大嫌いなアイツと恋愛始めました

恋猫

文字の大きさ
7 / 8

5話:メロンランドのジンクス

しおりを挟む
5話:メロンランドのジンクス

「つ、つかれたぁ」


  イスに座り、一息ついて里奈は言った。
  里奈は今、隼人とメロンランドにきている。


「りーなっ」


「ひゃ!!つめたっ!!」


  隼人が後ろから、メロンスムージーを里奈の頬に当てた。


「はい、どーぞ」


「あ、ありがとう」


たまに優しいことするんだから。
まー、私は絶対騙されないけど。


「てか、今日元気なくない?なんかあったの?あ、俺が無理やり連れてきたから?」


   里奈の隣に座り、問いかけた。

気づいてたんだ…。


「う、ううん。なんでも…ないよ……」


瀬奈に嘘ついちゃった。
バレたらどうしよう…。嫌われちゃうかな。


「言いたくないならいいけどさー。」

  
  少し不満そうに隼人は言った。


「ご、ごめん」


  心配してくれたのに対して、申し訳なさそうに謝った。


「ま、あれ乗ろーぜ!」


  そういって、隼人が指さしたのは…


「え、ジェットコースター!?」


「ん?乗れないの?里奈にもダメなことがあるんだなぁ」


  里奈は大の高所恐怖症だった。
  しかも、メロンランドのジェットコースターは、日本1怖いジェットコースターとして、有名だったのだ。


「べ、べつに?あんたが、乗れないかなーって思って乗ろうとしてなかっただけ。ジェットコースターなんて、大大大好きなんだから!」


絶対乗りたくないよー!!!


「じゃ、乗ろっか!」


「へ?」


隼人は、里奈手を取り走り出した。

  え、嘘でしょ??


「ラッキーだな!一番前だぞ!」


順番が回ってきて、案内されたのはよりにもよって、最前席。

  最悪……。


「なぁ、本当は乗れねぇんじゃないの?やめるか?」


隼人にバカにされてる気がしてならなかった。


「馬鹿じゃないの?私に苦手なものなんてないんだから。」


  言わなきゃ良かったと思ってる。


「きゃ、きゃーーーーーーーー!!!!」


  想像を超える怖さだった。
  ジェットコースターは、何度も一回転を繰り返す。
  当然こんな乗り物に高所恐怖症が乗るはずもなく、周りの人はすごく楽しそうだ。

落ちませんように。落ちませんように。

  ただひたすら、里奈は願った。


「楽しかったなー」


  ジェットコースターからおりて、ご機嫌な様子で里奈に言った。


「はぁ、はぁ、そ、そうだねー」


  疲れきり息を切らしながら答えた。


「なんでお前そんなに疲れてんだよ」

 
 隼人が不思議そうに聞く。


「ちょ、ちょーっと、はしゃぎすぎちゃってさぁ」


「ふーん、じゃあ座ろっか。ん!」


  隼人が手を差し出して、言った。

あ、座りたかったから嬉しい


「ありがとう」


「おう」


  里奈は疲れきっていたため、行先を隼人に任せて歩いた。


「座っていーよ」


「ふーぅ、ありが…」


ガチャ

え、ガチャ?


「いってらっしゃーい」


  店員さんがそう言った。

え?


「え、あ、え!?」


  気づいた時にはもう遅かった。
  里奈と隼人をのせた観覧車は、もう動き始めてしまった。

うそ…でしょ

 
「すいててよかったなー」


「ちょっと、どういうこと!?観覧車なんて聞いてないんだけど」


「だって、さっきのジェットコースターではしゃいでたから高いの好きかなーって。苦手だった?ごめんな」


「ばか、何いってんの?好きすぎて困ってますー」


「ならよかった」


  笑うとやっぱりかっこいい。

騙されるな!私!


「そういえば、メロンランドの観覧車のジンクスって知ってる?」


「知ってる!頂上でキスすると、永遠に結ばれるってやつでしょ?」


「そうそうそう!まぁ、やんないけどな」


「結構です!」


 下をベーって出しながら里奈が言った。

  もうすぐ頂上につく。そのとき


ガタッ


「え、え、止まったの?」


「……みたいだなあ」


最悪、よりにもよって頂上で!


「大変申し訳ございません。もう少しで動くと思いますので、そのままお待ちください」


え、このまま!?


「あ、里奈」


「なに?」


「なんかついてる」


そういって、里奈の頭についてる糸くずをとった。


「ありがと」


そのとき

ガタッ


「……」


「……」


2人は、ジンクスを果たしてしまったのだ。

                                 ↓

                                 ↓

                                 ↓

                                 ↓
☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~

パシャ

「いいものみーちゃった」


「ですね、○○様っ!」


 この人達は…?
  そして、なにを撮ったの?
  謎に近づいていく里奈と隼人。
  2人は、のりこえられるのだろうか。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

婚約破棄したら食べられました(物理)

かぜかおる
恋愛
人族のリサは竜種のアレンに出会った時からいい匂いがするから食べたいと言われ続けている。 婚約者もいるから無理と言い続けるも、アレンもしつこく食べたいと言ってくる。 そんな日々が日常と化していたある日 リサは婚約者から婚約破棄を突きつけられる グロは無し

[きみを愛することはない」祭りが開催されました~祭りのあと2

吉田ルネ
恋愛
出奔したサーシャのその後 元気かな~。だいじょうぶかな~。

わたしのことがお嫌いなら、離縁してください~冷遇された妻は、過小評価されている~

絹乃
恋愛
伯爵夫人のフロレンシアは、夫からもメイドからも使用人以下の扱いを受けていた。どんなに離婚してほしいと夫に訴えても、認めてもらえない。夫は自分の愛人を屋敷に迎え、生まれてくる子供の世話すらもフロレンシアに押しつけようと画策する。地味で目立たないフロレンシアに、どんな価値があるか夫もメイドも知らずに。彼女を正しく理解しているのは騎士団の副団長エミリオと、王女のモニカだけだった。※番外編が別にあります。

完結 愚王の側妃として嫁ぐはずの姉が逃げました

らむ
恋愛
とある国に食欲に色欲に娯楽に遊び呆け果てには金にもがめついと噂の、見た目も醜い王がいる。 そんな愚王の側妃として嫁ぐのは姉のはずだったのに、失踪したために代わりに嫁ぐことになった妹の私。 しかしいざ対面してみると、なんだか噂とは違うような… 完結決定済み

彼は亡国の令嬢を愛せない

黒猫子猫
恋愛
セシリアの祖国が滅んだ。もはや妻としておく価値もないと、夫から離縁を言い渡されたセシリアは、五年ぶりに祖国の地を踏もうとしている。その先に待つのは、敵国による処刑だ。夫に愛されることも、子を産むことも、祖国で生きることもできなかったセシリアの願いはたった一つ。長年傍に仕えてくれていた人々を守る事だ。その願いは、一人の男の手によって叶えられた。 ただ、男が見返りに求めてきたものは、セシリアの想像をはるかに超えるものだった。 ※同一世界観の関連作がありますが、これのみで読めます。本シリーズ初の長編作品です。 ※ヒーローはスパダリ時々ポンコツです。口も悪いです。 ※新作です。アルファポリス様が先行します。

エリート警察官の溺愛は甘く切ない

日下奈緒
恋愛
親が警察官の紗良は、30歳にもなって独身なんてと親に責められる。 両親の勧めで、警察官とお見合いする事になったのだが、それは跡継ぎを産んで欲しいという、政略結婚で⁉

~春の国~片足の不自由な王妃様

クラゲ散歩
恋愛
春の暖かい陽気の中。色鮮やかな花が咲き乱れ。蝶が二人を祝福してるように。 春の国の王太子ジーク=スノーフレーク=スプリング(22)と侯爵令嬢ローズマリー=ローバー(18)が、丘の上にある小さな教会で愛を誓い。女神の祝福を受け夫婦になった。 街中を馬車で移動中。二人はずっと笑顔だった。 それを見た者は、相思相愛だと思っただろう。 しかし〜ここまでくるまでに、王太子が裏で動いていたのを知っているのはごくわずか。 花嫁は〜その笑顔の下でなにを思っているのだろうか??

灰かぶりの姉

吉野 那生
恋愛
父の死後、母が連れてきたのは優しそうな男性と可愛い女の子だった。 「今日からあなたのお父さんと妹だよ」 そう言われたあの日から…。 * * * 『ソツのない彼氏とスキのない彼女』のスピンオフ。 国枝 那月×野口 航平の過去編です。

処理中です...