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【PW】AD199909《箱庭の狂騒》
潮目2
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「そんな事が……」
可能なのか?暁は、咄嗟にそう言いかけて直ぐに口を閉じた。
真逆な存在だが、それを証明する者達がいる事に気がついたからだ。
そして、その1人であるハルをゆっくりと見つめる。
「正解だ、大浦警部補」
中性的な男は暁の視線に嬉しそうに大きな声を上げながら両手を広げる。
「俺は、何も…」
「だが、わかっているんだろ?そう未来にいかなくても過去に来たヤツらがいる、そしてその1人が」
中性的な男は、そう言いながら呆れた様な溜息を漏らして天を仰ぐハルを指差した。
「辛くもアイツを死ぬ直前まで追い詰めて、最後の最後に詰めの甘さで殺し損ねた殺し屋、その男が最後の詰めでアイツは、何を思ったか過去を振り返った、それにより根源がそれを感知して、反応し、そしてこの世界に我々はやってきた」
「だけど、過去と未来じゃ大きく違うだろ?」
「同じさ、とある科学者は、時は一方通行だといっただろう、だがそれはあくまで物理的な世界、想念の世界は、時間の概念は無い」
「それなら、過去を改変する為にここ来たんじゃないか?計画をより完璧にする為に」
「それは、見解の違いがデカイな、過去を変える世界を同一と捉えるかそれとも別と捉えるかによって大きく違う」
中性的な男の言葉が理解出来ずに暁が固まってしまうとハルが溜息をつきながら首を横に振った。
「ようは、改変された過去の世界は、よく似た違う世界で未来と干渉しない、パラレルワールドって事だろ?」
「パラレルワールド?」
「今ある世界と同じ形、同じ人物が居るけど、その中身が違えば何もかもが変わる、例えば本当なら鷲野さんは、死んでいる筈なのに、アキさんがリンクに関わった事でその世界は無くなり、アキさんも警察を辞めていない、その時点で俺が来た世界とは、大きく変わっている、つまり俺達が居た世界とは似ていて違う世界になったって言う事を言いたいんだろ」
ハルの補足に中性的な男は、満足そうに頷く。
暁も理屈は、理解出来た。
「だけど、似ているなら違っていてもこの世界でこの計画を完璧にこなそうと思っていると考えられるだろ?」
「その時に完遂できた可能性があったのにか?」
暁の返しに間髪入れずに中性的な男が応える。
暁は、そうなのかとハルに視線を送ると小さく頷いた。
「完璧とは、いかないけど、計画は遂行出来たと思う」
ハルの応えに中性的な男は、満足そうに頷きながら人差し指を立てた。
「だが、あの男はそれをしなかった、それどころか真逆の過去のパラレルワールドにやってきた、それは何故か」
中性的な男は、そう言いながらゆっくりとハルに向かい応えろっと言う様に指差したがハルは、首を横に振るだけだった。
「俺は知らん」
「そう答えるだろう。っと言うことだ、ここは君に少し力を借りたいんだ大浦警部補」
突然の指名に暁は、何をさせたいのかわからず首を横に傾けると中性的な男は、優しい笑みを浮かべた。
「君の力は、【照らす者】、空から世界を照らしそして見通す力、その力でハルを覗いてくれないか?今現在【断つ者】の力は弱っている、目覚めたばかりの君でも知る事が出来る、これは…」
「やだ」
中性的な男の言葉を遮る様に暁が拒否を表明すると中性的な男は、一瞬目を丸々として驚いたかと思うと溜息を漏らした。
「良いのか、これはこの後の事態に大きな影響を及ぼす可能性があるんだぞ?」
「かもな、だけど、直感で嫌だって思ったので、嫌だ、ってか、それよりもだ」
暁は、そう切り替えると直ぐにハルの方をみた。
「以前の蘇我さんは結局世良を止められなかったのか?」
「えぇ、ただ10年単位で遅らせる事は、出来ました」
「つまり、それが失敗すると」
「もっと早くに起きます」
だよな、暁は、そう思いながらため息をつく。そしてある日の出来事を思い出した。
「以前、お前に聞いたよな?その時と同じ状況になるのは、どれぐらいかと」
「えぇ」
「今の見立ては、どうだ?」
「変わりません、50、50です」
ハルの迷いの無い応えに恐らく本当に変わっていないのだろう、それなら。
「それは、最初から西端を犠牲にする可能性も含めていたのか?」
その問いにハルの表情が曇る。
「想定しなかったわけじゃないです、出来れば避けたかったのも事実です。だけど避けられないのもわかっていました」
ハルは、それでも淡々と言葉を続け、ゆっくりと目を閉じた。
「でも、これが最善の策だと思っています」
「マルクトが西端の体を使う事をか?」
「えぇ、マルクトにとってアイツは最も合致する器です、ですけど今のままアイツの体を手に入れても儀式までに調整する事は、かなり難しい状況です」
「それは何故?」
「本来、器の乗り換えには、相手との同調が必要です、体の支配が出来た、だから大丈夫ってわけでもないです、かつてマルクトは、西端との間に数年かけて同調をしていました。しかし体を奪ってからの調整に半年かけてます、そこから察するに今奪ったところで自身の力を劣化させるだけです」
「そして今現在で新しい要素として、未来の西端の欠片が現在の西端の中にいるってのも要因の一つになるな」
ハルの言葉に続き、中性的な男も割って入ってきた。
「未来の西端が?生きていたのか?」
「消えた、俺もそう思ってました。だけど今現在アイツの中にいる」
苦々しい表情を浮かべながらハルは、応えた。
「もし、それが本当なら事態は最悪とも言えるがな」
中性的な男は、そう言いながらゆったりと歩き出した。
「どういう事だ? 」
「考えても見ろ?もし未来の西端がマルクトに心酔してたらどうだ?奴は間違いなくその肉体を差し出すだろう、そして逆にマルクトを憎んでいたらどうだ?」
中性的な男は、そう言葉を止めてゆっくりと苦々しい表情をして黙るハルを見た。
「アイツを殺そうとするか、アイツの計画を壊す為に死ぬつもりだろうな」
ハルは、そう応えながらゆっくりとテーブルに置いてある煙草に手を伸ばした。
「恐らくアイツは、死ぬつもりだ、俺の知ってる伸ならそれを選ぶ…」
「何故、どうして彼がそれを選ぶ…」
暁がそう呟くと同時に頭の中に幾つもの閃光が走った。
深い夜の空にまばら星、そして周りには、瓦礫と墓標の様な高層ビルが並ぶ荒廃した東京の街並み。
戦闘服に身を包んだ歳をとったハルが地べたに座りながら煙草を吸っている。
自分に何かを語りかけそれに自分もまた言葉を失っている。
「マルクトは、西端の子供を殺しているのか……」
唐突に入り込んだ、情報を思わず暁が呟くとハルは、その光景に少しだけ驚いた表情を浮かべたかと思うと自嘲の笑みを浮かべた。
「はい、厳密に言えば、伸じゃなく伸の体乗っ取ったマルクトですけど」
「何でそんなことを?」
「恐らく、アイツの未練の糸を斬る為だと思います」
「未練の糸?」
「はい、2015年の中東ザルビア、アインが名乗りを上げた国です、そこで伸の体は、マルクトへ奪われた。だけど伸の魂は、消えたわけじゃなかった。アイツには、意志と未練がありましたから」
ザルビア、その国の名前を聞いた途端に暁の頭の中に見慣れない街並みと逃げ惑う人々、そして道路の中心に立つ1人の黒い革の仮面を被った男の姿が浮かんだ。
アサルトライフルを構えながら向き合うハルと縁、そして自分もまたハンドガンを抜き構えている。
その時、1人の子供がハルの名前を叫ぶ。
逃げ惑う群衆の物音の中でもその声だけがハッキリと訊こえ自然と視線が集中する。
群衆の中でマツに抑えられながらこちらに向かい何かを叫んでいる子供、小学生になる前ぐらいの幼児だ。
ふとした違和感に視線を仮面の男に向けると先程まで悠然と立っていたのとは、打って代わり顔を抑えながらもう片方の手を必死に伸ばしていた。
何が起きた?暁は、その光景に一瞬戸惑ったがすぐに我に返ると素早く1発の撃った。
当たるとは、思っていない威嚇射撃だった。しかし弾は、予想を反して左肩口を撃ち抜き、仮面の男の体がよろめく。
追撃を!そう思い再度銃口を絞るが逃げ惑う群衆が暁と仮面の男の間を遮る。
その人波に紛れて仮面の男は、姿を消し、暁はリンクへ接続してその行方を探った。
微かに感じる感覚は、近くのビルの中へと入っていく。
逃げている?
それを暁が追おうとするとハルもまたそれに気づいているのかその先を走り出した。
「西端、星見、車木、苗字を呼ぶとしたどれが正解かわかりませんが、名前は誠、まだ小学低学年の子供でした」
ハルの言葉に暁の意識が記憶の世界から境界の世界へ戻された。
「西端、星見、車木って…」
そして、羅列された苗字に暁の眉に皺が寄った。
「誠の母親は、星見香樹実の妹、星見 百合、そして父親が西端、彼女が亡くなり、西端が行方不明扱いになり彼を引き取ったのが当時離婚調停中だった車木香樹実です」
「そこが繋がっていたのか…」
「だけど、星見香樹実は、妹の旦那が西端という事は、知らない。彼女は家族の反対を押し切って海外の医療団体へと加入して戦地へと来ていた、誠を出産してからも家族とのやり取りも殆どしてなかったし結婚したことも手紙で伝えていた程度でした 」
「だが、なぜお前がそれを知っている?」
「俺と星見、車木は中学の同級生です、そしてアイツの妹は、剣道部で俺の後輩でもありましたから」
「俺達が戦地へ参加した時には、まだ彼女は生きていたのか?」
「はい、ですがそれを知ったマルクトの工作により彼女は、命を落としました」
そうだ、俺達は、まだその仮面の男は、情報でしか知らず捜索しながら戦地へと赴いていた。
そして、別の突入作戦を決行中に彼女の居る避難地が襲われた。
「本当なら誠もそこで死んでいる筈でしたがあの子だけは運良く生き残り、作戦以降は親族のいる日本へ俺達と帰国しました」
そして、悲劇は、再度起こされる。
都立白秋医大火災事件だ。
帰国後、日本も世界と変わらず戦地へと変化していた。
唐突に起こったアインによる、先制攻撃に自然災害が東京を襲い、多くの人達が地方へと逃げ始めていた。
しかし、それでも取り残されたり被害に遭う人達も多く残り、そこで彼を救助、保護しながらの戦いが暁達を待っていたのだ。
可能なのか?暁は、咄嗟にそう言いかけて直ぐに口を閉じた。
真逆な存在だが、それを証明する者達がいる事に気がついたからだ。
そして、その1人であるハルをゆっくりと見つめる。
「正解だ、大浦警部補」
中性的な男は暁の視線に嬉しそうに大きな声を上げながら両手を広げる。
「俺は、何も…」
「だが、わかっているんだろ?そう未来にいかなくても過去に来たヤツらがいる、そしてその1人が」
中性的な男は、そう言いながら呆れた様な溜息を漏らして天を仰ぐハルを指差した。
「辛くもアイツを死ぬ直前まで追い詰めて、最後の最後に詰めの甘さで殺し損ねた殺し屋、その男が最後の詰めでアイツは、何を思ったか過去を振り返った、それにより根源がそれを感知して、反応し、そしてこの世界に我々はやってきた」
「だけど、過去と未来じゃ大きく違うだろ?」
「同じさ、とある科学者は、時は一方通行だといっただろう、だがそれはあくまで物理的な世界、想念の世界は、時間の概念は無い」
「それなら、過去を改変する為にここ来たんじゃないか?計画をより完璧にする為に」
「それは、見解の違いがデカイな、過去を変える世界を同一と捉えるかそれとも別と捉えるかによって大きく違う」
中性的な男の言葉が理解出来ずに暁が固まってしまうとハルが溜息をつきながら首を横に振った。
「ようは、改変された過去の世界は、よく似た違う世界で未来と干渉しない、パラレルワールドって事だろ?」
「パラレルワールド?」
「今ある世界と同じ形、同じ人物が居るけど、その中身が違えば何もかもが変わる、例えば本当なら鷲野さんは、死んでいる筈なのに、アキさんがリンクに関わった事でその世界は無くなり、アキさんも警察を辞めていない、その時点で俺が来た世界とは、大きく変わっている、つまり俺達が居た世界とは似ていて違う世界になったって言う事を言いたいんだろ」
ハルの補足に中性的な男は、満足そうに頷く。
暁も理屈は、理解出来た。
「だけど、似ているなら違っていてもこの世界でこの計画を完璧にこなそうと思っていると考えられるだろ?」
「その時に完遂できた可能性があったのにか?」
暁の返しに間髪入れずに中性的な男が応える。
暁は、そうなのかとハルに視線を送ると小さく頷いた。
「完璧とは、いかないけど、計画は遂行出来たと思う」
ハルの応えに中性的な男は、満足そうに頷きながら人差し指を立てた。
「だが、あの男はそれをしなかった、それどころか真逆の過去のパラレルワールドにやってきた、それは何故か」
中性的な男は、そう言いながらゆっくりとハルに向かい応えろっと言う様に指差したがハルは、首を横に振るだけだった。
「俺は知らん」
「そう答えるだろう。っと言うことだ、ここは君に少し力を借りたいんだ大浦警部補」
突然の指名に暁は、何をさせたいのかわからず首を横に傾けると中性的な男は、優しい笑みを浮かべた。
「君の力は、【照らす者】、空から世界を照らしそして見通す力、その力でハルを覗いてくれないか?今現在【断つ者】の力は弱っている、目覚めたばかりの君でも知る事が出来る、これは…」
「やだ」
中性的な男の言葉を遮る様に暁が拒否を表明すると中性的な男は、一瞬目を丸々として驚いたかと思うと溜息を漏らした。
「良いのか、これはこの後の事態に大きな影響を及ぼす可能性があるんだぞ?」
「かもな、だけど、直感で嫌だって思ったので、嫌だ、ってか、それよりもだ」
暁は、そう切り替えると直ぐにハルの方をみた。
「以前の蘇我さんは結局世良を止められなかったのか?」
「えぇ、ただ10年単位で遅らせる事は、出来ました」
「つまり、それが失敗すると」
「もっと早くに起きます」
だよな、暁は、そう思いながらため息をつく。そしてある日の出来事を思い出した。
「以前、お前に聞いたよな?その時と同じ状況になるのは、どれぐらいかと」
「えぇ」
「今の見立ては、どうだ?」
「変わりません、50、50です」
ハルの迷いの無い応えに恐らく本当に変わっていないのだろう、それなら。
「それは、最初から西端を犠牲にする可能性も含めていたのか?」
その問いにハルの表情が曇る。
「想定しなかったわけじゃないです、出来れば避けたかったのも事実です。だけど避けられないのもわかっていました」
ハルは、それでも淡々と言葉を続け、ゆっくりと目を閉じた。
「でも、これが最善の策だと思っています」
「マルクトが西端の体を使う事をか?」
「えぇ、マルクトにとってアイツは最も合致する器です、ですけど今のままアイツの体を手に入れても儀式までに調整する事は、かなり難しい状況です」
「それは何故?」
「本来、器の乗り換えには、相手との同調が必要です、体の支配が出来た、だから大丈夫ってわけでもないです、かつてマルクトは、西端との間に数年かけて同調をしていました。しかし体を奪ってからの調整に半年かけてます、そこから察するに今奪ったところで自身の力を劣化させるだけです」
「そして今現在で新しい要素として、未来の西端の欠片が現在の西端の中にいるってのも要因の一つになるな」
ハルの言葉に続き、中性的な男も割って入ってきた。
「未来の西端が?生きていたのか?」
「消えた、俺もそう思ってました。だけど今現在アイツの中にいる」
苦々しい表情を浮かべながらハルは、応えた。
「もし、それが本当なら事態は最悪とも言えるがな」
中性的な男は、そう言いながらゆったりと歩き出した。
「どういう事だ? 」
「考えても見ろ?もし未来の西端がマルクトに心酔してたらどうだ?奴は間違いなくその肉体を差し出すだろう、そして逆にマルクトを憎んでいたらどうだ?」
中性的な男は、そう言葉を止めてゆっくりと苦々しい表情をして黙るハルを見た。
「アイツを殺そうとするか、アイツの計画を壊す為に死ぬつもりだろうな」
ハルは、そう応えながらゆっくりとテーブルに置いてある煙草に手を伸ばした。
「恐らくアイツは、死ぬつもりだ、俺の知ってる伸ならそれを選ぶ…」
「何故、どうして彼がそれを選ぶ…」
暁がそう呟くと同時に頭の中に幾つもの閃光が走った。
深い夜の空にまばら星、そして周りには、瓦礫と墓標の様な高層ビルが並ぶ荒廃した東京の街並み。
戦闘服に身を包んだ歳をとったハルが地べたに座りながら煙草を吸っている。
自分に何かを語りかけそれに自分もまた言葉を失っている。
「マルクトは、西端の子供を殺しているのか……」
唐突に入り込んだ、情報を思わず暁が呟くとハルは、その光景に少しだけ驚いた表情を浮かべたかと思うと自嘲の笑みを浮かべた。
「はい、厳密に言えば、伸じゃなく伸の体乗っ取ったマルクトですけど」
「何でそんなことを?」
「恐らく、アイツの未練の糸を斬る為だと思います」
「未練の糸?」
「はい、2015年の中東ザルビア、アインが名乗りを上げた国です、そこで伸の体は、マルクトへ奪われた。だけど伸の魂は、消えたわけじゃなかった。アイツには、意志と未練がありましたから」
ザルビア、その国の名前を聞いた途端に暁の頭の中に見慣れない街並みと逃げ惑う人々、そして道路の中心に立つ1人の黒い革の仮面を被った男の姿が浮かんだ。
アサルトライフルを構えながら向き合うハルと縁、そして自分もまたハンドガンを抜き構えている。
その時、1人の子供がハルの名前を叫ぶ。
逃げ惑う群衆の物音の中でもその声だけがハッキリと訊こえ自然と視線が集中する。
群衆の中でマツに抑えられながらこちらに向かい何かを叫んでいる子供、小学生になる前ぐらいの幼児だ。
ふとした違和感に視線を仮面の男に向けると先程まで悠然と立っていたのとは、打って代わり顔を抑えながらもう片方の手を必死に伸ばしていた。
何が起きた?暁は、その光景に一瞬戸惑ったがすぐに我に返ると素早く1発の撃った。
当たるとは、思っていない威嚇射撃だった。しかし弾は、予想を反して左肩口を撃ち抜き、仮面の男の体がよろめく。
追撃を!そう思い再度銃口を絞るが逃げ惑う群衆が暁と仮面の男の間を遮る。
その人波に紛れて仮面の男は、姿を消し、暁はリンクへ接続してその行方を探った。
微かに感じる感覚は、近くのビルの中へと入っていく。
逃げている?
それを暁が追おうとするとハルもまたそれに気づいているのかその先を走り出した。
「西端、星見、車木、苗字を呼ぶとしたどれが正解かわかりませんが、名前は誠、まだ小学低学年の子供でした」
ハルの言葉に暁の意識が記憶の世界から境界の世界へ戻された。
「西端、星見、車木って…」
そして、羅列された苗字に暁の眉に皺が寄った。
「誠の母親は、星見香樹実の妹、星見 百合、そして父親が西端、彼女が亡くなり、西端が行方不明扱いになり彼を引き取ったのが当時離婚調停中だった車木香樹実です」
「そこが繋がっていたのか…」
「だけど、星見香樹実は、妹の旦那が西端という事は、知らない。彼女は家族の反対を押し切って海外の医療団体へと加入して戦地へと来ていた、誠を出産してからも家族とのやり取りも殆どしてなかったし結婚したことも手紙で伝えていた程度でした 」
「だが、なぜお前がそれを知っている?」
「俺と星見、車木は中学の同級生です、そしてアイツの妹は、剣道部で俺の後輩でもありましたから」
「俺達が戦地へ参加した時には、まだ彼女は生きていたのか?」
「はい、ですがそれを知ったマルクトの工作により彼女は、命を落としました」
そうだ、俺達は、まだその仮面の男は、情報でしか知らず捜索しながら戦地へと赴いていた。
そして、別の突入作戦を決行中に彼女の居る避難地が襲われた。
「本当なら誠もそこで死んでいる筈でしたがあの子だけは運良く生き残り、作戦以降は親族のいる日本へ俺達と帰国しました」
そして、悲劇は、再度起こされる。
都立白秋医大火災事件だ。
帰国後、日本も世界と変わらず戦地へと変化していた。
唐突に起こったアインによる、先制攻撃に自然災害が東京を襲い、多くの人達が地方へと逃げ始めていた。
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