下剋上を始めます。これは私の復讐のお話

ハルイロ

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2ー1 学院編

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 今朝は侍女達に起こされる前に自然と目が覚めた。今日から私はアルグリア学院に通う。
清々しい気持ちでカーテンを開けると朝日が部屋に入ってきた。窓の外には、庭の花が春の風に揺れていた。



 ノックの音が響きラナに続いてネルも入って来た。

「おはようございますリルお嬢様。随分お早いですね。」

 ネルがお茶を用意してくれている間に、私は朝の準備を始める。

 アルグリア学院の制服は可愛い。
濃紺を基調とした制服は、膝下丈のワンピースで、少し幅の広いプリーツスカートが大人っぽい雰囲気を作り出している。胸元には真紅のリボンタイを結び、魔法科はこの上にショート丈のマントを羽織る。マントの左胸には学院の校章が刺繍されていた。

 制服を着て鏡の前で浮かれていた私にネルがドレッサーの前の椅子を引いて座るように促す。

「リルお嬢様。髪型はいかがいたしますか?」

「このリボンを付けてくれる?」
 私は以前王都で買った真紅のリボンを手に取る。ウィルがくれた花束を思い出し自然と口角があがる。
ネルは私のシルバーブロンドの髪を丁寧に編み上げてハーフアップにしてくれた。
うん可愛い。



 食堂に移動するとお父様がもう席に着いていて、私を待ってくれていた。

「おはようございます、お父様。お待たせしました。」

「おはよう、リル。制服よく似合ってる。早くお母様にも見せてあげたいね。」

 少しゆっくり朝食を取った後、私は馬車で学院に向かった。




 アルグリア学院は王都の西側、商業区に近い場所にある。商業区には商店の他に様々なギルドの本部もあり、学院とは密な関係をとっている。
私もお父様に連れられて、領地の商業ギルドに顔を出したことがあったが、受付だけでも中々面白かった。いつか本部にも行ってみたい。


 馬車の窓から見える景色を眺めていると、あっという間に学院に着いた。
学院は私が思っていた以上に広かった。魔法科の生徒は全学年50人程だと聞いていたので、あまり広くはないだろうと甘く見ていた。目印になるようなものは無く、似たような作りの建物が並ぶ中で私達は完全に迷子になってしまった。
一緒に来たラナにも分からないだろう。
私達はとりあえず真っ直ぐ、正面の建物へ進むことにした。

 
 そんな時横から声を掛けられた。

「やっほー。待ってたよー。リルメリア・アルトさん。」
 横から声を掛けてきた男性は満面の笑みを浮かべ、両手を広げている。

 え?さすがにイケメンでも知らない男性の胸に飛び込んだりしませんよ。
ラナは警戒して私を庇うように前に出る。


「あれ?警戒されちゃった?僕はルーイ。これからルーイ先生って呼んでね。ルーイ師匠でもいいよ。この学院では君の先生になるから。よろしくねー。」

 すごい軽い人だな。先生と自称しているが、信用できない。ラナも全く警戒を解かない。

「いやいや。ほら!証拠!」
 そう言って自称先生は学院の印章が入った身分証を大袈裟に見せる。

私の前にいるラナが困惑しながら私を見た。うん、気持ちは分かる。
どうしようかと思っていると、今度は後ろから声を掛けられた。


「あっリル!良かった。会えたね。」
 振り返ると学院の制服を来たウィルが笑顔でこちらに向かって歩いてきた。

あまりの格好良さに思考が止まる。顔が熱い。
この制服ってウィルのためにデザインされたんじゃないだろうか。朝、自分の制服姿を可愛いなんて思ってしまったけれど烏滸がましかったかもしれない。


「リル。制服凄く似合ってるね。可愛い。」
褒められて益々顔が赤くなってしまった。

「ウィルも凄い素敵.....」
やっとの思いで声を出したけれど、下を向きながら言ったからちゃんと聞こえただろうか。


「リル。何かあったの?もう教室には行ってみた?」

軽く深呼吸して少しでも自分を落ち着かせる。

「今から行こうと思ってたんだけど、どこに行けばいいか分からなくて困ってたんだ。」

「なら会えて良かった。一緒に教室に行こう。」

 そう言ってウィルは私に手を差し出してきた。
繋がれた手がすごく熱く感じる。

私たちはウィルのエスコートで教室に向かって歩き出した。
何か忘れている気がするけれど、今の私には他の事を考える余裕がなかった。



「あれーー?僕はーー?」

後ろから誰かの声が聞こえたような気がした。





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