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ビッチ未遂。
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ある日の休日。
家のソファーで二人寛いでいると、遥輝くんが口を開いた。
「オネーサンってビッチの素質あると思う。」
「え?どうしたの?急に。しかも失礼だし。」
「だってさー…」
私をグイッと抱き寄せ、頬擦りしながら続ける。
「押しに弱いし、面倒見良いし、無自覚に寂しがりだし、可愛いしさー。今まではたまたま大丈夫だっただけで、彼氏いない時に変な男に押されたら絶対身体許しちゃうじゃん。」
「えー…?どうだろう…。流石に無理な人は無理って言うよ?私だって…。」
「どうかなー?」
訝しんだ顔で見てくる。
ちょっと腹は立つが、未遂に終わったとは言え、ビッチになろうとしていた所を見られているので強く反論できない。
「まあ、俺に言わせればオネーサンとっくにビッチだったけどね!」
「なんだと?ヤリチン風情が偉そうに!」
「…すみません。」
私達はこれまでの異性経験をお互いに明かしている。
それはまるで答え合わせの様な感覚で、会っていない13年の間に何があってどんな風に思って今に至るのかを、包み隠さず話し合った。
もっと嫉妬したり気分が悪くなったりするものだと覚悟していたが、意外と心穏やかにすんなり受け入れる事が出来た。
多分、その道を通らなければ今の関係にはなれていないと、お互いに理解しているからだろう。
巻き込んでしまった人達には申し訳ないが、これで良かったと私は納得している。
「ねぇ、遥輝くん。」
「ん?」
「遥輝くんが前に『基準が全部オネーサンだった。』って言ってくれたじゃん?私もそうだったよ。当時にその自覚は無かったけど…。」
頬擦りを続けていた遥輝くんの頭を掴んで、自分の胸に無理矢理抱く。
彼はされるがまま従い、私の腰に腕を回して抱きついてきた。
「元彼達に『俺が居なくても大丈夫でしょ?』って言われる度に、私が必要としているかなんて気にせずに、純粋に私を求めてくれる人は居ないのかな?って思ってガッカリしてた…。でも今思うと一番最初に遥輝くんに真っ直ぐ求められる強い快感を教えられちゃってたから無意識に私はそれを求めてたんだろうね。」
「ふふん。オネーサン、やっと気付いた?」
腰に腕を回したまま、遥輝くんは得意げな顔で見上げてきた。
「オネーサンは自分の方が年上だし、より強い影響を与えたのは自分だと思ってるだろうけど、最初にオネーサンを見付けて捕まえたのは俺だからね?あのすりすりは精神的にも肉体的にもオネーサンは俺のだって言うマーキングだったんだから。」
本当にその通りだと思う。
他の誰といても、どれだけ好きだって思っていても、子供の時に遥輝くんがすりすりしてきた時より心が動いた事なんてなかった。
元彼たちはどこかで感じ取っていたのだと思う。
私が彼等を通してその先に遥輝くんの面影を追っていたって。
結果皆離れていき、遥輝くんと再会した時、見事に私は一人だった訳だから、これは何よりのマーキングだ。
「オネーサンは俺しか愛せないって分かったでしょ?分かったらビッチ未遂事件の事反省してよ!」
いつもの可愛い目で真っ直ぐ見てくる。
この顔に私は弱いんだ。
だけど絆されてばかりでは悔しい。
だから少し意地悪をする。
「偉そうに…。私の事名前で呼べない癖に。」
「だって、それはっ…。」
悔しそうな声を上げ、ガバッと起き上がる遥輝くん。
そして「俺だって呼びたいよー!」と嘆きながら、両手で顔を覆い大袈裟に泣き真似をし始めた。
「大きくなって恋人になったら絶対呼ぶって子供の時からの夢だったんだよ?俺だって呼びたいよ…。」
「じゃあ呼べば良いじゃん?」
「勃っちゃうって知ってるでしょ!」
「あはは。パブロフの犬かよ。」
本当に可愛い。
もっといじめたくなる。
しかし、調子に乗り小馬鹿にしていると、急にグイッと抱き寄せられた。
遥輝くんの口が耳に当たる。
「由良ちゃん…。」
低い声で囁かれ、ピクッと身体が反応してしまう。
その反応に気を良くした様で、レっと耳の縁を舌でなぞりながら再度囁いてくる。
「由良ちゃん。」
全身に鳥肌が立つ。
そしてじわっと濡れてきてしまった。
「自分だって呼ばれたら濡れる様になっちゃった癖に。」
全てをお見通しな感じで、悪戯っぽく遥輝くんが言った。
また悔しくなって、反撃をする。
「カッコつけてるけどガチガチじゃん?」
服の上から硬くなったそこを撫で摩ると、「あ…ちょっ、もう!」と私の腕を掴んで止めてきた。
「もー!オネーサンが名前呼べって煽るから勃っちゃったんだよ?責任取ってくれるよね?」
「いいよ。最後まで面倒見る約束だもんね?」
遥輝くんの首に腕を回しソファーに倒れ込む。
私の額にチュッと口を付けた後、愛おしそうに微笑んでくる顔を見上げて思う。
幸せだな。
こんな時がずっと続いてくれますように。
そして彼から優しいキスをもらう為、私は目を閉じた。
家のソファーで二人寛いでいると、遥輝くんが口を開いた。
「オネーサンってビッチの素質あると思う。」
「え?どうしたの?急に。しかも失礼だし。」
「だってさー…」
私をグイッと抱き寄せ、頬擦りしながら続ける。
「押しに弱いし、面倒見良いし、無自覚に寂しがりだし、可愛いしさー。今まではたまたま大丈夫だっただけで、彼氏いない時に変な男に押されたら絶対身体許しちゃうじゃん。」
「えー…?どうだろう…。流石に無理な人は無理って言うよ?私だって…。」
「どうかなー?」
訝しんだ顔で見てくる。
ちょっと腹は立つが、未遂に終わったとは言え、ビッチになろうとしていた所を見られているので強く反論できない。
「まあ、俺に言わせればオネーサンとっくにビッチだったけどね!」
「なんだと?ヤリチン風情が偉そうに!」
「…すみません。」
私達はこれまでの異性経験をお互いに明かしている。
それはまるで答え合わせの様な感覚で、会っていない13年の間に何があってどんな風に思って今に至るのかを、包み隠さず話し合った。
もっと嫉妬したり気分が悪くなったりするものだと覚悟していたが、意外と心穏やかにすんなり受け入れる事が出来た。
多分、その道を通らなければ今の関係にはなれていないと、お互いに理解しているからだろう。
巻き込んでしまった人達には申し訳ないが、これで良かったと私は納得している。
「ねぇ、遥輝くん。」
「ん?」
「遥輝くんが前に『基準が全部オネーサンだった。』って言ってくれたじゃん?私もそうだったよ。当時にその自覚は無かったけど…。」
頬擦りを続けていた遥輝くんの頭を掴んで、自分の胸に無理矢理抱く。
彼はされるがまま従い、私の腰に腕を回して抱きついてきた。
「元彼達に『俺が居なくても大丈夫でしょ?』って言われる度に、私が必要としているかなんて気にせずに、純粋に私を求めてくれる人は居ないのかな?って思ってガッカリしてた…。でも今思うと一番最初に遥輝くんに真っ直ぐ求められる強い快感を教えられちゃってたから無意識に私はそれを求めてたんだろうね。」
「ふふん。オネーサン、やっと気付いた?」
腰に腕を回したまま、遥輝くんは得意げな顔で見上げてきた。
「オネーサンは自分の方が年上だし、より強い影響を与えたのは自分だと思ってるだろうけど、最初にオネーサンを見付けて捕まえたのは俺だからね?あのすりすりは精神的にも肉体的にもオネーサンは俺のだって言うマーキングだったんだから。」
本当にその通りだと思う。
他の誰といても、どれだけ好きだって思っていても、子供の時に遥輝くんがすりすりしてきた時より心が動いた事なんてなかった。
元彼たちはどこかで感じ取っていたのだと思う。
私が彼等を通してその先に遥輝くんの面影を追っていたって。
結果皆離れていき、遥輝くんと再会した時、見事に私は一人だった訳だから、これは何よりのマーキングだ。
「オネーサンは俺しか愛せないって分かったでしょ?分かったらビッチ未遂事件の事反省してよ!」
いつもの可愛い目で真っ直ぐ見てくる。
この顔に私は弱いんだ。
だけど絆されてばかりでは悔しい。
だから少し意地悪をする。
「偉そうに…。私の事名前で呼べない癖に。」
「だって、それはっ…。」
悔しそうな声を上げ、ガバッと起き上がる遥輝くん。
そして「俺だって呼びたいよー!」と嘆きながら、両手で顔を覆い大袈裟に泣き真似をし始めた。
「大きくなって恋人になったら絶対呼ぶって子供の時からの夢だったんだよ?俺だって呼びたいよ…。」
「じゃあ呼べば良いじゃん?」
「勃っちゃうって知ってるでしょ!」
「あはは。パブロフの犬かよ。」
本当に可愛い。
もっといじめたくなる。
しかし、調子に乗り小馬鹿にしていると、急にグイッと抱き寄せられた。
遥輝くんの口が耳に当たる。
「由良ちゃん…。」
低い声で囁かれ、ピクッと身体が反応してしまう。
その反応に気を良くした様で、レっと耳の縁を舌でなぞりながら再度囁いてくる。
「由良ちゃん。」
全身に鳥肌が立つ。
そしてじわっと濡れてきてしまった。
「自分だって呼ばれたら濡れる様になっちゃった癖に。」
全てをお見通しな感じで、悪戯っぽく遥輝くんが言った。
また悔しくなって、反撃をする。
「カッコつけてるけどガチガチじゃん?」
服の上から硬くなったそこを撫で摩ると、「あ…ちょっ、もう!」と私の腕を掴んで止めてきた。
「もー!オネーサンが名前呼べって煽るから勃っちゃったんだよ?責任取ってくれるよね?」
「いいよ。最後まで面倒見る約束だもんね?」
遥輝くんの首に腕を回しソファーに倒れ込む。
私の額にチュッと口を付けた後、愛おしそうに微笑んでくる顔を見上げて思う。
幸せだな。
こんな時がずっと続いてくれますように。
そして彼から優しいキスをもらう為、私は目を閉じた。
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