ビッチ未遂

seitennosei

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後悔。

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いつかの下校中。
テスト期間中でいつもより早く下校しているオネーサンと外でばったり会った。
俺は嬉しくなって駆け寄ると、家にいる時みたいに抱きついた。
オネーサンも笑顔で応え、頭を撫でてくれた。
いつも二人きりだったから、俺達にとってはこれはもう普通だった。
だけど周囲の反応は違うもので、その場にいたオネーサンの同級生に「実の弟でもないのにそんなに仲良しなの?…えー。それ大丈夫なの?」と、微妙な反応をされた。
オネーサンは全く気にした素振りもなく「すっごく仲良し。ホントに可愛いの。」と言って俺の頭を撫で続けたけど、俺のせいでオネーサンが変な目で見られるかもって思うと罪悪感が芽生えた。
その日は久しぶりにオネーサンにくっつく事をせず、普通に勉強して過ごした。

翌日、学校へ行くと、下校中の俺達を見ていた同級生に絡まれた。
「お前昨日年上の女に甘えてたな。ウチのカーチャンがいつもお前ん家から出てくる女がいるって言ってたけど、親いない間二人で何してんの?やらしーな。」
違うって言えなかった。
俺は本当にオネーサンが好きで。
オネーサンも俺の事一番大事にしてくれてて。
真剣に自然にこういう関係になった。
ちゅうしたり胸を揉んだりパンツ見たり、そういうエッチな事は何もしてないから胸を張れる筈。
だけど何となく、自分がオネーサンに抱いている感情とか、抱きついてしている事とかが、本当は良くない事なんじゃないかとは薄々分かっていて。
同級生に強く言い返せなかった。

それからはどうしたら良いのか分からなくなって、その日も来てくれたオネーサンに「もう来ないで。」と言ってしまった。
本当はそんな事思ってなかったのに。
それでもオネーサンは来てくれるもんだと勝手に思ってたから。
「俺は来ないでって言ったけど、オネーサンの方が俺に会いたくて来てる。」って誰に言うでもない言い訳が欲しくて、思わず言ってみただけだった。
予想に反してオネーサンは来なくなった。
そこでやっと気付いた。
オネーサンは優しくて、どれだけ近付いても全て受け入れてくれる。
だけどその分、離れていく事も当たり前に受け入れてしまうんだ。
だったら、試すみたいな事を言うんじゃなくて、「好きだから俺のものになって。」って言えば良かったんだ。
どれだけ周りにバカにされたって、二人だけでずっと一緒に居ようって言えば良かった。
後悔してももう遅い。
オネーサンは俺に来ないでって言われて傷付いたかな?
それとも怒ってるのかな?
確認するのが怖くて、益々オネーサンを避ける様になった。
それでも全然オネーサンの事は好きなままで。
だから俺がもっと大きくなって、オネーサンを大事に出来る様になったら迎えに行こう。
そう決意していた。
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