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5話 誕生日パーティー

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ヘレフォード邸に着くと、使用人が慌ただしくお客様を案内していた。
私も案内され、奥の部屋へ連れて行かれる。

扉を開けると、煌びやかな装飾が目を奪う。
その場には沢山の貴族たちが集まっており、皆談笑に勤しんでいる。

一通り挨拶を済ませ、デレクを探した。


会場内を歩き回っていると、隅の方でエレナがワインを飲んでいるのを見つけた。

「あっ…」

あの時、街で見たエレナの顔が思い出される。

私の声にエレナが振り向いた。

「あら、ターナー伯爵のお嬢様。
ごきげんよう。」
何事もなかったのように、あの鈴のように綺麗な声が響く。

「エレナさん…」

聞きたいこと、言いたいことがたくさんある。

深呼吸して自分を落ち着かせた。

「以前、街で見かけました。
人違いでなければ私の婚約者のデレクと腕を組んで歩かれているところを。」

私の言葉を聞いたエレナは自身のブロンドの髪を遊ばせながら答えた。

「ああ、覚えてますわ。
確かにデレク様と少し街へ買い物に行っておりましたの。
ああいうのってデートって言うんですわよね。」

ニコニコと笑いながら話すエレナ。

「デレクは私の婚約者です。
どういうおつもりですか。」

真っ直ぐエレナの瞳を見つめて、問い詰めた。

「あらっ、まだ聞いていらしてなかったの。」

わざとらしいきょとんとした顔でこちらを見る。



「デレク様ったら、って。
そうおっしゃってましたのよ。」


頭にカナヅチで殴られたような衝撃が走る。

何を言ってるのかわからない。

「ど、どういう…」

声が震える。

エレナは困惑する私を見てニヤリと笑うと、手に持っていたグラスを傾け自身のドレスにワインをこぼし始めた。


「あっ! 染みにっ!!…」

その光景にハッとして、慌ててエレナに駆け寄り溢れたワインを拭こうとすると、



「きゃああああああああっ」

会場内をエレナの甲高い叫び声が貫いた。


一瞬静まり返り、その場にいた全員の注目が私とエレナに集まる。

いきなりの状況に困惑しているとデレクが駆け寄ってきた。


「エレナ!!」

駆け寄ってきたデレクはエレナを抱きしめる。

「デレクッ…」
エレナもデレクを抱きしめ返していた。

その光景に胸が張り裂けそうになる。


「サラッ!なんてことをっ…」

そう言って私を見たデレクの目は怒りに満ちていた。

「違うわ!
私は溢れたワインを拭こうとして…」

慌てて弁解しようとするとエレナが口を挟む。

「ひどい…ひどいわサラさん…
急に、デレクを返せって。
私そんなつもりじゃないって必死に言ったのよっ…
でも、ワインをかけられてしまって…」

エレナが何を言ってるのかわからない。

周りの視線が一気に私に集まるとがやつきだした。


「まあ、なんて、下品な…」
「ターナー家の薔薇って聞いてましたけどあんな性格とは…」
「おてんば娘だそうよ…でもあんなことするなんて…」




私が悪者になってるの!?

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