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くびになったが問題なし、むしろ好都合
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「その、あの、言いにくいんだけど」
モジモジとしながら中々言わない男を、心配そうに見つめ居ていた少女が声を気遣うように男の腕に手を添えながら相手をキッと睨んだ。
「……勇者様は慈愛に溢れるがゆえに、言い出せないのです、この様な事を言わなくてはならないなんて」
「ミランダ……ありがとう、その気持ちだけでも心強いよ。……クリス、聖女でもある君には申し訳ないが、このパーティから抜けてほしいんだ」
白を基調とした法衣を着ている少女の手を握りながら、申し訳なさそうに伝えた。
言われた本人は、そんな状況に気にする様子も見せず、淡々とその状況を眺めていた。
勇者は勇者で横にいるミランダを気にしながら、チラチラとクリスを見ている。
「分かった、今日をもってパーティを離れよう。短い間であったが、もう会うこともあるまいが、元気でな」
言われた側は全くもって微塵も未練がましい様子もなく、サバサバとした表情でさっと手を挙げ、自分専任の護衛2人とその場を後にしようとしたが
「お待ちください、話はそれだけではありません!」
「まだ何かあったか? 」
「貴方が卑しくも持つ聖女の称号は、我らが王女ミランダ様にこそ相応しい、貴方の様な下賎な者にはふさわしくない」
ミランダの護衛を兼ねてパーティーに参加していた騎士は、ミランダを崇拝するかの様な視線を向けていた。
「知らん」
「なっ、なんだのその物言いは、仮にも「聖女の譲渡の方法など知らんと言っているのだ」
遮る様にしながら言い放つクリスの態度に、あからさまに表情を歪めた騎士に向かって、クリスの護衛騎士マーカスが声をかけた。
「騎士殿、聖女様は創世の女神様よりご神託を受け、聖女なられました、もしミランダ様が望まれるなら
まずは、女神様のご神殿に行かれてはいかがでしょうか? そこで神官からご神託をお願いしては?ミランダ様が行かれれば神官達もすぐに対応してくださいますよ、勇者様とご一緒に活躍されておりますゆえ、喜ぶかと」
優しい口調で話し、騎士の意識をこちらに向けさせながら、それを黙って聞いていたミランダは
「……勇者様、私は勇者様のお役に立ちたうございます、女神様よりご神託を頂けるか分かりませんが……」
「えっ、でも、クリスは「……勇者様……!」
勇者の腕にそっと触れながら、見上げるミランダに、何も言えず、クリス達に申し訳なさそうな表情を浮かべながら、勇者達は離れて行こうとする中、ミランダだけがこちらに戻って来た。
「……あの、カーライル様はどうされるのですか?」
カーライルは柔和な笑みを崩す事なく、恭しい態度で頭を下げた。
「ミランダ様、私は陛下よりクリス様の護衛を承っております、騎士として陛下から与えられた仕事を全うする所存でございます」
「では、国に戻られるのですね、どうかお気をつけて……戻られたら……レイシス様に……」
最後の言葉に無言を貫くクリスの眉がピクっと反応したが、ミランダは気づく事なく、勇者の元に戻って行った。
……気づいてはいなかった、カーライルの目が全く笑ってない事を、そして自分達が神殿に行くように誘導された事を。
モジモジとしながら中々言わない男を、心配そうに見つめ居ていた少女が声を気遣うように男の腕に手を添えながら相手をキッと睨んだ。
「……勇者様は慈愛に溢れるがゆえに、言い出せないのです、この様な事を言わなくてはならないなんて」
「ミランダ……ありがとう、その気持ちだけでも心強いよ。……クリス、聖女でもある君には申し訳ないが、このパーティから抜けてほしいんだ」
白を基調とした法衣を着ている少女の手を握りながら、申し訳なさそうに伝えた。
言われた本人は、そんな状況に気にする様子も見せず、淡々とその状況を眺めていた。
勇者は勇者で横にいるミランダを気にしながら、チラチラとクリスを見ている。
「分かった、今日をもってパーティを離れよう。短い間であったが、もう会うこともあるまいが、元気でな」
言われた側は全くもって微塵も未練がましい様子もなく、サバサバとした表情でさっと手を挙げ、自分専任の護衛2人とその場を後にしようとしたが
「お待ちください、話はそれだけではありません!」
「まだ何かあったか? 」
「貴方が卑しくも持つ聖女の称号は、我らが王女ミランダ様にこそ相応しい、貴方の様な下賎な者にはふさわしくない」
ミランダの護衛を兼ねてパーティーに参加していた騎士は、ミランダを崇拝するかの様な視線を向けていた。
「知らん」
「なっ、なんだのその物言いは、仮にも「聖女の譲渡の方法など知らんと言っているのだ」
遮る様にしながら言い放つクリスの態度に、あからさまに表情を歪めた騎士に向かって、クリスの護衛騎士マーカスが声をかけた。
「騎士殿、聖女様は創世の女神様よりご神託を受け、聖女なられました、もしミランダ様が望まれるなら
まずは、女神様のご神殿に行かれてはいかがでしょうか? そこで神官からご神託をお願いしては?ミランダ様が行かれれば神官達もすぐに対応してくださいますよ、勇者様とご一緒に活躍されておりますゆえ、喜ぶかと」
優しい口調で話し、騎士の意識をこちらに向けさせながら、それを黙って聞いていたミランダは
「……勇者様、私は勇者様のお役に立ちたうございます、女神様よりご神託を頂けるか分かりませんが……」
「えっ、でも、クリスは「……勇者様……!」
勇者の腕にそっと触れながら、見上げるミランダに、何も言えず、クリス達に申し訳なさそうな表情を浮かべながら、勇者達は離れて行こうとする中、ミランダだけがこちらに戻って来た。
「……あの、カーライル様はどうされるのですか?」
カーライルは柔和な笑みを崩す事なく、恭しい態度で頭を下げた。
「ミランダ様、私は陛下よりクリス様の護衛を承っております、騎士として陛下から与えられた仕事を全うする所存でございます」
「では、国に戻られるのですね、どうかお気をつけて……戻られたら……レイシス様に……」
最後の言葉に無言を貫くクリスの眉がピクっと反応したが、ミランダは気づく事なく、勇者の元に戻って行った。
……気づいてはいなかった、カーライルの目が全く笑ってない事を、そして自分達が神殿に行くように誘導された事を。
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