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11話 種族図鑑
しおりを挟む「ご馳走様でした。………これ、どうしたら良いのかしら?」
千絵は目の前の、空いた食器を眺めてから首を傾げた、とりあえずカートに乗せて部屋の扉の前に置く。扉は中から、千絵には開けられないみたいだ。
(出られない……、はあ。ちょっとだけ怖いなぁ……。でも、仕方ないよね。私が契約に同意しちゃったんだもん……。それに、ちゃんと約束したし。子供を産めば、帰してもらえるよね?……頑張ろう。)
ジャー………。ゴボゴボゴボ。
(良かったぁ。トイレも、シャワーも有る、それに着替えも……。神人さん達のエリアより、綺麗なお部屋。………良いのかなぁ)
食後、部屋の中を調べて見て、ちゃんとトイレとシャワー室、洗面所が有って千絵はホッとした。使い方も、元の世界の物と変わりはなかった。
トイレから出て、千絵はふうと息を吐く。そして、机に近づいて、ドクターから渡された図鑑を手に取った。
「種族図鑑………。あ!!!凄ぉい……。これ紙じゃなくて全部薄いモニター?」
よく見ると紙では無い、薄い液晶モニター。やはり、かなり技術が進んでいる。
(凄いなぁ。…………でも、人間は滅んじゃったんだよね?なんでだろぉ?)
うーん。と考えるが千絵にはわかる筈も無い。
(考えてもわからないし。今度聞いてみようかな?………えっと?)
ペラリとページを捲ると、種族の紹介ページ。それからその後に数人の男性の写真が載っている。写真と言うか映像だ。瞬きしているし、微かに動いている。これなら、どんな感じの人(?)なのかわかり易い。
(獅子人?そのまんまなんだ。)
千絵が、気になっていたライオンみたいな青年の種族は、ライオンと言うらしい。それから千絵はハッとした。
(そう言えば、知ってる言葉に翻訳されるんだっけ?じゃあ、本当は違うけど、私には、そう聞こえるし見えるのかな?ふーん。……………あ、居た。あのお兄さんだ……)
そう、納得して千絵はページを捲る。そして、あのライオンの青年を見つけた。
【獅子人No.46。】
そう書いてある。
「No.46番……。この人も名前は無いんだ?少し不便だなぁ。…………ドクターも私の事ナンバーで呼んでたし。やだなぁ。………千絵なのに……」
(明日、名前で呼んでくださいって、お願いしようかなぁ………)
そんな事を考えながら、千絵はページを捲った。
▶▶▶▶▶▶
「おはようございます……ですよ。人間No.1番さん。よく眠れましたか?」
ピーンと言う音がして扉が開いた。
ドクターは、昨日言った通り壁のパネルが赤く変わるとすぐにやって来た。今日はその姿は人間体だ。だが色は半透明で薄緑だ。少しだけギョッとする。
「あ、おはようございます。ドクターさん、あの…………」
「なるほど!!!千絵さん、それが貴女のお名前ですね?わかりました。では、ワタシはそうお呼びしますよ。大変失礼しました……ですよ。」
千絵が名前で呼んで欲しいと告げると、ドクターは一瞬キョトンとしてから、ニコリと笑った。
この施設で、名前の付いた者は殆ど居ないらしくその考えに至らなかったと謝られた。
(……………そうなんだ?………不便じゃないのかなぁ?でも、ナンバーが名前の代わりだから、平気なのかしら?)
ぼんやりと、そう考えているとドクターが言う。
「では、千絵さん。………一応、その図鑑には、比較的人間に似た特徴を持った種族ばかりにしたつもりなんですけど。…………貴女からしたら、見慣れない生き物ばかり……。気に入った方は居ましたか?……居ない場合は、昨日言った通り。こちらでランダムに選ぶ事になります……ですよ」
「あ、はい」
ドクターの言う様に、昨日の岩人や神人に比べれば、人間に似た種族ばかりだった。その中には千絵が素敵だと思う人も、ライオン以外でもちゃんと居たのだ、千絵は問題無く、男性を3人選ぶ事が出来た。
「えっと………獅子人No.46番さんと、甲殻人No.8番さんと……、馬人No.29番さんを、お願いします………。」
千絵がそう告げるとドクターは、にっこり笑った。
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