LINK

山月 春舞《やまづき はるま》

文字の大きさ
68 / 108
【PW】AD199908《執悪の種》

張り巡る執念 2

しおりを挟む
   それは、暁が警視庁に出向してい時の話だった。
   テロ事件の後、公安課の目的は教祖である千条の確保とアルファの理の武装状態の把握、そして押収だった。
   勿論、暁もその仕事に勤めていた。
   しかし、縄張り争いと言うべきなのかプライドと言うべきなのか、出向で来た暁達に用意されていたのは、書類の処理と捜査員達の交代要員という雑務ばかりだった。
   別にそれに対して暁は、特別な不満を持つ事は、無かったが流石に降りてこない情報と肝心な時に爪弾きにされる扱いには、不満を持っていた。
   その中で暁の逆鱗に触れたのは、情報を報告をしたのにも関わらず無視をし、あわや第2のテロ事件が起きかけたという事実だった。
   その当時の暁の相棒を勤めていたのが警視庁の公安に居た崇央だったという事が功を奏し未然に防ぐ事が出来たが、もしそうでなければどうなっていのかわからなかった。
   その時も嶋倉は何も言われず、その後に余計な事を出来ない様に事務作業へと回されるという現実だけが突き付けられた。
   そうなれば暁が出来る事は出向終わるまで大人しくしているか上の言うことを聞かないで捜査する事だ。
   暁は出世なんてモノに興味はない。そして事件が解決するのならば誰の手柄になるのも興味はない。
   だからこそ暁は一日でも早く事件が解決する様に捜査へと務めたのだ、しかしそれがその後に大きな問題となった。
   捜査中に千条を発見し、取り逃し、1人の女性記者の命を犠牲してしまったのだ。
   その際に彼女が亡くなる直前に千条と数名の信者が彼女を取り囲んでいる目撃情報があり、その事について嶋倉に言及したのだが取り合って貰えず、それどころか暁の勝手な捜査を問題視され、捜査及び出向から外されたのだ。
   その事については、暁も覚悟の上だったから何も言わなかったが目撃証言があるにも関わらず彼女の死について嶋倉は、事件性無しの突然死と決定付けたのだ。
   その決定に納得がいかなかった暁は、嶋倉の部屋に向かい、何故か聞いたが相手にされず、それでも引き下がらないのもありその部屋から力づくで追い出されたのだ。

「頼むから、前みたいな事はしないで下さいな」

   力づくで追い出した1人が暁に向かい呆れ顔で言ってきた。
   そんな言葉に暁は溜息を漏らすとゆっくりと首を振った。

「それは、向こう次第ですね」

「何様っすか?」

   崇央にそう言われ暁はゆっくりと肩を竦めた。
   正直、暁には揉めない自信が無い。嶋倉という男の性格は自分とは合わないとその1件からありありと知ったからだ。
   嶋倉は、恐らく効率と利益の為なら何にでも犠牲にする。
   例えそれが人命だったとしてしも。
   1人の命を無くして多くの命を取る。
   別にそれを間違っているという批判をする気は暁には無い。警察という組織の管理職という立場を考えれば当然だろう。
   しかし、暁はそうなる前に色んな可能性を追求すべきだとも考えている。早期解決、それも大事だ、だがその中で何かを見落としそしてそれが後になってから大きな欠点に繋がる可能性を捨てきれないのだ。
   嶋倉の効率に走る傾向は、否定しないが嫌いなのだ。
   年間に起きてる事件数を考えれば当然の判断なのだが。
   それでも、暁はそれを捨て切れないのだ。

「とりあえず、先輩が今日出来ることは」

   崇央は、そう言いながらすっと人差し指を出入口に向けた。
   言わずもがな帰れっと言う事だ。暁自身、退院と体に異常無しの報告さえ出来れば良かったのだが思わぬ人物との再会と展開に何となく帰るタイミングと気持ちを失ってもいた。
   しかし、崇央の顔には帰らないと追い出すと書かれておりひとまず大人しく帰る事にした。

「そうだ、焼死体の歯型の出処調べておいて」

   置き土産を残して。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

隣に住んでいる後輩の『彼女』面がガチすぎて、オレの知ってるラブコメとはかなり違う気がする

夕姫
青春
【『白石夏帆』こいつには何を言っても無駄なようだ……】 主人公の神原秋人は、高校二年生。特別なことなど何もない、静かな一人暮らしを愛する少年だった。東京の私立高校に通い、誰とも深く関わらずただ平凡に過ごす日々。 そんな彼の日常は、ある春の日、突如現れた隣人によって塗り替えられる。後輩の白石夏帆。そしてとんでもないことを言い出したのだ。 「え?私たち、付き合ってますよね?」 なぜ?どうして?全く身に覚えのない主張に秋人は混乱し激しく否定する。だが、夏帆はまるで聞いていないかのように、秋人に猛烈に迫ってくる。何を言っても、どんな態度をとっても、その鋼のような意思は揺るがない。 「付き合っている」という謎の確信を持つ夏帆と、彼女に振り回されながらも憎めない(?)と思ってしまう秋人。これは、一人の後輩による一方的な「好き」が、平凡な先輩の日常を侵略する、予測不能な押しかけラブコメディ。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

中1でEカップって巨乳だから熱く甘く生きたいと思う真理(マリー)と小説家を目指す男子、光(みつ)のラブな日常物語

jun( ̄▽ ̄)ノ
大衆娯楽
 中1でバスト92cmのブラはEカップというマリーと小説家を目指す男子、光の日常ラブ  ★作品はマリーの語り、一人称で進行します。

処理中です...