第18分隊イロリ《ワケあり分隊長と個性だらけの部隊員達》

山月 春舞《やまづき はるま》

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鉱洞整備

鉱洞拠点の整備

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 トラックは、山道を車体を大きく揺らしながら進んでいく。
 鬱蒼とした森の中を駆け抜ける車内には、スリングを含めた隊員が7名が乗っている。運転席には、フルーテル、助手席にはタイロンが、後部座席にはスリングとシエル、ミツリ、チール、そしてニーナが乗っていた。
 どうしてこんな大所帯になったのか、本来なら3名程で事足りるはずだったのだが、この警護任務の話をすると真っ先に手を上げたのは歩兵ではなく、兵装班のチールだった。
 鉱洞内の設備が気になっておりその仕組みを研究したいと進言をしてきたのだった。
 この進言にスリングは、無視できず、次に行くと進言してきたのは昼間にも言っていたミツリでどちらもが非戦闘員である事からスリングは、仕方なくそれなりのチームを組むことにしたのだ。
 兵装課が向かうならとの事で武器課のシエルが進言してきたので戦闘力としてニーナにも出る様にスリングが命令するとニーナは、ぶつくさと文句を言い始めたがそれをシエルの一撃で一蹴されていた。
 その際にルミスが満足そうに頷いているのが見えたがそれはあえて見なかった事にした。
 しかし、本人の能力がどうであれシエルも非戦闘員である、ニーナは、副分隊長である以上、戦闘員として頭数を入れるとして残り2人となるがそこは、スリングの独断でタイロンとフルーテルを選んだ。
 当初は、この6名で向かわせ様と考えたのだが指揮権を誰に任せるかと考えると自然とニーナになる。
 これが普段通りの任務なら別段の不安は無いが研究を絡めた今回の任務となると話は別になる。
 動くのは、面倒がる癖に研究材料が目の前に来ればその探求心が燻り、結果負けて任務そっちのけで研究に入るのが目に見えているからだ。
 つまり、ここに傷病人であるスリングが引率するのは、自然の流れだった。
 これに関しては、ルミスもしょうがないよねっという雰囲気だけで何も言う事無く静かに頷いているだけだった。こうして鉱洞に向かうメンツが決まった。
 結果、こちらのメンツの多さが仇となり、1台で済む筈だったトラックが2台になり、後方をデンシア達、炭鉱夫を乗せたトラックが後ろを付いて走る事になった。

「まもなくで、目的地に着きまーす」

 フルーテルの報告と共にトラックは、大口を開ける鉱洞の前に到着した。
 2週間ぶりにこの場所に来ると嫌でもあの日のルミスの形相を思い出し、スリングは人知れず遠い目をした。

「よし、じゃあ、各々準備に取り掛かろうか」

 デンシアが炭鉱夫達に指示し始めると同時にスリングもまた隊員達に指示を出した。
 タイロン、フルーテルは、周辺警戒と炭鉱夫達の警護、ニーナは、シエル、チールと共にまずは、ミツリとの通信機器の設置、設置後、通信機器の動作確認してそれを持って鉱洞内の調査、ミツリは、この場での通信機器使用管理と指示をするとトラックの助手席に腰を下ろした。

「何してんだよ?」

 助手席でタバコを咥えるとニーナがドアを開ける。

「俺は、怪我人であくまで引率」

「だとしても、指示したらすぐサボるは、違うだろ?」

「なら、俺に何をしろと?」

 そう訊くとニーナは、周辺に視線を向けて口を噤んだ。

「草むし…」

「くたばれ」

「はっ?お前がくたばれ」

 もはや、反射の域で返してくる事に呆れた溜息が漏れる。
 ニーナの行動が何を示しているか長い付き合いだからわかるがたまにはストレートに来てほしいとも思ってしまう。

「んで、結果お前は何が訊きたいんだよ?」

 スリングが呆れながらそう尋ねるとニーナは、顔を近づけてきた。

「チールは、いいの?探索に一緒に向かわせて?」

「何か問題でも?」

「中の施設の状態によっては、研究室に報告しかねないじゃないの?」

「それなら先週に言ってある」

「それは、姐さんから聞いたけどそれで納得しそうなの?」

「チールは、大丈夫だろうな。気にしてないし、どちらかと言えばマミナスの方がこっちを怪しんでるかな」

「今回は、どうしてそのマミナスさんは、来なかったのかな?」

「コンロの設置と試験テストの為に来れなかった、もしかしたら後で合流するかもな」

 呑気に応えるスリングにニーナは、呆れる様に背を向けてトラックにもたれ掛かった。

「正直この環境が好きだからこの分隊が解体されるのは、非常に困るんだけどね~」

「だけど、軍部の女性隊員は、そう思ってないかもだぞ?」

 スリングの言葉にニーナが怪訝な表情でこちらを見た。

「服毒事件、お前何を飲ませた?」

 そう訊くとニーナは、嫌らしく笑う。

「あれは、臭気剤だね」

 名前を訊くだけで悍ましい単語にスリングは、苦笑いを零してしまった。

「お前も相変わらずだね、姑息と言うかなんというか」

「計算高いと言ってほしいね、相手に悟られず嗅覚と共に判断力を失わせる技なんて私しか出来ないよ」

 お前しかやらないだろ、そう言いかけた時にニーナをシエルの声が響き、ニーナは返事をしながらそっちに向かって行ってしまった。
 スリングは、その背中を見送ってからゆっくりと周囲を見渡した。
 感覚的に脅威を感じる事は無いが何か気になる事があった。
 それは、森の奥、近くは無いが、そこまで遠くもない、ここまで気配がハッキリしないのはスリングの感知範囲である500m先の離れた個所に居るからだろう。
 近づけばわかる事だが、この状態では、藪蛇になる可能性がある、それなら近づかない方が賢明だと言えた。
 通信機器の接続と通信テストを終えて、ニーナ達は、鉱洞へと入ってきデンシア達は、拠点設置を開始した。タイロンとフルーテルは、森の中に入り周辺警戒に入るが流石のタイロン、抜かりなく周囲に罠設置も同時進行で開始していた。
 フルーテルが居るからそこまで堂々っと行っていないが今そのタイロンの行動は、最優先にしてほしいと思ったスリングは通信機のミツリの方へ向かった。

「これ、タイロン達にも繋がってるんだっけ?」

 スリングがそう訊くとミツリは簡潔に頷いた。

「こちら、本部、タイロン取れるか?」

『こちら、タイロンです』

「みなまで言わん、しっかりとやってくれ」

 スリングがそう言うと了解っと返ってきたタイロンの口調は、どこか笑ってる様にも聞こえた。

「今の通信は、なんでしょうか?」

「作戦コードを告げただけさ」

 スリングは、そう言いながら炭鉱夫達に視線を向けると拠点の整備にどうやら簡易的な鍛冶場も設けようとしているのだろうか何かの打ち合わせをしているのだがデンシアの様子がどうも変に感じた。時折視線を森に向けている。
 それは、先程スリングが離れているから大丈夫だと考えた位置と一致する。
 今は、その間にタイロンが罠を設置している。その気配を感じているのかっと思ったがその表情は、どうもそれとは違う様に感じた。
 デンシアに尋ねようかと考えたが任務と関係ないっと切り捨てたがそれ以降もどうしてもその様子が気になり視線を向けていた。

「分隊長、タイロンさんから通信です」

 ミツリにそう言われスリングは、通信機を取った。

「スリング、どうした?」

『タイロン、西方向、森の中に魔導機を乗った一団の姿を発見しました、数は魔導機2台に人数は8名の全員男です』

 その報告にスリングは、再びデンシアの方に視線を向けた。

「他にわかる事は、あるか?」

『魔導機は、旧型の可能性あり、それに恐らくですが軍隊っと言うよりも盗賊一団の可能性が高いです』

 盗賊の一団、こんな山奥に?
 傾向からすれば、街から街の途中の人気のない道途中に現れるのだ。その理由も明確だ奴等の殆どが物や金が目当てだからだ、だがこの山奥にその手の物は、ない。
 なのに魔導機まで引っ張り出した現れるっとなると目当ては絞られた。

「装備で採掘道具は、所持しているか?」

『いえ、武器は所持しているのは、わかりますが採掘道具等は、持っていません、それと誰かを探している様に見えます』

 誰かを探している?
 しかし、気配は感じないスリングは、だがデンシアの反応は少し違う明らかに何かに反応している。
 それが何かは、わからないがその表情から良からぬ事が起きているのだけは察する事が出来た。

「タイロン、罠を設置すつつ戻ってこい」

 スリングは、そう告げるとデンシアの方へ近づいた。

「何かあったのか?」

 スリングがそう訊くと気づいてなかったのかデンシアは、ビクリっと肩を揺らすと目を丸々っと開けてこちらを見ていた。

「いや…なにが…無理あるか」

 一瞬誤魔化そうとしたが自らの行動にデンシアは苦笑するとどう言うべきなのか悩んでいるのか口を噤んでしまった。
 スリングは、デンシアの言葉を静かに待ったのだが時間がないと考えると事実を告げる事で答えを先に促す事にした。

「西の方に盗賊っと思われる一団が見つかった、向こうは魔導機等で武装している、だが採掘用の道具は、持ち合わせていないらしい、これは関係あるんじゃないのか?」

 スリングのその問いにデンシアは、静かに頷くと炭鉱夫達に目を向け、聞こえない様に静かにスリングに近づいた。

「奴らは、人攫いだ、ここの住人達を目当てに来ているんだ」

「炭鉱夫をか?」

 スリングのその問いにデンシアは首を横に振った。

「違う、ここには、数百年前から住んでいる住人達がいるんだ」

 デンシアの言葉の意図が掴めずにスリングは、怪訝な表情を浮かべてしまった。
 そんな存在を自分の感知能力でなんも感じない事を踏まえると近くにいないのでは、無いかと思ったがデンシアの表情は、それを否定していた。

「もう少し…」

 詳しく、そう言いかけた時だった。
 遠くから狼の遠吠えが聞こえたかと思うと左目に激痛が走り、その場で蹲ってしまった。

「アステマラ様!?」

 頭上でデンシアが驚きの声を上げながらスリングの肩に手を置いた。

 《時が惜しい、このままこの者の力を借りる》

 突然、頭の中に響く女性の声にスリングは、妙な懐かしさを感じながら痛みが引いた左目の違和感に困惑していた。
 左目だけが目の前の景色とは、別なモノを映している。
 そこは、この周辺を俯瞰で見ている。スリングは咄嗟的に景色を見ているだろう方向に視線を向ける。
 それは、山肌の崖に泰然として立っていた。
 陽の光に反射して煌めく風花の吹く雪原の絨毯を全身に身に纏い、静かに佇むその姿にスリングは目を奪われてしまった。
 それは、本来なら狼と呼ばれるそれに似ているが、体躯は、大きく2m以上はあるであろう事だけは、わかった。

「今なら、状況をわかると思うんだけど」

 デンシアのその一言にスリングの魔力感知が今まで捉える事のなかった気配を2つあるのを教えた。ここからの距離は、タイロン達とスリングとの間に居る。

「これは…今まで何も感じなかったのに」

 スリングがそう言うとデンシアは少し戸惑いってから口を開いた。

「魔力感知の元素は風、そして風の相克は土、これは土の魔術で作った道具を持ってその気配を感知させてなかっただけなんだ」

「だが、今それを感知できているのは?」

「それは、アステマラ様がそれを感知できるまでにスリングさんの力を補助しているから」

 アステマラ、その名前にスリングの視線は悠然とこちら見下ろしている白狼へと向いていた。
 その姿は、勿論だが、それから発せられる魔力は確実に自然災害級のそれなのにその存在を軍部は一切関知できていなかった。

「分隊長!タイロンさんから再度通信です!対象こちらに接近との事」

 その報にスリングは、その奥にいるであろう存在に感覚を合わせると確かにさっきよりこちらに近づいてきているがそれでもまだ距離は、ある。
 余計な事を考えている暇は無い、今は思考を戦況だけに向ける。

「タイロンには、引き続き、罠を張りながら此方に向かう様にいってくれ、その間にもし要救助者を見つけ次第、保護して、ここまで連れてくる様に言ってくれ」

 スリングは、そう言いながらデンシアの方を向くとスリングの言いたい事がわかったのかデンシアは、静かに頷いた。
 それを確認するとスリングは、通信機の所に向かうとミツリがタイロンとの通信を終えた頃合いだった。

「ニーナ聞こえるか?」

『何?』

「お前今日は、武器と兵装はどうしてる?」

『魔導弓ありだけど兵装はなし、話は聞いてる、とりあえずここから出たらポジションにつくから作戦よろしく』

 そうあっさりと通信を終えるとスリングは、次に万が一に備えてルミスに通信を入れた。
 出たのは、チダルで話を告げると暫くの無言の末に了解とだけが返ってきた。
 正直、現状を理解しているのか不安だったが今は、それを確認している余裕はない。
 相手の数は8名、魔導機の台数が2台、こっちは戦闘員が3名、怪我人と戦闘力を持っている非戦闘員を含めると5名になる。
 相手の戦闘能力は不明、しかし下手に情報を得る為に動いて藪蛇になりかねない、しかし情報を得なければ不味いのは違いない。
 動く為に自然と閉じていた左目が疼き開くと視界は今でも俯瞰の景色を映していた。
 あの白狼の視界が映しているのは、わかっているがそれは、あくまでスリング達の周辺しか映しておらずこの視界が少しでも敵側を映してくれると助かるのだが、そんな事を考えていると視界が急に動き遠くで動く一団を映し始めた。
 思考を読まれている、直感で導き出した事だが、それに疑いも迷いもなかった。
 頭の奥から何故を消して、今は相手の情報と自分の部隊との状況を確認した。
 相手の魔導機は、53型、現在の魔導機から2世代前の型落ち品だ、右手に機関銃、左手は3本指のアームを装備している、運転席は、金属の格子による防護をされているがそれは同時に視界を遮っているのが難点で、今現在はそれを強化ガラスによって大幅に改善されている。
 しかし、スリングが気になったのは、そこではなく魔導機を操作する者達の手際だった。
 53型の操作性は、色々問題視されている事が多かったのを記憶していたがそれを踏まえてもだが魔導機を操るそれに慣れを感じる。
 もしこの推測が間違いないのなら、相手は元兵士で機兵の可能性が高い。
 スリングは、それを前提に作戦を組むが相手の冷静さと機動力を同時に断つ必要性が出てくる。
 メンツを考えれば、それは可能だが気になる点も幾つかある、まずはこちらの破壊力、ニーナの魔導弓で関節部分狙えば、機動力を断つ事は、出来るが問題は魔導機に装備されてる機関銃だ、もしあれが森の中が放れたらどんな被害が起きるかわからない。
 その攻撃の範囲では、隠れて攻撃をさせるニーナの行動が制限される可能性も高く、その能力を発揮できなくなる。つまり、魔導機の沈黙が最重要となる。
 しかし、どうやって沈黙させるか…
 そしてもう一つが敵の配置だ。魔導機には、サポート要員であろう人物達が2名ずつそれぞれ配置されている、これは、魔導機の弱点である近接をカバーしているのだ。それに、各々の距離感もまたそれらをカバーする様に動いてもいた。
 明らかに魔導機の操縦とその扱いや特性になれている人間がいる事の証明にも繋がっていた。
 手詰まりというわけでもないが戦線を考えると本来なら退くべき状況とも言える。
 だが、それをデンシアの表情は許さなかった。
 出会ってまだそこまでの付き合いは、ないがあの表情を見逃しては、置けない程に焦ってもいる。
 これは、理論では無く、感情の話になるが、これを見逃したらスリングは自分を一生恥じるだろうと考えていた。
 多分、それはニーナも同じだろう、勝手したる腐れ縁だ、アイツが起こした服毒事件もまたこれと同じ状況で自分に出来る最大の嫌がらせをやってのけたのだ、ここで自分がその命を考えて退けばどんな嫌味を言われるかわかったものでは、ない。
 スリングは、自分の性格をつくづく損な者だと思うと自嘲の溜息が漏れた。
 今、自分が取れる最大の手は、味方の被害少なく、敵を沈黙させる事、その為には、素早く的確な判断が必要になる。

「分隊長~」

 チールの緩い声が響き、スリングが視線を向けるとシエルに連れられたチールが顰め面でコチラを睨んでいた。

「なんだ?」

 スリングが素っ気なく訊くとチールの眉間の皺がより深くなる。

「なんだは、こっちのセリフなんですが?中見てたら急に出て来いって命令したのそっちでしょ!?」

「あぁ、少し外様子が変わってな、今臨戦態勢だ」

「えっ?でも怪物は、いないんでしょ?」

「相手は、怪物じゃなく盗賊だ、それも魔導機2台のオマケ付き」

「何型?」

「恐らく53型」

「あぁ~ドロムね、今どこら辺?」

 魔導機には、それぞれの名称が付けられている。
 名前の由来は、忘れたがそれぞれの作られた特性を意味していると言われている。

「現在、目撃された位置はここから凡そで2km以上と推定している」

「つまり、森の中だと」

「そうだが?」

「なら、ワザと森を歩かせたら?」

 チールのその一言にスリングは、首を横に傾けた。

「53型は、元々荒野戦を想定して作られたの、だから54や55と違って足回りの排気機構が大きいの、オマケに砂を吸い込まない様に網も張られててそこに植物がよく絡んで熱暴走しやすくなってるんだよね」

 そんな、スリングを呆れた様子で見ながらチールが応えた。

「つまり、長時間歩いたり、過度の負荷を与えると機動力が落ちるのか?」

「そう、だから相手がそれらを理解してるなら、そこら辺の改良しているだろうけど排気機構を治すとなると足全てを改造しないといけないからそう簡単には出来ないでしょ、お金かかるよ~」

 その情報を元に盗賊の一団を見たいと思考を向けると左目が一団を映し、魔導機の足へとクローズアップされた。
 4段式重ねられた裾の様な排気口に、太もも位置にある吸気口が見える。
 チールの言う通りに太腿の部分には、不自然に葉や枝が纏わりついていた。
 つまり、足は改造していない。

「どう作戦決まった?」

 スリングの思考がまとまり始めると魔導弓を片手にニーナが現れた。

「お前、兵装無しで何処まで動ける?」

「舐めてんの?アンタが知るより、動けるよ」

「なら、魔導機2台の陽動は、いけそうか?」

 スリングのその問いにニーナは、眉間に皺を寄せた。

「それは、攻撃、ありなし」

「最初は、なし。タイロンが罠を仕掛けてるところまで音と気配で誘い込んで欲しい」

「罠の位置は?」

「これから戻るタイロンに確認して欲しい」

「出来なくは、ない。でもそれでどうするの魔導機2台じゃ弓だけでどこまで持つか分からないよ」

「わかってる、だから先に機動力を断つ」

「相手の装備は?」

「機関銃2丁、魔導機1台にそれぞれ」

「なら、足狙ってる間に機関銃撃たれたらヤバくない?私は避けられるけど、一人で2台は、流石に無理だよ」

「それなら、大丈夫、作戦はある」

 スリングがキッパリと言い切るとニーナは、暫くその顔を見たかと思うと小さく鼻をひとつ鳴らした。

「アンタがその表情なら大丈夫でしょ、とりあえず全員集合してからブリーフィング?」

 その問いにスリングがゆったりと頷くとニーナは、黙ってトラックの方へと歩いていった。
 恐らく、地図で周辺確認とそれまでの間の休憩なのだろう、スリングはそう察知すると煙草を取り出して燻らせた。
 そうしていると戻ってきたタイロン達から呼ばれ、向かうとタイロンとフルーテル、そして2人の子供の姿があった。
 頭からフード被り、顔は見えないがその身なりは少し違和感を感じた。
 服が今の時代の服では、ない。
 ボロとか質が悪いとかいうのでは、なく。シャツや着やすさ等の機能性を重視した服装と言うよりも着物やローブの様な何処か僧侶の様な格好をしていたのだ。

「テト!アリア!」

 デンシアが2人を呼ぶと2人は、デンシアに駆け寄り、抱きついた。
 スリングは、その光景を見ながら山肌の崖へと目を向ける。そこには、今も尚、白狼がこちらを見下ろし、スリングに向かって頷いた。

「デンシア、詳しい事情は後で聞くからな」

 スリングは、それだけ告げるとデンシアは、ゆっくりと頷くだけだった。

「よし、これからブリーフィングを始める」

 スリングのその一言に部隊員が集まる。
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