベルゲン様がわざわざ王都に出て来て剣を教えてくれてるんですか?」

「はい!ボクとラーズはかあさま達がはたらいているお昼の間は、よ?よーりゅーきゅう?っていう大きな宮殿にあずけられていて、そこでお勉強や剣のおけいこをしながらおるすばんをしてるんです。そこにシェラとうさまのおじいさまも住んでいて、剣を教えてくれてるんですよ!」

「聞いたことのない宮殿ですね・・・」

ようりゅう宮?どんな字を書くんだろうか。昼の間だけ預けられているなら奥の院からもそれほど離れていない宮殿のはずだけど見たことも聞いたこともない。

「んーとね、おじいちゃまが建ててくれたの。ボクやラーズとあそびたいからって。あと、ボクたちのほかに弟や妹がいっぱいできてもみんな一緒にあそべるようにってお部屋もいっぱいあるんです。」

「あ、そうですか・・・」

シャル君がおじいちゃまと呼ぶ相手はリオン様のお父さん、つまりナジムート前陛下のことだけど。

あの人、孫が出来たらいつでも一緒に好きなように遊びたいからって宮殿建てちゃうんだ。まあやりそうなことではある。これを聞いたらリオン様はまたすごく嫌そうな顔をしそうだなあ。

それにしてもシャル君達の他にも兄弟がたくさん出来てもいいように大きな宮殿を建てるとか、どんだけ人を子沢山にしたいんだか・・・。

そんななんとも言えない気持ちでいる私とは逆に、シェラさんは少し嬉しそうにしている。

「オレの養父が王都に滞在してシャルに剣を教えているのですか?それは良いことですね、養父は長らく騎士団長も務めましたしイリヤ王やリオン殿下、レジナスの剣の師でもあります。きっとシャルの才能も伸ばしてくれますよ。」

しかも住居まで用意してくださるとはさすが前陛下です、とここにいないナジムート前陛下に感謝するようにシェラさんは自分の胸に手を当てて微笑んでいる。そして

「シャル、元の世界に戻ったらオレの養父・・・あなたのおじいさまにくれぐれもお体に気をつけるように伝えてくださいね。もうよい歳ですし若くないのですから、無理はしないようにと。ナジムート前陛下に付き合って得体の知れない魔獣を捕まえて食べるような無茶はしないようにと伝えてください。」

そんな伝言まで頼んでいる。四歳児に頼む伝言にしては難しすぎないかな?しかも自分の父親を案じながら微妙に前陛下をディスっているような気がするのはなんでだろう。

だけどシャル君は

「はい!まかせてください‼︎おじいさまにはけんこうに気をつけていつまでも元気でいてくださいね。って言って、おじいちゃまにはへんな魔物をとってたべちゃダメですよ!って言えばいいんですよね!」

と元気で良い子の返事をした。シェラさんの話を要約して理解したなんてさすがリオン様の子供だ。だけどその中身が・・・。

うん、間違ってはいないけどやっぱり前陛下の株がちょっと落ちてるような気がするなあ・・・。




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