セレブ嫌いとセレブ ~君の中に俺の居場所ある？~

１ 片想いの人に触れた

　「ふぅ、定時で帰れるなぁ
　　時間あるしアプリでも見てみよっかな～」

　
　僕は川野 竜哉かわのたつや 177-68-22
　シャイで人の輪の中に入っていくことはできない
　そのくせに、１度きりの出会いは
　よくやってしまう…

　ピロン♪
　　　ーメッセージ通知ー

　「今日ヒマだったらメシ行かね？」

　アプリでワンナイトのはずだった人と
　友達として仲良くなった
　知り合ってもう２年
　ジョークも言うしバカもできる
　竜哉には気を使わない友達ができた
　
　森峰 亮平もりみねりょうへい179-70-22からのMAILER

　「いいよー」

　ざわついた街の路地を少し入ったところにある
　行きつけの小さな居酒屋〝未来〟

　亮「おぉ、竜哉！」
　竜「お疲れ亮ちゃん！」

　亮「俺、彼氏とパートナーシップすることになったんだ」
　竜「え？マジで？おめでとう！」
　亮「でさ、少人数パーティーするから竜哉も来てほしいんだけど」
　竜「何人？」
　亮「お前入れて４人。４人なら頼むよ～」

　竜哉は人見知りがけっこう強く
　初対面の人が複数いるとかなり苦しい…

　子猫が見つめるような目でガン見する亮平

　竜「わかったよぉ、で、いつ？」
　亮「サンキュ！土曜15:00な」
　竜「じゃ、またねー」

　あー、ちょっと飲みすぎたな～
　うわっ、終電ヤバイ
　走らなきゃ間に合わないじゃーん…
　吐きそうで気持ち悪いのに

　ドン！！

　「あーっ！」　「あっ！」

　竜哉は小さな段差につまずき
　前から来た人とぶつかった

　茶髪のさわやかイケメン
　今までに見たこともない整った顔
　一瞬見惚れてしまい時間が止まったかのよう
　
　「すみません」
　「いえ」

　走って通り過ぎていく竜哉を
　イケメンはただ見ていた

　(じゅんくん…　だよね？)