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辺鄙の地イトへ
第18分隊
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『お前って本当に運ねぇな』
目的地に着いて、通信機を繋いで一発目に出る相手が悪過ぎだ。
スリングは、特大の溜息を漏らしながらそう思った。
本来ならさっさと報告を終えて切ってしまいたかったが相手がこの男なら話は別になる。
「るっせぇ、俺だってゲール大臣と戦争大好きバウルン少将が繋がってるとは、思わねぇだろ?」
同期でスリングの秘密も知ってるカナイは、ケラケラと笑いだした。
『だから運ねぇんだよ、俺達だってその情報はなかった、だけどお前の行動のお陰でゲールとバウルンの繋がりがわかったのは、間違いねぇな』
諜報部がその事実を掴んでなかったって事は、国王のシャイン様もそれは掴んでないと言う事だ。
もし、これがもっと後に分かった事だとすると恐ろしい事が起きた後だっただろうとスリングは、想像し鳥肌が立った。
『とりあえず、国境の整備と発展任務宜しく、こっちはこっちで上手くやっておく』
そう言うと通信は切られ、それと同時にスリングは盛大な溜息を漏らしながら窓から外を眺めた。
本部として借りた街中心の4階建ての宿屋から見えるその景色は、のどかな街の風景と言えば聞こえは良いだろう、視点を変えれば完全に寂れた場所とも言えた。
魔導機に寄る、電気はおろか、水道下水の設備ですら怪しい。
首都であるユーランドより、500kmも離れているとはいえ、ここまで文明が発展しないものなのかと改めて動線整備が大事なのだと認識させられる。
ドアがノックされて返事をしながら視線を向けるとそこには、軍服に身を包んだ高身長の女性が立っていた。
ミツリ・ラウル、分隊の周辺地域の情報担当の女性で現地の町との交渉役を任せている隊員だ。
「分隊長、町長の合意が取れまして、これより作戦を開始したいと思いますので、下の階で号令をひとつお願いできないでしょうか?」
高身長に体格も女性にしては、しっかりしているのに対して声は、どこか緩く柔らかく何ともアンバランスな雰囲気に慣れない感覚を覚えながらスリングは静かに頷き、ミツリの後に付いていくと13名の隊員が横一列に並んでいた。
男7名、女6名の部隊は、年齢の幅もそれぞれだった。
スリングと同年代であろうと思えるのは女性しかおらず男性は1名年上がいたがそれ以外は明らかに年下しかいなかった。
スリングは全員の顔を見ながら一息つくと口を開いた。
「第18分隊イロリの諸君、改めて今回の任務について説明したいと思う、今回我々はこの街、イトの整備、発展が主な任務になっている、まずは街内を整備、次に周辺地域の安全確保、そして最後に発展を目指していく、各自の役割を遂行する様に、以上、解散!!」
スリングのその言葉に全員が敬礼で返し各々散らばっていく中、3人の人影が残った。
給養員のダーナ・ライカとその妻ルミス・ライカ、そして副分隊長兼武器物資長のニーナ・レインの3名だった。
「分隊長、町の食料事情で少しお話があります」
そう切り出してきたのは、ダーナだった。
「何がありました?」
男性の隊員の中で唯一の年上であるダーナに敬語で訊くとルミスから咳払いが一つ漏らされた。
「いや、この場ぐらい良くない?」
スリングがそう聞くとルミスは鋭い目つきを向けてきた。
「アンタの場合、それで失敗する口でしょうが」
「それは、まぁ…気のせいでしょ」
その一言と同時にルミスはスリングの頭をひっぱたいた。
「絶対こっちの方が問題あるでしょ!!」
「やかましい、余計な言い訳するからそうなる!」
「ざまぁ~」
次にルミスの平手はニーナの頭部にヒットしていた。
「えぇ~なんでぇ~」
「えぇじゃない、どう考えても今の一言は余計だし、一応上官に対しての言葉じゃないでしょ!」
「それを言ったら姐さんの…」
そう言いかけたスリングに対してルミスは鋭い目つきを再度向けてきた。
「あの話を続けていいですか?」
ダーナが3人のやり取りを見ながら申し訳なさそうに声を掛けてきたのでスリングは手を差し出して話を先へ進める様に促した。
ダーナの報告によると去年の天候不良による不作で町に殆ど食料が残ってない事、それに伴ってか森の怪物達が里の方に下りてきているという報告を町人から聞いたとの事だった。
「武器は、どれぐらいだ?」
スリングがニーナに訊くとニーナは首を横に傾けた。
「沢山!」
「種類を言え、タコ!」
「あぁ、テメェで数えろや!」
「テメェの仕事だろうが!」
「はぁアタシがなんで!?」
「おい」
ルミスの一言にスリングとニーナは押し黙った。
「いやこれ俺悪くないよな?」
スリングの一言にルミスの鋭い目つきが向けられ不服に思いながら再び口を閉ざした。
「それで、ニーナさん、武器の数と種類は?」
今度はルミスが改めて訊くがニーナは苦笑いをしたままゆっくりと振り返ると誰かを探し始めた。
「ニーナ、さ、ん?」
今度は肩をがっしりと掴まれ、その光景にスリングは自然と手を合わせていた。
結果は火を見るより明らかでその後にニーナはルミスの拳骨を頭に落とされてから武器物資員のシエル・ティタリアに訊きに行く事になった。
赤い髪のショートカットに揃った毛先が印象的な小柄な女性だ。
その視線は鋭く口数は少ないタイプだった、しかしスリングはその視線に異様な気配を感じていた。
「シエルさん、武器の状態を教えてもらっていい?」
ニーナがにこやかに訊くとシエルからは大きな溜息が返ってきたかと思うと鼻を一つ鳴らしながら1枚の紙を差し出してきた。
ニーナはそれを受けるとそのままスリングに渡してきた。
「いや、お前が報告するところだろ!?」
「はぁ、私がなんで!?」
「責任者!」
スリングがそう言うと不満げな声を上げながら漸く説明を始めた。
「魔導銃のライフル型が14丁、拳銃型が14丁、弾丸はそれぞれ800発ずつあります、次に近接用の魔導剣が13本…何これ片刃の剣が1本?」
「それは、俺の刀だ、次に爆弾系は?」
爆弾、その一言にシエルの視線が一瞬、スリングに向くが直ぐに避けられた。
「手榴弾が12個入りケースが3箱、設置型が8個入りが2ケース」
「周辺の怪物の数は把握されてんのかな?」
スリングは次にルミスに話を向けるがルミスは不満そうに眉間に皺を寄せた。
「ウラルさんの口ぶりだと熊型が5体と竜型が1体観測されてるんだって」
「竜型!?マジで言ってんのそれ!?」
思わぬ存在にスリングは声を上げてしまったが、ルミスは対照的に冷静だった。
「翼が無い疾走型で森の奥で棲んでいるみたいよ」
疾走型の竜は、基本的に二足歩行の巨体の可能性が高い、そう考えると生身の兵士がいくらいても正直勝てる見込みはかなり低い。作戦、装備等で戦局は変化するが、武器だけの情報では正直心許ないのが本音だ。
「兵装課にも話を聞くべきか」
スリングは、盛大な溜息を漏らしながら兵装課へと足を向けた。
兵装課に居るのは2人の女性だ、1人はマミナス・シサラマ、もう1人はチール・カーペルだ。
「何か御用でしょうか、分隊長殿?」
応対したのは、マミナスで確か彼女の専門は魔導兵器の回路系の調整だと経歴書に書かれていたのを覚えていた。
「兵装のランクとどれぐらいあるか教えてほしい」
「ランクはCランクです、数は部隊員分ですね、14着です」
スリングの要望にマミナスは、淀みなく答えた。
「一応、聞いておくがその装備で竜型の怪物倒せると思うか?」
「はぁ!?竜型ですか?サイズによると思いますが、安全を取るなら魔導機が必要だと思いますが?歴戦の兵士がいるなら話は別ですけど?」
だよなぁ、スリングはマミナスの言葉に困り頭を掻いていると魔導機という言葉に反応したのは、チールだった。
「魔導機なら作れますけど?」
その言葉に一縷の望みを感じたスリングはチールに目を向けた。
「ただし素材があればですけどね」
「素材ってなんだ?」
「ミスリルと鋼の混合板と魔鉱石のランクDが必要です、それに1ヶ月の時間です」
ミスリルと鋼の混合板は、魔導剣でどうにかなるが魔鉱石はさすがに準備できない、兵装に使われているのも魔鉱石は、Fランクだ。鉱脈があるなら話は別だがそれでも1ヶ月間に竜型が街を襲撃しないとは限らないしその間に近接武器が無くなるのも賭けの分が悪すぎる、それならまだ防壁を作らせて籠城をする方がまだ現実的な判断と言えた。
「とりあえず、話は分かった。大隊に連絡を入れて、魔導機が発注できるか相談してみる」
スリングは、そういうと通信拠点である自室へと向かった。
一応大隊にも魔導機の要請をしたが反応は芳しくない感じだった。この世界の上の連中というのは現場を知らないのだと思わず大きな溜息が漏れた。
頼れないなら自分でどうにかするしかないスリングは、ミツリが用意した周辺の地図を広げた。
南は沿岸部が広がり、北側は山間と森が広がっている、もし竜型の怪物が居るとすればどこだろうか?
高低差も記されたその地図で竜型の特性を考えながら居そうな場所にマークしていく、当面の食料は、熊型の怪物を仕留めるとして、できれば竜型との接触は避けたい。
ならば出来るだけ竜型との接触を回避しながら獲物を確保する方向性で作戦を考え、その日の夕方の食事と合わせた会議でマップと竜型との接触を避ける様に伝えた筈だった。
次の日の夕方前に、その報告にスリングは耳を疑った。
「どういう事?」
報告をして来たのは歩兵のチダル・ゴワンヤとフルーテル・タイミスだ。
2人共、スリングの言葉に苦笑いを浮かべながら首を傾げていた。
「いやぁ~たまたまっと言いますか…」
その表情にスリングは、2人の嘘に直ぐに気づいた。
「好奇心で見に行ったな、お前ら」
少し声のトーンを抑えながら訊くと2人は肩をビクつかせた。
半分ハッタリのつもりだったが的を射ていたのか2人の表情も曇っていた。
「それで今の状況は?」
「へっ?」
「竜型の現在位置とどんな状態かと聞いている!」
語気を強めたスリングの言葉に2人は背筋を伸ばした。
「現在、竜型は町の北東部でこちらを見ながら停滞している模様です」
「距離は」
「街まで約4kmの地点です」
北東に4km地点で停滞、この2人を獲物と想定した場合、もし見失ったとしてその場に居るのか?
竜型の特徴はその高い知能だ。
時と場合によっては、獲物は直ぐに狩らずにじっくり待ち伏せをすることもある。的確に効率よく動く、それが竜型だ。
つまり、4km地点で停滞してるのは、こちらが隙を見せるのを待っているんだ。
スリングはそこまで思考を進めると立ち上がり、全員を招集した。
調査探索をさせていた兵士達は、チダルとフルーテルのやらかしを知っていたが、他の6人はその場で知り、呆れた声と微かに流れているのは怒りの空気だった。
「それで分隊長的にはどうするつもり?」
ニーナが上司に対してとは思えない口調で言ってくるが、今はそれどころではないのでつっこむのは控えた。
「籠城戦しかねぇだろうなぁとは思ってる」
「それで諦める?」
「正直、無いな、あとは大隊から魔導機が来ると信じて待つのみ」
「どれぐらいもつのよ、それ?」
次にルミスが聞いてきたが、スリングはその言葉に色良い返事はできなかった。
「もって1ヶ月」
「魔導機が来るとして、この街に到着しそうなのは?」
「早くて1ヶ月」
嘘のない答えに全員から暗い空気が流れた。
そんな時に手を挙げる者が1人、シエルだ。
「このやらかした2人を生贄に捧げたら、どれぐらい持ちます?」
サクッと出た怖い提案にチダルとフルーテルの顔が青ざめる。
「竜型にもよる、誰か竜型の種類がわかるものいるか?」
スリングの問いに手を挙げたのは、2人と同じく調査探索員の歩兵をしているムステル・ウィンダムだった。
「種類は、地走竜で主に大地をかける疾走タイプです、もし2人を生贄に捧げた場合、満腹度にもよりますが、恐らくもっても数週間だと思われます」
「なら、その間に、魔導機が到着する可能性も増えるわけだ」
そう明るく言うのは、マミナスでやらかした2人の視線が刺す様に向いたがシエルが机を一撃叩くと直ぐにその視線は外された。
「誰の責任だ?」
シエルのその一言に、やらかした2人は、より一層小さくなる。
「あの…」
その空気を変える様に調査探索の歩兵、ハセル・マジルが手を挙げた。
「なんだ?」
「2人を生贄って、本気ですか?」
「無論、冗談だ」
スリングがキッパリと答えるとハセルは、少しだけ安堵の表情を見せた。
「それならどうするおつもりですか?」
なおも続ける、ハセルにスリングは、鼻をひとつ鳴らして天井を見上げた。
「籠城が今打てる、安全策では、あるが…現実的では、ないのは確かだな」
「なら、討伐するのは、どうでしょうか?」
ハセルの一言にスリングは、耳を疑った。
「正気か?竜型だぞ?」
「でも、殴れば死ぬので、いけますよ」
それは暴論では?
スリングは、そう言いたくなったが何かあるかもしれないと思い、あえて口にしなかった。
「何か作戦でもあるのか?」
「一応、前の部隊でアイツと戦った事があるんですが兵装を防御特化より速度特化に改造して貰えたらやれると思います」
ハセルの言葉にスリングの視線は、マミナスへ向いた。
「魔導回路を弄るとして、それは出来るか?」
スリングの言葉にマミナスは、顔を真っ赤にして立ち上がった。
「正気ですか!?」
「一応、聞いてるだけだ。可能性があるなら、やってみる価値はあるだろ。それで出来るのか?」
「一応、出来ますけど…」
「時間はどれぐらい掛かる?」
「半日もあれば、ただ一人でやるのでかなり前後すると思います」
半日か…出来ればもう少し早めに仕上げられると助かるのが正直な答えだった。
これも無理か、そう考え却下と言おうとした時にまた1人の手が上がった。
調査探索の歩兵、クロバル・ミクテリアだ。
「自分も回路事態なら弄れます、手伝えば多少は、時間を短縮出来るかもです」
つまりやってやれない事は、ない。
だが、勝算はあるのか?
「マジル、一つ訊くが速度特化にして、どうするつもりだ?」
「えっと、まず奴を誘き寄せて街から離します、それで出来れば爆弾か何かを用意して頂けてると助かります」
「爆弾、どこを攻撃するつもりだ?」
「足です、アイツは基本的に二足歩行でその速さが一番の凶器と言えます、だからその機動力を断ちたいんです」
機動力を断つか。
「ウィンダム、この話に勝算は見込めそうか?」
「悪くないと…でもなんで自分にそんな事を?」
「お前も地走竜を知ってるからだよ」
スリングのその言葉にムステルは少しだけ黙ると手を挙げた。
「それなら、一つだけ懸念が、アイツは凡そ時速60kmで走ります、その場合、かなり危険かと思われます」
「だそうだが、どうだ、マジル」
「それなら、大丈夫です、アイツが時速60kmを出せるのは、あくまでも障害物がないところ、あの森の中は障害物だらけなのでマトモなスピードは出せません、それに速度特化にしてもらえればその程度なら振りほどく自信もあります」
「それと、場合によっては、火球を吐き出す可能性もあります」
「あっ確かに、獲物が多すぎると火球を吐いてた」
ムステルの進言にハセルは、思い出した様に言うとマミナスが呆れた溜息を漏らしながら手を挙げた。
「それなら、火耐性の兵装に仕上げておきます、ただしこれはあくまで耐性なので完全に防げるわけではないです、多少火傷を抑えられる程度ですのでそこら辺はご了承ください」
マミナスの言葉にハセルは、何度も頷いていた。
「それじゃあ、地走竜を討伐する方向で問題はないな」
スリングのまとめに2人を除いた全員が頷いた。
「なら、これより作戦行動を開始する、地走竜討伐部隊は、マジルを中心に陽動と地走竜に対しての攻撃の打ち合わせ、それにあわせてシサラマ中心にミクテリア、カーペルは、兵装の準備、ウラルは町の住人達と非常時の打ち合わせと町人達の安全を確保、あとダーナ、ルミス、ニーナは、俺の部屋に来てくれ、作戦内容、開始時間が決まれば再集合をかけるのでそれまでに各々の任務に着いてくれ、以上解散!」
スリングのその言葉で全員がグループになりながら退席していき、スリングもまたすぐに自室へと向かった。
部屋に戻ると窓を開け、煙草に火を点す。
少し煙草を燻らせているとダーナ、ルミス、ニーナの3人が入ってきた。
ダーナは、いつも通りの穏やかな笑顔を浮かべているがルミスとニーナは、明らかに不服そうな表情を浮かべていた。
「アンタ本気?」
「本気もクソも、もう命令だしました」
ルミスの言葉に悪びれる様子もなく返すと盛大な溜息が返ってきた。
「私は、反対、部隊員を無駄死にさせる事になる!」
ニーナがいつものふざけた雰囲気はなく、整然とした言葉を放った。
「それは、無論させない、もしもの時は奥の手を使う」
スリングは、そう応えながら自身の左目を叩いた。
「アンタ、それこそぶっ倒れる案件じゃない!」
ルミスの呆れた声が響き、スリングは飄々とした雰囲気で肩を竦めた。
「それなら、どの道でしょ、もしアイツらがあの作戦を言わなければ、籠城しながら俺達が片付けるハメになったんだから」
「そうで、あってもよ、それに厄介なのは地走竜だけじゃないでしょ?」
「わかってるよ、だから2人にもそれ相応の準備をしておいて欲しいのさ」
スリングのその言葉にルミスもニーナも押し黙った。
「今回は、予想外の展開になってるけど、どの道、アイツらの能力を知って、尚且つ向上させないといけない、今回のこれはそれを知る良いチャンスだと俺は思ってる」
スリングの言い切りにルミスは、諦めたのか「あぁ」っと呆れた声を上げながら天を仰いだ。
「ダメだ、ニーナさん、この人頑固モードに入ってる、こうなったらテコでも動かない」
ルミスのその言葉にニーナは、眉間に皺を寄せながら首を横に振った。
それなりの修羅場を共に潜り抜けてきた2人だから理解してもらえると踏んでいたスリングが笑うとニーナからコップが飛んできて慌てて避けた。
「いい、犠牲は出さない!これ絶対条件ね!」
そう言いきって部屋を後にした。
こりゃ…
「ヤバいね、あれはガチキレの時よ」
ルミスの一言にスリングの笑顔に苦味が混ざる。
「アンタが決めた事、シャンとして、気張りなさい」
ルミスは、そう言うと共にスリングの背中を叩いた。
目的地に着いて、通信機を繋いで一発目に出る相手が悪過ぎだ。
スリングは、特大の溜息を漏らしながらそう思った。
本来ならさっさと報告を終えて切ってしまいたかったが相手がこの男なら話は別になる。
「るっせぇ、俺だってゲール大臣と戦争大好きバウルン少将が繋がってるとは、思わねぇだろ?」
同期でスリングの秘密も知ってるカナイは、ケラケラと笑いだした。
『だから運ねぇんだよ、俺達だってその情報はなかった、だけどお前の行動のお陰でゲールとバウルンの繋がりがわかったのは、間違いねぇな』
諜報部がその事実を掴んでなかったって事は、国王のシャイン様もそれは掴んでないと言う事だ。
もし、これがもっと後に分かった事だとすると恐ろしい事が起きた後だっただろうとスリングは、想像し鳥肌が立った。
『とりあえず、国境の整備と発展任務宜しく、こっちはこっちで上手くやっておく』
そう言うと通信は切られ、それと同時にスリングは盛大な溜息を漏らしながら窓から外を眺めた。
本部として借りた街中心の4階建ての宿屋から見えるその景色は、のどかな街の風景と言えば聞こえは良いだろう、視点を変えれば完全に寂れた場所とも言えた。
魔導機に寄る、電気はおろか、水道下水の設備ですら怪しい。
首都であるユーランドより、500kmも離れているとはいえ、ここまで文明が発展しないものなのかと改めて動線整備が大事なのだと認識させられる。
ドアがノックされて返事をしながら視線を向けるとそこには、軍服に身を包んだ高身長の女性が立っていた。
ミツリ・ラウル、分隊の周辺地域の情報担当の女性で現地の町との交渉役を任せている隊員だ。
「分隊長、町長の合意が取れまして、これより作戦を開始したいと思いますので、下の階で号令をひとつお願いできないでしょうか?」
高身長に体格も女性にしては、しっかりしているのに対して声は、どこか緩く柔らかく何ともアンバランスな雰囲気に慣れない感覚を覚えながらスリングは静かに頷き、ミツリの後に付いていくと13名の隊員が横一列に並んでいた。
男7名、女6名の部隊は、年齢の幅もそれぞれだった。
スリングと同年代であろうと思えるのは女性しかおらず男性は1名年上がいたがそれ以外は明らかに年下しかいなかった。
スリングは全員の顔を見ながら一息つくと口を開いた。
「第18分隊イロリの諸君、改めて今回の任務について説明したいと思う、今回我々はこの街、イトの整備、発展が主な任務になっている、まずは街内を整備、次に周辺地域の安全確保、そして最後に発展を目指していく、各自の役割を遂行する様に、以上、解散!!」
スリングのその言葉に全員が敬礼で返し各々散らばっていく中、3人の人影が残った。
給養員のダーナ・ライカとその妻ルミス・ライカ、そして副分隊長兼武器物資長のニーナ・レインの3名だった。
「分隊長、町の食料事情で少しお話があります」
そう切り出してきたのは、ダーナだった。
「何がありました?」
男性の隊員の中で唯一の年上であるダーナに敬語で訊くとルミスから咳払いが一つ漏らされた。
「いや、この場ぐらい良くない?」
スリングがそう聞くとルミスは鋭い目つきを向けてきた。
「アンタの場合、それで失敗する口でしょうが」
「それは、まぁ…気のせいでしょ」
その一言と同時にルミスはスリングの頭をひっぱたいた。
「絶対こっちの方が問題あるでしょ!!」
「やかましい、余計な言い訳するからそうなる!」
「ざまぁ~」
次にルミスの平手はニーナの頭部にヒットしていた。
「えぇ~なんでぇ~」
「えぇじゃない、どう考えても今の一言は余計だし、一応上官に対しての言葉じゃないでしょ!」
「それを言ったら姐さんの…」
そう言いかけたスリングに対してルミスは鋭い目つきを再度向けてきた。
「あの話を続けていいですか?」
ダーナが3人のやり取りを見ながら申し訳なさそうに声を掛けてきたのでスリングは手を差し出して話を先へ進める様に促した。
ダーナの報告によると去年の天候不良による不作で町に殆ど食料が残ってない事、それに伴ってか森の怪物達が里の方に下りてきているという報告を町人から聞いたとの事だった。
「武器は、どれぐらいだ?」
スリングがニーナに訊くとニーナは首を横に傾けた。
「沢山!」
「種類を言え、タコ!」
「あぁ、テメェで数えろや!」
「テメェの仕事だろうが!」
「はぁアタシがなんで!?」
「おい」
ルミスの一言にスリングとニーナは押し黙った。
「いやこれ俺悪くないよな?」
スリングの一言にルミスの鋭い目つきが向けられ不服に思いながら再び口を閉ざした。
「それで、ニーナさん、武器の数と種類は?」
今度はルミスが改めて訊くがニーナは苦笑いをしたままゆっくりと振り返ると誰かを探し始めた。
「ニーナ、さ、ん?」
今度は肩をがっしりと掴まれ、その光景にスリングは自然と手を合わせていた。
結果は火を見るより明らかでその後にニーナはルミスの拳骨を頭に落とされてから武器物資員のシエル・ティタリアに訊きに行く事になった。
赤い髪のショートカットに揃った毛先が印象的な小柄な女性だ。
その視線は鋭く口数は少ないタイプだった、しかしスリングはその視線に異様な気配を感じていた。
「シエルさん、武器の状態を教えてもらっていい?」
ニーナがにこやかに訊くとシエルからは大きな溜息が返ってきたかと思うと鼻を一つ鳴らしながら1枚の紙を差し出してきた。
ニーナはそれを受けるとそのままスリングに渡してきた。
「いや、お前が報告するところだろ!?」
「はぁ、私がなんで!?」
「責任者!」
スリングがそう言うと不満げな声を上げながら漸く説明を始めた。
「魔導銃のライフル型が14丁、拳銃型が14丁、弾丸はそれぞれ800発ずつあります、次に近接用の魔導剣が13本…何これ片刃の剣が1本?」
「それは、俺の刀だ、次に爆弾系は?」
爆弾、その一言にシエルの視線が一瞬、スリングに向くが直ぐに避けられた。
「手榴弾が12個入りケースが3箱、設置型が8個入りが2ケース」
「周辺の怪物の数は把握されてんのかな?」
スリングは次にルミスに話を向けるがルミスは不満そうに眉間に皺を寄せた。
「ウラルさんの口ぶりだと熊型が5体と竜型が1体観測されてるんだって」
「竜型!?マジで言ってんのそれ!?」
思わぬ存在にスリングは声を上げてしまったが、ルミスは対照的に冷静だった。
「翼が無い疾走型で森の奥で棲んでいるみたいよ」
疾走型の竜は、基本的に二足歩行の巨体の可能性が高い、そう考えると生身の兵士がいくらいても正直勝てる見込みはかなり低い。作戦、装備等で戦局は変化するが、武器だけの情報では正直心許ないのが本音だ。
「兵装課にも話を聞くべきか」
スリングは、盛大な溜息を漏らしながら兵装課へと足を向けた。
兵装課に居るのは2人の女性だ、1人はマミナス・シサラマ、もう1人はチール・カーペルだ。
「何か御用でしょうか、分隊長殿?」
応対したのは、マミナスで確か彼女の専門は魔導兵器の回路系の調整だと経歴書に書かれていたのを覚えていた。
「兵装のランクとどれぐらいあるか教えてほしい」
「ランクはCランクです、数は部隊員分ですね、14着です」
スリングの要望にマミナスは、淀みなく答えた。
「一応、聞いておくがその装備で竜型の怪物倒せると思うか?」
「はぁ!?竜型ですか?サイズによると思いますが、安全を取るなら魔導機が必要だと思いますが?歴戦の兵士がいるなら話は別ですけど?」
だよなぁ、スリングはマミナスの言葉に困り頭を掻いていると魔導機という言葉に反応したのは、チールだった。
「魔導機なら作れますけど?」
その言葉に一縷の望みを感じたスリングはチールに目を向けた。
「ただし素材があればですけどね」
「素材ってなんだ?」
「ミスリルと鋼の混合板と魔鉱石のランクDが必要です、それに1ヶ月の時間です」
ミスリルと鋼の混合板は、魔導剣でどうにかなるが魔鉱石はさすがに準備できない、兵装に使われているのも魔鉱石は、Fランクだ。鉱脈があるなら話は別だがそれでも1ヶ月間に竜型が街を襲撃しないとは限らないしその間に近接武器が無くなるのも賭けの分が悪すぎる、それならまだ防壁を作らせて籠城をする方がまだ現実的な判断と言えた。
「とりあえず、話は分かった。大隊に連絡を入れて、魔導機が発注できるか相談してみる」
スリングは、そういうと通信拠点である自室へと向かった。
一応大隊にも魔導機の要請をしたが反応は芳しくない感じだった。この世界の上の連中というのは現場を知らないのだと思わず大きな溜息が漏れた。
頼れないなら自分でどうにかするしかないスリングは、ミツリが用意した周辺の地図を広げた。
南は沿岸部が広がり、北側は山間と森が広がっている、もし竜型の怪物が居るとすればどこだろうか?
高低差も記されたその地図で竜型の特性を考えながら居そうな場所にマークしていく、当面の食料は、熊型の怪物を仕留めるとして、できれば竜型との接触は避けたい。
ならば出来るだけ竜型との接触を回避しながら獲物を確保する方向性で作戦を考え、その日の夕方の食事と合わせた会議でマップと竜型との接触を避ける様に伝えた筈だった。
次の日の夕方前に、その報告にスリングは耳を疑った。
「どういう事?」
報告をして来たのは歩兵のチダル・ゴワンヤとフルーテル・タイミスだ。
2人共、スリングの言葉に苦笑いを浮かべながら首を傾げていた。
「いやぁ~たまたまっと言いますか…」
その表情にスリングは、2人の嘘に直ぐに気づいた。
「好奇心で見に行ったな、お前ら」
少し声のトーンを抑えながら訊くと2人は肩をビクつかせた。
半分ハッタリのつもりだったが的を射ていたのか2人の表情も曇っていた。
「それで今の状況は?」
「へっ?」
「竜型の現在位置とどんな状態かと聞いている!」
語気を強めたスリングの言葉に2人は背筋を伸ばした。
「現在、竜型は町の北東部でこちらを見ながら停滞している模様です」
「距離は」
「街まで約4kmの地点です」
北東に4km地点で停滞、この2人を獲物と想定した場合、もし見失ったとしてその場に居るのか?
竜型の特徴はその高い知能だ。
時と場合によっては、獲物は直ぐに狩らずにじっくり待ち伏せをすることもある。的確に効率よく動く、それが竜型だ。
つまり、4km地点で停滞してるのは、こちらが隙を見せるのを待っているんだ。
スリングはそこまで思考を進めると立ち上がり、全員を招集した。
調査探索をさせていた兵士達は、チダルとフルーテルのやらかしを知っていたが、他の6人はその場で知り、呆れた声と微かに流れているのは怒りの空気だった。
「それで分隊長的にはどうするつもり?」
ニーナが上司に対してとは思えない口調で言ってくるが、今はそれどころではないのでつっこむのは控えた。
「籠城戦しかねぇだろうなぁとは思ってる」
「それで諦める?」
「正直、無いな、あとは大隊から魔導機が来ると信じて待つのみ」
「どれぐらいもつのよ、それ?」
次にルミスが聞いてきたが、スリングはその言葉に色良い返事はできなかった。
「もって1ヶ月」
「魔導機が来るとして、この街に到着しそうなのは?」
「早くて1ヶ月」
嘘のない答えに全員から暗い空気が流れた。
そんな時に手を挙げる者が1人、シエルだ。
「このやらかした2人を生贄に捧げたら、どれぐらい持ちます?」
サクッと出た怖い提案にチダルとフルーテルの顔が青ざめる。
「竜型にもよる、誰か竜型の種類がわかるものいるか?」
スリングの問いに手を挙げたのは、2人と同じく調査探索員の歩兵をしているムステル・ウィンダムだった。
「種類は、地走竜で主に大地をかける疾走タイプです、もし2人を生贄に捧げた場合、満腹度にもよりますが、恐らくもっても数週間だと思われます」
「なら、その間に、魔導機が到着する可能性も増えるわけだ」
そう明るく言うのは、マミナスでやらかした2人の視線が刺す様に向いたがシエルが机を一撃叩くと直ぐにその視線は外された。
「誰の責任だ?」
シエルのその一言に、やらかした2人は、より一層小さくなる。
「あの…」
その空気を変える様に調査探索の歩兵、ハセル・マジルが手を挙げた。
「なんだ?」
「2人を生贄って、本気ですか?」
「無論、冗談だ」
スリングがキッパリと答えるとハセルは、少しだけ安堵の表情を見せた。
「それならどうするおつもりですか?」
なおも続ける、ハセルにスリングは、鼻をひとつ鳴らして天井を見上げた。
「籠城が今打てる、安全策では、あるが…現実的では、ないのは確かだな」
「なら、討伐するのは、どうでしょうか?」
ハセルの一言にスリングは、耳を疑った。
「正気か?竜型だぞ?」
「でも、殴れば死ぬので、いけますよ」
それは暴論では?
スリングは、そう言いたくなったが何かあるかもしれないと思い、あえて口にしなかった。
「何か作戦でもあるのか?」
「一応、前の部隊でアイツと戦った事があるんですが兵装を防御特化より速度特化に改造して貰えたらやれると思います」
ハセルの言葉にスリングの視線は、マミナスへ向いた。
「魔導回路を弄るとして、それは出来るか?」
スリングの言葉にマミナスは、顔を真っ赤にして立ち上がった。
「正気ですか!?」
「一応、聞いてるだけだ。可能性があるなら、やってみる価値はあるだろ。それで出来るのか?」
「一応、出来ますけど…」
「時間はどれぐらい掛かる?」
「半日もあれば、ただ一人でやるのでかなり前後すると思います」
半日か…出来ればもう少し早めに仕上げられると助かるのが正直な答えだった。
これも無理か、そう考え却下と言おうとした時にまた1人の手が上がった。
調査探索の歩兵、クロバル・ミクテリアだ。
「自分も回路事態なら弄れます、手伝えば多少は、時間を短縮出来るかもです」
つまりやってやれない事は、ない。
だが、勝算はあるのか?
「マジル、一つ訊くが速度特化にして、どうするつもりだ?」
「えっと、まず奴を誘き寄せて街から離します、それで出来れば爆弾か何かを用意して頂けてると助かります」
「爆弾、どこを攻撃するつもりだ?」
「足です、アイツは基本的に二足歩行でその速さが一番の凶器と言えます、だからその機動力を断ちたいんです」
機動力を断つか。
「ウィンダム、この話に勝算は見込めそうか?」
「悪くないと…でもなんで自分にそんな事を?」
「お前も地走竜を知ってるからだよ」
スリングのその言葉にムステルは少しだけ黙ると手を挙げた。
「それなら、一つだけ懸念が、アイツは凡そ時速60kmで走ります、その場合、かなり危険かと思われます」
「だそうだが、どうだ、マジル」
「それなら、大丈夫です、アイツが時速60kmを出せるのは、あくまでも障害物がないところ、あの森の中は障害物だらけなのでマトモなスピードは出せません、それに速度特化にしてもらえればその程度なら振りほどく自信もあります」
「それと、場合によっては、火球を吐き出す可能性もあります」
「あっ確かに、獲物が多すぎると火球を吐いてた」
ムステルの進言にハセルは、思い出した様に言うとマミナスが呆れた溜息を漏らしながら手を挙げた。
「それなら、火耐性の兵装に仕上げておきます、ただしこれはあくまで耐性なので完全に防げるわけではないです、多少火傷を抑えられる程度ですのでそこら辺はご了承ください」
マミナスの言葉にハセルは、何度も頷いていた。
「それじゃあ、地走竜を討伐する方向で問題はないな」
スリングのまとめに2人を除いた全員が頷いた。
「なら、これより作戦行動を開始する、地走竜討伐部隊は、マジルを中心に陽動と地走竜に対しての攻撃の打ち合わせ、それにあわせてシサラマ中心にミクテリア、カーペルは、兵装の準備、ウラルは町の住人達と非常時の打ち合わせと町人達の安全を確保、あとダーナ、ルミス、ニーナは、俺の部屋に来てくれ、作戦内容、開始時間が決まれば再集合をかけるのでそれまでに各々の任務に着いてくれ、以上解散!」
スリングのその言葉で全員がグループになりながら退席していき、スリングもまたすぐに自室へと向かった。
部屋に戻ると窓を開け、煙草に火を点す。
少し煙草を燻らせているとダーナ、ルミス、ニーナの3人が入ってきた。
ダーナは、いつも通りの穏やかな笑顔を浮かべているがルミスとニーナは、明らかに不服そうな表情を浮かべていた。
「アンタ本気?」
「本気もクソも、もう命令だしました」
ルミスの言葉に悪びれる様子もなく返すと盛大な溜息が返ってきた。
「私は、反対、部隊員を無駄死にさせる事になる!」
ニーナがいつものふざけた雰囲気はなく、整然とした言葉を放った。
「それは、無論させない、もしもの時は奥の手を使う」
スリングは、そう応えながら自身の左目を叩いた。
「アンタ、それこそぶっ倒れる案件じゃない!」
ルミスの呆れた声が響き、スリングは飄々とした雰囲気で肩を竦めた。
「それなら、どの道でしょ、もしアイツらがあの作戦を言わなければ、籠城しながら俺達が片付けるハメになったんだから」
「そうで、あってもよ、それに厄介なのは地走竜だけじゃないでしょ?」
「わかってるよ、だから2人にもそれ相応の準備をしておいて欲しいのさ」
スリングのその言葉にルミスもニーナも押し黙った。
「今回は、予想外の展開になってるけど、どの道、アイツらの能力を知って、尚且つ向上させないといけない、今回のこれはそれを知る良いチャンスだと俺は思ってる」
スリングの言い切りにルミスは、諦めたのか「あぁ」っと呆れた声を上げながら天を仰いだ。
「ダメだ、ニーナさん、この人頑固モードに入ってる、こうなったらテコでも動かない」
ルミスのその言葉にニーナは、眉間に皺を寄せながら首を横に振った。
それなりの修羅場を共に潜り抜けてきた2人だから理解してもらえると踏んでいたスリングが笑うとニーナからコップが飛んできて慌てて避けた。
「いい、犠牲は出さない!これ絶対条件ね!」
そう言いきって部屋を後にした。
こりゃ…
「ヤバいね、あれはガチキレの時よ」
ルミスの一言にスリングの笑顔に苦味が混ざる。
「アンタが決めた事、シャンとして、気張りなさい」
ルミスは、そう言うと共にスリングの背中を叩いた。
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