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11話
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「罰当たり?目の前で死にそうな聖獣がいてそれを助けるのが罰当たりなんですか?」
老婆だけでなく、周りの人混みにも聞こえるように大きな声で叫んだ。
「国王だかなんだか知らないけど、私はこの子を助けたいんです。助けられる命を無視することはできない。それで罰が当たるなら結構!引き受けます!」
そう叫び老婆につかまれた腕を振り払った。
周りの人混みもみんな静かに黙っている。
「こんなんじゃダメだわ…。氷が無いかしら…。」
空になったバケツを横に置いて呟いた。
「バンおばさん!氷をっ…!」
私がまた叫ぼうとすると人混みの中から小さな女の子が近づいてきた。
「おねえちゃん、これ使って!」
その女の子が持っていたのは氷のうだった。
「これ…いいの?」
私が聞くと女の子は頷く。
「お家が近いから持ってきたの。使ってあげて!この子を助けてあげて!」
女の子の必死の訴えを聞いて、私は氷のうを預かった。
周りの大人達はみんな立ち尽くしている。
「ありがとう。」
そう言って、濡れている犬の前足を持ち上げる。
体を冷やすためには太い血管が通っている箇所を冷やすと効率的なのだ。
(首…それ から脇。そして鼠蹊部。)
女の子に追加で氷のうを持ってくることをお願いして、ひとつずつ氷のうを当てていく。
「あとは水を飲ませなくちゃ…」
そう言って、また店の奥に戻り犬が飲むための水を用意した。
はあはあと舌を出している犬に水を近づける。舌を水につけてやるとぺろぺろと舐め出す。
「よし!」
思わずガッツポーズをしてしまった。
氷のうを持ってきてくれた女の子も察したのか少し喜んでいた。
しばらく犬の体を冷やしながら水を与えていると少しずつ犬の呼吸が落ち着いてきた。
「もう、大丈夫かな。」
瞳も倒れた時よりかは力強くなっている。
途端に犬が起き上がりぺろぺろと自分の足を舐め始めた。
「うん、元気そう!」
簡単に全身のチェックをしても特に問題は無さそうだったので、そのまま犬を放した。
「よかった…」
ほっとして、急に体の力が抜ける。
ふと店の窓に映る自分の姿を見るとなんともボロボロだった。
朝せっかくまとめた髪は緩んでボサボサになっており、そこら中を駆け回ったからか服はどろどろおまけに顔も汗だくだ。
(でも、助かってよかった…)
心底安心してふうと息を吐く。
あたりを見渡すと、さっきまでいた人混みはすっかり無くなっていた。
「あっ…お店!」
慌てて仕事を思い出してバンおばさんの元へ駆け寄る。
「バンおばさん!ごめんなさい!」
ボロボロのまま全力で走ってきた私を見てバンおばさんは少し驚いた。
「あらあら、ニーナちゃんたらなんて格好だよ。今日はお店の番はもう終わりだよ。」
「すみません…私途中から仕事放ったらかして…」
周りが見えなくなってしまったことに申し訳なさが込み上げ深々と頭を下げた。
「ああ、いいよいいよ。今日はもう客も来なかったしね。それよりもう今日はお帰り。」
バンおばさんが私の頭をくしゃくしゃと撫でてきた。
「ありがとうございます!」
バンおばさんの言葉に甘えて私は家に向かった。
老婆だけでなく、周りの人混みにも聞こえるように大きな声で叫んだ。
「国王だかなんだか知らないけど、私はこの子を助けたいんです。助けられる命を無視することはできない。それで罰が当たるなら結構!引き受けます!」
そう叫び老婆につかまれた腕を振り払った。
周りの人混みもみんな静かに黙っている。
「こんなんじゃダメだわ…。氷が無いかしら…。」
空になったバケツを横に置いて呟いた。
「バンおばさん!氷をっ…!」
私がまた叫ぼうとすると人混みの中から小さな女の子が近づいてきた。
「おねえちゃん、これ使って!」
その女の子が持っていたのは氷のうだった。
「これ…いいの?」
私が聞くと女の子は頷く。
「お家が近いから持ってきたの。使ってあげて!この子を助けてあげて!」
女の子の必死の訴えを聞いて、私は氷のうを預かった。
周りの大人達はみんな立ち尽くしている。
「ありがとう。」
そう言って、濡れている犬の前足を持ち上げる。
体を冷やすためには太い血管が通っている箇所を冷やすと効率的なのだ。
(首…それ から脇。そして鼠蹊部。)
女の子に追加で氷のうを持ってくることをお願いして、ひとつずつ氷のうを当てていく。
「あとは水を飲ませなくちゃ…」
そう言って、また店の奥に戻り犬が飲むための水を用意した。
はあはあと舌を出している犬に水を近づける。舌を水につけてやるとぺろぺろと舐め出す。
「よし!」
思わずガッツポーズをしてしまった。
氷のうを持ってきてくれた女の子も察したのか少し喜んでいた。
しばらく犬の体を冷やしながら水を与えていると少しずつ犬の呼吸が落ち着いてきた。
「もう、大丈夫かな。」
瞳も倒れた時よりかは力強くなっている。
途端に犬が起き上がりぺろぺろと自分の足を舐め始めた。
「うん、元気そう!」
簡単に全身のチェックをしても特に問題は無さそうだったので、そのまま犬を放した。
「よかった…」
ほっとして、急に体の力が抜ける。
ふと店の窓に映る自分の姿を見るとなんともボロボロだった。
朝せっかくまとめた髪は緩んでボサボサになっており、そこら中を駆け回ったからか服はどろどろおまけに顔も汗だくだ。
(でも、助かってよかった…)
心底安心してふうと息を吐く。
あたりを見渡すと、さっきまでいた人混みはすっかり無くなっていた。
「あっ…お店!」
慌てて仕事を思い出してバンおばさんの元へ駆け寄る。
「バンおばさん!ごめんなさい!」
ボロボロのまま全力で走ってきた私を見てバンおばさんは少し驚いた。
「あらあら、ニーナちゃんたらなんて格好だよ。今日はお店の番はもう終わりだよ。」
「すみません…私途中から仕事放ったらかして…」
周りが見えなくなってしまったことに申し訳なさが込み上げ深々と頭を下げた。
「ああ、いいよいいよ。今日はもう客も来なかったしね。それよりもう今日はお帰り。」
バンおばさんが私の頭をくしゃくしゃと撫でてきた。
「ありがとうございます!」
バンおばさんの言葉に甘えて私は家に向かった。
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