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第6章. 絵露井家の崩壊
065. 助夫の乱心
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吾郎が人生で初めて味わう屈辱の留置場暮らしを2日間体験してから絵露井家に帰還したのだが、それからさらに2日間が経過した。今日は9月2日で株式会社・淫乱春夏が発行している週刊誌・週刊淫春、略称〈淫春〉の9月9日号が発売される日である。この号は特大号として普段より1割増しの価格設定になっているが、その分きっかりページ量も1割増しになっている。
だがしかし、増えている紙面のうちの2割が広告掲載ページなので、銭勘定の細かい購読者の中には損をした気分になっている者も少なくはない。それは取りあえずどうでもよいとして、問題は特集記事に関してだ。この号では第1特集、第2特集のように2つの特集が掲載されている。もちろん複数の特集を組む雑誌もあって、中には4ページしかない第5特集だとか、もはや通常の記事との違いの判らない程度のものまでもが特集扱いになっていることもしばしば見受けられるが、普段の〈淫春〉なら姑息な手段を使わずに1つに絞った特集を全力投球するのだ。だからこそ今No.1に熱い話題を伝え続けてこられたものの、今回に限って道を超踏み外した。この前、編集長の九土井前興が9月9日号の特集を事前告知したのが裏目に出た。あの日はまだNo.1に熱かった〈新妖怪ワリメ論〉と云う話題は既に古すぎるのだ。敏腕編集長と謳われる男でも、こう云う初歩的なミスをしでかすことがあるのだと云うことが、後進の教訓にはなった。九土井は編集長の座から引きずり降ろされるに決まっている。
そんなこんなで特集すると告知した以上、手前味噌的にそうせざるをえなくなってしまった第2特集〈新妖怪ワリメ論〉を差し置き栄えある第1特集として組まれたのが〈ワ●メ食〉である。これがまた泣きっ面に蜂と云うことか、ネット上で大炎上ババババーンの超バッシング嵐が吹き荒れる超元凶ハリケーンの卵になる。
寄せられる投稿は「特臭生地の鯛獲るに臥せ痔なの加代!」とか「淫春オワタ...」とか「九土井ら全員逮捕ぢゃ」とか「特超怖ぇんか」とか批判的なメッセージが大多数を占めている。
そんなこんなでさらに2日がすぎた夜、例によって絵露井家の夕食は極上の出前飯で、今日のチョイスは〈極上・ワリメ握り盛り合せ〉だ。こんな超激ヤバな裏飯は口にするだけでも逮捕されるし、食べた者は無条件に死刑が宣告される。
吾郎は今回も食べようとせず、他の者たちに忠告する。
「特超の犬がどこで嗅ぎつけているか判らないのだぞ」
「喧しい! 食いたくない奴はお座りをしておれ!」
「いや父さん、オレは犬じゃないって。でもそんな裏メニュー、どうやって注文してるんだよ?」
「ワシにはあらゆる裏社会のボスたちにつながる細いパイプがあるのだ」
「細いのかよ!」
「当たり前田屋のワリメ丼特盛だ!」
「いやいや、ワリメ丼とか云うだけで逮捕だよ」
「それならお前も逮捕する」
「あ、しまった。つい口から……」
こんな問答をしながらも、助夫はワリメのあらゆる部位の生肉や内臓を使って握られたと云う、そのワリメの握り寿司をパクパク・モグモグと食べ続ける。そして他の女たち3人も「あらま、この陰核、美味しいわ~」とか「臍つき腹肉も結構いける。ねえ四穂?」とか「はい、直腸の叩きも新鮮で、どんなホルモンよりも絶品です」と称賛しながらワリメ寿司を堪能しているのだ。
だがしかし、異変はいつだって突然にして訪れる。なんと1番先に寿司桶を空にした助夫が、おもむろに立ち上がり「ぶうおぉぉえぇ~~っ、げぼぼぉ~!」と発して直後、口からドロッとした銀色の塊を吐き出した。
「父さん、なんだそれっ!」
「きゃあパパーっ!」
「助夫さーん!!」
「えっ、オジさん!?」
4人が驚愕したのは、助夫の口から飛び出したのが、通常の鶏の玉子の3倍は大きい玉だったからだ。そんなビッグサイズを、よく喉に詰まらせずに出せたものだと云う驚異よりも、その奇妙な玉にヒビが入り、割れて中から生物が現れたことによるものである。
吾郎は目を疑いつつ、つぶやくのだ。
「ワリメか?? いや、ちょっと違うな……」
その生物は身長40センチメートルくらいの女性的な丸みを帯びた体格をしてはいるが、黒ずんだピンク色の肌色をしていて、大きな頭、ペチャンコな胸、丸見え状態の小さい臍、そして腰に赤いフンドシをつけている。ワリメに似ているようでありながら細部で異なっている。特に首が長く頭部の上に口がある点が目立った違いで、それは男性の亀頭を連想させている。
その生物は奇怪で耳障りな高音を発しながら、自力で窓を開けて外に逃げてしまった。
「チンコチンコ、チンコを握ってくれ~、うひゃひゃ、うひゃうひゃ、んごんご!」
「えっ、父さん、どうした!?」
「パパ??」
「助夫さん!!」
「オジさん……」
「チンコチンコ、うひゃひゃ、びゅよーん!」
この日から助夫は乱心したままとなり、決して正常だったは云えないが、元の助夫には2度と戻らない。
だがしかし、増えている紙面のうちの2割が広告掲載ページなので、銭勘定の細かい購読者の中には損をした気分になっている者も少なくはない。それは取りあえずどうでもよいとして、問題は特集記事に関してだ。この号では第1特集、第2特集のように2つの特集が掲載されている。もちろん複数の特集を組む雑誌もあって、中には4ページしかない第5特集だとか、もはや通常の記事との違いの判らない程度のものまでもが特集扱いになっていることもしばしば見受けられるが、普段の〈淫春〉なら姑息な手段を使わずに1つに絞った特集を全力投球するのだ。だからこそ今No.1に熱い話題を伝え続けてこられたものの、今回に限って道を超踏み外した。この前、編集長の九土井前興が9月9日号の特集を事前告知したのが裏目に出た。あの日はまだNo.1に熱かった〈新妖怪ワリメ論〉と云う話題は既に古すぎるのだ。敏腕編集長と謳われる男でも、こう云う初歩的なミスをしでかすことがあるのだと云うことが、後進の教訓にはなった。九土井は編集長の座から引きずり降ろされるに決まっている。
そんなこんなで特集すると告知した以上、手前味噌的にそうせざるをえなくなってしまった第2特集〈新妖怪ワリメ論〉を差し置き栄えある第1特集として組まれたのが〈ワ●メ食〉である。これがまた泣きっ面に蜂と云うことか、ネット上で大炎上ババババーンの超バッシング嵐が吹き荒れる超元凶ハリケーンの卵になる。
寄せられる投稿は「特臭生地の鯛獲るに臥せ痔なの加代!」とか「淫春オワタ...」とか「九土井ら全員逮捕ぢゃ」とか「特超怖ぇんか」とか批判的なメッセージが大多数を占めている。
そんなこんなでさらに2日がすぎた夜、例によって絵露井家の夕食は極上の出前飯で、今日のチョイスは〈極上・ワリメ握り盛り合せ〉だ。こんな超激ヤバな裏飯は口にするだけでも逮捕されるし、食べた者は無条件に死刑が宣告される。
吾郎は今回も食べようとせず、他の者たちに忠告する。
「特超の犬がどこで嗅ぎつけているか判らないのだぞ」
「喧しい! 食いたくない奴はお座りをしておれ!」
「いや父さん、オレは犬じゃないって。でもそんな裏メニュー、どうやって注文してるんだよ?」
「ワシにはあらゆる裏社会のボスたちにつながる細いパイプがあるのだ」
「細いのかよ!」
「当たり前田屋のワリメ丼特盛だ!」
「いやいや、ワリメ丼とか云うだけで逮捕だよ」
「それならお前も逮捕する」
「あ、しまった。つい口から……」
こんな問答をしながらも、助夫はワリメのあらゆる部位の生肉や内臓を使って握られたと云う、そのワリメの握り寿司をパクパク・モグモグと食べ続ける。そして他の女たち3人も「あらま、この陰核、美味しいわ~」とか「臍つき腹肉も結構いける。ねえ四穂?」とか「はい、直腸の叩きも新鮮で、どんなホルモンよりも絶品です」と称賛しながらワリメ寿司を堪能しているのだ。
だがしかし、異変はいつだって突然にして訪れる。なんと1番先に寿司桶を空にした助夫が、おもむろに立ち上がり「ぶうおぉぉえぇ~~っ、げぼぼぉ~!」と発して直後、口からドロッとした銀色の塊を吐き出した。
「父さん、なんだそれっ!」
「きゃあパパーっ!」
「助夫さーん!!」
「えっ、オジさん!?」
4人が驚愕したのは、助夫の口から飛び出したのが、通常の鶏の玉子の3倍は大きい玉だったからだ。そんなビッグサイズを、よく喉に詰まらせずに出せたものだと云う驚異よりも、その奇妙な玉にヒビが入り、割れて中から生物が現れたことによるものである。
吾郎は目を疑いつつ、つぶやくのだ。
「ワリメか?? いや、ちょっと違うな……」
その生物は身長40センチメートルくらいの女性的な丸みを帯びた体格をしてはいるが、黒ずんだピンク色の肌色をしていて、大きな頭、ペチャンコな胸、丸見え状態の小さい臍、そして腰に赤いフンドシをつけている。ワリメに似ているようでありながら細部で異なっている。特に首が長く頭部の上に口がある点が目立った違いで、それは男性の亀頭を連想させている。
その生物は奇怪で耳障りな高音を発しながら、自力で窓を開けて外に逃げてしまった。
「チンコチンコ、チンコを握ってくれ~、うひゃひゃ、うひゃうひゃ、んごんご!」
「えっ、父さん、どうした!?」
「パパ??」
「助夫さん!!」
「オジさん……」
「チンコチンコ、うひゃひゃ、びゅよーん!」
この日から助夫は乱心したままとなり、決して正常だったは云えないが、元の助夫には2度と戻らない。
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