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5話:メロンランドのジンクス

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5話:メロンランドのジンクス

「つ、つかれたぁ」


  イスに座り、一息ついて里奈は言った。
  里奈は今、隼人とメロンランドにきている。


「りーなっ」


「ひゃ!!つめたっ!!」


  隼人が後ろから、メロンスムージーを里奈の頬に当てた。


「はい、どーぞ」


「あ、ありがとう」


たまに優しいことするんだから。
まー、私は絶対騙されないけど。


「てか、今日元気なくない?なんかあったの?あ、俺が無理やり連れてきたから?」


   里奈の隣に座り、問いかけた。

気づいてたんだ…。


「う、ううん。なんでも…ないよ……」


瀬奈に嘘ついちゃった。
バレたらどうしよう…。嫌われちゃうかな。


「言いたくないならいいけどさー。」

  
  少し不満そうに隼人は言った。


「ご、ごめん」


  心配してくれたのに対して、申し訳なさそうに謝った。


「ま、あれ乗ろーぜ!」


  そういって、隼人が指さしたのは…


「え、ジェットコースター!?」


「ん?乗れないの?里奈にもダメなことがあるんだなぁ」


  里奈は大の高所恐怖症だった。
  しかも、メロンランドのジェットコースターは、日本1怖いジェットコースターとして、有名だったのだ。


「べ、べつに?あんたが、乗れないかなーって思って乗ろうとしてなかっただけ。ジェットコースターなんて、大大大好きなんだから!」


絶対乗りたくないよー!!!


「じゃ、乗ろっか!」


「へ?」


隼人は、里奈手を取り走り出した。

  え、嘘でしょ??


「ラッキーだな!一番前だぞ!」


順番が回ってきて、案内されたのはよりにもよって、最前席。

  最悪……。


「なぁ、本当は乗れねぇんじゃないの?やめるか?」


隼人にバカにされてる気がしてならなかった。


「馬鹿じゃないの?私に苦手なものなんてないんだから。」


  言わなきゃ良かったと思ってる。


「きゃ、きゃーーーーーーーー!!!!」


  想像を超える怖さだった。
  ジェットコースターは、何度も一回転を繰り返す。
  当然こんな乗り物に高所恐怖症が乗るはずもなく、周りの人はすごく楽しそうだ。

落ちませんように。落ちませんように。

  ただひたすら、里奈は願った。


「楽しかったなー」


  ジェットコースターからおりて、ご機嫌な様子で里奈に言った。


「はぁ、はぁ、そ、そうだねー」


  疲れきり息を切らしながら答えた。


「なんでお前そんなに疲れてんだよ」

 
 隼人が不思議そうに聞く。


「ちょ、ちょーっと、はしゃぎすぎちゃってさぁ」


「ふーん、じゃあ座ろっか。ん!」


  隼人が手を差し出して、言った。

あ、座りたかったから嬉しい


「ありがとう」


「おう」


  里奈は疲れきっていたため、行先を隼人に任せて歩いた。


「座っていーよ」


「ふーぅ、ありが…」


ガチャ

え、ガチャ?


「いってらっしゃーい」


  店員さんがそう言った。

え?


「え、あ、え!?」


  気づいた時にはもう遅かった。
  里奈と隼人をのせた観覧車は、もう動き始めてしまった。

うそ…でしょ

 
「すいててよかったなー」


「ちょっと、どういうこと!?観覧車なんて聞いてないんだけど」


「だって、さっきのジェットコースターではしゃいでたから高いの好きかなーって。苦手だった?ごめんな」


「ばか、何いってんの?好きすぎて困ってますー」


「ならよかった」


  笑うとやっぱりかっこいい。

騙されるな!私!


「そういえば、メロンランドの観覧車のジンクスって知ってる?」


「知ってる!頂上でキスすると、永遠に結ばれるってやつでしょ?」


「そうそうそう!まぁ、やんないけどな」


「結構です!」


 下をベーって出しながら里奈が言った。

  もうすぐ頂上につく。そのとき


ガタッ


「え、え、止まったの?」


「……みたいだなあ」


最悪、よりにもよって頂上で!


「大変申し訳ございません。もう少しで動くと思いますので、そのままお待ちください」


え、このまま!?


「あ、里奈」


「なに?」


「なんかついてる」


そういって、里奈の頭についてる糸くずをとった。


「ありがと」


そのとき

ガタッ


「……」


「……」


2人は、ジンクスを果たしてしまったのだ。

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パシャ

「いいものみーちゃった」


「ですね、○○様っ!」


 この人達は…?
  そして、なにを撮ったの?
  謎に近づいていく里奈と隼人。
  2人は、のりこえられるのだろうか。
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