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第1章
担任教師と親友になる男
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ガラガラガラ、
チャイムと同時に開けられた教室のドアの方に目を向けると、このクラスの担任と思われる、1人の女性が教室内に入ってきた。
「よし、ホームルームを始めるぞ席につけ」
改めて姿を認識すると、黒髪でショートカット、若干釣り上がった目つき、クールビューティーという言葉が似合う美人で若そうな教師だった。
美人教師の一声で立ち上がっていた生徒がバラバラと席に着く。
席が決まっていないため多少のもたつきも見られた。
「去年講義で見た顔もちらほら見えるな。一年間このクラスの担任をする、八重三咲だよろしく」
その美貌に負けず劣らずの若干強めの口調であり、それすらも様になっている女性だった。
なんてことを考えながら、頬杖をつき事を見守っていたオレは、聞き覚えのある苗字に、周りに気づかれない程度に反応を示した。
すると、担任教師もこちらに鋭い視線を向けてきた。
まさか、今のに気づいたのだろうか。
このクラスには気配に敏感な人物が多いようだ。気配に敏感であるということはそれだけの手練れであるということなのだが。
そんなオレの思惑を知ってか知らずか、担任教師は他の生徒達に視線を戻し、
「まぁ、私の紹介についてはそれなりで良いだろう。その前に今日はお前達に報告がある。実はこのクラスに今日から入る転入生についてだ」
と、言い放った。
転入生、というワードに教室がざわめきに満ちた。周りに見られても知らん顔をしていたあの少女も驚いた様な瞳で担任教師を見つめている。
「実は既に教室にいる。前に出てこい。立花」
教室は誰だ誰だ、と教室を見回す人で溢れていた。
目立たないように景子が紹介無しで、あたかも最初から島にいたかのように馴染ませてくれるのかと思っていたが、そんなありがたい思惑は一切無かったみたいだ。
公に呼ばれてしまった以上、断る理由もないため、オレは教室の前へ向かう。
席から立ち上がると、教室中の視線がオレに集中する。
教室の前に移動している間も、言葉を発する生徒は居なかったが、例外なく視線だけは突き刺さっていた。
中には品定めする様な視線も幾つかあり、大分居心地が悪かった。が、まぁ、仕方のないことだろう。
諦めて教室の前に立ったオレは皆の方に向き直り自己紹介をする。
「今年度からこの学園都市に転入してきた立花風夜です。よろしく」
オレは軽く自己紹介を済ませ、頭を下げる。
「転入生は珍しいと思うが、立花は先日島に来たばかりで何かと困ることも多いだろう。お前達色々教えて仲良くしてやってくれ」
戻っていいぞ、と視線で促されたオレは大人しく席に戻る。
その間も視線が集まり居心地が悪かったが、意外な事に好意的な視線が多く感じられた。
「お前達ももう2年だから大丈夫だと思うがー」
オレが席についたのを確認すると、担任教師は再び話し始め、その後のホームルームは簡単な連絡事項と注意喚起で終了した。
しかしながら、もう少し騒ぎになるかと身構えていたオレにとってはこの妙な静かさは若干拍子抜けなものだった。
= = =
と思っていたのだが、ホームルーム後の小休止の時間でオレの席の周りには少々の人だかりができていた。
どうやら、ホームルーム中ということもあり、分別をわきまえていたらしい。
「立花君、どうしてこの時期に来たの??」
「立花、ここに来る前は何してたんだ?」
「立花、いい女の子紹介してくれないか?」
「なんていい体なんだ…プロテインは飲んでいるのかい?」
などなど、しばらく軽い質問攻めにあって困っていたが、悪い人物はいなさそうだった。変な質問の奴はいたが。
そんな騒がしい一幕を終え、一息ついていたところに、
「珍しいな~転入なんて」
と、話しかけてきたのは、前の席に座る爽やかな風貌をした陽気な青年だった。
「俺の名前は、結城樹っていうんだヨロシク」
「あ、あぁ、オレは立花風夜だよろしく」
「さっきみんなの前で言ってただろ知ってるよ。よろしく風夜」
そう言って結城は人懐っこい笑みを浮かべていた。
この数秒のやり取りでわかる、コミュニケーション能力の高さだった。
「島に来たばかりなんだろ?放課後暇だったりするか?色々教えてやるよ」
「本当か?助かる。右も左も分からなくて困ってたんだ」
まだまだ島の仕組みを理解できていないオレにとって結城の申し出は非常にありがたいものだった。
「了解。場所はどうしようか。うちの寮は部外者立ち入り禁止だしなー」
「少し遠くてもよければオレの家でもいいぞ。隣人もいないし多少騒いでも問題ない」
「オーケー、じゃ風夜の家にしようか」
とんとん拍子に話が進み、放課後にオレの家で結城に色々と教えてもらう事にしたのだった。
その後は、新学年初日ということもあり、特に難しい授業などはなく放課後を迎えることができたのだった。
チャイムと同時に開けられた教室のドアの方に目を向けると、このクラスの担任と思われる、1人の女性が教室内に入ってきた。
「よし、ホームルームを始めるぞ席につけ」
改めて姿を認識すると、黒髪でショートカット、若干釣り上がった目つき、クールビューティーという言葉が似合う美人で若そうな教師だった。
美人教師の一声で立ち上がっていた生徒がバラバラと席に着く。
席が決まっていないため多少のもたつきも見られた。
「去年講義で見た顔もちらほら見えるな。一年間このクラスの担任をする、八重三咲だよろしく」
その美貌に負けず劣らずの若干強めの口調であり、それすらも様になっている女性だった。
なんてことを考えながら、頬杖をつき事を見守っていたオレは、聞き覚えのある苗字に、周りに気づかれない程度に反応を示した。
すると、担任教師もこちらに鋭い視線を向けてきた。
まさか、今のに気づいたのだろうか。
このクラスには気配に敏感な人物が多いようだ。気配に敏感であるということはそれだけの手練れであるということなのだが。
そんなオレの思惑を知ってか知らずか、担任教師は他の生徒達に視線を戻し、
「まぁ、私の紹介についてはそれなりで良いだろう。その前に今日はお前達に報告がある。実はこのクラスに今日から入る転入生についてだ」
と、言い放った。
転入生、というワードに教室がざわめきに満ちた。周りに見られても知らん顔をしていたあの少女も驚いた様な瞳で担任教師を見つめている。
「実は既に教室にいる。前に出てこい。立花」
教室は誰だ誰だ、と教室を見回す人で溢れていた。
目立たないように景子が紹介無しで、あたかも最初から島にいたかのように馴染ませてくれるのかと思っていたが、そんなありがたい思惑は一切無かったみたいだ。
公に呼ばれてしまった以上、断る理由もないため、オレは教室の前へ向かう。
席から立ち上がると、教室中の視線がオレに集中する。
教室の前に移動している間も、言葉を発する生徒は居なかったが、例外なく視線だけは突き刺さっていた。
中には品定めする様な視線も幾つかあり、大分居心地が悪かった。が、まぁ、仕方のないことだろう。
諦めて教室の前に立ったオレは皆の方に向き直り自己紹介をする。
「今年度からこの学園都市に転入してきた立花風夜です。よろしく」
オレは軽く自己紹介を済ませ、頭を下げる。
「転入生は珍しいと思うが、立花は先日島に来たばかりで何かと困ることも多いだろう。お前達色々教えて仲良くしてやってくれ」
戻っていいぞ、と視線で促されたオレは大人しく席に戻る。
その間も視線が集まり居心地が悪かったが、意外な事に好意的な視線が多く感じられた。
「お前達ももう2年だから大丈夫だと思うがー」
オレが席についたのを確認すると、担任教師は再び話し始め、その後のホームルームは簡単な連絡事項と注意喚起で終了した。
しかしながら、もう少し騒ぎになるかと身構えていたオレにとってはこの妙な静かさは若干拍子抜けなものだった。
= = =
と思っていたのだが、ホームルーム後の小休止の時間でオレの席の周りには少々の人だかりができていた。
どうやら、ホームルーム中ということもあり、分別をわきまえていたらしい。
「立花君、どうしてこの時期に来たの??」
「立花、ここに来る前は何してたんだ?」
「立花、いい女の子紹介してくれないか?」
「なんていい体なんだ…プロテインは飲んでいるのかい?」
などなど、しばらく軽い質問攻めにあって困っていたが、悪い人物はいなさそうだった。変な質問の奴はいたが。
そんな騒がしい一幕を終え、一息ついていたところに、
「珍しいな~転入なんて」
と、話しかけてきたのは、前の席に座る爽やかな風貌をした陽気な青年だった。
「俺の名前は、結城樹っていうんだヨロシク」
「あ、あぁ、オレは立花風夜だよろしく」
「さっきみんなの前で言ってただろ知ってるよ。よろしく風夜」
そう言って結城は人懐っこい笑みを浮かべていた。
この数秒のやり取りでわかる、コミュニケーション能力の高さだった。
「島に来たばかりなんだろ?放課後暇だったりするか?色々教えてやるよ」
「本当か?助かる。右も左も分からなくて困ってたんだ」
まだまだ島の仕組みを理解できていないオレにとって結城の申し出は非常にありがたいものだった。
「了解。場所はどうしようか。うちの寮は部外者立ち入り禁止だしなー」
「少し遠くてもよければオレの家でもいいぞ。隣人もいないし多少騒いでも問題ない」
「オーケー、じゃ風夜の家にしようか」
とんとん拍子に話が進み、放課後にオレの家で結城に色々と教えてもらう事にしたのだった。
その後は、新学年初日ということもあり、特に難しい授業などはなく放課後を迎えることができたのだった。
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