【本編完結】異世界再建に召喚されたはずなのになぜか溺愛ルートに入りそうです⁉︎【コミカライズ化決定】

sutera

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番外編

王様は誰だ 5

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・・・絶対に怪しい。

リオン様の膝に座らせられたまま、釈然としない思いで自分の引いた1番の数字が書いてある棒を見つめるけど、やっぱりどこにもイカサマらしい形跡はない。

でもよりによってリオン様を喜ばせるような命令をレジナスさんが偶然したとは思えないし。

「一体どんな仕掛けが・・・?教えてください、レジナスさん!」

「・・・仕掛けなどないし、何もしていない。」

「ホントですか⁉︎」

詰め寄った私からふいと視線を逸らしたレジナスさんの言っていることに、嘘はなさそうだけどその態度が怪しい。

いかにも後ろめたいところがありそう。もう一押しくらいすれば何か教えてくれそうだ。

だけどリオン様が、もう一度レジナスさんに詰め寄ろうとした私をまあまあと制して膝の上に抱え直す。

「ユーリ、ゲームはまだ途中だよ。あと数回、王宮の使用人に上乗せする給料分の金貨が残っているけど進めなくていいの?」

「う・・・」

それを言われると弱い。要は私が王様を引くか、私に振られた数字を他の人達に知られなければいいんだけど。

「じゃあ続けましょう!」

リオン様の膝に乗ったままだと私が引いた数字をリオン様に見られる可能性があるのでその膝からさっさと降りる。

リオン様は「もう少し膝の上にいてくれてもいいのに」なんて言っているけどある意味これには勝敗がかかっているのだ。主に私が犠牲になるかどうかの。

「王様、だーれだっ・・・!」

気合いを入れて素早く棒を引き抜く。そのまま四人に見られないように確かめれば、残念ながら王様の印はなかった。代わりに4番という数字が見える。よし。4番ね。よ・・・

「おや、またオレが王様です。それでは4番が王様の好きなところを三つ・・・いえ、五つ言ってください。」

よんばん?そして嬉しそうに王様の宣言をしたのはシェラさん⁉︎

「だからなんでですか!」

王様・・・シェラさんの好きなところを言えだなんて、私以外の誰かには絶対に言いそうにない命令だ。

どう考えてもシェラさんは私が4番の棒を引き当てたって分かってる。

分かってるから、私に自分の好きな点を言えだなんて発想になっているに違いない。その証拠に

「さあユーリ様、オレの好きなところを言ってください。ふふ、考えてみるとこうして面と向かってユーリ様にオレの好きなところを言ってもらうのは初めてですね。」

とワクワクしている。五個言うんですよ?と念押しまでしてくる始末だ。

そしてそれを聞いた他の三人、「その手があったか」みたいな顔をするの止めて。

「もし恥ずかしければ言わなくてもいいのですが、そうするとこのゲームは残念ながらここで終わりになりますね・・・」

とシェラさんは手元でチャラチャラと金貨をもて遊んでいる。くっ・・・人の足元を見て!

二人きりの時ならまだしも、他の三人もいる場でシェラさんの好きなところを言うとか羞恥プレイにも程がある。さっきの語尾に「にゃん」を付けて話す方がまだましだった。

「さあ、お願いしますユーリ様。言うのはオレの『いいところ』ではなくて『好きなところ』ですからね?」
 
早く、とシェラさんが急かしてリオン様とレジナスさんは一応気遣ってくれたのか「どうするユーリ?」「嫌なら言うな。俺も別に聞きたいと思わないから気にするな。」なんて言っている。

いや、レジナスさんのそれは気遣いって言うか私情が多分に入っていそうだね⁉︎

でも金貨・・・。多少の上乗せ分だけどあれがあれば、私達の結婚式の準備に奔走してくれてるみんなも喜んでくれるよね。

それに私が何て言うかシェラさんもすごく期待している。

そんな気持ちを裏切ってまでここでゲームを終わらせるのはなんだかシェラさんに悪いような・・・。

「わ・・・私の髪を整えてくれる時の」

女は度胸だと覚悟を決めて口を開けばレジナスさんが「言うのか⁉︎」と驚いてシェラさんは目を輝かせている。

「優しい手つきの長い指先が好きです」

「ありがとうございます、それから?」

シェラさんに先を促されて、自分の顔がほてってくるのが分かる。何この改めて告白するみたいな感じ。

「季節に合わせて洗顔用のお湯に混ぜる香油の種類と香りの組み合わせを変える繊細な気遣いをしてくれるところとか・・・」

「はい」

「紅茶を淹れる時、お湯の温度と茶葉の蒸らし時間を見ている真剣な横顔に」

必死でいつものシェラさんの姿を思い出していいなと思っているところを言っていけば、言うほどにシェラさんの笑顔が輝いてレジナスさんの顔が渋くなっていく。

うわぁゴメン、でも仕方ないじゃない⁉︎あとでこっそりレジナスさんにも、レジナスさんの好きなところを教えてあげるから!そう密かに心に決めた。

ちなみにリオン様は興味津々で「へぇ、シェラのことをそんな風に思っていたんだ」と呟いている。

シグウェルさんはどうしているかとちらりと見れば、私の話に耳を傾けながらも平然としてグラスのお酒を飲んでいた。

「あと二つですね」

シェラさん以外の人達の反応を伺いながら話していた私に、シェラさんは無情にも追い討ちをかける。あと二個も⁉︎

「えーとえーと」

他に何があったっけ。あ、そうだ。

「私を自分の選んだ服装に着替えさせた後、満足そうに笑っている顔?」

そういう時のシェラさんはなんていうか嬉しそう・・・っていうか幸せそうな顔をして私を見つめている。

だから、いつも大量のドレスやら靴やら小物やらを買い込んできて着せ替え人形のようにあれこれ着替えさせられても、結局その顔を見るとまあいいかと許してしまうのだ。なんだかんだ言って私もたいがいシェラさんには甘い。

「オレの女神であるユーリ様をこの世の何よりも美しく着飾ることはオレの至上の命題ですので。これからも精進いたしますよ。さて、あと一つですね。」

うんうんと満足そうに頷いたシェラさんはあと一つ自分の好きなところを言えという。

あと一つ。何があったかな。そう考えた時、ふと思い浮かんだ。

ドレスを着た私を見て嬉しそうに微笑んでいるその顔と同じように、私に口付けた後、親指でそっと私の唇の線をなぞりながらはにかむように幸せそうな顔でシェラさんは笑うことがある。

それはいつものあの人を煙に巻くような色気垂れ流しの艶っぽい笑顔よりもずっとその本心が現れているみたいで好きだなと思う。

「ユーリ様?」

最後の一つを言わない私に小首を傾げてどうしたのかとこちらを見たシェラさんにハッとする。

い、いやいや言えないでしょう!キスされた後に私を見て笑ってる顔が好きとか、この面子の前ではとてもじゃないけど言えない。

「あ、えーと!」

他に何かないかと考えてあっと思い付く。

「訓練で腕立て伏せしたり魔道具の鞭を使う時、腕に浮かぶ筋とかいいですよね⁉︎」

なんていうか色気がある。男の人ならではのカッコ良さみたいな?思いついたそれを言ったら、リオン様に

「ユーリ・・・また随分と変わった・・・好む人が少なそうな個性的なところが好きなんだね・・・?」

とマニアックな変態人間みたいな言い方をされた。そ、そんなつもりじゃ。

レジナスさんも

「腕の筋ならシェラだけでなく俺の方がはっきり見えるのでは・・・」

とくじ引きの棒を持つ手にぐっと力をこめる。そしてシグウェルさんは

「シェラザードに対する好きなところに、あのやたらと色気を振りまく妖しい笑顔が入っていないのが逆に好ましいな」

とふっと笑みをこぼして、それにシェラさんが

「そうですね。渾身の色気を乗せて誘う笑顔になびかないところがユーリ様の良いところです。そしてそうではない別の顔の方を好ましく思ってくださっているのが分かったのは良い収穫です。」

と言いながらなぜか上着を脱いでシャツの腕をまくりだした。

「え?どうしたんですかシェラさん、お酒を飲んで暑くなりました?」

不思議に思えば、

「いえ、オレの腕の筋を好んでくださっているようですのでお好きなら見るだけでなく触っていただこうかと。遠慮なさらなくてもよろしいのですよ?」

まるで注射をするようにはい、と腕を差し出された。

「触りませんよ⁉︎」

赤くなって言えばレジナスさんも私に加勢して

「いいからしまえ!そんなに触って欲しいなら俺が触ってやる、ついでに折ってやろうか⁉︎」

と物騒なことを言い出した。

「あなたに触らせるわけないじゃないですか。それではまるで野犬に噛まれるために腕を差し出すようなものですよ、まったく・・・」

とシェラさんはまくりあげたシャツの腕をまた元通りにする。

良かった、なんとか私がつい言ってしまったマニアックな好みの話はこれで終わりにしてもらえそうだ。

それにしても・・・やっぱりおかしい。シグウェルさんもレジナスさんもシェラさんも、ピンポイントで私にさせたい命令を数字を通して言ってきている。

三連続でそんなことになるなんて絶対にイカサマだ、インチキだ。

そう思ってコトの始まりのシグウェルさんを見るけど

「なんだ、まだ疑っているのか?」

と笑われてしまった。
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