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「……素晴らしいお茶会ですね。このスコーン、小麦の産地はどこでしょう? 原価計算が狂うほどバターが使われています」
王城の白亜の庭園。
王妃陛下主催の茶話会に招かれた私は、優雅に紅茶を啜りながら、隣の席のキース公爵に囁いた。
キースは無表情のまま、私の皿に新しいサンドイッチを乗せた。
「……お前、この状況でよく食えるな」
「無料(タダ)だからです」
周囲を見渡せば、着飾った貴族令嬢たちが、遠巻きに私たちを見つめ、ヒソヒソと噂話に花を咲かせている。
その視線には、好奇心と恐怖、そして軽蔑が入り混じっていた。
今日の主役は、私とキース。
そして、もう一人。
「――陛下! 聞いてくださいませ!」
悲劇のヒロイン然とした叫び声と共に、ミナ男爵令嬢が飛び出してきた。
彼女はピンク色のドレスを着て(ただし前回の舞踏会と同じものだ)、涙ながらに王妃陛下の御前に進み出た。
「わたくし、もう我慢できません! この神聖なお茶会の場を借りて、ある恐ろしい真実を告発させていただきます!」
王妃陛下が扇を閉じ、冷ややかな目でミナを見下ろす。
「……騒々しいですね、ミナ。アレンの婚約者として、少しは慎みなさい」
「慎んでいる場合ではありません! 国の危機なのです! そこにいるノワル・ヴァレンタイン公爵令嬢は……!」
ミナはビシッと私を指差した。
「彼女は、禁忌とされる『黒魔術』を操る魔女ですわ!」
シーン……。
会場が静まり返る。
私はスコーンを飲み込み、ナプキンで口元を拭った。
「……だ、そうですけど。公爵様」
「……くだらん」
キースは不機嫌そうに紅茶を置いた。
ミナは怯むことなく続ける。
「証拠はあります! まず、アレン様のご乱心! 最近のアレン様はやつれ果て、うわ言のように『ノワル、ノワル』と呟いておられます。これは呪いです!」
「それは過労と現実逃避ですね」
私が即座に突っ込むが、ミナは無視する。
「そして、グランディール公爵様! あのような冷徹なお方が、あんな地味で可愛げのない女を溺愛するなど、魅了の魔術以外にありえません!」
会場の令嬢たちが「確かに……」と頷く。
キースのこめかみに青筋が浮かんだ。
「……地味で可愛げがない、までは百歩譲って認めるとして、俺が操られているだと?」
キースが立ち上がろうとするのを、私は手で制した。
「待ってください、公爵様。ここで貴方が暴れたら、それこそ『魔女の操り人形』扱いされます。……私がやります」
私はゆっくりと立ち上がり、ミナの方へと歩み寄った。
「ミナ様。黒魔術、ですか。……具体的になんという魔法を使ったと?」
「そ、それは……『思考操作』とか『不幸の呪い』とかよ!」
「なるほど。もし私がそんな便利な魔法を使えるなら、まず最初に『空から金貨が降ってくる魔法』を使いますね。わざわざ元婚約者を呪うような、生産性のないことに魔力リソースは割きません」
「屁理屈を! じゃあ、どうしてアレン様はあんなに苦しんでいるのよ!」
「能力以上の仕事を抱え込んだからです。自己管理能力の欠如です」
「嘘よ! それに、貴女は私にも呪いをかけたわ! この前、階段で突き飛ばされた時も、私の足が勝手にもつれたの! あれは魔法よ!」
ミナの主張は支離滅裂だった。
だが、彼女には切り札があったらしい。
「私には証人がいます! ……リリィ様、おっしゃってください!」
ミナに促され、取り巻きの一人であるリリィ伯爵令嬢が進み出た。
彼女は怯えたように私を見て、震える声で証言した。
「は、はい……私、見ました。ノワル様が、怪しげな呪文を唱えながら、ミナ様の背中に黒い影を飛ばすのを……!」
会場がざわつく。
「(まあ、目撃者がいるの?)」
「(やっぱり魔女だったんだわ)」
「(恐ろしい……)」
偽証だ。
リリィ伯爵令嬢の実家は、確か事業に失敗して借金があるはず。
ミナ、あるいはアレン王子から、金で買収されたのだろう。
「……なるほど。偽証罪の量刑をご存知ですか? リリィ様」
私が微笑みかけると、リリィは「ひっ!」と悲鳴を上げてミナの後ろに隠れた。
ミナが勝ち誇った顔をする。
「どう!? これでもシラを切るつもり!? 王妃陛下、お願いです! この魔女を捕らえて、異端審問にかけてください!」
王妃陛下が困惑したように私を見た。
「……ノワル嬢。そなた、申し開きはあるか?」
「ありますとも。山ほど」
私は一歩も引かず、胸を張った。
「まず、魔術云々については、宮廷魔導師による鑑定を受ければ一発で無実が証明されます。私の魔力適性は『生活魔法(計算・整頓)』のみ。人を呪うほどの出力はありません」
「そ、そんなの偽装できるわよ!」
「では、こちらの証拠はどうでしょう?」
私は懐から、あの一本のペンを取り出した。
「……それは?」
王妃が尋ねる。
「これは最新式の『音声記録魔導具』です。商談の際の言質を取るために、私が常に携帯しているものです」
「音声記録……?」
ミナの顔色がサッと変わった。
「この中には、ここ数週間の私の周囲の会話が、全てクリアに保存されています。もちろん、編集は不可能です」
私はペンのスイッチに指をかけた。
「さて、ミナ様。貴女が『突き飛ばされた』と主張する日の、階段での会話。再生してみましょうか?」
「や、やめて!」
ミナが叫ぶが、私は容赦なくスイッチを押した。
『――きゃあっ! 足がもつれて……!』
『ぶべっ!』
『……自損事故ですね』
先日の舞踏会での音声が、鮮明に会場に響き渡る。
さらに、私はダイヤルを回して別のデータを再生した。
それは、アレン王子との密会時の音声だ。
『戻ってきてくれノワル! 金なら払う!』
『……側室にしてやってもいい!』
『ミナは何も手伝わないし……!』
アレンの情けない声が、朗々と流れ出す。
会場の空気が、凍りついた。
「……こ、これは……」
「アレン殿下、ミナ様のこと邪魔だと思ってらしたの……?」
「側室って……最低だわ……」
貴族たちの冷ややかな視線が、私からミナへと移動していく。
ミナは顔面蒼白になり、口をパクパクとさせている。
「ち、違う! これは……これは、声真似よ! ノワルが魔術で声を合成したのよ!」
「往生際が悪いですね。魔導具の鑑定も行いますか? 製造元は王立研究所です。データの改ざんが不可能であることは証明されています」
私はペンをカチカチと鳴らした。
「それとも、もっと聞きますか? 貴女が私のドレスにワインをかけようと画策していた時の、ウェイターへの買収工作の音声もありますが」
「……っ!!」
ミナはその場にへたり込んだ。
「嘘……どうして……いつの間に……」
「申し上げたはずです。リスク管理は基本だと」
私は王妃陛下に向き直り、優雅に一礼した。
「陛下。これが真実です。私は魔術など使っておりません。ただ、あまりに杜撰な『自作自演』に対し、適切な『記録』で対抗したまでです」
王妃は深いため息をつき、扇で顔を仰いだ。
「……ミナ。そなた、虚偽の告発を行い、さらに公爵令嬢を陥れようとしたのですか?」
「ち、違います陛下! 私は……私はただ、アレン様のために……!」
「アレンのため? そのアレンは、そなたを『手伝わない』と嘆いているようですが」
「うっ……!」
王妃の視線は氷のように冷たかった。
「……衛兵」
「はっ!」
「ミナ男爵令嬢を別室へ。後ほど、アレンと共に詳しい話を聞きます」
「い、嫌ぁぁぁ! 離して! 私は悪くない! 全部あの女が悪いのにぃぃ!」
ミナは衛兵に両脇を抱えられ、ズルズルと引きずられていった。
その見苦しい姿は、もはや「悲劇のヒロイン」の欠片もなかった。
会場はシンと静まり返っている。
私はペンを懐にしまい、席に戻った。
キースが、呆れたような、しかし感心したような顔で私を見ていた。
「……お前、本当に恐ろしいな」
「準備が八割です。ビジネスの鉄則ですよ」
私は冷めてしまった紅茶を一口飲んだ。
「それに、まだ終わりではありません。これからが『請求』の本番です」
「……まだやるのか?」
「当然です。名誉毀損による慰謝料、精神的苦痛への賠償、そして……このお茶会を台無しにされた王妃陛下への『お詫び代』も、アレン殿下に請求しなくては」
私はニヤリと笑った。
王妃陛下が、こちらを見て小さく頷いたのが見えた。
どうやら、王家公認で「搾り取る」許可が下りたようだ。
「さあ、公爵様。帰って請求書の作成です。今夜も残業ですよ?」
「……やれやれ。アレンの奴、今度こそ破産だな」
キースは苦笑しながらも、私の手を取りエスコートしてくれた。
悪役令嬢ノワルの「完全勝利」。
だが、私が本当に手に入れたかったのは、ミナの敗北などではない。
この騒動を通じて、公爵家――そしてキースとの絆が、より強固なものになったという「実績」だった。
(……まあ、慰謝料もしっかり貰うけどね)
私は心の中で電卓を叩きながら、爽やかな青空を見上げた。
私の隠居資金、目標達成まであと少し――かもしれない。
王城の白亜の庭園。
王妃陛下主催の茶話会に招かれた私は、優雅に紅茶を啜りながら、隣の席のキース公爵に囁いた。
キースは無表情のまま、私の皿に新しいサンドイッチを乗せた。
「……お前、この状況でよく食えるな」
「無料(タダ)だからです」
周囲を見渡せば、着飾った貴族令嬢たちが、遠巻きに私たちを見つめ、ヒソヒソと噂話に花を咲かせている。
その視線には、好奇心と恐怖、そして軽蔑が入り混じっていた。
今日の主役は、私とキース。
そして、もう一人。
「――陛下! 聞いてくださいませ!」
悲劇のヒロイン然とした叫び声と共に、ミナ男爵令嬢が飛び出してきた。
彼女はピンク色のドレスを着て(ただし前回の舞踏会と同じものだ)、涙ながらに王妃陛下の御前に進み出た。
「わたくし、もう我慢できません! この神聖なお茶会の場を借りて、ある恐ろしい真実を告発させていただきます!」
王妃陛下が扇を閉じ、冷ややかな目でミナを見下ろす。
「……騒々しいですね、ミナ。アレンの婚約者として、少しは慎みなさい」
「慎んでいる場合ではありません! 国の危機なのです! そこにいるノワル・ヴァレンタイン公爵令嬢は……!」
ミナはビシッと私を指差した。
「彼女は、禁忌とされる『黒魔術』を操る魔女ですわ!」
シーン……。
会場が静まり返る。
私はスコーンを飲み込み、ナプキンで口元を拭った。
「……だ、そうですけど。公爵様」
「……くだらん」
キースは不機嫌そうに紅茶を置いた。
ミナは怯むことなく続ける。
「証拠はあります! まず、アレン様のご乱心! 最近のアレン様はやつれ果て、うわ言のように『ノワル、ノワル』と呟いておられます。これは呪いです!」
「それは過労と現実逃避ですね」
私が即座に突っ込むが、ミナは無視する。
「そして、グランディール公爵様! あのような冷徹なお方が、あんな地味で可愛げのない女を溺愛するなど、魅了の魔術以外にありえません!」
会場の令嬢たちが「確かに……」と頷く。
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「……地味で可愛げがない、までは百歩譲って認めるとして、俺が操られているだと?」
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「ミナ様。黒魔術、ですか。……具体的になんという魔法を使ったと?」
「そ、それは……『思考操作』とか『不幸の呪い』とかよ!」
「なるほど。もし私がそんな便利な魔法を使えるなら、まず最初に『空から金貨が降ってくる魔法』を使いますね。わざわざ元婚約者を呪うような、生産性のないことに魔力リソースは割きません」
「屁理屈を! じゃあ、どうしてアレン様はあんなに苦しんでいるのよ!」
「能力以上の仕事を抱え込んだからです。自己管理能力の欠如です」
「嘘よ! それに、貴女は私にも呪いをかけたわ! この前、階段で突き飛ばされた時も、私の足が勝手にもつれたの! あれは魔法よ!」
ミナの主張は支離滅裂だった。
だが、彼女には切り札があったらしい。
「私には証人がいます! ……リリィ様、おっしゃってください!」
ミナに促され、取り巻きの一人であるリリィ伯爵令嬢が進み出た。
彼女は怯えたように私を見て、震える声で証言した。
「は、はい……私、見ました。ノワル様が、怪しげな呪文を唱えながら、ミナ様の背中に黒い影を飛ばすのを……!」
会場がざわつく。
「(まあ、目撃者がいるの?)」
「(やっぱり魔女だったんだわ)」
「(恐ろしい……)」
偽証だ。
リリィ伯爵令嬢の実家は、確か事業に失敗して借金があるはず。
ミナ、あるいはアレン王子から、金で買収されたのだろう。
「……なるほど。偽証罪の量刑をご存知ですか? リリィ様」
私が微笑みかけると、リリィは「ひっ!」と悲鳴を上げてミナの後ろに隠れた。
ミナが勝ち誇った顔をする。
「どう!? これでもシラを切るつもり!? 王妃陛下、お願いです! この魔女を捕らえて、異端審問にかけてください!」
王妃陛下が困惑したように私を見た。
「……ノワル嬢。そなた、申し開きはあるか?」
「ありますとも。山ほど」
私は一歩も引かず、胸を張った。
「まず、魔術云々については、宮廷魔導師による鑑定を受ければ一発で無実が証明されます。私の魔力適性は『生活魔法(計算・整頓)』のみ。人を呪うほどの出力はありません」
「そ、そんなの偽装できるわよ!」
「では、こちらの証拠はどうでしょう?」
私は懐から、あの一本のペンを取り出した。
「……それは?」
王妃が尋ねる。
「これは最新式の『音声記録魔導具』です。商談の際の言質を取るために、私が常に携帯しているものです」
「音声記録……?」
ミナの顔色がサッと変わった。
「この中には、ここ数週間の私の周囲の会話が、全てクリアに保存されています。もちろん、編集は不可能です」
私はペンのスイッチに指をかけた。
「さて、ミナ様。貴女が『突き飛ばされた』と主張する日の、階段での会話。再生してみましょうか?」
「や、やめて!」
ミナが叫ぶが、私は容赦なくスイッチを押した。
『――きゃあっ! 足がもつれて……!』
『ぶべっ!』
『……自損事故ですね』
先日の舞踏会での音声が、鮮明に会場に響き渡る。
さらに、私はダイヤルを回して別のデータを再生した。
それは、アレン王子との密会時の音声だ。
『戻ってきてくれノワル! 金なら払う!』
『……側室にしてやってもいい!』
『ミナは何も手伝わないし……!』
アレンの情けない声が、朗々と流れ出す。
会場の空気が、凍りついた。
「……こ、これは……」
「アレン殿下、ミナ様のこと邪魔だと思ってらしたの……?」
「側室って……最低だわ……」
貴族たちの冷ややかな視線が、私からミナへと移動していく。
ミナは顔面蒼白になり、口をパクパクとさせている。
「ち、違う! これは……これは、声真似よ! ノワルが魔術で声を合成したのよ!」
「往生際が悪いですね。魔導具の鑑定も行いますか? 製造元は王立研究所です。データの改ざんが不可能であることは証明されています」
私はペンをカチカチと鳴らした。
「それとも、もっと聞きますか? 貴女が私のドレスにワインをかけようと画策していた時の、ウェイターへの買収工作の音声もありますが」
「……っ!!」
ミナはその場にへたり込んだ。
「嘘……どうして……いつの間に……」
「申し上げたはずです。リスク管理は基本だと」
私は王妃陛下に向き直り、優雅に一礼した。
「陛下。これが真実です。私は魔術など使っておりません。ただ、あまりに杜撰な『自作自演』に対し、適切な『記録』で対抗したまでです」
王妃は深いため息をつき、扇で顔を仰いだ。
「……ミナ。そなた、虚偽の告発を行い、さらに公爵令嬢を陥れようとしたのですか?」
「ち、違います陛下! 私は……私はただ、アレン様のために……!」
「アレンのため? そのアレンは、そなたを『手伝わない』と嘆いているようですが」
「うっ……!」
王妃の視線は氷のように冷たかった。
「……衛兵」
「はっ!」
「ミナ男爵令嬢を別室へ。後ほど、アレンと共に詳しい話を聞きます」
「い、嫌ぁぁぁ! 離して! 私は悪くない! 全部あの女が悪いのにぃぃ!」
ミナは衛兵に両脇を抱えられ、ズルズルと引きずられていった。
その見苦しい姿は、もはや「悲劇のヒロイン」の欠片もなかった。
会場はシンと静まり返っている。
私はペンを懐にしまい、席に戻った。
キースが、呆れたような、しかし感心したような顔で私を見ていた。
「……お前、本当に恐ろしいな」
「準備が八割です。ビジネスの鉄則ですよ」
私は冷めてしまった紅茶を一口飲んだ。
「それに、まだ終わりではありません。これからが『請求』の本番です」
「……まだやるのか?」
「当然です。名誉毀損による慰謝料、精神的苦痛への賠償、そして……このお茶会を台無しにされた王妃陛下への『お詫び代』も、アレン殿下に請求しなくては」
私はニヤリと笑った。
王妃陛下が、こちらを見て小さく頷いたのが見えた。
どうやら、王家公認で「搾り取る」許可が下りたようだ。
「さあ、公爵様。帰って請求書の作成です。今夜も残業ですよ?」
「……やれやれ。アレンの奴、今度こそ破産だな」
キースは苦笑しながらも、私の手を取りエスコートしてくれた。
悪役令嬢ノワルの「完全勝利」。
だが、私が本当に手に入れたかったのは、ミナの敗北などではない。
この騒動を通じて、公爵家――そしてキースとの絆が、より強固なものになったという「実績」だった。
(……まあ、慰謝料もしっかり貰うけどね)
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