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15話 順番
しおりを挟む男性陣が軽い自己紹介を終えて、次は千絵の番になった。
「えっと、私は千絵です。よろしくお願いします。」
千絵がペコリと頭を下げると、ドクターがニコリと微笑んだ。
「では、お互いに自己紹介も済んだ事ですし、千絵さんは、初めての繁殖はどの方としたいですか?」
(初めて……、どの方?……え、私が決めるの?ど、どうしよう……。)
思わず一番好みの獅子人に視線を向けると、目が合ってニヤリと笑われた。
「どうやら、人間の雌は俺をお気に召したようだ、当然だな。」
獅子人は甲殻人に向けて、勝ち誇ったように鼻を鳴らした。
「………どうして、僕は駄目?怖がらせたから?」
甲殻人は沈んだ声でそう言って、千絵を見た。それに千絵は慌てた。
「えっ!!違います!!駄目とかじゃ無いです。その、甲殻人8番さんの事も、素敵だなって思うし、……、うう、ドクターさん、ドクターさんが選んでください……。私が選ぶと、その……」
千絵があわあわしていると、ドクターはクスクス笑った。それから甲殻人に言う。
「甲殻人No.8番さん、順番は前後しますが、ここに居る全員と千絵さんは繁殖をします。我儘を言って千絵さんを困らせないでください……ですよ。」
「あ。ドクターさん、……私別に……困ってなんて……」
そう千絵が言いかけると、甲殻人が声を被せて来た。
「ううん。僕、あなたを困らせた。……ごめんなさい、でもそれなら、2番目が良い。……最後は嫌だ。」
「我儘を言うなと言われた所だろう?」
呆れたように言う獅子人を甲殻人は睨みつけた。それを見たドクターはやれやれと息を吐く。
「馬人No.29番さんは、どう……です?貴方が良いなら、そうしますが?」
ドクターからの問いかけに馬人は、のんびりと答える。
「私は、最後で構わないヨ。順番なんて気にならナイ。数居る雄の中から、此処に呼ばれただけでも、名誉な事。我儘なんて言わないサ。」
「嫌味か?……性格の悪い馬め…。」
ボソリと甲殻人が呟く。聞こえた筈なのに馬人は尻尾をパシンパシンと揺らして、知らん顔している。売られた喧嘩は買わないようだ。
(馬人さんは、何だか大人だなぁ。皆、全然違う。)
獅子人は俺様ワイルド系。甲殻人は大人しいけど子供っぽくて可愛い系。馬人は飄々とした大人のお兄さん系。そんなタイプの違うイケメンと沢山セックスをして、子供を産む。
(人間じゃないんだもんね、どんなセックスするのかな?)
考えていると、おまんこがきゅうっと締まる。
「おや?ふふ、千絵さん、何かいやらしい事を考えて居ます……ですね?お顔が発情した雌の顔です♡丁度良いですね。では、移動しましょうか?では獅子人No.46番さんだけ、一緒に来てください。残りのお二人は、今日は居住区にお戻りください。」
ドクターの言葉に千絵の顔は真っ赤に染まった。頬を押さえて俯く。
(ひやぁぁぁ!!恥ずかしいっ!!!顔に出てたの?)
「………人間の雌………可愛い。……獅子人、ずるいよ」
甲殻人は、またボソリと呟いた。
▶︎▶︎▶︎▶︎▶︎▶︎
ドクターの背中を獅子人と並んで追いかける。すると獅子人は話しかけて来た。
「さっきは、ほんとに悪かったな。些か乱暴だったか?……獅子人は強く逞しい雄が雌から望まれる、だからその調子でアピールしたんだが……。か弱い人間の雌には、余り良いアピール方法では無かったな。……俺は余り学が無い。だから人間の事は、噂で聞いた位しか知らん。……もし、また何か俺が嫌な事をしてしまったら、すぐに教えて欲しい。……俺も、お前に嫌われたくは無い」
しゅんと耳を垂らしてそう言う獅子人に千絵は胸がときめく。
(かわいい~!!!俺様なのに、かわいいとかずるい。凄くタイプ……。えへへ、私に嫌われたく無いだってー。…………皆、凄く好意的だけど何でだろう?)
ふと、そう思う。千絵からしたら彼らは見慣れない人外の生き物。それは向こうからしても同じだろう。美的感覚や、種族によって習性が違うのなら、彼らは千絵とのセックスに興奮したりするのだろうか?
(…………ちゃんと考えて無かったけど、獅子人さん達は繁殖に乗り気なんだよね?……上から言われて、いやいやなんかじゃないよね?)
ほんの少し千絵は不安になった。
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