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4.5.その日の夜
しおりを挟む7月13日、午後5時。
俺はみんなで料理を作っていた。みんなって誰か?ケイ、ヒカリさん、そして俺だ。
「皆んなで料理を作るって、なんだか楽しいですね♪」
「なのですぅー!」
そう言って、ケイはニンジン、ヒカリさんはジャガイモを切っている。俺の趣味は多彩だ。だが、その中に「料理」がある。普段目立たない俺の活躍の時が来た。さあ、奮ってやろう。暇人の料理の腕を!
「何をしているんですか?」
「あ、すみません。」
おっと、熱くなりすぎていたな。そう思ってタマネギを刻む。
「目にしみないのですかぁー?」
「大丈夫だよ。」
何故大丈夫と言い切れるかって?ふっふっふ。実は…予め冷やしておいたのだ!俺って用意周到!良い子!細胞が壊れてるから目に痛み成分は飛んでこないぜ!
「そうなのですかぁー。」
ケイも刻み始めた。ヒカリさんはとっくに切り終えている。
「あ、ヒカリさんはもう手を洗って座ってて良いですよ。」
「え、でも…」
「大丈夫ですよ、安心してください。」
「では、御言葉に甘えて…すみません。」
やっぱり可愛いなおい。いやいや、そんな事よりだ。タマネギを切り終えた俺は肉を切る事にした。ケイは、うーうー言いながら苦戦している。まあいい。といっても肉なんて数秒で切り終わる。
「ケイ、変わってやるよ。」
「ありがとうなのですぅー!」
ケイはスキップしながら椅子に戻った。おい、手を洗え。
「はいなのですぅー♪」
ここからは俺の独壇場だ。俺は秘蔵のスパイス数種類を慣れた手つきで片手で一個、2個同時に蓋を開けていく。おっと、水を沸騰させんと。と思い、鍋をさっと洗って水を入れた。この間に俺はチーズとバジルを取り出した。数分後。炊飯器がピー、と音を立てるのと同時に鍋もグツグツと音を立てた。さあ、投入するぜ!とすかさず俺はスパイスを一定分量(目分量だが)を投入し、混ぜる。バジルは最後に使うのだ。っと、自分の世界に浸っていると。
「まだなのですぅー?」
黙ってろ幼女。俺は集中しているんだ。そして色が変わったのを確認してから、気づいた。
野菜を入れ忘れていた事に。
大失態だ。味を染み込ませなければいけないというのに…!いや、今からならまだどうにかなるかもしれない、と思った俺は焦りながら野菜を入れた。世の中には「結果All Right」という言葉がある。頼む、そうなってくれ。
俺は本気で願ったね。そして、もう充分だろうと思い、皿に先ずご飯を乗せ、カレーをかけた。そしてーー、これは勘だが、ヒカリさんは卵、ケイはチーズが好きだろうと思い、ケイにはチーズを、ヒカリさんには予め茹でておいたゆで卵を乗せたカレーを差し出した。バジルは俺のカレーに乗っている。
「出来たぞー。」
「やったのですぅー♪」
「私の好み、よくわかりましたね…?」
完全になんとなくである。そんな事より。
「頂きますで食べようか。」
「せーの」
『いっただっきまーす!』
みんな美味しそうに食べている。作り甲斐があったものだ。と、ケイが唐突に。
「まるで、ヒカリさんがお母さんで、ツルギさんがお父さんみたいなのですぅー!」
「「!?」」
俺とヒカリさんは吹き出しかけて止まった。そこに追い討ちをかけるように、先ず笑って。
「ああ、今晩、きっとあーんなことやこーんなことをしても、きっと不思議ではないのですぅー♪」
もう、こいつ絶対狙ってるな。ヒカリさんは何故顔を赤くしてるんですか。
そうこうしているうちに、晩飯を全員が食べ終わった。
『ごちそうさま!』
片付けはケイに任せてある。あいつが「まかせるのですぅー!」と自分で言ってきたからだ。もちろん、壊したら弁償してもらおう。
その間に俺は風呂の準備をする事にした。
ーーーーー
1時間後。
ケイは皿を拭き終わり。俺は風呂に入るように勧めたが「いえ、家主さんがお先にどうぞ」と頑なに拒否するので、先に風呂に入っている。
「ふぅー。」
だめだ、イロイロありすぎた。死んだと思ったら生き返って、コックリさんもやって、ポルターガイストにもあって、いろいろありすぎたなぁ。だめだ、思い出しきれない。そう、深々と思い出しているとーー。
扉が開かれた。そう。この風呂の。
「えぇーーーー!既にいたのですかぁー!」
驚きたいのはこっちだ。先に入ると言ったばかりだろう。その後、つい視線が下に逸れてしまった。途端に紅潮する頬。その瞬間。
「変態なのですぅ!!エッチ!」
と声を荒らげて出て行った。残念だが、俺にそんな趣味はない。部屋の外から怒鳴り散らす声がする。きっと、「何故教えてくれなかったのか」だろう。まあ、サービスシーンを拝めただけいいとする。
そんなこんなで風呂から上がり、交代を告げた俺の声。後ろが風呂場じゃあ、やっぱり響くな。
「あがったぞー」
「…」
チョコンと顔をだしたその幼女の顔はまだ赤かった。俺は早めにその場を立ち去る事にした。
そして、布団を敷いておく。流石に別の部屋がいいだろう。それにしても暑い。熱帯夜か。エアコンをつけておこう。2人には親の部屋を使ってもらおう。そして、2人は2階にあがってきた。
「向こうの部屋だよ」
「はぁーい。」
すっかり機嫌は戻ったようだ。そして、2人の声が少しする。俺は本を読むか、と本を手に取りーー。
またもや扉が開かれた。2人とも、本と枕を持っている。
「…どうしたの?」
「…一緒ににたいのですぅ…」
「ということなので…」
…まじか。そんなイベントが。まて、エアコンは消したかな。
「あ、はい、ちゃんと消しました。」
…まて、そもそも性別が違う。流石にだめだ、戻れ。
「いえ、私も…実は…慣れない場所は苦手でして…」
…仕方ないか。
「じゃあ、2人ともベッドで寝てていいよ。俺は床で寝るよ。」
「いえ、私たちが寝ますよ!」
あたふたするヒカリさんはかわいい。いや、それよりも。ケイが、問題発言をーー。
「皆んなでベッドで寝たいのですぅー…♪」
といって先に寝た。
俺は取り敢えず奥に入った。これで、ヒカリさんが反対側に入ってくれれば、ケイも落ちずに助かるだろう。と思ったら、なんとーー。
「…///」
奥に入ってきた。ちょっと待て。えっ。
「…いいじゃないですか。」
密着しすぎだ。あれ、何故だろう。何故か眠くなる。俺は手に持っていた本をそのまま落とし深い眠りについた。
ーーーーー
…暗い空間…
…ここはどこだ…
「貴方はここにいない。」
謎の声が木霊する。
「貴方が眠る場所はここだ。」
別の声が響く。
「貴方の寝床はここではない。」
さらに別の声が響く。
どれが真実で、どれが嘘かはわからない。
俺の意識はフェードアウトした。
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