七人の魔族と森の小さな家

サイカ

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 ーー エイダン ーー


 街へ出てきてよかった。

何度ハルの元へ行こうと森の奥へ進んでも絶対にたどり着けない。

つい最近まで街と魔王城の近くの森までが繋がれていたが……そもそも魔王城の場所がわからないからそこからハルの家まで近いのかもわからない。

となると……ハルと会えるのは街……

今夜は城で魔族を招いた夜会があり、とうとう魔王も参加するらしいから恐らく側近の魔族達は早めに行って城の様子を見るだろう。

ハルがもし魔族達の近くにいるのなら……今日は一人になる……だからハルは街へ行くと言うかもしれない。

これは私の期待が大分込められた予想……いや、妄想かもしれない。

だから本当は……本当に会えるとは思っていなかった。

ハルの姿を見つけたときは胸が震えた。
魔力が増えてくると同時にハルへの執着心も強くなっていく気がする。

ハルが酒に酔ったときに触れた肌の感触を思い出す。
もう一度……もっと触れたい……もっと……

「エイダン、久しぶり」

と微笑むハルが……本当に目の前にいることが嬉しい。

さりげなく周りを確認したが魔族の姿は見えなかった。
姿を消しているのかもしれないが……出てくるまでは放っておこう。

今はハルとの時間を大切にしたい。

ハルを家に招き少し強引だったが風呂に入ってもらいハルが着ていた服を処分した。

まずは私が選んだものを身に付けて欲しかったから……

しかしハルは……余程気に入っていた服だったのか泣き出してしまった……

もしかしたら……あの魔族の男に贈られたものだったのか……?

だとしたら処分してよかったが、ハルを泣かせるつもりはなかった。

ハルに謝りどうにか許してもらったが……今度はエリオットの名前を口にする。

エリオットにはハルとの時間を邪魔されないように、時間まで客室で休むといいと言うと何か言いたげな顔をしていたが結局大人しく客室へ向かった。

ハルの髪に触れながら私は一緒にいられるこの時に幸せを感じているのに、どこか落ち着かない様子のハル。

落ち着いて欲しくてお茶を勧めると美味しいと言って全部飲んでくれた。

甘い酒をほんの少し混ぜた茶を全て飲んだハルは……
上手く歩けなくなっていた……

本当に酒に弱い……

ハルをソファーに座らせて水を持って戻るとハルは目を閉じていた。

「ハル……」

そっと肩に触れる……

「んー? ウフフ……」

ハルの表情が柔らかくなりホッとする……ようやくハルも落ち着いてくれた。

「ハル……少し寝室で休もうか」

耳元でそう囁くと、

「ンッ…………ンンッ……」

一瞬身体に力が入りその後ソファーにそのまま横になってしまったハルを抱き上げて寝室へ運ぶ。

「フフフッ……」

半分寝ているように目を閉じたままときどき笑うハルをみていると幸せな気持ちになり私も微笑んでしまう。

ハルをベッドに寝かせて、はだけたガウンを……元に戻す。

けれどもハルは酒のせいで暑いのかまたガウンをはだけてしまう……

ハルの綺麗な肌にレースが映える……

頬に触れるとクスクスと笑いながら私の手に柔らかい頬を寄せてくる……

あぁ……ハル……

頬にそっと口付けをして……唇……にも……

「ハル……」

ピクリ……と私の声に反応するハルが可愛くてもう一度口付けをする。

「ンッ……ハァ……ル……ウ」

…………

ルウ……? ルウと言ったか?
……ルウ……が誰かは……まぁ……後で考えよう……

ハルの耳元に唇を寄せて囁く

「ハル、私だよ。エイダンだ」

「ンッ……ル…………」

違う……

他の誰かの名を呼ぶハルの唇を口付けで塞ぐ。
わずかに開いたハルの唇に舌を滑り込ませ……私もベッドに入る……

ハルの喉を指でなぞり柔らかな胸へ……固くなった部分に触れると身体をよじり可愛い抵抗をみせる……

ハルの柔らかい太ももに脚を挟ませ押し広げ……
さらに下の方へと手を滑らせると

「アッ……ヤ……ァ……ル……」

違う

もう一度深く口付けをする
ハルの身体に触れながら長く深く……

クタリと力が抜け息の上がったハルの耳元に

「ハル……今ハルに触れているのは私だよ。エイダンだ」

ハルがうっすらと目を開け潤んだ瞳と目が合う

「……エ……イ……ダ……?」

そうだ

「そうだよ、いい子だね……ハル」

そう耳元で囁き耳たぶを食む……

それから首から胸へ口付けをして……
固くなった胸の先に唇で触れる……

ハルが身をよじり再び目を閉じると涙が溢れ……

私の息も上がり……下腹部に集まった熱が苦しい……

あぁ……ハル、このまま君を私のものにしてもいいだろうか……

上着を脱ぎタイを緩めシャツのボタンに手を掛ける。


コン コン コン

ハルに口付けをしながら……

コン コン コン

「兄上」

……エリオット……

「兄上、そろそろ準備をしないと……」

わかっている……

「兄上? ハルは」

「わかったよ、そうだな。準備をしてから下へ行くよ」

……危なかった……

ハルの意識がハッキリとしていないときにこんなことを……これでは曾祖母を襲った魔族の男とやっていることは同じではないか……そう思い頭を抱えるが……

だが……そうか……私にも同じ血が流れているのか……

それならば…………



ーー エリオット ーー


 兄様の様子が少しおかしい……

冬が終わりハルがいなくなってからしばらくは以前と同じように仕事に没頭しているようだったが……

城から夜会の招待状が届いて……魔族を招いたものだと知ってからは……

「ハルが街にいるかもしれないから行ってくるよ」

今夜は夜会があるのに突然……

「もしハルと会えたら連れてくる」

先に城へ行っていてもいいと言われたが……なんとなくここに残った方がいいような気がした。

そして……

「ハル……捕まったか」

なぜかこんな言葉が出てしまった……

久しぶり、と呑気に笑うハルを見ていると力が抜けてしまうが兄様のハルを見る目が……様子が気になる。

無理矢理どうこうするということはないと思うが……

ハルを半ば強引に風呂へ誘導する兄様……

……どうこう……しないよな……

なぜかハルの服を持って戻ってきた兄様……

「兄上、それを……どうするのですか?」

下着まで……

「私が用意したものがあるからもう必要ないと思ってね」

と、楽しそうに言うと暖炉へ……!?

「兄上! 勝手にそんなことをして……ハルは知っているのですか!?」

これまでの兄様とは何かが違う……

「だから私がハルに身に付けて欲しいものを選んだからそちらを着てもらうのだよ」

と嬉しそうに話す兄様は物凄く……魔族的というか……
ハルは恐らく服がなくなってしまったことを知らないのだろう……

兄様が自分の気持ちを押しつけ始めているように見える……

「兄上……」

「エリオット、時間まで部屋で休んでいるといい」

邪魔をするなと言われているようだ……
別にハルを守りたいわけではなく兄様に後悔をして欲しくないだけなのに……

兄様が純血の魔族なら後悔などしないのだろうか……
僕が純血ならば止めようとも思わないのだろうか……

それとも魔族と人間にそれほどの違いはないのだろうか……

無駄なことを考えているような気がしてため息が出る。

少ししたら様子を見に行こうと思い、客室へ向かう。

しばらくすると話し声が聞こえて……その後静かになり二階へ上がって行ったようだが……

部屋を出て暖炉の前に置かれたカップを手に取る……
微かに酒の匂いがする……兄様が茶に混ぜてハルに飲ませたのか……

酒を飲んだときのハルの様子を思い出す……
少し舐めただけであの様だ……薄めているとはいえカップ一杯飲んだのか……

ハルの警戒心の無さには呆れる。

兄様の好きなようにさせてあげたいから放っておくか……ハルにとっても幸せなことかもしれない。

ただ……

「エリオットはお兄さん思いのいいコだねぇ……」

ほんの少しの酒に酔ったときにハルが言った言葉が頭をかすめる……

別に……ハルのためではない……

コン コン コン


二階へ上がり兄様の部屋のドアをノックした…………

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