セレブ嫌いとセレブ ~君の中に俺の居場所ある？~

２８ 動き出した道

　１月１０日
　社内メールが一斉送信された

　
　２月１４日　グループ会社全体オリエンテーション

　9:00～11:50　今後の経営方針について

　11:50～13:00　休憩（食事は後程出るため控えてください）

　13:10～17:00　全社員オリエンテーション

　服装は私服で全員参加（欠席の場合欠勤扱いとし、給料天引き）

　場所＝クリスタルホテル３５階　鳳凰の間


　竜哉も知らされていなかった情報
　社長室で働いているのに知らないって
　どこでこういうイベントが動いているんだろう

　竜「要さん、このオリエンテーションって何ですか？」
　要「私も内容は知らされていません」

　要さんが知らないって秘書なのに？
　そんなことある？

　不思議そうに見る竜哉の目を
　要は慌ててそらした

　竜「蜜月さん、このイベントについて何か聞いていませんか？」
　蜜「はい、何も」

　そんなことあるかな？
　上だけのことなら全員参加じゃなくても
　しかも欠勤になるって

　不安な顔をしている竜哉
　要も蜜月もなんとしてでも悟られないように隠す

　いつもなら深くは追及しない竜哉
　ここで引き下がってくれ

　竜「社長はご存じですよね？
　　　何をなさるんですか？」

　なんでそんな食いつくんだよ

　聖「会長が詳しくは話してくれないんだよ
　　　会社の今後についてじゃないかな」
　竜「あー、今後のことなら社員は当日まで知らされないですね」

　１人勝手に納得した竜哉

　早く話題をそらさないと

　聖「竜哉は旅行は好き？」
　竜「うん、好きだよ。
　　　一緒に行けたらいいね」

　聖「どこがいいとかあるの？」
　竜「アウトドアもいいし、自然もいいし、露天風呂がいいね」
　聖「どっちも行こう」

　竜哉はうれしい時
　本当に子供のように笑顔を作る
　
　極秘プロジェクトの後の旅行
　最高の旅行にしないといけないと聖斗は思った

　聖「ねぇ、竜哉…」
　竜「どうしたの？」

　聖斗はもう結婚が成功したものと決めつけて
　色んなことを準備しようとする
　今はマンション隣の部屋だけど一緒に生活はしていない
　そう、一緒に暮らしたいのだ

　聖「一緒に暮らさない？」
　竜「えっ？　ん？　んん？　えーーーーー！！！」

　聖「俺、本気なんだけど」
　竜「うん、うれしい」

　竜哉は恥ずかしくて照れるように小さい声だった

　こんなに幸せなことばかり続いていいのか？
　聖斗くんには良くしてもらってばかりで何も返してあげられていない
　
　でも、誰にも渡したくない

　この幸せな感情きもち