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*ヴェイル視点 12
我が国が誇る最先端の魔道具技術を使った大ホールでは、壁や天井に埋め込まれたクリスタルが光を乱反射することによって、まるで星の海にいるような幻想的な世界を作り上げていた。
その光の中を、色とりどりのドレスを着た女性達がクルクルと舞い、華を添える。
日の入りと共に始まった終幕の夜会は、最後の交流ということもあり、至る所で賑やかな会話が聞こえていた。
そんな中、俺は数段高くなった壇上から、開け放たれた扉の先を一心に見つめる。
「ヴェイル、落ち着け。女性は仕度に時間がかかるものだ。」
隣に座っている兄上が、少し呆れた表情で、俺の揺れ動く尾を見ていた。
「俺は、落ち着いていますが...。」
いや、気持ちは先程から急いている。緊張しているのか、指先も冷たい。
けれど、俺は精一杯の虚勢を張って、壇上に立ち続けた。
一通りの挨拶も終わり、ホールの中央ではダンスが始まった。しかし未だ、ステラの姿はどこにもない。
何かあったのか?
お互い夜会の準備に忙しく、昨日の朝に会ったきりで、ずっとステラの姿を見ていない。
また、体調を崩したのだろうか?
けれど、そんな報告は受けていないし、俺の魔力入りの魔石も届けた。
ならば、なぜ?
逸る気持ちを抑えきれない俺は、息苦しい騎士服の襟元を緩めた。
久しぶりに着た騎士の正装が、鬱陶しくて仕方ない。俺は、一度、中庭に出ようと、壇上から足を下ろした。
だが、それがまずかった。普段の俺なら、決してしない失敗だった。
兄上の側から離れた俺に、派手なドレスで着飾った女性達が寄ってきたのだ。その中には、いつもしつこく迫ってくる我が国の令嬢達も交ざっている。
「殿下、ぜひ、わたくしとダンスを踊って下さいませ。」
「狡いです!私とも、ぜひ!」
ダンスをせがまれる中、令嬢達に腕を取られ、体を押し付けられた。
きつい香水の匂いが鼻につき、感じる体温に怒りが沸く。しかし、この終幕の夜会では、不愉快な相手であっても無下には出来ない。主催者側の俺が、同盟国との関係に瑕疵を作ってはならないからだ。
俺は仕方なく、数名の令嬢とダンスを踊った。
不快な時間を乗り切った後、俺は気持ち悪さを消し去るため、中庭で強い酒を煽っていた。
酒で感覚が鈍る中、探していたドレスが俺の前を横切る。
「ステラ...。」
そう呼びかけた女性は、ステラとは似ても似つかない茶色の髪色をしていた。
なぜだ、ステラ?
なぜ、貴女ではなく、見知らぬ女性が、俺の贈ったドレスを着て、男と腕を組んで歩いているんだ?
俺の色は、そんなに気に入らなかったのか?
怒りなのか、悲しみなのか、はたまた諦めなのか、自分でもよく分からない感情が俺を支配する。
そうなると、もう止まらなかった。
魔法が溢れるホールから離れれば、ステラの中にある俺の魔力を追える。
近くに控えていたニルセンとメルデンが止めるのも聞かず、俺は夜会会場を飛び出した。
その光の中を、色とりどりのドレスを着た女性達がクルクルと舞い、華を添える。
日の入りと共に始まった終幕の夜会は、最後の交流ということもあり、至る所で賑やかな会話が聞こえていた。
そんな中、俺は数段高くなった壇上から、開け放たれた扉の先を一心に見つめる。
「ヴェイル、落ち着け。女性は仕度に時間がかかるものだ。」
隣に座っている兄上が、少し呆れた表情で、俺の揺れ動く尾を見ていた。
「俺は、落ち着いていますが...。」
いや、気持ちは先程から急いている。緊張しているのか、指先も冷たい。
けれど、俺は精一杯の虚勢を張って、壇上に立ち続けた。
一通りの挨拶も終わり、ホールの中央ではダンスが始まった。しかし未だ、ステラの姿はどこにもない。
何かあったのか?
お互い夜会の準備に忙しく、昨日の朝に会ったきりで、ずっとステラの姿を見ていない。
また、体調を崩したのだろうか?
けれど、そんな報告は受けていないし、俺の魔力入りの魔石も届けた。
ならば、なぜ?
逸る気持ちを抑えきれない俺は、息苦しい騎士服の襟元を緩めた。
久しぶりに着た騎士の正装が、鬱陶しくて仕方ない。俺は、一度、中庭に出ようと、壇上から足を下ろした。
だが、それがまずかった。普段の俺なら、決してしない失敗だった。
兄上の側から離れた俺に、派手なドレスで着飾った女性達が寄ってきたのだ。その中には、いつもしつこく迫ってくる我が国の令嬢達も交ざっている。
「殿下、ぜひ、わたくしとダンスを踊って下さいませ。」
「狡いです!私とも、ぜひ!」
ダンスをせがまれる中、令嬢達に腕を取られ、体を押し付けられた。
きつい香水の匂いが鼻につき、感じる体温に怒りが沸く。しかし、この終幕の夜会では、不愉快な相手であっても無下には出来ない。主催者側の俺が、同盟国との関係に瑕疵を作ってはならないからだ。
俺は仕方なく、数名の令嬢とダンスを踊った。
不快な時間を乗り切った後、俺は気持ち悪さを消し去るため、中庭で強い酒を煽っていた。
酒で感覚が鈍る中、探していたドレスが俺の前を横切る。
「ステラ...。」
そう呼びかけた女性は、ステラとは似ても似つかない茶色の髪色をしていた。
なぜだ、ステラ?
なぜ、貴女ではなく、見知らぬ女性が、俺の贈ったドレスを着て、男と腕を組んで歩いているんだ?
俺の色は、そんなに気に入らなかったのか?
怒りなのか、悲しみなのか、はたまた諦めなのか、自分でもよく分からない感情が俺を支配する。
そうなると、もう止まらなかった。
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近くに控えていたニルセンとメルデンが止めるのも聞かず、俺は夜会会場を飛び出した。
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